高砂市民病院で治療を受けた女性が死亡したのは、医師が適切な治療を行わなかったためだとして、遺族らが高砂市を相手取って慰謝料など計約3000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が1日、神戸地裁姫路支部であった。河田充規裁判長は、治療に一部過失があったと認めた一方で、「過失と死亡には因果関係がなかった」として、計75万円の支払いを命じた。
女性患者(当時59歳)は06年、足がチアノーゼ状態に陥ったため入院。2週間後にくも膜下出血を起こし、転送先の病院で手術後に死亡した。裁判で原告側は「薬の投与によって動脈瘤(りゅう)が破裂し、くも膜下出血を引き起こした」と主張。被告側は「合理的な処方だった」などと反論していた。
河田裁判長は判決で、患者は投薬の影響で2度にわたり出血したとした上で、2度目の出血について「くも膜下出血を疑ってCT検査を行わず、再出血の可能性を増大させる薬を投与したのは、医療水準から逸脱していた」などと指摘した。
大野徹・高砂市病院事業管理者は「判決文を見ていないのでコメントは差し控えたい」としている。【山川淳平、成島頼一】
〔播磨・姫路版〕
毎日新聞 2010年11月2日 地方版