深刻な医師不足が続く伊賀地域の救急医療問題を受け、伊賀市議会で「地域医療を守る条例」の制定を目指す動きが出ている。勤務医の過重な負担を軽減するため、市民に安易な時間外受診を控えるよう求める努力義務を課すことなどを想定しており、伊賀地域で安心して医療を受けられる体制を目指すという。【伝田賢史】
26日に開かれた同市議会政策討論会で、中井洸一市議(爽風ク)が提案し、既に制定されている宮崎県延岡市や広島県尾道市の条例を紹介した。両市の条例では、市と市民、医療機関が一体となって地域医療を守ることを要請。▽市民は「安易な時間外受診を控え、感謝の気持ちをもって受診する」▽市は「地域医療を守る施策を推進する」▽医療機関は「医療の担い手を確保する」--などの努力義務を定めている。
中井市議は「制定されたからといってすぐに効果が出るわけではないが、改善に向けた議会としての姿勢を示す必要がある」と述べた。他の市議から目立った反対意見は出ず、条例制定に向けた検討が始まる見通しとなった。
伊賀市立上野総合市民病院の常勤医は、今年8月現在で計11人、うち内科医はわずか1人(健診センターを除く)と深刻な医師不足に陥っている。
〔伊賀版〕
毎日新聞 2010年10月27日 地方版