4日午前4時5分ごろ、秋田市泉北、日弁連の消費者問題対策委員長を務める弁護士津谷裕貴さん(55)の妻良子さん(53)から「主人を殺すと自宅に男が来ている」と110番があった。津谷さんは男に腹などを刺され、約1時間半後に死亡。秋田県警によると、駆け付けた警察官2人の目の前で刺された可能性が高い。良子さんにけがはなかった。
県警は殺人未遂の疑いで、現場にいた秋田市泉中央、無職菅原勝男容疑者(66)を現行犯逮捕し、容疑を殺人に切り替えて詳しい経緯を調べている。
県警の加藤健捜査1課長は「非常に短い時間の出来事で難しい現場だった。捜査員に落ち度があったという認識は全くない」と話した。
逮捕容疑は、4日午前4時すぎ、津谷さんの胸や腹などを刃渡り約20センチのはさみのようなもので刺し、殺害しようとした疑い。
秋田県警によると、菅原容疑者は「妻と離婚した際に調停にかかわった津谷弁護士を恨んでいた。殺すために剪定ばさみを準備した」と供述。県警は凶器を事前に用意するなどして計画的に犯行に及んだとみている。
菅原容疑者は「爆発物を仕掛けた」とも話し、津谷さん方の物置から、カセットボンベと電源がつながっていない電熱器が見つかったが、爆発の危険性はなかった。金属製の拳銃のようなものも所持しており、県警が鑑定を進めている。
津谷さんの事務所の事務員で弟の聡さん(53)によると、2001年ごろに夫婦間のトラブルで菅原容疑者の妻から相談を受けた。菅原容疑者も事務所に話を持ち掛けたが断ったところ、周囲に「津谷弁護士を殺してやる」などと話すようになったという。夫婦は04年に離婚調停が成立した。
津谷さんは良子さんと2人暮らし。菅原容疑者は玄関脇の窓ガラスを割って津谷さん方に侵入したとみられる。
津谷さんは弁護士として消費者問題などに取り組み、秋田弁護士会の会長を務めた後、09年6月から日弁連の消費者問題対策委員長だった。
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