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漁船衝突ビデオ 公開先延ばし・責任押し付け…政府、国民無視の対中配慮 (2/2ページ)

2010.10.8 23:55
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 そこには、準大手ゼネコン「フジタ」の社員1人がまだ中国にとらわれていることや、関係改善の兆しが見えてきた中国を刺激したくないとの思惑がある。

 9月30日夜、首相公邸で開かれた首相、仙谷由人官房長官と参院民主党幹部らとの会合では、こんな会話が交わされた。

 川上義博・参院予算委員会理事「ビデオを公開したら大変なことになる。日中関係改善は2、3年遅れる。温存した方がいい」

 仙谷氏「おっしゃる通りだ。ぜひ国会でも国対でもそう言ってください」

 首相「よく分かりました」

 政府・与党内には、明らかに中国側に非があることを示すビデオを公開すれば、国民の「反中感情」をあおることになるという危機感も強いようだ。

 衝突事件にかかわる省庁の政務三役の一人はビデオを見て「あれは公開してはいけない。あれを見たら『中国人ふざけるな』と国民感情が燃え上がってしまう」と感想を漏らした。

 やはりビデオを見た民主党幹部も公開を躊躇(ちゅうちょ)してみせた。「ビデオを出したら国民は激高するだろうな」

 8日の代表質問で首相は、菅内閣が掲げる「主体的外交」に関して、こんな熱弁をふるった。

 「最終的に外交の方向性を決めるのは主権者たる国民だ。一部の専門家だけでなく、国民一人ひとりが自分の問題ととらえ、国民全体で考えることにより、より強い外交を推進できる」

 菅政権では、ビデオを国民の目から隠そうとする「対中配慮」は目立つ。だが、首相が語ったこの理念を実現するために、国民に必要な情報を提供しようという発言は、聞こえてこないのが現実だ。

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