小沢一郎、再び!12月には大風が吹く
飯島 勲 「リーダーの掟」
事件後20年以上経過した今、中井洽拉致問題担当大臣の主導で金元工作員を来日させた、この事実をどう見るか、ということだ。
小倉和徳、奥谷 仁=撮影
内閣総理大臣、菅直人殿。
代表選期間中は、貴殿の臨機応変な発言に毎日感心しておりました。
とりわけ「一に雇用、二に雇用、三に雇用」と繰り返しながら、具体的な雇用拡大策には一切触れないという、堂々たる態度には、私自身、驚きを隠せませんでした。
選挙演説でも、首相就任後の仕事内容に触れることはせず、1996年に自社さ政権で厚生大臣として取り組んだ薬害エイズ問題を強調するだけの謙虚な態度にも驚かされました。まさかご自身で副総理も担っていた民主党政権誕生以後に「目立った成果がないため」と考えることは、邪推ということでしょう。代表選最後のスピーチでの浮ついた文句の羅列は、総理大臣としての危機意識が感じられず、国民が一時的に平和な気持ちになることができました。
まずは民主党代表選挙の圧倒的勝利につきまして、心よりお祝い申し上げます。
小泉内閣をマネたい気持ちだけは伝わる
昨年から続く円高にさらに拍車がかかったのは、今年5月上旬のユーロ安を受けてだった。自国の通貨の高値を回避し、国内産業を守るために、韓国、オーストラリア、スイスなどは、早くからドル買いを進めてきた。日本では、5月5日の94円99銭を円安のピークに円高傾向が続いた。今になって介入を始めたがこの四カ月間に打てる手はほかにもあったはずだ。
続投が決まった菅首相は繰り返し「一に雇用、二に雇用、三に雇用」というが、デフレを進行させる円高が雇用状況を悪化させているという可能性を理解できているのか。円高の状況下でも、高い収益をあげている企業は、海外での製造、販売などで儲けている。国内にのみ拠点を置く企業、特に中小規模の企業は、円高による苦しみで雇用どころではない。円高が雇用を空洞化させているときに、菅首相の「雇用」という言葉は、いつも以上に空虚に聞こえた。
雇用拡大のためには、中長期的には内需に目を向けるのは間違ってはいないが、まずは、日本経済の根幹を担う輸出企業を立て直すことで、経済、雇用を持ち直すことが大事だ。中小企業視察の前に、政治家として考えることがあるだろう。
政治家の仕事、まつりごとの鏡となるのが、為替と株だ。私はこの認識のもとに、官邸の秘書官室に、リアルタイムで株価と為替がわかるボードを設置した。残念ながら民主党の官邸は忙しくてこのボードを見る暇がないのだろう。他の政策においても、菅首相に実施のための戦略があるのか全く疑問のままだ。
8月の概算要求もデタラメだった。各省の予算概算要求の1割カットを突然決めたことについて、代表選の討論会でも小沢に突っ込まれていたが、国の予算で何をするのかという意思表示はなく、「政策コンテスト」で他人に決めてもらうという。この政権には強いリーダーシップで国を導こうとする気概がない。
自民党政権下でもシーリングは決められていたが、次年度の予算について、ある政策にいくら必要なのかを想定し、どれくらい削れるか、どれくらい補充できるかということを審議したうえで、シーリングが決められていた。方向性がないまま、とりあえず一律1割カットというのは史上初めてだろう。
菅内閣が9月7日に設置を閣議決定した「新成長戦略実現会議」も噴飯ものだ。小泉内閣の経済財政諮問会議のスタイルをマネしたと聞くが、私の記憶では、菅首相は経済財政諮問会議を野党時代に否定し続けていた。
飯島 勲
いいじま・いさお●1945年、長野県辰野町生まれ。72年小泉純一郎衆議院議員秘書。永年秘書衆議院議長表彰、永年公務員内閣総理大臣表彰。小泉純一郎内閣首席総理秘書官。現在、松本歯科大学特任教授、駒沢女子大学客員教授。著書に『人生「裏ワザ」手帖』。
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