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肺がん治療、9割に効果 がん化阻害する新薬へ期待

2010年10月28日16時36分

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 がんでは最多の年間7万人が国内で亡くなる肺がんの治療に、有望な新薬が生まれそうだ。がんの原因となる遺伝子の働きを妨げる薬を飲んだ6割近くの患者の腫瘍(しゅよう)が小さくなったことが、治療薬の承認に向けた米韓豪での臨床試験(治験)で確かめられた。大きさが変わらなかった例も加えると9割に効果があった。試験には日本人の患者も参加した。

 この遺伝子は間野(まの)博行自治医大教授(東大特任教授)が発見したEML4―ALK。試験では、この遺伝子を持つ82人の患者を対象に1日2回、がん化を促す酵素の働きを抑える「ALK阻害剤」という薬を飲んでもらった。その結果、57%の患者の腫瘍が消えるか小さくなった。33%は腫瘍の大きさが変わらず安定していた。副作用の多くは軽い吐き気や下痢。治験は昨年末から、日本でも行われている。

 間野教授によると、この遺伝子を持つのは肺がん患者全体の約5%だが、50歳以下の若年層に限ると、患者の3人に1人はこの遺伝子を持っている。たばこを吸わない人に多いのも特徴という。

 間野教授は、治療を始めてから6カ月後に、阻害剤が効かなくなった患者のがん細胞の遺伝子を解析し、薬剤耐性の原因とみられる変異を2カ所見つけた。間野教授は「今回の発見で、薬に耐性ができた患者向けの薬の開発もスタートできる」と話す。

 成果は28日付の米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンで発表された。(岡崎明子)

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