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意欲 戸惑いや不安も/裁判員選任

2010年11月04日

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選任手続きが終わり、報道陣の取材に答える裁判員候補者=大津市京町3丁目

【米原の汚水槽殺人】 

 米原市の汚水槽で女性の遺体が見つかった事件の裁判員裁判が、大津地裁で4日から始まる。12月2日の判決まで1カ月の長丁場。殺人罪に問われ、無実を訴える同市坂口、会社員森田繁成被告(41)は犯人なのか、そうではないのか。裁判員は犯人性を見極める厳しい判断を迫られる。裁判員選任手続きがあった2日、地裁に訪れた候補者は、それぞれ意欲、戸惑い、不安を口にした。

 地裁は裁判員候補者の名簿から県内で過去最多となる180人を抽出し、70歳以上の高齢者らを除く91人に呼び出し状を送った。このうち辞退を認められた人などを除く46人が選任手続きへの出席を求められ、40人が地裁に訪れた。

 呼び出し状が届いた人の辞退の理由で、最も多かったのは「他人と代わることができない重要な仕事がある」で26人(29%)。次に多かったのは「裁判員になることで重大な不利益が生じる」で18人(20%)だった。

 地裁に訪れた候補者からは、1カ月にわたる長期の拘束に耐えられないとの声が相次いだ。

 近江八幡市の建設業男性(52)は「時期的には忙しくない。だが、1人で仕事をしているので長期間拘束されるとなると、代わりもいないので難しい」。ひざの痛みを抱える野洲市の主婦(66)は「最寄り駅まで歩いて25分。何度も通うことを考えると、体への負担が大きい」と訴える。会社員女性(54)は「代わりがいないので、裁判員に選ばれたら仕事は夜にやろうと思う。辞退したい気持ちとやりたい気持ちと半々」と話す。

 森田被告は起訴内容を全面否認している。弁護側は検察側の請求証拠の大半に同意せず、裁判では十数人もの証人の出廷が予定されている。これまでの裁判員裁判ではほとんど例のない全面否認事件に、不安を口にする候補者もいた。

 草津市のアルバイト女性(35)は「東京の耳かき店員の殺人事件の裁判では被告も犯行を認めていたが、今回は違う。凶器もはっきりしていない。どう裁くのかは難しいと思う」。大津市の主婦(65)は「判断をする怖さを感じる。本当にできるのかなと思う」と話した。

 一方で、前向きな声も聞かれた。彦根市の会社員男性(25)は、会社から裁判員裁判の特別休暇が認められている。「会社から裁判員の仕事をまっとうしてくるように言われた。経験できるのは人生のプラスになると思う。証拠を見て判断し、評議では自分の思ったことをしっかり伝えたい」

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