米原市の雑排水槽殺人事件の公判の裁判員選任手続きが行われた2日、大津地裁には40人の候補者が訪れた。地裁は1カ月の長期日程を考慮して県内では過去最多の180人の候補を抽出したが、この日も参加義務のある6人が欠席するなど辞退者が相次いだ。候補者からは「1カ月も休めば仕事がなくなる」という声も漏れた。【稲生陽、加藤明子、村瀬優子】
女性会社員(当時28歳)を殺害したとして殺人罪に問われた森田繁成被告(41)の公判で、4日に初公判、12月2日に判決を予定。審理は予備日を入れて10日間。評議も6日間予定され、裁判員は今月、ほとんどの平日を費やすことになる。
地裁によると、180人のうち91人に呼び出し状を送ったが、「重要な仕事」などを理由に辞退が相次いだ。この日は呼び出しを受けた46人中40人が地裁を訪れ、16人が仕事や精神的負担などを理由に辞退。大津市の男性(62)は「やってみたかったが、1カ月は長すぎる。自営業なので取引先の信頼もなくなる」と語った。取材に応じた候補者11人のうち、すべての審理に確実に出席できると答えたのは主婦の2人だけだった。一方、「会社が許せば参加したい。いい経験になる」と選任を希望する男性会社員(33)もいた。
森田被告が無罪を主張していることについて、アルバイト女性(35)は「もし有罪判決を出した場合、真犯人が判明したらと思うと怖い」と話した。
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住所 職業 性別 年齢 30日は可能か やってみたいか ひとこと
大津市 会社員 男 56 ○ ○ かなりの負担だが、やってみたい
大津市 主婦 女 65 ○ × 難しいことは分からないし、素人が決めるのは怖い
野洲市 主婦 女 66 ○ × 被害者がかわいそうだが、自分では答えが出せない
草津市 アルバイト 女 35 ○ × 判決後に真犯人が出てきたらと思うと不安
彦根市 会社員 男 25 ○ ○ よく知らない。証拠をみて判断する
- 会社員 女 54 ○ ○ 被害者側に肩入れしてしまわないか不安がある
東近江市 会社員 男 33 △ ○ 営業職で顧客もついている。1カ月も休めるか不安
- 会社員 女 26 △ ○ 自分で判断するのは怖い。遺族に恨まれないか不安
近江八幡市 大工 男 53 × ○ 事件自体をよく知らない
大津市 自営業 男 62 × ○ 1カ月も休めば、仕事がなくなってしまう
彦根市 会社員 男 55 × × 単身赴任なので無理。選ばれた人は大変
毎日新聞 2010年11月3日 地方版