日々是勉強

教育、国際関係、我々の社会生活・・・少し上から眺めてみよう。

【よく出る(笑)】「地政学」を勉強してみよう(1)

2007年03月02日 00時48分00秒 | 地政学・国際関係
  私は記事の中で、たびたび「ランドパワー」や「シーパワー」という言葉を用いています。いわゆる「地政学」というやつです。
  私が参考にさせていただいているのは、主に江田島孔明氏●「世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略」です。

  簡単に言えば、世界の勢力には二つの種類がいるということです。「ランドパワー」は大陸国家(ロシア、中国、朝鮮など)であり、「シーパワー」は海洋国家(イギリスなど)であって、日本は、あえてどちらか一方に決めろと言うなら、シーパワーです。

  ランドパワーが強くなると、近くにいるシーパワーを攻撃してきます。変なたとえですが、周り(隣接地域)に食べるものがなくなったので、海の向こうのご馳走に手を伸ばしてくるような感じです。中国が「沖縄は歴史的に見て我が国の領土だ」「沖の鳥島は岩だ」などと主張し始めているのが良い例です。

  ランドパワーに征服されないためには、シーパワー同士で同盟を組んで立ち向かうしかありません。海の平和が乱されると、海上貿易で利益を上げているシーパワーはダメージを受けるからです。ロシアに対抗した日英同盟(1902年)や、日米安全保障条約がその例です。
  
  ・・・と、まあ、こんな感じに今までは私も単純に考えていました。
 
  ところが、重要なファクターを見逃していたことに気づいたのです。

  ●地政学を英国で学ぶというブログがあります。そこに、注目すべき記事がありました。

(以下引用)

シーパワーは単独では勝てない

 (中略)

  さて、私は地政学を研究しているということはみなさんも当たり前のようにご存知かと思われますが、日本の他の地政学のサイトなどを見ていてよく感じるのが、

「シーパワー対ランドパワー」

  という図式に思考が固まってしまう人の意見です。近代の歴史から考えると、当然のように

「日本はシーパワーだから英米豪のシーパワー連合と手を組んでいかなければならない」

  という意見は説得力あるように思われます。私もこれには異論なしです。

  ところがこれを鵜呑みにして、

「シーパワーのほうが強いのだ!」

  と単純に考えてしまう人がいるのは困りものです。

  たしかにこの二元対立の構造はスッキリ考えることができるからよいのですが、だからと言って複雑な現実というものを飛び越えて「シーパワーのみで!」という考え方はちとまずい。

  歴史を見ればわかる通り、シーパワー国家というのは、単純にシーパワーの力だけでは勝てないのです。ここんとこ非常に重要です。

  ではシーパワー国家が勝った時、何がその鍵になったのかというと、ランドパワー国家(A)とついたから、ランドパワー国家(B)に勝てた、ということなのです。

  つまりシーパワー国家は、ランドパワー国家の協力なしにはランドパワーには勝てない、ということなのです。

 (中略)

  シーパワー国家と組むというのは日本にとってもとても大切。しかし日本が強いシーパワーであるためには、ユーラシア大陸にあるランドパワー国家(勢力でもよい)と組んで、脅威を及ぼしてくるさらに強大なランドパワーに対抗しなければならない、という条件があるのです。

(引用以上)

  さすが専門の学者の方だけあります。私のような「聞きかじり」が陥りがちな考えの穴を鋭く指摘されています。

  では、ここで改めて仕切り直しをしてみましょう。

  私を含め、ブログをやってる日本人の多くは、「ランドパワー対シーパワー」の図式を提示されると、単純にどっちが強いかという視点を取りがちです。
  そして、その結論は、ほとんどの場合「シーパワーの方が上」ということになってしまいます。ある意味当然です。自分が属する陣営が優れていると思いたいのが人情です。日本には「高度な科学技術」や「日米安保」のような、自分たちが中国や朝鮮より上だと思いこんでしまいがちな材料があるので、なおさらです。
  しかし、ここであえて逆の結論を採ってみます。ランドパワーとシーパワーがガチンコ勝負を挑んだら、100%ランドパワーが勝つというのが公理です。

  この「勝つ」というのは、単に一回だけの勝利を言うのではありません。長い目で見た、民族・国家のサバイバルという観点からの勝利です。これは、どういうことでしょうか。

  確かに、シーパワーには、往々にして進んだ技術や高度な教育を受けた人材がいるようです。ペルシアと戦った古代ギリシアのアテネも、中世の都市国家ベネチアも、19世紀のイギリスもそうでした。日本もそうでしょう。
  その優劣がそのまま国力に反映すれば、なるほどシーパワーが勝つに違いありません。

  しかし、ランドパワーには、シーパワーが逆立ちしても手に入れられない最強(最凶)の武器があるのです。それは

  「人命」

  です。

  たとえば、中国を例にとって見てみましょう。中国発のニュースには、どうも以下のような記事が目立ちます。

5人乗りの車に、32人乗って運転→事故って16人死亡、16人ケガ
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/917419.html

トランプが原因で手榴弾投げる→4人死亡
http://www.tokkai.com/a-column/data/news/1143474403.html

春節の爆竹・花火で北京市だけでも663人負傷、一人死亡
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2007022500130

6歳女児、虎にかみつかれ死亡
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2007&d=0223&f=national_0223_001.shtml  

  あえて三面記事的なものだけ取り上げてみましたが、やたら人が死んでます。

  特に、最後の記事の、この部分を見て、日本人で驚かない人はいないはずです。

>記念撮影をするために女児はいとこ2人とともに
鉄の檻に入り、虎の後ろに立った。

  「そんなことをやったら、危なくないのか?」と、考えるのは、私やみなさんが日本人だからでしょう。独断との誹りを覚悟の上で決めつけますが、中国では、人の命が軽いのです。
  歴史的に見ても、中国は人の命が軽い文化を保っています。たとえば、中国で王朝が交替するとき、必ず行われるのが「屠城」です。
  ランドパワーの国では、勝った者が権威になります。歴史も、新しい勝利者に都合のいいように書き換えられます。そして、以前の支配者の権威を否定するために、その首都を完全に破壊し、文物を破棄し、逆らった住民も皆殺しにするのです。
  これをただ単に野蛮と片づけるわけにはいきません。そうしなければ、反乱を起こされて、権力を覆されてしまうのです。だから、禍根を少しでも断っておかなければならない。そういう背景があって、中国の歴代王朝は「屠城」を行ってきました。
  こういう背景がある国民が、日本人がやるような過敏なまでの安全対策などするはずがありません。なぜなら、そんなことをしなくても国として存続していくからです。死んでもバンバン子供を産めばよく、それを可能にする土地や資源もあります。
  日本人からすれば、とうてい受け容れようのない文化的認識でしょうが、そういう文化なのです。別に、劣っているとか優れているとか、そういう問題ではありません。屠城が幾度となく行われた中国で、儒学や唐詩、三国志などの文学が生まれているのがその証拠です。

  それどころか、この人命の軽さは、戦争になったときはものすごい武器になります。人命を省みない戦術で、欧米や日本を圧倒できるのです。
  中国が核保有国になったときに、指導者である毛沢東が次のような言葉を口にしたと言われています。

「いま核戦争をやれば、アメリカ人はすべて死ぬ。
 ロシア人も全て死ぬ。もちろん中国人も死ぬ。
 しかし、もしアメリカ人が3人生き残ったとすれば、
 中国人は1000人は生き残っている。
 ・・・だから21世紀は中国の時代になる。」

  中国政府も、以下のように考えています。

ネットにリークされた、中共軍部の危険思想
http://jp.epochtimes.com/jp/2005/08/html/d26023.html

>どのような事態に直面しても、我々は党と国、そして国家の
>未来のために前進するのみであり、そのためには
>困難を乗り越え、犠牲はやむを得ないのである。
人口の半分以上が死に絶えてもまた再生できるが、
>もし党が無くなれば、すべてがなくなり、永遠になくなるのだ

  「大紀元」という中国の反体制派メディアの記事ですから信憑性に一抹の不安はあるものの、似たようなことは考えているでしょう。要するに、半分死のうが、3分の2死のうがどうということはないのです。
  人命がこれですから、国土や社会資本がいくらぶっ壊されても屁でもないのは言うまでもありません。日中戦争の際、日本軍はこれが理解できずに、南京さえ占領すれば蒋介石は音を上げるだろうと勘違いしました。これが大間違いでした。蒋介石率いる国民党は、奥地の重慶に逃げ込んでしまったのです。
  おそらく、重慶まで追いつめていたら、今度は四川省の成都まで逃げていたでしょう。日本軍はどんどん奥地に引きずり込まれ、損害を拡大しました。ランドパワーというものをわかっていなかったのです。
  現代においても、こういう相手と対峙しているということは忘れては行けません。
  
  もっとも、これには反論がありそうです。それは、「シーパワーである日本を攻めるには海を渡らなくてはならず、制海権を握れない限り人海戦術は使えないはずだ」というものです。
  確かに、いくら中国が「尖閣諸島は俺のものアルよ」などと叫んでも、兵士が泳いで東シナ海を渡るわけにはいきません。それに、兵士が10万人上陸しようと、制海権が取れなければあっという間に艦砲射撃や爆撃で蹴散らされてしまいます。

  しかし、近年ランドパワー、特に中国と朝鮮は恐るべき戦術を採用するに至ったのです。それが「同胞バラ撒き作戦」(笑)です。
  最近、中国韓国叩きを趣味にしているようなブログの管理人さんたちが、ワクワクするようなニュースが入ってきました。

マイク・ホンダ氏と従軍慰安婦決議
http://daikichi1966.cocolog-nifty.com/blog/2007/02/post_a306.html

マイク・ホンダというのは、こういう人物です。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%83%B3%E3%83%80

> 従軍慰安婦問題についてホンダ議員は日本政府への
>慰安婦に対する謝罪要求決議案を米下院に提出している。
>韓国側の主張を完全に支持する一方、日本側からの反論には
>全く耳を貸さなかったとことから、韓国系米市民の支持を
>集める一方、日本側からの支持は全く失ったという。

  要注意は、ここです。

>韓国系米市民

  ●こちらのリンクを見ていただくとよくわかりますが、何とアメリカには119万人もの韓国系(実際は北朝鮮出身者もいるだろうが)移民がいるのです。1990年代初め頃から急激に増え始め、いつの間にか、日系(110万人)を追い越してしまったのです。
  彼らはもちろん「有権者」ですから、その票は無視できないことになります。ホンダ氏もその声を受けて、日本に不利になるような決議案を上程したのでしょう。
  この慰安婦云々の話は、他のブログでさんざん触れられているのでここでは割愛します。私が言いたいのは、これこそがランドパワーの戦法だということです。
  朝鮮人や中国人は自分の国こそ最高だと教えられ、また信じているようですが、だからといって自分の国に住み続けたいと思っているわけではありません。

20〜30代の会社員88%「移民したい」
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2001/11/04/20011104000003.html

  これはほんの一例ですが、中国人に関しても、日本に嫁いでくる女性が多いなど、やはり海外移住に積極的です。
  しかし、たちが悪いのは、移住した先で母国のための政治活動を積極的に行うことです。これによって、移民先の国の国家意思形成を母国に有利なように歪めてしまうのです。
  それどころか、彼らは敵の体内に直接住み着くことさえあります。たとえば、●こういう人たちは絶対に愛する祖国に帰りません。強制的に連れてこられたという物語まで作って、生活保護や特別永住資格という形で日本に寄生しています。その中から、「パチンコ」「サラ金」「芸能人」はては「帰化した国会議員」といった、日本社会に重大な影響を与えるなりわいを営む者が出てくるわけです。
  こういう話をすると、相手を感情的に叩きたくなる気持ちはわからなくありません。しかし、そんなメンタリティでは何も前進しません。これが、儒教系アジアの生存戦略であり、間接侵略だということを認識し、クールに対応することが必要です。

  最近気づいたのですが、こういう戦法をとられると、ランドパワー/シーパワー二分論でよくある「シーパワー同士の同盟」というのは何の役にも立たないのです。
  シーパワーの同盟というのは、あくまで「共通の利害」に乗っ取って結成されるものです。日英同盟であれば、日本とイギリスにとっては、ロシアが外洋(日本海や太平洋)に出てくると困るという共通点があったわけです。
  ところが、上に挙げたマイク・ホンダと従軍慰安婦決議というのは、安全保障条約を結んでいるアメリカにとっては「どうでもいい」ことなのです。それどころか、そうやって日本が先の大戦に対して負い目を感じることは、アメリカにとって有利に働きます。それが現実です。
  だから、マイク・ホンダの提案に、共和党の議員が反対の声を上げただけで喜んでいてはしょうがないのです。その議員すら、「謝ってるから許してやれよ」と言っているだけで、従軍慰安婦が強制的だったという朝鮮人の嘘を暴いているわけではありません。
  それにも関わらず、ブログをやっている方々が「アメリカ人が味方してくれている!」という低レベルな喜び方をしていては、いつまで経っても進歩がありません。

  では、どうすればこの状況を打開できるかというと、鍵になるのが「地政学」なのです。

  つまり、最初の所に出てきた、

「シーパワー国家は、ランドパワー国家の
 協力なしにはランドパワーには勝てない」

  という名言が、大きなヒントになるのです。

  次回は、日本における「ランドパワー国家の協力」について、具体的に考察していきたいと思います。
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9 コメント

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百年戦争以来 (蝦夷王)
2007-03-02 17:35:58
イギリスの採って来た外交政策は大陸の強国に対し別の勢力を組織して対抗させるのが基本でした。

背後にあってフランスと友好関係にあったスコットランドはスチュアート朝成立と共に牙を抜かれてしまって役に立たなくなった。

第二次大戦でイギリスとその背後にいたアメリカが恐れたのはドイツが欧州を完全に制覇すること、大戦後にはソ連が同様に欧州を制圧することでした。
マーシャル・プランがその見地から行われたのは有名な話。

日本にとって協力出来るのはモンゴル、カザフスタン、インド、場合によってはロシアですが、それ以上に中共の支配に不満を持つ中国国民を煽動・援助することが必要でしょう。
現状日本にはそういうイリーガルな工作をする能力がないのが困りものですが。
Unknown (ニゲロンパ)
2007-03-02 18:38:32
対中国で頼りになるランドパワー国家なんてあるんですか?
自分には思いつきませんね。

残る手は反共産党派に協力、一般国民を先導することでしょうが。
数はいますが、力が無さ過ぎますね。
彼らの死体を築き上げることで国連を動けば話は別でしょうが。

中国は軍事的にではなく経済的に攻めていくべきではないかと思いますね。
Unknown (中生)
2007-03-03 01:53:33
思わず「ほー」と頷いてしまいました。幾分か地政学もかじろうとした事がありましたが、如何に自分の考えが幼稚で安易なものだったかを考えさせられました。地政学は重要な物だと認識したので勉強してみたいと思います。
コメントありがとうございます (ろろ)
2007-03-06 00:30:34
  お返事遅れてすみません。>all

>>蝦夷王さん

>イギリスの採って来た外交政策  

  イギリスの「勢力均衡」策には学ぶべきところが大きいです。実際、みなさんそういう事実があったという知識は知っているはずです。
  しかし、それがどうも応用・実践という段階になかなかたどり着かないでいます。そのへんも、次回触れられたらいいかなと思っています。

>現状日本にはそういうイリーガルな工作を
>する能力がない

  日本「の公務員」にはいませんね。民間人ならそういう人材がいるかもしれませんが。

>>ニゲロンパさん

>対中国で頼りになるランドパワー国家
>なんてあるんですか?

  あります。ここでバラすとネタが(以下略)。

>中国は軍事的にではなく経済的に攻めていくべき

  経済的な手段も必要です。要は、軍事と経済をバラバラに実行してはいけないということです。

>>中生さん

  ランドパワー・シーパワー二分論をこういう場で申し上げると「現実はもっと複雑怪奇だ」と批判されるのですが、原則論としての有用性はありますね。今回の記事は、この原則に対する私なりの修正だと思っていただければいい。
  原則もなく、ただ寄せ集めた知識だけを振りかざしていると、日本にありがちな「専門家」になります。そういう連中は大抵ランドパワー(時折シーパワー)の飼い犬になります。知識を金に換えることしか考えていないから、敵の提供する現世利益で骨抜きにされてしまうのです。
  地政学という一般原則を知っておくと、あとは微調整をすればいいだけになります。勉強しておいて損はないですよ。左側のリンクをご参照あれ。
コーベットのことでしょうか・・・? (farfarello)
2007-03-06 20:13:35
ろろ様

 お疲れ様です。「英国で地政学を学ぶ」は、私も何度か訪問したことがあります。
 「英国〜」の管理人さんは、「なぜ、大陸内部に同盟者が必要か?」と言う理由を述べておられないので、私ごとき素人には、その理由など判然としないのですが・・・

 元々、英国の国家戦略は英国という国の地政学的位置付けを自ら認識し、大陸にいかにに関与するかと観点で生まれ、発展したものです。

 英国のシーパワー戦略は、第一に制海権を確保し、次に大陸に同盟者を確保して、その同盟者に資金や武器を提供し、英国の真の敵であるランドパワーと「内訌」させようというもの。

 素人考えで大変、恐縮なのですが、シーパワーがランドパワーと戦う時、ランドパワーの同盟者が必要であると言うのなら・・・ これは多分、コーベットのことであるかと。

 英国海軍大学教授ジュリアン・スタフォード・コーベット(Julian Stafford Corbett)のことではないかと。

 コーベットの海洋戦略の特徴は、クラウゼヴィッツの『戦争論』に基づく制限戦争理論(limited war theories)と陸軍との統合作戦戦略(combined operations)を主張したことです。

 マハンのシーパワー論が艦隊決戦思想に基づく海軍重視理論であったのに対し、コーベットの海洋戦略は海陸統合論であって、通商保護・破壊、艦隊保存、上陸遠征作戦を重視しています。

 マハンは敵艦隊を捜索、撃滅する積極攻撃を主要な目的にしているが、コーベットは通商保護・破壊によって、敵艦隊を待ち伏せ攻撃する、攻勢防御を重視しています。

 英国海軍の英国海洋ドクトリンの基礎」はその第3章でコーベットを引用し、海洋力の限界に言及しています。
 曰く「戦争は、海軍の行動によってのみで決することは、ほとんど不可能である。単独の海軍圧力は、消耗作用を発揮するだけである。その効果は、常に緩慢であり、自国と中立国双方の通商を非常に悩ませがちである。確固とした決定のためには、迅速かつ徹底的な形での圧力が必要となる。人類は、海上でなく、陸上に住んでいるため、国家間の大問題は、極めてまれな場合を除き、陸軍が敵の領土及び国民生活に対し実行できること、又は、陸軍がなことを艦隊が可能にする恐怖によって、常に決定されてきた。」
 英国海軍は、海軍力は、陸軍兵力との結合によってのみ決定的な力を発揮できるとしています。
 これは、コーベット理論ですね。

 日本の海洋戦略の基本的な誤りは、アルフレッド・セイヤー・マハンのみが紹介され、コーベットがほとんど無視され続けてきたからだと主張する人もあるようです。何しろ、バルチック艦隊を撃破した秋山真之の師匠にあたる人ですからね、マハンは(w

 私も聞きかじりの素人です。
とんでもない誤解をしている可能性もありますが、コーベットについて、ちょっと調べてみてはいかがでしょうか?

 長文、大変、失礼しました。

お仕事、がんばってください。私も今週から忙しくなりそうです。
 
>>farfarelloさん (ろろ)
2007-03-06 23:51:20
  お久しぶりです。

>ジュリアン・スタフォード・コーベット

  この人、ネット上だと資料が少ないんですよね。マハンのシーパワー理論についてはたくさんあるんですが・・・。
  
>確固とした決定のためには、迅速かつ徹底的な
>形での圧力が必要となる。

  このへんがクラウセヴィッツの「戦争は心理的に強制することだ」という考えと似てますね。

  私がやってるシミュレーションゲームは、コーベットの考えに近いかもしれません。なにしろ、いくら強大な海軍があっても、陸を占領していかないと戦勝ポイントがつきません。だから、中国と戦うとどの国も途中で力つきると(笑)。
  クラウセヴィッツもそうですが、私自身まだ勉強が足りません。たまには図書館に行かないとダメそうです。
Unknown (孔明)
2007-03-07 17:24:54
イギリスは欧州の第二位のランドパワーを第一位のランドパワーにぶつけるのを基本戦略としてました。ナポレオンやヒトラーを潰したやり方です。

日本について同じ事を議論するには、帝国陸軍の大陸政策と陸軍残党の戦後史を解明する必要があります。ここが最近ようやく明らかになりつつあります。北京の林飛行隊
ビルマの南機関、台湾の白団等、戦後史のタブーが少しずつとかれつつあります。

いずれ、号外で詳述します。
>>孔明さん (ろろ)
2007-03-07 23:45:54
>帝国陸軍の大陸政策と陸軍残党の戦後史

  以前お話をいただいた陸軍中野学校のことですね。実に楽しみです。時事的な話題が尽きない中、毎週高水準の記事を上げるのは大変だと思いますが、期待して待っております。
Unknown (あ)
2007-03-15 15:09:13
とにかく慰安婦問題については、小林よしのり著「戦争論2」の「総括・従軍慰安婦」を読んでみてほしい。
あらゆる関連本の中で一番良い。
この問題の全容も把握できる。

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