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島根女子大生遺棄、不審者情報捜査に重点…26日で1年

帰宅ルート聞き込み

 島根県浜田市の県立大1年平岡都さん(当時19歳)の遺体が山中に遺棄された事件は、発生から26日で1年になる。事件解決につながるような目撃情報や遺留品が少なく、これまで捜査は難航している。交友関係にトラブルもなく、島根県警は、平岡さんが行方不明になった帰宅ルート周辺に詳しい者の犯行との見方を強め、聞き込み捜査の専従捜査員が周辺を重点的に不審者の洗い出しを続ける。

 平岡さんは昨年10月26日夜、アルバイト先のショッピングセンターを出た後、足取りが途絶え、11月6日に広島県の山中で切断された遺体の一部が見つかった。

 両県警は延べ約6万人を投入し、寄せられた約1690件の情報も確認した。

 しかし、残忍な犯行動機につながる交友トラブルは浮かばず、唯一、遺棄現場に残された血痕のついたポリ袋からも、手がかりはつかめていないという。

 島根県警は「平岡さんの足取りをつかむための聞き込みは限界があった。遺留品も乏しく、見直しも必要」とし、捜査の〈視点〉を、目撃者捜しから不審者情報の収集に変えることにした。

 県警は、平岡さんの片方の靴が落ちていた県立大・学生寮近くを拉致現場と判断。帰宅経路でも人目につきにくい場所で、襲った者が周辺に住んでいる可能性もあるとみており、専従捜査員約20人が周辺の聞き込みを改めて行う。

 捜査が難航していることについて、小宮信夫・立正大教授(犯罪社会学)は「証拠を残さず慎重に場所を選んだ計画的な犯行だ。聞き込みをすることで住民の記憶が呼び起こされることもある」と話している。

笑顔忘れない…同級生ら思いはせ

 「学生のうちにできることをたくさんして、少しでも夢に近づけるよう努力したい」。平岡さんは事件前、県立大の先輩に送ったメールで、こう誓っていた。

 高校時代から英語が得意で、「将来は国際交流の仕事をしたい。世界から飢餓をなくしたい」と話していた平岡さん。ロシアへの留学資金のために始めたバイト先からの帰り道で、事件に巻き込まれた。

 今年8月、同級生2人がロシアの海洋国立大に短期留学した。2人は「都が、この海を見たら感動しただろうね」と話し、「都なら、これを土産に買ったかな」などと思いをはせたという。

 事件後、大学周辺の安全マップを作った3年冨岡秀行さん(21)は「一番、怖いのは記憶の風化」と語り、「あの笑顔を絶対に忘れない。平岡さんは、僕たちの心の中で生き続けます」と力を込める。

2010年10月24日  読売新聞)
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