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【滋賀】

長期審理に「不安」 米原殺人事件の裁判員候補者

2010年11月3日

裁判員裁判の選任手続きを前に記者の質問に応える男性(中)=大津地裁前で

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 昨年6月に発生した米原殺人事件の裁判員裁判の選任手続きが2日、大津地裁であり、計40人の裁判員候補者が地裁を訪れた。取材に応じた候補者は、29日間に及ぶ長期間の審理や被告が否認する殺人事件で裁判員を務めることへの不安を口にした。

 「拘束されるのはせいぜい3〜4日くらいと思っていた。1カ月も仕事から離れるとなると、上司も理解してくれるか分からない」

 午後1時から始まった手続きの1時間20分前。地裁に現れた東近江市の男性会社員(33)は記者から審理期間を聞かされ驚いた。

 40人のうち、仕事を都合に辞退を申し出たのは6人。近江八幡市の建築業男性(52)は「1人で仕事をしているので、すべての期日に出なければいけないとなると辞退せざるを得ない」と本音をもらした。

 1日に東京地裁が判決を言い渡した耳かき店員殺人の裁判報道と比べ、被告が有罪か無罪か判断する責任を感じると語る候補者も。草津市のアルバイト女性(35)は「耳かき店員殺人と違い、被告が犯人かどうか決まっていないのでどう裁くか難しい」と話し、女性会社員(54)は「否認事件と聞くと不安が倍増する。自分が下した判断に遺族が納得しなかったことを考えると、被害者側に加担して判断してしまいそう」と足早に手続きに向かった。彦根市の男性会社員(25)は「米原の事件は、自宅にも近いので覚えている。証拠を見て思ったことを裁判官に伝えるだけ」と話した。

 これまで地裁で行われた裁判員裁判では選任手続きは1時間程度だったが、この日、候補者が地裁から出てきたのは午後3時半を過ぎてから。

 身体的理由で辞退を認められた野洲市の主婦(66)は「候補者は誰もしゃべらず静粛な雰囲気だった」と手続きの様子を語り、抽選にもれた大津市の男性会社員(56)は「制度のあり方が問われる報道も目にするので、自分でやってみて見極めたいという思いはあった」と残念がった。

 【米原殺人事件】 昨年6月12日朝、米原市の汚泥タンクから長浜市の小川典子さん=当時(28)=の遺体が見つかった。県警は6月19日、同じ職場で働いていた米原市の森田繁成被告(41)を逮捕、大津地検が7月9日に殺人の罪で起訴した。被告は「全く身に覚えがない」と一貫して否認。県警、地検の取り調べにほとんど黙秘し、弁護人がついてから供述調書を取らせていない。公判前整理手続きは1年4カ月に及んだ。

 

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