小沢一郎、再び!12月には大風が吹く
飯島 勲 「リーダーの掟」
事件後20年以上経過した今、中井洽拉致問題担当大臣の主導で金元工作員を来日させた、この事実をどう見るか、ということだ。
小倉和徳、奥谷 仁=撮影
小泉内閣のいいとこ取りをすれば、うまくいくとする安直な意識は伝わるが、結果は厳しいだろう。
例えば「新成長戦略実現会議」には多くの閣僚が参画している。限られた閣僚のみしか参加しないからメリハリの利いた結論が出せるのだ。これでは官邸主導になりえない。場所が官邸になっているだけの「官」主導の会議になることが目に見えている。盗用するなら劣化コピーでなく、すべてをマネなくてはいけない。
就任3カ月で何もできなかったというのが、菅首相の限界だ。私は、高い支持率を回復した菅内閣は長くもたないと見ている。私は菅か小沢かという究極の選択の中では、小沢を選ぶ。カネの問題についてはいくら批判しても足りないぐらいだと考えるが、小沢には日本の閉塞状況打開の可能性があったのではないだろうか。少なくとも菅には可能性がない。
小沢一郎、民主党離党のXデー
代表選期間中の小沢バッシングはすさまじいものがあった。ほとんどの新聞・テレビは菅首相寄り。小沢が勝ってもいいという視点のメディアが一切ないという状態での代表選というのも珍しいと思う。
選挙戦後半には、青木愛衆院議員と小沢自身、それから小沢の秘書との不倫疑惑騒動が一気に出てきたり、鈴木宗男外務委員長の最高裁での実刑判決が確定したりと、小沢側に不利な報道が相次いだ。
小沢のスキャンダルについては、誰が利益を得たか、どうしてこのタイミングに集中したかを考えれば、どちらの陣営が火をつけてまわったかがわかる。反対に菅陣営のスキャンダルが出なかったのを考えると正々堂々と闘ったのは果たしてどちらなのだろうか。
逆に、菅首相のほうは、内閣支持率が50%を超えたなどと、マスコミに宣伝してもらえた。マスコミも知っているはずだが、内閣支持率は国会がない時期には、上昇傾向になる。野党によって批判されることがないため、言いっぱなしでも逃げ切れるのだ。国会が開会して、野党との論戦が始まれば、いつものように支持率は落ちる。あえて民主党の代表選びとは関係のない国民支持率を報道して、世論を誘導していた。
気になるのが、小沢の今後の動きだ。党員・サポーター票で51対249と大差をつけられ、国会議員票でも400対412と敗れた小沢が、このまま民主党内でじっとしていられるのか。
私が小沢だったら、12月31日の数日前、12月29日前後に離党する。権力やカネを菅陣営に掌握されて、小沢が黙っているわけがない。小沢にとっての政治生命の終わりを意味するのだ。小沢が過去に政党の解体、新党結成を行ってきたのは、政党助成金の支給額が政党所属議員の数に応じて決定する12月末だ。
マスコミのあれだけの集中砲火を浴びながら、党内の小沢グループは結束を乱すことはなかった。信者に近いような側近議員も多く、小沢が「離党する」と言えば、50人程度は、迷うことなくついていくだろう。
これまで私は、民主党政権が危機に瀕するのは、地方選挙の空白月で国会予算審議がゆきづまる来年3月と言ってきたが、小沢離党、新党結成が実現すれば、年明けからの通常国会で予算審議に入ることが難しくなり、政権はそこで終了となる。
代表選では、財源を顧みない昨年夏のマニフェストを実行するなどと極端な政策を掲げた小沢だが、いざ、離党してしまえば、「政権協議のため」「政界再編を進めるため」との大義名分がたち、政策の軌道修正を行うことができる。実現不可能とわかっている極端なマニフェストを主張できたのも、自分が勝った場合は「連立協議のため」、負けても「政界再編のため」修正できると計算できていたからだろう。勝っても負けても、逃げ道が用意できているあたりが、いかにも小沢らしい。この権謀術数を明日の日本のために使えないものか。 (文中一部敬称略)
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飯島勲著(プレジデント社)
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飯島 勲
いいじま・いさお●1945年、長野県辰野町生まれ。72年小泉純一郎衆議院議員秘書。永年秘書衆議院議長表彰、永年公務員内閣総理大臣表彰。小泉純一郎内閣首席総理秘書官。現在、松本歯科大学特任教授、駒沢女子大学客員教授。著書に『人生「裏ワザ」手帖』。
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