(CNN) ローマ法王ベネディクト16世は28日にローマ法王庁科学アカデミーで講演し、理論物理学者スティーブン・ホーキング氏の説に間接的な反論を展開、宇宙は神の創造物だと言明した。
ホーキング氏は先月出版した著書「グランドデザイン」で、宇宙誕生に神が必要ないことは物理学の法則に示されていると論じた。
これに対してローマ法王は講演の中で、科学と科学者の功績をたたえたうえで、科学の役割は神の存在を明らかにすることにもあると指摘。「科学者は世界を創造しているわけではなく、それについて学び、まねようとしている」とした。
さらに、科学者の役割は普遍の法則を創造することではなく観察することにあると強調、そこから導き出される結論として「人間ではない全能の知恵が存在し、それが世界を支えていることを認めざるを得ない」と述べた。
一方で科学についての理解も示し、「科学の発展は、われわれの想像を越えた複雑な自然現象が発見されるという点で胸が高鳴るものであると同時に、そうした現象を説明できると思っていた理論がごく一部しか証明できないという点で謙虚な気持ちを抱かせるものでもある」と語った。
ローマ法王庁科学アカデミーについても「教会が科学研究を重んじ、科学の熱意に感謝していることの証」だとしている。