滋賀県米原市の汚水槽で昨年6月に女性の遺体が見つかった事件で、殺人罪に問われた会社員森田繁成被告(41)=同市坂口=の裁判員裁判の初公判が4日、大津地裁(坪井祐子裁判長)であった。森田被告は「私は殺していません」と起訴内容を否認し、無罪を主張した。目撃証言などはなく、検察側は状況証拠を積み上げて立証する方針で、十数人の証人出廷が予定されている。判決は12月2日。
裁判員の構成は男性4人、女性2人。森田被告は2009年6月10日夜〜11日未明、交際していた会社員の小川典子さん(当時28)の頭を鈍器のようなもので何度も殴って瀕死(ひんし)の重傷を負わせ、汚水槽に落として殺害したとして起訴された。遺体発見から1週間後の同月19日に殺人容疑で逮捕されたが、一貫して否認している。
検察側は冒頭陳述で、被告は小川さんと同じ同県長浜市のガラスメーカーに勤めていた07年7月以降、家庭を持つ一方で小川さんとも交際していたと指摘。殺害の動機については、「お互いの浮気を疑ってトラブルとなり、小川さんをなだめなければ交際が発覚し、社会的、家庭的に破滅すると心配せざるを得ない状況にあった」と述べた。
事件への関与を示す根拠としては(1)小川さんが消息を絶った6月10日夜、被告は長浜市のJR高月駅付近で小川さんと会ったことを認めた(2)被告の車のタイヤ内側にあるブレーキドラムや、被告宅の庭にあった助手席のマットから小川さんのDNA型と一致する血痕が見つかった(3)同10日夜、小川さんの遺体が見つかった米原市の汚水槽の近くで被告の車と似た乗用車を見たとの証言がある――と主張した。
これに対し、弁護側は冒頭陳述で「10日夜に小川さんと会ったが、小川さんは『トイレ(に行く)』と言い、一人で(被告の)車を運転して立ち去った」などと主張した。