ロシアのメドベージェフ大統領が北方領土を訪問したことを受け、一時帰国していた河野雅治ロシア大使は、今週行う方向で調整している日ロ首脳会談に向けた情報の収集などに当たるため、7日午後、モスクワへ出発しました。
ロシアのメドベージェフ大統領が北方領土の国後島を訪問したことを受けて、政府は、モスクワに駐在する河野ロシア大使を今月3日に一時帰国させ、菅総理大臣や前原外務大臣が訪問の政治的な背景について報告を受けました。これを踏まえ、政府は、今週、横浜で開かれるAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議に合わせて日ロ首脳会談を行う方向で調整しており、そのための情報の収集などに当たらせる必要があるとして、河野大使をモスクワに戻すことを決めました。河野大使は7日午後、モスクワに出発する前、成田空港で記者団に対し、「一時帰国の目的である今の情勢の報告を終えたので、『戻るように』という指示を受けた。APECでもロシアに関連する行事はいくつもあり、最後の準備を行うということも含め、戻る」と述べました。北方領土をめぐっては、ロシアのラブロフ外相が、メドベージェフ大統領は国後島以外にも歯舞群島や色丹島の訪問を計画していると発言していることから、河野大使は、大統領が再び北方領土を訪れる可能性などについても情報の収集と分析を進め、今週、再び日本に戻ることにしています。河野大使がモスクワに戻ることについて、前原外務大臣は、静岡県浜松市で記者団に対し、「日ロ関係について、いろいろと働いてもらわなければならず、菅総理大臣や仙谷官房長官と相談して、モスクワに帰ってもらう判断をした。今後の日ロ関係をどうマネージメントしていくのかということのほか、具体的な中身は控えるが、新たなミッションも指示した」と述べました。また、前原外務大臣は、今週、横浜で開かれるAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議に合わせて行う方向で調整している日ロ首脳会談について「菅総理大臣は、APEC議長としての役割が中心であり、2国間会談はまだセットされていない。日ロ外相会談は、ぜひやりたいと思っており、ラブロフ外相に思いは伝えているし、河野大使にもわたしの気持ちを伝えるよう指示した」と述べました。