検察、弁護側の対立鮮明 米原女性殺害初公判
交際していた女性を米原市の雑排水タンクに沈めて殺害したとして、殺人罪に問われた米原市坂口、会社員森田繁成被告(41)の裁判員裁判の初公判は4日午後、大津地裁(坪井祐子裁判長)で証拠調べを行った。検察、弁護側の冒頭陳述で、双方の主張の対立構図が鮮明になった。
午前中の冒頭手続きでは、森田被告は「私は殺していません」と起訴内容を否認して無罪を主張、検察側は「異性間トラブルから強い殺意を持って被害者をめった打ちにし、タンクに投げ入れた」と述べ、双方の主張が真っ向から対立した。
検察側は冒頭陳述で、妻子がいるが被害者と交際していた森田被告が「交際を暴露すると言われ、家庭的に破滅するかもしれないと恐れた」と動機を指摘。立証の柱を5点として「被告の車のマットから被害者の血液が検出され、被告は事件後、マットを隠すなど犯人でなければ説明できない言動をとった」などとした。
弁護側は冒頭陳述で、犯人ではない根拠として3点をあげた。「被告と被害者は仕事で励まし合う仲で殺害する理由はない。車内の血痕は事件前に鼻血などが付着したもの。被告の衣類や靴に返り血の痕跡はなく、犯人とする証拠は何もない」と無罪を主張した。
午後の証拠調べで、検察側証人の解剖医が出廷。遺体の頭部に20カ所以上の傷を確認したなどと証言し、凶器は金づちと推測した。
起訴状では、森田被告は2009年6月10日午後9時ごろから11日午前1時ごろの間に、米原市伊吹の雑排水タンク付近で、長浜市今川町、会社員小川典子さん=当時(28)=の頭などを鈍器のようなもので殴って重傷を負わせ、タンクに投げ入れて汚泥で窒息死させた、としている。
審理する裁判員は男性4人、女性2人で、補充裁判員は女性4人。審理は22日までに最長10日間開かれ、被告人質問は5日間、被害者遺族の意見陳述も予定される。論告求刑は22日。12月2日に判決を言い渡す。
【 2010年11月05日 09時04分 】