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【滋賀】

娘心配し何度も電話 米原殺人事件被害者の母ら証人尋問

2010年11月6日

 米原女性殺人事件の裁判員裁判は5日、2日目を迎えた。検察側、弁護側が自らの主張を裏付けるため、殺害された小川典子さん=当時(28)=の母親と、勤めていた会社の上司、森田繁成被告(41)の妻の3人が証人として出廷した。小川さんの母親が事件当夜から帰宅しない娘を探す様子を話せば、森田被告の妻は家庭で家族を大切にする夫の姿を強調した。裁判員も初めて疑問に思った点を証人に質問した。

 ◇娘を捜す母

 遺族として証言台に立った小川さんの母親は、当時の状況を丁寧に話した。

 昨年6月10日、小川さんが帰宅しないのを心配し深夜、携帯電話に2度電話。さらに翌日早朝から昼すぎまで13度にわたって電話しても娘から応答はない。検察官の質問に対して説明する母親の声が徐々に小さくなる。

 「メールも送りましたか」との問いかけには一瞬、間があった後「『所在がつかめないがどーしているのか。何かあったらすぐ連絡して』とメールしました」とはっきりした口調で答えた。

 勤務先でも所在が分からず、「事件に巻き込まれたのでは」と思い、10日に小川さんを勤務先まで送った道のりを往復もした。

 手がかりは小川さんの部屋に残された森田被告の携帯電話の契約書。夫とともに12日朝、被告宅を尋ねたが出勤し不在だった。

 同日午前10時半すぎ、電話すると森田被告が出た。「小川さんとはそれほど親しくない。家庭があるので、電話したり家に行かれると迷惑だ」などと言われた。遺体発見を警察から知らされたのは電話のすぐ後だった。

 弁護側の質問に「会社でリストラにあうかもとかパワハラを受けたと相談されたことはあったが、男女関係でトラブルがあったとは思えない」と答え、森田被告に対する言葉はこの日はなかった。

 母親の尋問を聞く間、終始無表情の森田被告。だが、尋問が終わると母親に向かって一礼した。

 ◇被告をかばう妻

 「主人はこんな恐ろしいことをするような人ではない」。法廷に立った被告の妻は強い口調で夫の無罪を主張した。休憩時には、被告に「大丈夫か」と声をかけられ、うなずく場面もあった。

 「浮気でもめたことはありますか」との検察側の質問に「全然ないです」と毅然(きぜん)と言葉を返した。夫の浮気はうすうす気づいていたが、小川さんの名前を知ったのは母親が訪ねてきたとき。夫と小川さんの関係について「家で居場所がなくて寂しかったという主人の気持ちを、私も分かっていなかった部分があった」と被告をかばった。

 当初の報道で犯行日時は6月11日とされた。妻が森田被告に10日からの行動をメモするようにアドバイスした理由を検察側から尋ねられると、「わからない」と答えた。

 報道陣が被告の自宅を尋ねてきた6月14日以降の様子を、弁護側から聞かれると、「不安を感じていたが、主人が『大丈夫』と守ってくれた」と説明。13年連れ添った夫を「子ども思いで、仕事は一生懸命でまじめ」と評し、「いつも優しい主人。本当に人を殺していたなら、いつもどおりに子どもと戯れることができるでしょうか」と訴えた。

 ◇小川さんの上司証人尋問

 「小川さんは仕事に対して本当にすごくまじめで手を抜くことはまったくなかった」。派遣会社で小川さんの上司だった男性が検察側の質問に答えた。

 小川さんは現場管理者として責任を持っており「無断欠勤したことは1度もなかった」と強調した。弁護側の質問でも「非常に熱心で、自分の力の10の内12を出そうとする」ほど小川さんの誠実さを説明した。

 一方、精密機器を扱う部屋で仕事をするため「化粧を薄く、ノーメイクでと小川さんに注意したが、最終的に聞き入れなかった」とも話した。

 

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