阪神がドラフト5位で指名した荒木郁也内野手(22)=明大=が31日、東京都府中市の同大学合宿所で、菊地東日本統括スカウト、平塚スカウトから指名あいさつを受けた。50メートル5秒7の快足と、内外野をこなす万能型ルーキーは、赤星憲広氏(野球評論家)以来となる、新人選手の盗塁王獲得に意欲。10年ぶりの快挙達成へ意気込んだ。
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社会人の誘いを断って選んだ道で、後悔するつもりはない。武器は50メートル5秒7の快足と、内外野をこなす守備力。そして左打ち…とくれば『あの男』を連想させる。阪神から指名あいさつを受けた荒木は、胸に抱く野望を堂々と宣言した。
「持ち味は足です。盗塁することを期待されていると思うし、それ(盗塁王)を目指したいです」。目標は開幕1軍、盗塁王だ。新人が盗塁王を獲得すればプロ野球では01年の赤星以来、10年ぶり2度目の快挙となる。逆を言えば、それだけ難しい記録への挑戦となるが、期待されるだけの存在でもある。
「技術は未完成だけど、盗塁王になれる可能性があります」。荒木の動向を追い続けた平塚スカウトは、素質や身体能力、無限の可能性に太鼓判を押した。実際、一塁までの到達スピードは、プロでも上位クラスの3・9秒。セーフティーバントの際には3・7秒を切るという。「走るだけなら、チーム一じゃないか」と同スカウト。この数字はイチロー(マリナーズ)や、川崎(ソフトバンク)に匹敵する驚異の記録となる。
荒木も盗塁には強いこだわりを持っている。大学ではリーグ戦通算36盗塁を記録。1試合5盗塁など、華々しい実績が残る。赤星氏の現役時代や、4年連続で盗塁王を獲得している片岡(西武)の映像でも研究。「盗塁はスタートで決まると思う。機会があればぜひ、赤星さんに話を聞いてみたいです!」と、飽くなき向上心を持っている。
また、同じ東京六大学の同級生へのライバル心も強い。日本ハムから1位指名を受けた早大・斎藤に対して、大学通算22打数7安打(打率・318)。西武から1位指名を受けた早大・大石に対しては、7打数3安打で・473と高打率を誇る。盗塁も斎藤から2度、大石から1度成功しており「(2人は)どちらかと言えば、走りやすかった」と断言した。巨人の坂本や楽天の田中らも同級生。『黄金世代』の1人だが、主役を譲るつもりはない。
「まずは1軍の場に立つことが一番です。足を武器にして、しっかりアピールしていきたい」と荒木。下位指名だが、武器となる足には無限の可能性を秘める。赤星氏以来の大記録へ。快足ルーキーの挑戦が始まる。