- 2010/10/29(金) 21:17:04|
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講義内容要旨
１ 米空軍特別捜査局（ＯＳＩ）について
発足は1958 年。ＦＢＩ長官が米空軍にもＦＢＩと同様の組織が必要との提案を受け、主に
米空軍の管轄内における重犯罪の捜査、防諜、テロ対策等を目的として創設された。
ＦＢＩや500 ＭＩ(陸軍系）とは、国防省を通じて情報交換を行うことを原則とするが、実
際の運用としては、ＯＳＩと他の部局との情報交換も可能とのこと。(例えば、座間基地を狙
って飛翔弾が打ち込まれた等の事案が発生した場合、通常500 ＭＩ(又はCID；陸軍犯罪捜査
部)が状況をワシントンへ報告し、国防省が情報の選別を行い、必要に応じ、在京のＯＳＩ事
務所その他へ指示･伝達が下りる。なお、先日発生した同種事案では、特段、情報･指示等は
下りていないとのこと。)
全世界を８のエリア（８管区）に分け、日本の支部は第６管区太平洋司令部の傘下にあり、
同管区の所管区域は、韓国、グアム、ハワイ、アラスカからアフリカ地区に及び、15 の事務
所を設置している。日本国内のOSI 事務所は、三沢基地、横田基地(日本支部）、東京、嘉手
納基地の４カ所である。人員は、エージェント以外の支援要員を含めると国内約1900 人に及
ぶ。
２ 爆発物処理班（EOD）について
ＥＯＤの任務は、爆弾処理だけではなく、（炭素菌やサリンなどの）生化学兵器の処理、爆
発物の輸送、大統領等要人来日の際の各種対策にも従事する。基地自体のサポートも行って
おり、探知犬による捜索、入場車両の探知やセキュリティチェックにも従事、また、場合に
よっては戦死した兵士の遺骨収集に当たることもある。
また、ＥＯＤは、日本国内に三沢、横須賀、富士、岩国の４カ所設置されており、空軍のみ
ならず海軍等にも存在するが、同一の研修所で訓練を行う。担当を地域で分けており、初動
措置は、この区割りで出動することとなり、事後の捜査を各主管基地の所属する班に引き継
ぐことになる。三沢の担当エリアは、北海道、本州であるが、各班とも緊密かつ柔軟な連携
を行っている。(例えば、北海道沿岸沖での海上爆発事案が発生した場合、初動は三沢のＥＯ
Ｄで行うが、海上事案であれば、横須賀のＥＯＤへ引き継ぐことになる。)
三沢ＥＯＤの人員は、現在、14 名。内６名がイラクへ派遣中で、２名がイラク派遣に向け
た事前訓練中、４名がアフガンから帰還したばかりである。イラクへもアフガンへも派遣経
験がない者は、２名のみ。講師を務めたシューマン曹長は、14 年のキャリアで、内４年間を
中東で勤務した経験を持つ。
隊員のスキルにより10 段階のレベル分けがなされている。（シューマン曹長はレベル７で、
基地に在隊している中では最上位）実働レベルでは、レベル３からレベル９までで、レベル
３は研修終了程度、５レベルからは、実戦で爆発物処理を任せられるレベルになるという。
レベル９ともなると、司令官の補佐を行うほどの実力を持つが、判断に誤りは許されない厳
しい任務となる。
３ 爆発物発見時の措置について
(1) 措置要領は４段階あり、人命に危害を与える危険度により、爆破処理するか、安全化処
理するかの判断基準に用いられる。
置措度（緊急度） 険危カテゴリー
放置するか、爆破処理できる
カテゴリー１ 人命に関わる重大なもの即時対応し、爆発物を安全化する
カテゴリー２ 場所等立地条件で少し余裕を持てるもの避難措置を取らせた上で、安全化する
カテゴリー３ 時間をかけてかまわないもの時間をかけて、処理方法を判断する
カテゴリー４ 人命に関わる状況が薄いもの
(2) 処理の手段
基本的に液体窒素を用いてバッテリーを冷凍するという方法での安全化の措置はとらない
（先方曰くそれは60 年代のやり方であるとのこと）。起爆部分を銃型破壊装置（デスラプタ
ー）で破壊するか、本体から切り離すことで安全化するか、あるいは爆弾を安全な場所まで
輸送して、一ヶ所に集めて遠隔爆破させるという方法を取っている。（爆弾処理が第一であ
るという印象を受けた。）
(3) 爆発物処理班の装備資機材
機材、人員搬送のピックアップトラックとリモコン式処理車搬送用のパネルトラックが
ある。ピックアップトラックもパネルトラックも耐爆仕様となっていない。
爆弾処理時に着用する耐爆耐火スーツ（カナダＭＥＤＥＮＧ社製）も現在警察で使用
しているものより改善され空調も装備されている。また、重装備のスーツを装着して長く歩
行をさせないため２輪直立の車両（セグウェイ最高速32km）も用意されている。
リモコン式処理車はバッテリーで駆動し、タイヤによる走行のほかラック式車輪で段差
があるところも走行可能であり、爆発物をつかむマジックハンドはアームが最短時で42 ｋ
ｇ最長時で22 ｋｇの物体を移動できる。また同車にはカメラ３台、スピーカマイク１個、
照明２個が装備され、操作用のパネルトラックにおいて映像を見ながら遠隔操作（有線式最
長１ km）できる。（有線式、無線式両用）
４ 軍用爆薬の特徴
誤爆を防ぐため安定性を重視していることから、民生品とは組成物の割合が異なる。例えば、
ＲＤＸを主成分とするＣ４爆弾も鈍感に作られている。
雷管の火薬にRDX を使用していることと、日本の工業用雷管は銅製筒を使用しているが米
空軍の雷管はアルミニウム筒を使用している。
５ リモートコントロールによる発破作業
無線式の発破機を使用しており、携帯電話による誤爆を防止するため実験中は携帯電話の電
源を切るように指示された。無線機の周波数は、アンテナ長が約60 ｃｍで有ったことからＶ
ＨＦ帯（300Mhz より低め）の電波を利用していると思われる。
６ 麻薬合成工場における副産物の爆薬
メキシコなどの麻薬合成工場に、ホームメイド爆薬が見つかることが多い。これは、メタ
ンフェタミンやアンフェタミン生成過程で、起爆性の高い物質が副産物として生成されるこ
とがあるためである。そのため、捜索等、強制捜査の際には、耐爆の装備を用意するのが通
例である。
７ マニアによるバックヤード製造
自宅裏庭のようなところで、爆薬を製造する者もいる(例えば、米中南部の人種差別主義組
織「レッドネック｣のメンバーなどが自宅で爆弾製造を行っていた事例がある)が、往々にし
て安全に配慮されていない状況がある。
８ ホームメイド爆弾の特徴
ホームメイド爆弾の仕上げでスポーツバッグに入れたり、アタッシェケースに入れたりその
他作る者のイメージで如何様にもなることから種類は限りなくあることになる。また、その
偽装方法もだんだん巧妙になる傾向がある。手口としては置き去りが多く、最近では、そこ
にあっても違和感のない様な置き方をして、一般に見分けが非常に困難になっている。
また、爆弾の材料は科学の知識と知恵が回れば身近な物でも代用して制作が可能であり、過
去にはインターネットや図書館所蔵書籍でも爆薬爆弾の製造方法が入手できた。
爆弾製造において必須な構成要素は、酸化性物質(酸素を供給するため）と燃料である。さ
らに、爆発効果を高めるために、アルミニウム粉末や砂糖が使用されることがあるが、炭素
を含む砂糖が有効であるというのは、俗説であり、実際の効果はほとんどない。
９ 爆薬探知犬の能力
爆薬探知犬は、硝酸エステル濃度が40 ％以上になると嗅ぎ分けられる。硝酸エステルは爆
薬の酸化剤として使用されている。
- 2010/10/29(金) 21:15:48|
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平成20 年６月18 日
外事第三課・モスク
６月23 日以降のモスク視察体制等について
１ 要警戒対象
現時点においてモスク班抽出の「要警戒対象」の選定はなし。
２ モスク視察体制
�� モスク班体制
係長以下４３名
�� 視察実施モスク（７モスク）
・ＡＩ学院
・東京ジャーミイ
・大塚モスク
・新大久保モスク
・マッキー・マスジド東京
・八王子モスク
・浅草モスク
�� 視察体制
・23 日からサミット本番前までは、基本的に各モスクとも午前８時30 分から日没
後の礼拝が終了する午後７時30 分を目処に拠点員、行確員を配置し、モスク動向
の把握、モスクへの新規出入者及び不審者の発見把握に努める。
・サミット本番時は、配置時間を前倒しするとともに視察解除はサミット行事関係
を考慮して別命としたい。
・日々の情勢に柔軟に対応することとしたい。
- 2010/10/29(金) 21:12:38|
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平成21 年1 月14 日
国際テロリズム対策課
関東地域国テロ担当補佐等会議概要
１ 国際テロリズム対策課長訓示
昨年末に新たな通達を発出したところであるが、今春の人事異動も踏まえて確実に後
任者に伝達できるようにしておいてもらいたい。大きな組織になればなるほど担当が細
分化され、伝達に齟齬が生じることとなるので配意をお願いしたい。
私からは通達に関する概括的に話をしたい。
まず、第１点目は、爆発物原材料業者に対する管理者対策である。これは単にホテル
に宿泊されたとは次元の違う問題であり、これが失敗するのと成功するのとでは大きな
違いがある。
これに関して各県の知事部局には肥料取締法に基づく取扱業者のリストがある。７品
目とはいっても硝酸アンモニウムと尿素のみではあるが、そこからリストをもらってい
ると承知している。それを通じてサミット対策で実施した管理者対策では把握していな
かった新たな業者も浮上し増えているはずなのに、一方、全国規模で調査を行うと把握
業者が変わっていないとか減っているというありえない状況も起こっている。別にこれ
までの管理者対策が不十分だったと責めるつもりはないので、新たな業者を把握したの
であればそれらに対する管理者対策を行っていただきたい。
また、インターネットで取扱っている業者も判明しているので、そこはもう一度イン
ターネットでの取扱いがあるか否かを確認してほしい。さらに、店頭購入の場合は一見
して不審な客は分かるが、インターネットでの場合はそれが分からないので、何をもっ
て不審とするかについては、実際に管理者対策を行う警察署の専務員に対して指導教養
をしてほしい。
皇居に向けた爆弾事件でもそうだが、犯人は自分の身分を偽らずに原料を購入してい
る事実があり、これが身分を偽って購入していたらもっと分からなくなるという悲壮感
もある。したがって、業者に対しては平素から正確な在庫管理と仮に盗難被害にあった
場合には“何をどのくらい盗まれた”ということを速報できるようにしておくことを指
導しておく必要がある。そのようなことから、管理者対策の中でも爆発物原材料業者対
策は特に力を入れてお願いしたい。
第２点目は、ＢＩＣＳについての関係です。
ＢＩＣＳは、２００７年１１月１日の導入から１年間で８４６名の入国を阻止をした
と入管側は成果を誇示しているが、無論、８４６名の入国を阻止をしたことは良いこと
だと思うが、大半は東南アジアからの風俗関係従事者である。そんな中、報道で既にご
承知と思うが、韓国人の５１歳の女性が２００８年４月３０日に青森県から入国した。
この女は２００７年７月３１日に退去強制処分となっていたにもかかわらず、８ヶ月後
にＢＩＣＳをかいくぐって入国できたわけである。この女は、２００８年８月５日に長
野県で東京入管によって検挙されたが、ブローカーが田舎で入国させて全国的に動かし
- 1 -
ている実態だと思う。この女の供述によると、韓国出発当日にブローカーが直接貼って
くれたということである。ご存じのとおり、入管システムでは少なくとも指に指紋様の
ものがなければエラーとなり入国できないようになっており、入管側は指紋を採ったこ
とは間違いないが、そのときの指紋と女の指紋は全然違っていると説明している。では、
指紋様のものが指についていたとしか思えないが、その後はトイレに捨てられて分から
ないというのが実態である。いずれにせよ、入国されたことは事実であり、風俗関係者
ではなくこれがテロリストだったならもっと巧妙な方法になるだろうと危惧している。
これに関して良い方法は入管側にきちんとした通達を出して基準を厳しくしてもらうこ
となのだろうが、当面可能な方法としては海港や空港を持つところに人は入管側と協議
をして「指を確認してから指紋を採取すること」等の内容を韓国語や中国語等で記載し
た紙を入国予定者の見える場所に掲出して、不法入国者にやりにくくするという対策を
取ってもらいたい。本当はプログラムを見直すことが良いのだろうが、時間も費用もか
かることを考えれば、紙ひとつ貼りだすことは皆さん方の指導ひとつだと思う。
第３点目は、実態把握である。従来からＯＩＣ５６ヶ国１地域を重点に言い続けてき
たが、フィリピン、インド、タイ等非ＯＩＣ諸国でムスリムが多い国、すなわちムスリ
ムか否かに着目し、国籍にとらわれない過ぎない実態解明をすすめてもらいたい。また、
２世問題をどう把握するかという命題についても、現時点では警察庁においてもこれは
という方策はない。他方、組織犯罪対策部においては「集住対策」なるものの検討を始
めている。これは主としてブラジル人を対象にしたものであり、あまり集住する傾向の
ないムスリムには関係ないかもしれないが、集住対策を行う前には外国人一般に対する
実態把握が前提となるものであり、集住ではない外国人がどうなのかという点について
は関心をもってもらいたい。
第４点目は、現時点では手も足もでないのが実情のインターネット上の情報収集につ
いてであります。当然、語学ができることが前提であり、語学ができても入っていけな
いサイトがあるのも事実であります。警察庁においても名案があるわけではないので、
皆さん方から知恵を拝借したと考えています。
２ 新通達概要説明（大嶌補佐）
今般、発出した通達の中で追加した項目や変更点につき、項目を追って説明。
「警察各部門間の連携」という言葉が随所に表れているが、各種施策はサミット対策
を通じて警備部門だけではもはや対応しきれなくなっていることは皆さんが感じられた
とおりと思う。したがって、警察組織が一体となって各種対策を実施することを明確に
する示す必要からこの言葉を盛り込んだ。
次に、「協力者」という言葉を使う場合には獲得対象者のみに限定し、その他の情報
提供者については「協力者」という表現は避け、両者を併せて「情報線」と表現する。
換言すれば、協力者たる指導係が管理する情報線と協力者とは呼ばないデスクが管理す
る情報線の２種類が存在する。当然ながら、指導係が管理する協力者からの情報も可能
な範囲においてはデスクと共有する。
続いて、「インターネット上の不審情報の収集」では、インターネットが過激化対策
上、必要不可欠なツールとなっている現状に鑑み、限定的なチャットルームに対する情
- 2 -
報収集をお願いする。
第４点目は、「容疑解明案件の警察庁に対する報告」についてであります。
サミット期間中においては多数の容疑解明を実施していただいたけれども、対象者が
過激化のいかなる段階にいるのかという見極めを必ずしも行わずに事件に着手した、あ
るいは入管法違反等によって逮捕捜索を行うことで容疑解明は終了してしまったものも
散見され、その後、当該対象者を容疑解明対象者から外すこともあった。一旦、目をつ
けた者を視察線外に置いたところ、テロを敢行したという事例が海外で見られることか
ら、容疑解明作業というものを長期的視野で行うこととし、新通達では容疑解明対象者
を登録する制度を導入したものである。
第５点目は、「ネットワークの全容解明」についてであります。
近年の情報分析では対象者のネットワークを把握することが肝要であり、そのための
ツールとしてアナリストノートブックを配布しているわけであり、最大限これを活用し
ていただきたい。
第６点目は、「コミュニティ対策」についてであります。
旧通達ではなかった項目であるが、「過激事項に感化され易い層を作り出さない」あ
るいは「感化されつつある者をいればそれをいち早くキャッチする」ためにコミュニテ
ィとの関係を作っておくことが非常に重要になっている。こうした活動を「コミュニテ
ィ対策」として通達に明記したわけである。先の集住対策、とりわけ日本人が入り込む
余地のない外国だけで生活できる日本の中の外国のような地域が犯罪の温床になった
り、テロリストの隠匿場所になったりするおそれが大きいため、共生による取組みで地
域にとけ込ませるようにすることでその動きを把握しようとするものである。
第７点目は、「爆発物原材料取扱業者に対する管理者対策」についてであります。
旧通達では、ホテル対策とレンタカー対策のみに絞っていたが、皇居に向けた爆発物
発射事案を捉えて、爆発物原材料取扱業者に対する管理者対策を明記することとした。
３ 実態把握、不審情報の収集、コミュニティ対策関連指示（茂木補佐、阿波谷補佐）
○ 実態把握（茂木補佐）
はじめに20年通達（以下「新通達」という。）の実態把握についてお願いしま
す。
皆さんご承知の通りでありますが、「実態把握は国際テロ対策の基礎・基盤と
なる情報を収集し、管内のイスラム・コミュニティ等を把握」することです。そ
の目的は不審情報の収集及び事後捜査での活用であります。
わが国には９万人を超えるＯＩＣ諸国人が居住するとみられていますが、昨年
のサミットまでに、ＯＩＣ諸国出身者約72,000人（把握率９８％）を把握できま
した。
これに比べて、インド、フィリピン等の非ＯＩＣ諸国出身者については、数万
人規模の在留数があると推定されていますが、全国でも把握数が少なく（平成19
年６月現在、2,549人）、そのコミュニティの状況もよく分かっていませんので、
特に、今後は従来の実態把握に加えてＯＩＣ諸国以外のムスリムやムスリム第２
- 3 -
世代の把握に力を入れていただきたい。
そこで新通達では、特にＯＩＣ諸国と記載せず、「ムスリムの居住実態、就業
や教育等の環境」として掲げました。さらに、１月６日付の事務連絡「実態把握
の現状に関する報告について」を発出したところであります。
ご承知の通り、ムスリムはＯＩＣ諸国以外の国にも当然存在（インドには約１
億人、仏教国タイも数百万人）しており、これらムスリムの把握が今後は大変
重要になってまいります。
ムスリムであることの判断は一般には困難でありますが、モスクへの礼拝、名
前（英国籍でもムスリム特有のもの〜ムハマンドなど）等から把握してください。
他にもＯＩＣ諸国以外のムスリムの把握方策として、外国人を雇用している企
業等では、出身地や宗教を把握している場合もあることから、管理者からの提報
により把握したり、通信販売によるハラルフードの定期的購入者リストの入手に
よる把握といった方法もあり、常に斬新な把握方策に努めていただきたい。
警察庁としましても各県の好事例について随時、紹介するなど各県の実態把握
の向上を支援してまいりたい。
次に、ムスリム第２世代の把握についてですが、
ムスリムの過激化動向をいち早く察知するためにも、ムスリム第２世代の把握
に特に力を入れていただきたい。第２世代ムスリムは、帰化している可能性もあ
るほか、日本人を親に持つムスリムの子供は日本国籍を有し、外国人登録をして
いない場合が多く、入管統計に表れないと思われます。また、就学状況の統計資
料はなく、ムスリムの中には自らの子弟に出身国やイスラム諸国で就学させる者
もいるため、現時点で日本に在住しているとは限らないなど、在留統計には表れ
ない部分の把握が一層重要となってきます。欧米諸国においてテロを実行あるい
は企図した、いわゆるホームグローンテロリスト対策に向けても、ムスリム第２
世代の把握は不可欠であります。
特に第２世代の内、15歳以上のムスリムについては就職適齢年齢であり、ホー
ムグローンテロリストの脅威になりうる存在でありますので、早期に把握してい
ただきたい。
ＯＩＣ諸国外国人登録者数のうち、未成年者の数は毎年500人のペースで増加
しており、単純計算で、2011年には、未成年の在日ムスリム世代が１万人に達し
ます。
しかし、先ほど申し上げましたように在留統計には表れない部分もあり、正確
な数の把握は困難です。巡回連絡等を通じたムスリム世帯の把握など、地道な警
察活動による把握をお願いします。ただし、「ムスリムの狙い撃ち」と非難され
ないように各県の実情に応じた工夫した把握をお願いします。正確な就学状況
は地道な巡連等で得た情報を積み上げる以外にはありませんので、よろしくお願
いします。
ムスリム第２世代の把握方策として、
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・子供のためのコーラン教室参加者から把握
・自転車の防犯登録のデータベースにより把握
・スクールサポーター等を通じた把握（イスラム教を起因とする学校にお
ける相談事案等の取扱い）
などを参考としていただきたい。
さらに、新通達では「ムスリムの子弟で海外に居住するものの実態」を掲げて
おりますが、日本にいないムスリムの子弟の把握方策については、各県の方策を
集積して、好事例として紹介したいので、斬新なアイデアを出し合って進めてい
くためにも、よろしくお願いします。
ここで関西のある県による「県内におけるムスリム第２世代の実態」を分析し
た好事例を紹介いたします。調査対象は県で把握しているムスリムの第２世代で、
現に日本に定住している者及び将来、定住すると思われる者としています。分類
では親の国籍・０歳から９歳等の年代・居住地域別として統計化して、
・現段階でホームグローンテロリストとなり得る者の数
・第２世代対策の対象となる国の抽出
を行っています。また、第２世代の生活実態を分析、特に学校生活について詳細
に調査しています。例えば、第２世代特有の行動として、「学校での礼拝や礼拝
を理由とした遅刻状況・ラマダン期間中の給食拒否状況・給食制の学校における
弁当持参状況・ラマダン中の体力減退に伴う体育の見学状況・女子学生のスカー
フ着用」等を挙げています。
ただムスリムの中には、「イスラムを重視するよりも日本への同化を望んでい
るので、給食に注文をつけたり、学校では断食も礼拝もさせていない」という人
も当然おります。
さらに学校側の対応についても調査していますが、現在までのところ、ムスリ
ム特有の行動を規制・禁止している学校は把握されておりません。
この県では20歳未満の第２世代が85％おり、ムスリムとしてのアイデンティテ
ィを確立していない世代であることから、親だけでなく、イマームやインターネ
ットなどの影響を受けやすく、モスクやネット利用も把握が欠かせません。
第２世代が抱える問題の分析では、各県も共通するところがあると思いますが、
１ ムスリム特有の行動や外見上の違い等に起因するいじめや差別
２ イスラムの教えを実践させようとする親の意向とそれを望まない本人と
の対立
を挙げています。
これらの問題は将来、日本社会に対する不満へと発展し、その不満が第２世代
の過激化の要因となる可能性もありますので、今後、各県の皆さんもぜひ「県内
におけるムスリム第２世代の実態」について分析して下さい。
○ 不審情報の収集（茂木補佐）
大きな項目の２つ目は「不審情報の収集」についてであります。
- 5 -
不審情報の収集の手段には「幅広い警察活動・情報線の布石・管理者対策等
による一般協力者・インターネット」等がありますが、新通達では、特に「イン
ターネット上の不審情報の収集」を掲げております。ご承知のとおり、国際テロ
リストはインターネット上において宣伝（プロパガンダ）、相互連絡、勧誘、資
金及び物資の調達、テロに役立つ情報収集等の様々な目的で利用しているといわ
れており、実際、近年のテロ事案（例えばマドリードにおける列車同時爆破テロ
事件、オランダ・ホフスタッド・グループによる映画監督殺害事件等）では、ほ
ぼ例外なくインターネットが何らかの形で利用されています。
我が国において、現時点では、テロリストの相互連絡、勧誘及びテロリストに
よる情報収集の実例は把握されていないものの、留学生等がイスラム過激派のウ
ェブサイトで過激なメッセージに触れる例や、チャットルームにおける過激発言
の例がみられるところであります。また、インターネットを通じて爆発物製造に
必要な情報及び原料を調達することも可能であり、イスラム過激派の背景はない
ものの、実際に爆発物を製造、使用する事案もみられました。
最近の在京情報機関からの情報を端緒に、ある県に容疑解明をお願いしていま
すが、通常の動向を見る限りでは特段の状況は把握されておりません。視察活動
から対象の不審動向を把握することが極めて困難であることは、皆さんご承知の
ところでありますが、では、海外の過激派グループとその対象は全く連絡を取り
合わないのでしょうか、当然考えられることはインターネットなどを活用した情
報交換を自室等の密室で行っていると思われます。
各県においては、過激発言の行われるチャットルーム等について、日本語で運
営されているもの又は在日者が参加しているものの把握及びその性質に応じて監
視又は捜査を行っていただきたい。中でも、在日者がアラビア語、インドネシア
語、ウルドゥ語等の外国語で運営するものについては、使用されている言語を母
国語とする協力者を積極的に活用していただきたい。
また、爆発物原材料販売サイトを始めとするテロリストに悪用され得るサイト
については、各県においてこれを発見し、管理者対策を実施していただきたい。
このように今後は、インターネット上の諸活動に係る情報収集が極めて重要と
なっておりますので、皆さんもぜひ、インターネット上のテロに関する諸活動に
対して積極的に発見・捜査を実施してください。
ここで、最近のインターネット上の過激発言を把握した事例を紹介いたします。
※パルトーク事案の紹介
この事案は情報線からの通報により、インターネットの「パルトーク」を通じ
て、ジハードを煽動する在日パキスタン人を把握し、事件化を通じてサミット期
間中のテロの脅威を一時的に排除するとともに、実態解明を試みたものでありま
す。
対象は40歳のパキスタン人男性で永住資格を持つ本邦滞在期間20年の者です。
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対象者特定の経緯は情報線を当該チャットルームに参加させ、半年以上の期間
をかけて対象者と信頼関係を構築の上、対象者の自宅や携帯電話番号等を把握し、
特定しました。対象者の居住地確認の結果、同所がパキスタン人の集団居住場所
と判明、継続捜査の結果、不法残留者の居住を確認し、「犯人蔵匿」容疑で強制
捜査に着手、通信記録、パソコン等を押収しました。
パルトーク捜査の問題点として、第一は「パルトークに参加するための障壁」
であります。チャットルームで過激な発言をする者を把握するためには、参加す
ることが必要であり、ウルドゥ語やアラビア語に精通している(あるいは母国語
としている)ほか、イスラムに関する高度な知識も要求されます。チャットに参
加しながら発言をしなかったり、不適切な発言しかできなければ管理人から不審
・不適格とみなされ排除されてしまうため、容易に情報収集が図れるものではな
いということです。
第二は「閉鎖性」です。パルトークには、参加者同士の「プライベートメッセ
ージ」機能や限定された参加者しか入れないチャットルーム等も存在します。現
在「ジハード煽動事案」の対象者は、自身のサイトについて「警察に監視されて
いる」と他の参加者に呼び掛け、この限定的なチャットルームを使用しているた
め、実態がつかめなくなっており、パルトークの閉鎖性が障害となっていますが、
容疑解明はやはり具体的なテロ動向がない限り、事件化を急ぐべきではないとお
願いしていることの証であります。
第三は「実態把握の困難性」です。パルトークには、過去の発言履歴は残らず、
不審・不穏な言動の事後検証ができないため、対象者がいつチャットに参加する
か事前に把握ができなければ言動の記録等、実態把握に困難が伴います。
最後にパルトーク捜査の留意事項ですが、チャットルーム等への情報線投入等
の運営に当たっては、各県のみで判断することなく、当課担当係と緊密に連携を
行い、特に情報線が参加（登録）することにより、又は、チャット内で書き込み、
発言する内容等により、「情報線が特定されることはないか」、「情報線が犯罪に
関与し、あるいは巻き込まれるなど身に危険を及ぼす恐れはないか」など、情報
線保護の観点、防衛上の問題点について検証し、実施していただきたい。
以上、不審情報の収集に当たって、特にインターネット上のテロに関する諸活
動の発見・捜査について、お話させていただきましたが、今やインターネットに
おいても情報線の布石が大変重要なものとなっていることを認識していただき、
あらゆるコミュニティへの情報線の布石を目指し、質・量ともに十分な不審情報
の収集に努めていただきたい。
○ 不審情報の収集（阿波谷補佐）
面接作業については、サミット対策に伴う幅広情報を収集するために行ったもので
ある。情報線を広げることによってサミット対策に資する参考情報が得られたことは
間違いない事実である。他方、サミット終了後に行われたブロック会議でいろいろな
県から聞くところ、面接作業を継続することにより様々な問題点が出てきていること
も否めない事実である。それを踏まえて１１月１８日付けの電話指示により面接作業
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の必要性・適格性を判断してその上で継続する必要があるのか否か、そして、その中
で幅広に管理登録をして捜査費が執行できる県段作業あるいは本庁登録作業として取
組むべきものは取り組んでもらいたい。あと、打切るべきについては打切る。しかし、
デスク等とも協議したところ、県段作業には至らないものの何らかの情報が取れるた
め情報線として残したいといった場合には、準県段作業扱いとして指導係が作業終息
まで面倒を見るものとして残すことにした。
ただ、面接作業において見直しをかけたかについては、面接作業とコミュニティ対
策とが混同している状況が窺えたことにある。コミュニティ対策的な感覚をもって表
の顔で近づき“イスラムの勉強をさせて下さい”と言いながら実際には“モスク出入
り者の話を聞いている”。さらにそれを聞くに当たって、まだ、はじめの段階で突然
警察ですと言って相手にそういう話をする。我々の感覚で言うと初期の防衛指導がで
きていない段階で、そういう話をすることは“抜ける”と見ていいわけである。
昭和６３年８月１７日付けの“トンプク”という通達を皆さん方承知していると思
うが、我々が行う情報収集活動、第三者に行わせる情報活動、ともに秘匿が原則であ
る。それが初期の防衛指導を行わない段階から、そういう話すればブログ等によって
ムスリムの間で“警察が来た、うちにも来た、うちにはまだ来ない”といって広まっ
てしまった。我々はそれを是正しているが、今現在も公安調査庁は似たようなことを
まだやっている。
ではなぜ、そのようなことが可能だったのかというと、それは相手が善良な人間だ
からだ。警察が行けば話を聞かせてくれるし、話してくれるからまた聞くの繰返しで
あり、ほかでみんなに話してしまうことになった。そこで中長期的視野に立って見直
しをかけて、新規の登録はやめるけど残せる者は残してほしいということにした。残
すときに注意してほしいのは、本人の適格性についてである。某県では過去に刑法犯
で捕まっていた前歴を有する者が対象者として上がっていたことがあった。見直しに
当たっては是非、今一度本人の適格性について検討してもらいたい。また、昨今の金
融不況によりムスリムの生活は非常に苦しくなっており、何らかの犯罪に手を染める
者も出てくるかもしれないので、そこの見極めだけは誤らないでほしい。
インターネット上での不審情報の収集については、対象者を閉鎖性の強いチャット
ルームへ投入することについては、積極的に検討しつつも、協力者保護には多角的な
方向から検討を加えてほしい。つまり、対象者が自分の生活基盤を破壊してやっても
我々は対象者の生活全ての面倒を見ることはできない。基本的には、対象者の協力の
意思に基づいてやっていただく、その中で情報の対価としては出せるものは出すが、
対象者の財政支援ではないことを忘れないでほしい。
最後に協力者からどんな情報が得られるかを常に検証してほしい。協力者を取り巻
く環境は日々変化している。協力者の中には、担当者が聞かなかったら必要ないと思
い話さなかったという事例が散見されるので、協力者の人脈、能力等を常に検証して
その可能性を見極めてもらいたい。
○ コミュニティ対策（茂木補佐）
大きな項目の３つ目は「コミュニティ対策」についてであります。
- 8 -
これまでも、都道府県警察においては、巡回連絡、防犯教室、交通安全教室等
の様々な警察活動を通じて、他のコミュニティと同様にイスラム・コミュニティ
とも信頼関係を構築し、ムスリムが疎外されず、また、不審動向についての情報
提供が円滑になされる環境作りに努めてきました。今後、第２世代ムスリムを中
心に過激化の懸念が高まり得ることにかんがみれば、イスラム・コミュニティを
地域社会に融和させるとともに、穏健派ムスリムの声を用いて、イスラム過激派
が提唱するジハード思想を否定する取組みが必要となってくるところでありま
す。
新通達の「コミュニティ対策」の項目の内、「(１)イスラム・コミュニティと
の関係構築」については、従来から実施していただいておりますが、面接作業等
の作業と異なる点は、コミュニティ対策は警察側から情報を求めるのではなく、
各コミュニティから不審情報等が提供されるような関係構築に努めるということ
であります。
サミット対策を見据えて実施した面接作業については、この後、阿波谷補佐か
ら説明がありますので、ここでは、新通達の「コミュニティ対策」の項目の内、
「(２)イスラム・コミュニティの孤立化防止に向けた取組み」について説明いた
します。都道府県警察においては、他部門や他機関とも連携しつつ、共同でボラ
ンティア活動を行うなどにより、イスラム・コミュニティを地域社会に融和させ
る方策を講ずるとともに、イスラム・コミュニティの中で一定の権威をもって、
「正しいイスラム」について発言できる人物との間で関係を醸成し、我が国のイ
スラム・コミュニティに過激思想に対する抵抗力をつけさせる取組みを行って
いただきたい。また、実際にムスリムと接する警察官に対しては、警察がイスラ
ムと敵対しているとの誤解を受けることのないよう、用語法やマナー等について
の教養を行っていただきたい。
過激化の一般的な要因の一つとして、地域社会からの疎外感や孤立化が挙げら
れます。
これらを防ぐために、自治体やＮＰＯ等の非政府機関や町内会等の自治会をは
じめとする地域社会をも巻き込み、イスラム関係団体との良好な関係を相互に構
築していただきたい。これにより、イスラム・コミュニティが地域社会に溶け込
み、地域と共生していることを実感させることが過激化防止の有効な方策の一つ
であります。
また、国際捜査部門等が構築した「共生のための枠組み」についてですが、平
成１８年３月に総務省が策定した「地域における多文化共生推進プラン」に基づ
き、警察庁においては、組織犯罪対策部が中心となり、外国人による犯罪対策・
外国人の犯罪被害の防止という観点から、従来の犯罪対策に行政的な手法を組み
合わせて「日系外国人等総合対策」として取組んでいます。
本施策はあくまで、知事部局や市町村等の地方自治体が中心となって推進して
いくべき対策を明らかにしたものでありますが、これまでも本対策の枠組みを利
- 9 -
用してイスラム・コミュニティ対策を推進している県もあり、国際テロ対策上、
有効な枠組みや対策が含まれているため、各県の状況を確認し、必要に応じて本
枠組みを利用していただきたい。また、今後、数年間のうちに就職適齢期を迎え
ることになるであろう第２世代ムスリムを中心として、過激化の懸念が高まると
予想されます。この点、外国人犯罪対策の観点からは、日系ブラジル人を中心と
した若年層外国人のアウトロー化の要因の一つとして、日本語能力の欠如による
学校からのドロップアウトが指摘されているところ、国際テロ対策においても、
第２世代ムスリムの実態把握と過激化防止等に資するため、学校やＮＰＯ等の他
機関や民間団体と連携し、家族参加型の防犯教室や交通安全教室の開催、共同ボ
ランティアの実施等、幅広い層に対するアプローチを積極的に検討していただき
たい。
それでは、コミュニティ対策における好事例を紹介いたします。
北陸のある県における「外国人中古車業者問題に対する取組み〜他文化共生推
進プランと連携したコミュニティ対策」であります。
同県では、1980年代後半、ロシア向けの中古車輸出が開始、1991年にはパキス
タン人が中古車業を開業し、その後、200件以上のパキスタン人を中心とする外
国人中古車業者が同県某市の国道沿いに集中し、彼らによるごみの不法投棄、廃
車の放置、ガソリンやオイルの垂れ流しや違法駐車等が社会問題化し、地域住民
に不安を与えることとなりました。地域住民は県に対して、「ヤード内に設置さ
れたコンテナハウスの違法性」に関し、異議申し立てを行っていますが、現在ま
で解決には至っていません。
他方、某市は外国人中古車販売業者等が多数居住する現状を受け、自治体や関
係機関、外国人住民などで組織する「多文化共生推進会議」を設置し、「外国人
との共生・融和」を目指した取り組みを開始しました。
主な取組みは、
１ 住民で組織する「パトロール隊」の官民合同パトロールに外国人中古車
業者が参加
２ 外国人中古車業者も参加した「治安の現状と問題点」に関する懇談会を
開催
３ 「他文化子どもサポートセンター」を設置し、外国籍の子供に日本語や
習慣を教えるほか各種レクリェーションを通じて遊びの場を提供
４ ローカルラジオ局において、外国人向け生活情報等を発信
５ 外国人業者とともに県道沿いの清掃活動を実施
などであります。
こうした自治体、警察、地域住民及び中古車業者による共生を目指した取り組
みにより、それまでお互いに接点のなかった地域住民と外国人中古車業者の意識
も変化しつつあり、両者の歩み寄る姿勢が明らかとなってきています。
以上のように、コミュニティ対策の要諦は
- 10 -
アテロリストが接近しにくい、入り込めないコミュニティ作り
イコミュニティが不審情報を察知したときに、こちらからあえて聞かなく
ても、教えてもらえるような関係作り
ウ過激化させない環境作り
であり、各県のコミュニティの状況に応じ、創意工夫しながら有効な対策を講じ
ていただきたいと思います。
３ 容疑解明関連指示（阿波谷補佐、日高係長）
○ 拠点設定（阿波谷補佐）
視察拠点については積極的な設定を行う必要があり、長期間に及ぶ追及作業に保秘
しながら効率的に行うためには必要なところに必要な拠点を設定する必要がある。
しかしながら、種々の条件をクリアするためには必ずしも直接視認できる場所に拠
点を設定できるとは限らず、そういった場合にはその動線上に拠点設定を積極的に行
うこと。
また、拠点には、作業の終息が見えないで設定する恒常拠点と、いつからいつまで
と機関を定めて設定する臨時拠点とがあるが、安全面等拠点設定必要な構想に差異は
ない。
状況によっては、我が社の看板を掲出しての拠点設定もあり得るが、その目的は相
手に我々の施設借り上げを察知されないことであり、この点に留意しなければならな
い。
○ 不審情報の取扱い（日高係長）
不審情報については、入手県に解明の第一優先権がある。しかし、A 県が入手し
た不審情報がB 県に係わる場合、A 県と当課担当で協議の上、B 県に参考情報とし
て通報する場合も有り得る。この場合、不審情報の内容にもよるが、解明について
の主導はB 県に移動する。A 県に情報線がある場合、A 県はB 県に参考通報後も、
不審点解明について、情報線活用による、情報提供を継続することとなる。
○ 指定後の継続解明における留意事項（日高係長）
A 県が解明後、指定された対象の継続解明について、対象がA 県居住の場合、引
き続きA 県が担当することは問題ないが、A 県が解明した対象がB 県に居住する者
であった場合、又は、A 県からB 県に転居した場合、A 県,B 県,当課で協議の上、通
常であれば、B 県が担当することになる。B 県にしてみれば、全く知らない容疑解
明対象が突然、担当することとなってしまうことから、転居の場合は仕方ないもの
があるが、着手時に、元々B 県居住者であった場合、A 県のみで、解明に当たるの
ではなく、当課の調整が必要であろうが、B 県にも共同で解明作業に当たっていた
だき、指定されれば、B 県が継続解明できるよう配意しようと思っている。
４ 各種管理者対策、国際海空港対策、重要施設等の防護関連指示（大嶌補佐）
○ 各種管理者対策
サミット期間中においては、爆発物原材料取扱業者約8 万4,000 社に対してのべ
- 11 -
11 万回以上の管理者対策を実施し、結果として不審情報もあり一定の成果があっ
たものと評価している。しかし、9 月18 日には皇居に向けた爆発物発射事件の発
生があり、しかもサミット対策期間中にインターネットで爆発物原材料を購入して
いた事実も発覚した。これにより硝酸アンモニウムやヨウ素といった硫黄系の原材
料を取扱っている業者については、少なからず未把握の業者も存在するのではない
か、硫黄系の原材料に限らず７品目のインターネットによる販売業者についても未
把握の業者が存在するのではないかが考えられたところである。そこで警察庁とし
ては、「爆発物原材料取扱業者の網羅的な把握」と「インターネットによる販売に
対する働きかけの強化」の２点を重点課題として昨年１０月２０日付けで各課連名
の通達を出したところである。特に尿素や硝酸アンモニウムといった肥料系の原材
料については、従来の薬局やホームセンター等に限らず未把握の業者をもう一度洗
い直す必要があるので、知事部局の保有する業者リストを入手のうえ、それに基づ
く管理者対策を実施するよう指示したところである。１年前の警備企画課が実施し
た７品目の取扱業者の調査では49,478 件であったものが、今次調査では55,189 件
と増加し、インターネットでの販売業者数も327 件が把握できた。しかし、全体で
の把握は増加したのにもかかわらず、５県では減少している状況が窺えた。減少し
た理由は廃業や取扱いがなかったにもかかわらず誤って計上してしまったというの
が主なものではあったが、本当は取扱いがあったのにそれを計上しておらず調査の
詰めが甘いとの叱責をおそれるあまり計上していないのであったならば本末転倒で
ある。大切なことは、ありのままの実態を正確に把握し、不足している場合には然
るべく対応を取る点にある。また、通達に示してある「警察各部門間の連携」とは、
決して相手に任せきりにするということではなく、検証をしながら一緒にやってい
くことなので間違いのないように。
ホテル対策の分野においては、旅館業者の執りうるべき措置の達成率は約95 ％
にのぼっている一方、約1.4 ％の業者は指導説得や捜査関係事項照会書での照会に
も応じないものがあり、その理由を見極めて対策を講じる必要があると考えている。
○
「テロリストが利用するおそれのある事業者」では、追加事業者のひとつとして
てキャンプ場をあげているが、これはホテルに変わる宿泊施設であるとともにテロ
訓練を行う可能性もあるので注意を要する。
国際海空港対策
サミット期間中には船員に対するＢＩＣＳの実施等法令にないことの働きかけを
お願いしたところであるが、これらは新行動計画に関連項目を落とし、法務省や財
務省等と協議を行いながら、引き続き各種の働きかけをお願いすべく新通達に盛り
込んだ次第である
次にＢＩＣＳのすり抜け事案についてであるが、韓国人女性の供述によると「見
た目はザラザラした薄い白いテープを貼っていた」ようだが、これ以外にもゼラチ
ン状のものを指に巻いた事案（韓国人）、指にマニュキアを付着していた事案（台
湾人）、故意に指を傷つけた事案（スリランカ人）等がある。入管では現場の入国
審査官に外国人の指先を確かめるように指示をしているが、今回の本件事案の発生
を受けて品質値が２０以下の場合は、概ね７０歳以上の者を除いて指先に細工がな
- 12 -
いかを確認する指示を出している。ちなみに、青森空港から入国した韓国人女性の
品質値は１４であり、品質値２０がいかなるものか詳細は不明だが常に待ち時間短
縮というプレッシャーとの中で指紋を採っている入管では念入りに確認していない
のが実情であろう。
不審入国者に対する追及では、必要に応じて関係機関と合同によるシュミレーシ
ョンを実施する等連携の強化を図ること。
国際海空港における職務質問及び声かけについて実態把握上有益であり今後も体
制を確保して継続してほしい。ただし、無用な紛議を起こさないためにも、職務質
問と声かけの違いについてはしっかりと現場警察官に教養をすること。本日の朝刊
に、２００６年８月にアラビア語で書かれたＴシャツを着たイラク系米国人がＮＹ
から国内線に乗ろうとしたところ、当局から「アラビア語で書かれたＴシャツを着
て空港に来ることは、『私は強盗です』と書かれたＴシャツを着て銀行に来たよう
なものだ」と言われた上に航空会社からは別のＴシャツを着せられた当初の座席と
は別の座席に座らされたとして、航空会社から和解金２４万ドルを受け取った記事
が出ていた。
受入者に関する情報収集では、従来どおりの方法でお願いするとともに、蓄積さ
れたデータは、アナリストノートブックでの分析を検討してもらいたい。
重要施設の防護については、警備課長は連名していないけれど指示文書発出に先
立っては警備課と協議を済ませているので安心して実施してほしい。
敵対的偵察対策については、以前は兆対策と呼んでいたもので、テロ対象側から
見た不審情報の対策である。昨年のインド・ムンバイテロでは犯人が街の小路に迷
うことなく入り込んでおり、間違いなく入念な下見が実施されていたことが窺われ
る。これに見られるように、対象施設周辺でビデオ撮影等の不審行動が見られたら
警備員必ず通報するよう指導助言するとともに、車両ナンバーを控える等事後追跡
ができるような記録化に努めさせるようにすること。
５ 質疑・補足
問共生対策においては、地区によって対象団体の構成員、例えば朝鮮総聯の関係
者がメンバーとなっている場合があるが、その場合の対応は如何にすべきか。
答あくまで共生対策とは自治体等の行政が主体で実施すべきものと認識している
ので、警察はそれらの後方に位置して支援するというスタンスであれば良いと思
う。
問共生対策において、警察での主導的役割をするのは警備部門ではないという理
解でよろしいか。
答そのとおり。
問容疑解明対象者について基調、行確、海外からの情報提供等のすべてにおいて
容疑性を肯定しうる要素が確認できない場合には、容疑解明対象者としていかな
るカテゴリーに分類するのか。
答基調、行確等のみによっていかなるカテゴリーに分類することなどあり得ない。
結果的には事件化によって取調べや証拠品の精査、分析等によって確認がなされ、
- 13 -
適切なカテゴリーに分類されるのではないかと思う
問不審情報と容疑情報の隙間にある情報はどう吸い上げるのか。
答警視庁では、提報者制度でカバーしている。
以上
- 2010/10/29(金) 21:08:52|
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〜開発大臣会議開催に伴う国際テロ対策の具体的実施要領について〜
4 月5 日から6 日までの２日間、三田共用会議所においてG ８開発大臣会合が開催さ
れるが、同会合における当課の対策は下記のとおりである
記
１ 直前対策4 月1 日（火）から4 日（金）までの4 日間
１ 任務
突発対策（当日午前9時00分から翌日午前9時00分までの24時間体制）
２ 体制
警部以下7 名
３ 具体的実施要領
(1) 集合・解散
午前9時に羽村理事官から指示を受け、翌日、同時刻に同理事官に取扱いの有
無を報告した後、解散となる（翌日は日免扱いなので超勤をつけないこと）。
(2) 実施要領
常時、基幹系無線(31チャンネル）を開設し、会場である三田共用会議所（港
区三田2-1-8）、飯倉公館（港区麻布台1-5-3）及び両会場周辺、さらに参加国等
（※）の大使館及び周辺で国際テロ容疑事件の発生等を傍受した際は、警部以
下で現場に急行し、報告連絡、初動捜査等にあたる。従って、任務に就いた後、
必ず、会場及び周辺等の実査を行うこと。
実査後は、それぞれの担当業務にあたる（ただし、即、出動可能な場所に限
る）が、突発事案対応要領等については、事前に警部以下で検討しておくこと。
なお、宿直時間帯は本部15階または総合庁舎8階（別途指示）で待機とするが、
この時も必ず1名は無線傍受にあたり、突発事案発生に備えること。
※ Ｇ８、ＥＵ、国際機関（経済協力開発機構、世界銀行、国連開発計画、国連教育科学文化機関、
国連児童基金、世界保険機構）、アウトリーチ国等（ブラジル、中国、インド、南アフリカ、メ
キシコ、韓国、インドネシア、マレーシア、アフリカ連合、東南アジア諸国連合事務局）の16
ヵ国、９機関
２ 会議開催時対策4 月5 日（土）、6 日（日）の2 日間
原則的には課長以下全員体制とする（課長以下最大145 名）。5 日の夜間体制は管
理官以下25 名体制（突発対策12 名、兆し対策12 名）とし、詳細は以下のとおり。
１ 突発対策
両日とも堂谷警部以下事件指導班が任務にあたる。具体的実施要領については、
上記のとおりであるが、集合・解散の指示は赤根理事官から受けること。
なお、5 日（土）の夜間体制は堂谷、大西警部以下12 名体制。
２ 兆し対策
(1) 対象施設に対する兆し対策
○ 任務
米国大使館・公邸及び米国大使館職員宿舎等に接近する不審者（車）に対
するよう撃捜査にあたる。
○ 体制
警部以下22 名
両日を3 体制に分け（�� 5 日午前9 時から午後9 時まで、�� 5 日午後9 時
から翌6 日午前9 時まで、�� 6 日午前9 時から終了まで）、�△砲△辰討亙胴�
大使館・公邸及び米国大使館職員宿舎の他に三田共用会議所等に対する兆し
対策を実施する。
○ 具体的実施要領
・集合・解散
� ↓�の任務に就く者は、午前8時30分に羽村理事官から指示を受け、同
9時に対象施設周辺で配置につく。�△稜ぬ海暴△�者は、午後8時30分に同
様の措置を取る。
・実施要領
対象施設周辺に規制区域がないので、兆し対策に適する場所（米国大使
館・公邸、米国大使館職員宿舎など適宜な場所）を選定し配置につくとと
もに、対象施設付近に接近、または駐車するする不審者（車）に対する声
かけ、職質にあたる。
三田共用会議所は、夜間、連絡体制（機動隊分隊長指揮のみ）となるこ
とから、同所に不審物件等の設置、投てき事案の防止を含めたよう撃にあ
たること。
(2) 面割り、追及作業
○ 任務
会場である三田共用会議所、飯倉公館及び会場周辺の適宜な場所で、不審
外国人の接近に対する声かけ、職質、または対象国人の面割り、追及等にあ
たる。
○ 体制
警部補以下10 名
○ 具体的実施要領
・集合・解散
午前8時30分に赤根理事官から指示を受け、同9時に対象施設周辺で配置
につく。解散は理事官の別命とする。
・実施要領
会場周辺は対象者（車）の通行が規制されることから、規制区域直近の
外周で、主に徒歩で接近する不審外国人に対して自ら声をかけて職質を行
うか、あるいは制服警察官に声をかけさせることにより、不審点の解明に
あたる。
また、当課対象国人の接近に対する面割り、状況によっては追及作業に
あたる。会場が三田共用会議所から飯倉公館に移る時（5 日）は、関係者
が飯倉公館に到着する概ね30 分前に配置完了となるよう移動すること。
配置員の運用にあっては、半数が配置、残り半数が車両待機とし、随時
連絡体制を取り、相互の齟齬がないようにすること。
※ 突発対策、兆し対策以外の対策については、それぞれ担当管理官の指示に
従って担当業務を通じて、会議開催中であることを念頭に、国際テロ対策に
あたること。
- 2010/10/29(金) 21:07:04|
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出張結果報告
１ 研修名称
第19 期FBI 太平洋警察トレーニングコース
２ 期間
平成18 年８月７日（月）〜 18 日（金）
３ 場所
タイ王国バンコク市およびパタヤ市モンティエンホテル内
４ 主催
アメリカ合衆国連邦捜査局（FBI）
５ 日本からの参加者
警部補花嶋智外事第三課警視庁
警部補椎名美雪国際捜査課埼玉県警察
警部補山本茂外国人犯罪対策課静岡県警察
６ 参加国、地域
環太平洋地域の日本（３）、タイ（26）、豪州（１）、カンボジア（２）、香港（１）、
韓国（３）、インドネシア（１）、マレーシア（２）、モンゴル（２）、ニュージーラン
ド（１）、パキスタン（２）、フィリピン（２）、シンガポール（１）、台湾（２）、サイ
パン（１）の15 の国と地域から50 人が参加
７ 日程等（講義以外）
８月７日（月） 開会式
歓迎夕食会
９日（水） タイ国家警察主催ディナークルーズ
11 日（金） パタヤ市へ移動
12 日（土） タイ国家警察案内によるパタヤ観光（植物園等）
13 日（日） タイ国家警察案内によるパタヤ観光（水族館、ワニ園）
15 日（火） 地元協力者主催夕食会
17 日（木） 送別会（非公式）
18 日（金） 終了式（兼、送別夕食会）
８ 講義内容
（８月７日）
＜本コースについて＞
・本コースが、バンコクで開催されるのは今回が２回目。９年前から一昨年までは、
- 1 -
フィリピンで行われていた。それ以前は、グアムやハワイにおいて実施。
・本コースは、各授業の項目について理解を深めてもらうことに加え、参加国相互間
における友好関係の構築を主たる目的としている。
＜サイバー犯罪＞
・サイバー犯罪局における柱については、9.11 事件以降、「国際テロ対策」、「防諜」、
「サイバー犯罪」となっている。
・サイバー犯罪のカテゴリーとしては、「コンピューター自体をターゲットとする犯
罪」、「コンピューターを利用して犯罪を実行するもの」の二つに分けることができ
る。
・現在の捜査対象の優先順位としては、
�� サイバーテロ、防諜
�� 児童ポルノ等、児童を対象とした犯罪
�� 著作権法違反（海賊版DVD 等）
�� ネット利用詐欺
となっている。
☆ コンピューターを利用して犯罪を実行するもの
○ サイバー犯罪におけるテロリズム
・サイバー犯罪におけるテロリズムというときには、
�� インフラの破壊を対象としたものや、情報漏えいを狙った直接的な攻撃
�� テロ組織のプロパガンダや情報交換の方法としてとしてインターネット等
を利用するもの
の二つに分けることができる。
�，諒�類には、国家によるテロ行為としてのハッキングいうものが入るが、現在
のところ発生していない。しかし、今後の発生が予想されることから、注意を要す
る。
�△抜慙△靴董▲謄蹈螢好箸砲茲襯ぅ鵐拭璽優奪藩�用の例を挙げると、プロパガ
ンダ、情報交換、テロの標的（インフラ等）に関する情報収集がある。情報交換に
関して言えば、e-mail を送信することなく、e-mail を下書きをしたものを同じ個人ID
を利用して開いてやりとりするという記録を残さない方法を用いており、捜査が非
常に困難になっている。
○ 児童ポルノ等、児童を対象とした犯罪
・この場合のカテゴリーとしては、
�� 児童を直接誘惑するなど、搾取の対象とするもの
�� 児童ポルノ
の二つに分けることができる。
児童ポルノに関しては、インターネットのチャット等を通じてやりとりされてい
ることが多い。
○ ネット利用詐欺
・ネット利用詐欺については、少額の被害について全て捜査することができないこ
- 2 -
とから、インターネット詐欺苦情センター（IFCC）を創設して対応している。IFCC
では、インターネットによる被害の報告をインターネットで受け付けており、これ
ら多数の苦情を分析し、同じ人物によると思われる手口を発見し、事件化するとい
う方法をとっている。これにより被害者も、当局へ報告したのに無視されたとの不
満を抱くことがなくなっている。
・9.11 事件発生後に、このIFCC のホームーページを通して犯人に関する情報提供
依頼を行ったところ、250,000 件の報告があり、有効に活用することができた。
☆ コンピューター自体をターゲットとする犯罪
・1997 年から1998 年にかけて、ペンタゴンがハッキングされた事件を機に、サイ
バーテロ対策が本格的に考慮されることとなり、サイバー局が誕生することとなっ
た。
・ハッカーの他、次のものが問題となる。
�� 電話を利用するなど、直接的に応対しながら、相手の心理状態を利用して、
パスワード等を盗むもの
�� 同一システムに対する大量アクセスによりシステムの動作を不能にするもの
（通常の方法でアクセスすると追跡が可能となることから、アクセス記録の残
らないIRC ？といったシステムを利用）
�� e-mail 爆弾（多数のe-mail を送りつけることによりシステムを動作不能にす
るもの）
�� スキャナー（米国では現在のところ犯罪とならないが、他人のポートを覗き
見る行為）
�� パスワード・クラッキング
�� 電話回線への侵入により情報を入手するもの
�� 偽ウェブサイト（通常はすぐに本来のウェブサイト運用者により訂正される
ことから、一時的なもの）
�� スニッファー（ネットワークを通して行われた全てのやりとりを表示するプ
ログラム）
○ 悪質なコード
・悪質なコードの種類
�� トロイの木馬
伝染はしないが、コンピューターにダメージを与えたり、必要の無い動作
をさせる。
Net Bus と呼ばれるトロイの木馬は、簡単なゲームの形をしているが、一
度使用すると、すべてのコンピューター操作側の動作（キータッチを含む）
の情報をハッカーに与えてしまう強力なツールである。
�� ウィルス
感染するには、クリックするなど何らかのコンピューター操作側の動作が
必要。
�� ワーム
自己増殖し、感染すると何もしなくてもコンピューターに何らかの影響が
- 3 -
出てくるもの。簡単に広まる。
・これら悪質なコードの伝達方法は、e-mail によるものが大半である。
☆ インターネットに関する知識
・インターネットについて知識を持つことは、裁判、特に陪審員にわかりやすく説
明できるようにするために必要であり、捜査員一人一人がよく理解しておく必要が
ある。FBI では、1986 年から将来を見越して、新たにコンピューター関連の捜査員
を募集し始めた。実際、2000 年には経済関連事犯の90 ％がコンピューターにより
行われている。
・通常の電話は、回路スイッチ型でデータの転送には、１つの道をたどる。しかし、
いわゆるIP 電話は、パケットスイッチ型で、データが転送される際、データがいく
つかのパケットに分割され、それぞれが別の複数の道を通り、最終的に統合されて
一つのデータとなる。
（８月８日）
☆ コンピューターの接続に関する知識
・コンピューターがラインで接続されている限りは、どこからでも操作が可能であ
るということを忘れてはならない。したがって、ファイアーウォール等のソフトを
導入しておかなければならない。
・インターネットで利用されている言語は英語であることから、すべての捜査員は
英語を読める必要がある。また、被害者も犯罪者もマイクロソフト社のソフトウェ
アを利用していることが大半であるから、特に、マイクロソフト社のソフトウェア
に関する知識が必要となる。
・捜査において、IP を追跡する必要が出てきた場合、これを追跡することはできる
が、現在、ワイヤレスのカードが利用されている現状を考えると、発信元がどこで
あるかを特定するのは難しい状況にある。たとえば、電波が壁を越えて、隣家から
発信されてしまう可能性があるので、令状などを取る際に注意が必要。
☆ メールに関する知識
・米国において、スパム・メールとは、要求していないメールで、同時に不特定多
数に対して送られるメールのことをいう。
・スパムメールはまた、受信者と無関係の内容である。
・メールを追跡する際には、IP アドレスおよびその送信時間が必要となる。
・メールの送信は、メール送信を専門としたサーバーを経由して送られることから、
SMTP と呼ばれるe-mail を送信する際のプロトコールが必要となる。メールを送信
した時には、必ずこの手続がとられることとなる。
・偽メールは、犯人自身が自分で送信元等の情報を勝手に書き込み、相手を騙すも
のである。
・犯罪を行う際の通信手段として、e-mail の他、IRC（Internet Relay Chat）等オープ
ン・リレーを利用してメールをやりとりしている。このオープン･リレーは、誰でも
利用が可能で、SMTP と同様のことができるばかりでなく、送信したログが残らな
いことから、追跡が不可能である。
- 4 -
☆ フィッシングについて
・フィッシングは、提供すべきでない情報を提供させるための手段として、非常に洗
練化されている。
・いわゆるSocial Engineering の洗練された形である。
・ハイパーリンクページのトリックが使われる。
・フィッシングの騙す手法としてその鍵となるのは、IP アドレスにある。メールを
送信する場合、メールは、分割され、それぞれが様々な中継点を経由して最終目的地
へ届くが、経由したコンピューターごとにこれを受け取った旨のメッセージが加えら
れることになっている。つまり、オリジナルのメッセージの一番近くにあるアドレス
が犯人に近いこととなる。
・フィッシングでは、メールフィルターによるメールの排除を避けるために、特定の
言葉についてはコード化して送信される。コード化には、＜・・・＞を挿入すること
により行われるが、＜＞の間の文字は、プログラムとしては、無視されるがHTML
では認識されるという特性を利用している。
・フィッシングで利用されている手段としてよく見られる例は、
− 表示されているアドレスは、単なるテキストで、実際の接続先が違うもの
− 似通ったアドレスを利用するもの
− 本物のアドレスバーの上に、別のアドレスバーの画像を表示するもの
（Internet Explorer のみに有効）
− 犯人自身が立ち上げたセキュアサイトに接続させるもの
などがあるが、この他にも、様々な方法を利用している。
・米国では、オンラインの決算方式を利用する者が増えていることから、今後は、消
費者を教育することが必要である。
☆ その他コンピューターに関する知識
・インターネットの履歴を見る方法（一般公開されているソフトウェア、別CD 内
の"Forensic Kit"を利用）
〜これを利用すると、削除したはずの写真データも撮影年月日とともに復元可能
・現在米国では、安くて速度の速いワイヤレス・ホーム・ネットワークを利用する
者が増えている（約40 ％が利用）。しかし、このネットワークは家の外からも受信
が可能であり、公道からでも利用できる場所をオープン・アクセス・ポイントと呼
びハッカーや犯罪者が利用している。この場合、他人のアドレスを利用することと
なるから、本犯を特定するのは難しい。
消費者側の防止策としては、
− ユーザーネーム、パスワードの変更
− 暗号化（通称ＷＥＰ）
− SSID を送信（ブロードキャスト）しない
− メディア・アクセス・コントロール（通称ＭＡＣ）を利用してアクセスで
きるコンピューターを限定する。（ハッカー等であれば、メディア･アクセス
・コントロールの内容を変更することも可能であるが、時間がかかるので別
のオープン・アクセス･ポイントを探したほうが早い）
- 5 -
等がある。
なお、犯罪者は、何度も同じオープン・アクセス・ポイントを利用する可能性が
ある。
・サイバー犯罪における証拠の検索と捜索差押について、何が物的な証拠となるの
か、等基本的な知識として知っておきたい。
（８月９日）
＜テロ資金捜査＞
・人間が生活していく上では、必ず「金」が必要である。そこで、「金」の循環に目
をつけることから全てが始まる。また、慈善事業等の名目で「金」が集められる実態
を考慮すると銀行口座を調べる必要が出てくる。
☆ 捜査の手順
・捜査の端緒となる情報は、
− コミュニティーとの信頼関係の構築に基づく情報入手
− 金融機関からの情報入手（一定額以上の取引の報告、クレジットカードの
利用状況等）
− 税務
− 法律に関する知識を利用した各種法令の適用
− ゴミ作業
などから、入手される。
・これらの情報をもとに、各機関との連携の下、捜査が実施されることとなるが、
最も重要となってくるのが、本部であり、本部が全責任を負うとともに捜査をコー
ディネートしていかなければならない。
・捜査経済上の無駄をなくすためにも、捜査の打ち切り時期の判断も重要である。
・通常の犯罪とテロ資金捜査の違いとして、通常の犯罪では、個人や一定のグルー
プによる犯行で、利益を追求し、大金が送金されるというのが一般的である。一方
で、テロ資金捜査の場合は、必ずしも利益を追求しておらず、少額の資金の動きし
かなく（オクラホマシティー爆弾事件では、500 ドルしか、かかっていない等少額
で爆弾を製造することは可能）、さらに捜査対象にあっては、慈善団体やテロ支援
国家であったりと実質的に捜査依頼が不可能である場合などがあり、困難を伴う。
・テロリストの基本的な概念に、MICE(Money, Ideology, Coercion, Ego）があり、テ
ロの理解の根拠となる。
・テロ捜査の３つのステップとして、Investigation（捜査）、Regulation(規制）、Procecutor
(検察−基礎）がある。
・いわゆるホワイトカラークライムとテロ対策をあわせたものが、テロ資金捜査と
なる。
☆ 世界における国際テロの傾向
・9.11 事件以降、テロが発生してからの捜査から、発生する前の捜査へと移行。そ
の中で、テロ資金対策として、情報収集、事件化、金融機関等に対する教養（プレ
ゼン等）を実施している。
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・米国内におけるアル･カーイダによる資金調達は、（合法・不法活動を通じた）自
己調達、モスクやNGO を通じた調達などが行われている。
これまでに判明したテロ資金の調達方法には、以下のものがある。
○ ヒズボラのケース
・州ごとに税額が異なることに目をつけ、煙草の販売を通じて資金を調達。
○ ハマス等のケース
・モスクやイスラム系NGO 等による募金活動等を通じて資金を調達。
○ PIJ（パレスチナ・イスラム聖戦）のケース
・テロ支援国家からの資金提供およびモスクやNGO にる募金活動を通じ
て調達。資金の移動には、外交チャンネル、クーリエ、両替、通常の銀行
送金などが利用された。
・NGO によるテロ資金の調達に関する捜査は大変困難である。米国内には、膨大な
数のNGO が存在しており、この中から如何にして対象を見つけるかが課題である。
例えば、モスク等の掲示板には、NGO によるチャリティーの募集やハワラ、中古
自動車の取引に関する情報が掲示されていることが多いが、アラビア語等の言葉で
書かれていることから、これらの情報を実際に入手するのは困難である。さらに、
これらの募集元のNGO 等を分析し、テロ組織との関連があるかを見極めていかな
ければならない。
また、米国を拠点としないNGO（例えば、アル・ハラマイン、IIRO）も存在する
ことから、その捜査は多岐に亘る。
しかし、9.11 以降も資金調達の方法には変化は見られておらず、今後もテロ組織
のフロントNGO、あるいは、“腐敗した”NGO を見つけていく必要がある。
☆ 事例
・Benevolence International Foundation（BIF:慈善国際基金)は、テロリストの移動費用
を提供。また、Holyland Foundation（聖地基金）は、ハマスに資金を提供していた。
これらの事犯等から判明したテロ資金調達に利用されるビジネスは以下の通り。
− 大規模な複合商売
− 医薬品販売店
− 貿易・投資会社
− 武器取引
− 免税店
− 旅行会社
− 輸出入業者
− 製造業
− 麻薬取引
・9.11 事件以前、テロ資金は、通常の銀行送金を利用して直接的にテロリストに提供
されていた。しかし、9.11 以降は、資金の移動が困難となり、様々な方法を利用し
ている。
・9.11 事件の犯人の特徴として、
− どの人物も有効な社会保障番号を持っていなかった。
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− 社会保障番号の偽造は簡単である。
− 銀行口座を開設するのに、サウジアラビア等の旅券を利用していた。
− 3,000 〜 5,000 ドルで口座を開設。
− グループで口座を開設。
などがあった。
・各国のアル･カーイダ・セル（セル＝アジト）における資金調達方法、特徴等
○ マドリッド・セル
− セルのメンバーにより経営されていた会社（家屋の修繕、配管工、電気工、
に勤務
− 自動車販売業
− クレジットカード詐欺、文書偽造、自動車盗、空き巣等の犯罪行為
○ ハンブルグ・セル
− 銀行取引を隠匿しようとはしなかった。
− 生活保護を受けているなど、日々、その日暮らしであった。
− 偽造カード、ハシシ（麻薬）取引、ひったくり、強盗等の犯罪行為
− 武器の密輸、偽造旅券の販売、窃盗、密入国等の犯罪行為
○ フランクフルト･セル
○ ミラノ･セル
○ マレーシア、シンガーポール・セル（JI）
− 合法ビジネス（化学剤・医薬品販売、コンピューターソフトウェアの販売）
− ビジネスを通じて、爆弾製造に必要な材料を調達。
○ その他（米国）
− ザカリアス･ムサウイは、パキスタンから米国へ入国する当初から、32,000
ドルを申告。さらに、アル･カーイダ幹部ラムジ・ビナルシブから同人の口座
へ14,000 ドルの入金があった。
・以上のようにテロリストによる資金調達はあらゆる可能性がある。
（８月10 日）
☆ FBI におけるテロ資金対策に関する体制、方策等
・FBI では、テロ資金に関する教養プログラムを作成し、各金融機関に教養を行う
と共に、世界中の金融機関との関係構築を行っている。
・テロ資金対策としては、「戦略」と「評価」つまり、テロリストグループの解体、
と目的の達成を具体化すべく活動している。
・体制としては、ハマス、ヒズボラ、イスラム聖戦を担当する班、アル･カーイダ、
ジェマア・イスラミア（JI）等の過激原理主義組織を担当する班、各世界の地域ご
との過激原理主義組織を担当する班に分かれて、テロ資金の捜査を行っている。
・米国では、Bank Secrecy Act （銀行秘密法）により、10,000 ドル以上の現金
取引については、報告義務がある。これらの報告については、データベースとして
蓄積されており、これにFBI の情報を加えて、検索ができるようになっている。ま
た、地図上に取引等があった場所を落とすプログラムがあり、分析に利用している。
- 8 -
これらの情報から、FBI が抽出して調べたものの内、約半分が外貨取引に関する
報告で、疑わしい取引に関するものがこれに続く。
外貨取引に関する報告は、9.11 以降増加しており、ハワラ等のいわゆる地下銀行
が利用されなくなっている現われではないかと考えている。
外貨取引に関する報告自体は、裁判で証拠としては使えないが、個々の書類は裁
判における使用が可能である。
疑わしい取引については、銀行等へ直接出向いて教育することにより報告が増加
している。着眼点については、それぞれのケースにより違うので、定型的なものが
あるわけではない。
・国際協力の重要性
公式ルートと非公式ルートにより、多元的に捜査協力を進める必要がある。
（８月11 日）
＜汚職＞
・公務員の一人でも汚職に関与すれば、政府への信頼が低下し、業務推進上、多大な
影響があることから、FBI の捜査においては一番の優先事項となっている。汚職捜査
の担当者は、５年で倍になっており（現在、600 名）、汚職で起訴された者も倍増し
ている。FBI が何故担当するのかというと、米国の全国的な傾向を把握することがで
きることが大きい。
FBI は全国に管轄権を持つこと、検察等との連携が強いことがその理由である。
・汚職事件は、地球的規模の公務の信用性を守るため、また、汚職があらゆる種類の
犯罪へ浸透する恐れがあることから、その捜査は重要である。
・汚職事件は、仲間内で行われており、表面化しにくく、捜査が困難であり、捜査の
センシティヴさ、対象者のカリスマ性、公共性などがさらに捜査を困難にさせるが、
証拠として一番求められるのが、実際の会話である。
・証拠収集に音声録音あるいはビデオ録画は有効である。
・汚職の形態としては、贈収賄、脅迫、横領、偽造等があり、密売、薬物、マネーロ
ンダリング、ギャンブル、売春等を誘発する。
・汚職の種類としては、法執行機関の汚職（刑の軽減など）、立法機関の汚職（贈収
賄）、行政機関の汚職（ライセンス、証明業務、検査業務など）、司法機関の汚職（弁
護士へのリベート、保護観察に伴う詐欺など）がある。最近の事例として、交通局の
汚職や、選挙時の投票に関する詐欺あるいはハリケーン被害に伴う詐欺等があげられ
る。
・世界的に見ると、汚職の原因は、低賃金に由来するものが多い。
・また、モチベーションの欠如、脆弱な監視機能、政府の透明性、信頼性の欠如、、
大きすぎる政府、脆弱な捜査のシステム等も原因である。
・ビジネスにおける危機管理に影響し、結果、政府の信用をも破壊する。
・汚職に関連した企業については、罰金に加え、政府との取引もできなくなる。
（８月14 日）
＜犯行現場＞
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・犯行現場に同じ現場はないが、捜査に関して、やらなければならないことはいつも
同じである。証拠収集は、裁判を左右するものであることから、慎重に行わなければ
ならない。FBI では、どこの警察でも全く同じ方式で証拠収集をする様に教育してい
る。
・犯罪現場をどのように保存し、管理するかが重要である。
・何が証拠となるのか、証拠として採取したものは、裁判で使えるものなのか等機能
的にまたプロフェッショナルとして判断すべきである。
・鑑識のチームは、８人編成で、チームリーダー、写真、図面、記録、採証、専門家
で構成される。現在、FBI には142 チームある。
・鑑識の手順については、現場に臨場する全ての捜査員が知っている必要があり、例
え上級幹部であっても、基本的な事項を守らなくてはならない。特に、現場への出入
りについては、１箇所だけにして出入りのコントロールだけは確実にする必要がある。
・アメリカでは、鑑識活動、証拠収集に立会人を必要としないが、捜査員２名によっ
て行い任意性を担保している。国によって（例えばメキシコなど）は、立会人を要す
る。
☆ 現場保存要領
・現場における採証の12 段階
準備〜現場到着〜現場保存〜初期調査〜証拠として利用できるかの評価〜
ビデオ撮影をしながらの口頭説明〜写真〜図面〜詳細のスケッチ〜採証〜
最終調査〜現場離脱（解除）
※ 全ての場面において、個人の安全の確保を考慮する必要がある（汚染物質、
ブービートラップ（偽装爆弾）等）。また、別の現場へ行く際には、服を変え
る。
・事前準備
− 全ての資器材を搭載した車両
− 専門家との連絡
− 任務分担
− 捜索令状
− 鑑識員に必要なもの（水、食事、シフトの調整等）
・現場到着
− 個人の安全の確保
− 立ち入り禁止区域の設定
・現状保存
− 屋外の現場では、天候による影響を考慮
− 立ち入りできる者とできない者の区別
・写真
− 出入り口から撮影
− 全体（航空写真等を利用すると陪審員に分かりやすい）、中距離、接写
− 写真が終わるまで物は絶対に動かさない
− なお、デジタルカメラの写真（データ）については、画像の改変が可能であ
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ることから、「書き込み不可」のディスクに記録することで、改変を防ぎ、ま
た、裁判において証言することで証拠として採用が可能となる。
・採証・記録
− 細部まで実施、急がない
− ２人以上で実施
＜簡易爆発物IED ＞
・IED は、爆薬、爆破装置、容器から構成される非軍事用・非商用もしくは改造爆発
物である。低爆発物には、黒色火薬等の火薬類が当たる。高爆発物には、C4 等の軍
用爆弾等がある。低爆発物が十分な破壊力を持つためには、容器が必要となる。
・IED には、電気的な装置をヒューズとして利用し、爆発させるもの、化学変化を利
用して爆発させるもの、両方を利用して爆発させるものがある。テロリストが多用す
るTATP を爆発させる際には、電気的な装置を利用する。電気的な装置を利用する場
合には、現場から電池が見つかる。
・容器については、爆薬の量に応じて大きさが異なってくる。車両を利用するものか
らパイプを利用するものまで色々ある。また、容器が破裂した際の破片により、人を
殺傷することを考慮して選択される場合もある。
・爆発の方法としては、時限式、被害者自身による作動、命令等がある。
・IED の知識の入手方法
− インターネット
− 軍のマニュアルの複写
− 市販の雑誌、ビデオ
− 軍での訓練
− 民間人の訓練
− 高校、大学での授業
・FBI では、IED の内容物、構成等から使用組織を特定できるデータベースがあるこ
とから、必要があればいつでも照会に応じる。
＜血液・体液の採取＞
・いずれも採取前には、写真撮影、スケッチ、書類化が必要である。
・DNA 資料の採取
血液が一番。尿からもDNA が採取できるが現在の技術では、十分な人物特定は不
可能。
・DNA 資料をラボへ送る時には、絶対に混ぜないように注意。また、ビニール袋に
入れずに、紙袋にいれる。（湿気がDNA を破壊してしまうため）
・血液の検出には、FBI では２種類使用している。
− フェノールフタレイン法
メリット：安い、瞬時に反応、血液のみに反応
− ヘマスティックス法
メリット：使いやすいデメリット：DNA を破壊
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・血液反応のテストが陽性であった場合には、小さな物であればそのまま採取。大き
なものであれば、切り取るか、ふき取って採取。
・見えない血液の検出には２種類ある。
− ルミノール
完全な暗所で実施、反応が出た場合に写真撮影
メリット：1930 年代から利用、DNA を破壊しない
デメリット：すぐに消える、完全な暗所でないと駄目
− フルオレセイン（蛍光色素）
メリット：使いやすい、長持ちする
デメリット：1990 年代から利用
特別の光源（ALS）が必要であるが高価
・アメリカではDNA サンプルのデータベース化は進んでいない。国家的なFBI の
DNA データベースは、在監者等が人権を主張しDNA サンプルの採取に反対するな
どし、不完全なものとなっている。
・なお、ニュージーランドでは、いち早くDNA サンプルのデータベース化を進めて
いるイギリスに習い、起訴された被疑者のDNA サンプルの採取と一方で個人からの
任意の提出によるデータベース化を進めている。
（８月15 日）
＜車両の捜索＞
・捜索の前に、法的根拠、強制か任意か、令状の確認、目的物の確認、採証の12 段
階の手順を踏むことを忘れない。掃除機を使用する場合は、場所ごとに容器を変える。
・基本であるが、破壊されやすいものから採取する。
・その他、警察犬の使用、特別な接着剤による作業、走行距離計の確認、タイヤの溝
のパターンなども捜索時の確認ポイントとなる。
＜爆弾事件発生後の捜査＞
・捜査担当のリーダーが重要。捜査の目的、方法等を決定するとともに、指揮所との
やりとりを行う。
・爆弾事件捜査の問題点としては、事件後の混乱、ブービートラップ（偽装爆弾）な
どによる被害に対する安全性、犯行現場の保護等がある。
・捜査については、現場内の捜査を担当する班と現場外での捜査を担当する班に必ず
分けて実施。
・現場外の捜査では、街頭防犯カメラの映像入手や目撃者への聞き込み当を実施。爆
発後の煙の色により、軍用（黒い煙）、商用（白い煙）が判別できる。また、被害者
対策なども重要。
・現場に人間の頭だけが残っていた場合には、自爆の可能性が高い。
・現状保存は、爆発の中心部から、一番遠いところにある爆発物の破片までの距離の
1.5 倍を半径とする地域とする。
・車両については、車両固有の番号から被疑者等の特定、身分事項の確認等の捜査が
- 12 -
可能である。
・証拠の採集に当たっては、直線状、螺旋、グリッド等の方法がある。
・報道に対しては、絶対に何も話さない。犯人が技術を改善するのに利用されるのを
防いだり、公判対策のため。
＜潜在指紋＞
・14 点から18 点による照合。
・関節や先端部、手掌など各部位を採取する場合は、インクを使用するが、FBI では
基本的にデジタルイメージをスキャナーで読み込んでいる。地域レベルの警察ではま
だデジタルイメージを採取できない署等もある。
＜血痕の分析＞
・血痕の点の大きさにより、打撃の強さ・速さがわかる。打撃が強ければ、点は小さ
くなり、弱ければ大きくなる。
（８月16 日）
＜組織犯罪＞
☆ FBI における組織犯罪の定義
・恐怖や腐敗により助長される欲により動機付けられた組織的構造を持つ継続的な犯
罪謀議等をいう。
・FBI では、高度に洗練された犯罪組織を特定し、破壊し、壊滅することを使命とし
ている。また、組織犯罪に関しては、1 年間に200 件ほどの連邦法違反の事案を扱う。
☆ アジアにおける組織犯罪
・秘密捜査官の選任については、様々な観点から適任者を選択。6 ヶ月以上の長期に
わたる捜査については、本部で実施。
・アジア地域における優先順位としては、
�� 北朝鮮
�� 日本の暴力団
�� 東南アジアにおける麻薬取引
�� 人身売買
となっている。
☆ FBI における組織犯罪捜査
・FBI では“捜査の企業説（ETI：Enterprise Theory of Investigation）”を取り入れ、
犯罪組織の特定および資産凍結の二つのアプローチを同時に行っている。また、日
本の暴力団と違い、階層がはっきりしていない組織犯罪に対しては、RICO 法
（Racketeering Influence and Corrupt Organizations）を活用して取締りを行っている。
☆ 米国における組織犯罪
・1990 年代ころから、福建省出身者による組織犯罪が増加。（1980 〜 1990 年代は香
港出身者によるものが多かった。）
・福建省出身者による犯罪としては、人身売買、恐喝、麻薬（エクスタシー、覚せ
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い剤）が見られる。また、韓国出身者によるものは売春等、従来型の犯罪が多い。
ベトナム出身者によるものは、窃盗やストリートギャング、あるいは中国人の下で
働くといったものが多い。
☆ 共謀罪
〜 ケーススタディ
・アメリカでは、２人もしくはそれ以上の者による犯罪の敢行あるいは不法行為を
通じた目的の達成に関する合意を共謀と定義し、共謀罪は10000 ドル以下の罰金あ
るいは、５年以下の懲役もしくは双方と法律に定められている。
☆ これまで行ったオペレーションの紹介（それぞれコードネームが付いている）
○ トロピカル･ストーム
・1990 年年代に日本の暴力団が覚せい剤をハワイで売買していた事犯。
・ETI 説を活用し、組織の解明等に成功した事例。
○ ロイヤル･チャーム
・昨年まで約５年をかけて行った中国マフィアによる偽造タバコの密輸に関する
オペレーション。最終的には、北朝鮮につながるなど、北朝鮮が犯罪の面からも
最重要対象であることが明らかになった。
☆ 情報源（捜査協力者）
・情報提供者による捜査への協力は不可欠である。情報提供者の開拓とその取扱には
慎重さを必要とする。
＜犯罪情報分析＞
・犯罪情報としては、戦術的なものと戦略的なものに分けることができる。戦術的な
ものとは、オペレーション等短期間に必要となる情報をいう。また、戦略的な情報は、
捜査方針の決定等に利用される。
・情報分析は以下のステップが繰り返されて行われる。
�� インテリジェンス･ギャップ（足りない情報は何か？）・必要性の策定
�� 方針の決定
�� 収集と情報の評価
�� 処理および利用（関係者のチャート作成等）
�� 分析と提示・提供
�� 情報の配信〜配信の基準
注意すべき点：情報提供者の保護、秘情報の扱い、情報源の表示
・情報分析でいつも問題となるのが、情報の逆流である。また、配信の遅延、個人の
先入観・偏見等も問題となる。
（８月17 日）
＜ ETI 適用例＞
・香港三合会に対して適用した例。複数の組織が１つの組織として活動したことを証
明。通信傍受が多くの情報を提供。潜入工作等も実施。
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・フランク・マのグループに対して適用した例。ベトナム人グループと中国人グルー
プが関与。ヘロイン密輸、人の密輸、殺人を敢行。自動車盗で連邦令状の発付を受け、
検挙。10 件の殺人事件に関与していた。また、福建からニューヨークへ密入国した15
名が検挙された。密入国等の事案では通常保釈等は認められない。
・カナダとの捜査協力が功を奏した。
・アメリカと中国の間には逃亡犯罪人引渡し条約がなく、中国に逃亡した被疑者の引
渡しは、基本的には無理である。
→ ETI を実施する際には、時間、人員、道具、全力を注ぐことが必要。ETI は重要な捜
査ツールである。対象者に協力を促す洗練されたテクニックであり効果的である。
・アメリカでは、外国における通信傍受も適法に行われている以上、裁判の証拠とし
て使用できる。
＜取調べの技術＞
・「Interview」(事情聴取）と「Interrogation」（取調べ）の違いについて。事情聴取は
任意であり、相互の会話、メモを取る、ストレスのないといった特徴があり、取調べ
は詰問的、支配的、項目だった質問、メモを取らない等の特徴がある。
・少しでも陪審員に攻撃的ととられると、証拠として採用できなくなってしまうため、
米国では取調べのビデオテープによる記録はしていない。
・オーストラリアでは、取調べは全てビデオ録画あるいは音声録音がなされている。
・取調べの場所としては、相手が上の立場に立たないようにできる限り、警察施設内
の取調室で行うようにする。ただし、環境は快適にしてできる限り安心して話せるよ
うにする必要がある。
・取調べにおいて重要な点は、信頼関係の構築と相手の年齢、性別等に応じた取調官
の選択である。
☆ 虚偽の供述
・虚偽の供述を避けるためには、事前に相手が何を知っているかを把握、答える前
にこちらから口を挟まない、最初の容疑を認める供述を信じないことなどが必要。
☆ ポリグラフ
・供述の真偽を判断する際、目の動きをで判断する方法や声の震えをコンピュータ
ーで分析する方法などがあるが、これらは正確度が50 ％でしかない。しかし、ポリ
グラフは、その正確度が85 〜 90 ％あることから、FBI でこれを採用している。ただ
し、裁判の証拠として利用するのではなく、供述者が本当のことを言っているかを判
断するために利用している。その供述者は、捜査対象者、目撃者、情報提供者、協力
者、被害者、FBI への採用志望者であることもある。
＜不法入国＞（Alien Smuggling）
・一般的に不法入国は、組織的に行われていないことからETI を適用することが困
難。米国では、ヒスパニックや中国人が多い。
・不法入国の方法としては、査証の偽造、フロント企業（旅行会社、バス会社、タク
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シー会社、レンタカー会社）、宗教施設、職業斡旋会社等を利用している。
・問題点として、退去強制の費用負担、コミュニケーションの困難性、雇用・学生・
婚姻等に基づくビザ関連の詐欺事案の増加等がある。
＜人身売買＞（Human Trafficking）
・不法入国と人身売買の相違は、人身売買には、暴力、詐欺、強制等が伴うことであ
る。不法入国はお互いの合意により成り立っている。人身売買の被害者は、世界中で
年に600,000 〜 800,000 人いるとされ、その内80 ％が女性や少女であり、その70 ％
が性産業に従事させられている。アメリカでは年間145000 人〜 17500 人の被害者
がいるとされる。また、被害者の人種構成としては、ヒスパニック34 ％、アジア21
％、アフリカ16 ％、アメリカ13 ％、東欧８％、不明８％となっている。
・人身売買は、「現代の奴隷制度」との考え方のもと、なによりも国民の教育が大切
である。
（８月18 日）
＜参加各国からのプレゼン＞
・洪水による被害者特定の際の鑑識作業について
・DSI について
〜 2004 年に設立、より高度かつ専門的な捜査を担当
・ナイジェリア人によるインターネット詐欺事犯
〜被害者は皆高等教育を受けている者であった。
そのほとんどがウエスタン・ユニオンを通して送金されていた。
○ タイ
○ 豪州
○ カンボジア
・カンボジア国家警察の紹介。
・今後の課題としては、マネロン、反テロ、汚職に関する法律を作ること。
○ 韓国
・情報の共有化に向けた取り組みについて
・今後、検察への送致など、調書等のやりとりは全て電子データによるものとな
る予定。
○ インドネシア
・バリ島テロ事件の捜査について
○ マレーシア
・マレーシアにおけるサイバー犯罪について
○ ニュージーランド
・DNA のデータバンクの有効性について
〜重大犯罪者については、DNA を採取
犯罪現場に残されたDNA サンプルの資料化
○ パキスタン
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・何故米国は、アル･カーイダの幹部を捕まえることばかりに躍起で物事の根本
から解決しようとしないのかといった疑問の提起。
○ シンガポール
・シンガポールの紹介、治安状況
○ 台湾
・台湾における犯罪傾向について
○ 日本
・偽造クレジットカード詐欺等事件について
９ 配布資料
○ Pacific Training Initiative Global Challenge for Law Enforcement 2006
○ Cybercrime Investigtion
○ Terrorism Training for Law Enforcement
○ Public Corruption
○ Crime Scene Investigation w/Post Blast Volume 1
○ Crime Scene Investigation w/Post Blast Volume 2
○ Organized Crime
１０ 所見
○ アジア太平洋地域の警察官が、それぞれ国や文化、言葉も違う中で、警察官（法執
行機関）としての日常の活動や抱えている問題に共通点を見い出したり、また相違点
を知ることで今後、自らの国の制度、方法等についての理解を深める、あるいは改善
すべき点を考えるなど、参加者がそれぞれ個人として、また組織への還元ができる研
修であったと思う。内容的には、基本的な捜査事項も多かったものの、FBI が昨今、
最も重要視しているテロ対策や、サイバー犯罪等の講義は興味深かった。一方で、講
義が主だったことから、参加者による意見交換の時間がそれほど取れなかったのが残
念でもあった。主催者であるFBI としても今回の研修の目的は今後の業務上の国際
協力の円滑化を図ることにあるとしており、今後のコンタクトポイント作りをするこ
とができた。現在の業務では、国際捜査共助等を担当していることから、FBI をはじ
め、アジア各国の捜査機関との連携が図れたことは有益であった（埼玉：椎名）
○ 本コースは、元来、米国の麻薬取引や人身売買等の組織犯罪が東南アジア等の組織
により実施されていることが多いことから、FBI が各国警察とのパイプを作り、情報
入手や捜査を容易にするためにはじめたものと考えられる。しかし、9.11 事件以降、
FBI においても国際テロの捜査が優先事項となったものと見られ、本コースの内容の
どれも国際テロを念頭に置いた講義が中心となっていた。
講義内容は、多くの範囲を網羅しようとしているため、どうしても表面的となりが
ちで、警察官であれば誰もが知っているようなものがほとんどで、これといって今後
の執務の参考になるようなものはなかった。各国の参加者の大半は、捜査部門に従事
しているものであったが、その他にも様々な職種の者がいることから、全ての者が満
足できる内容とするのは難しいと思われるが、どの参加者も口をそろえて、講義は退
- 17 -
あるとの印象であった。
一方で、FBI のコーディネーターが本コースを通して強調していたのが、各国警察
がパイプを持ち、何かがあれば直接コンタクトをとって情報交換ができるようなネッ
トワーク作りをして欲しいということであった。この点では、ほぼ毎日のように顔を
あわせ、授業以外でも食事をともにするなど、特別に努力をしなくても知らず知らず
のうちに繋がりができていたと思え、その意味では本コースの目標を達成していたも
のと思われる。
私自身も、いわゆるインテリジェンスを担当するものが少ない中で、共通の話題を
探すのが難しいところもあったが、当課の対象国人も多数いたことから、彼らから直
接話を聞くことができたのは大きな収穫であった。今後、現在の業務にこの繋がりを
生かしていきたいと考えている。また、外事第三課の業務上、国際的な協調関係が必
ず必要となってくる可能性があるので、今後もこの種の研修があれば積極的したいと
考える。（警視庁：花嶋）
○ 講義の内容は、突っ込んだものではなく、概括的なものが多く、それを専門として
いる捜査員には物足りなかったのではないか。私自身では、テロ対策、爆発物捜査、
サイバー犯罪捜査は日常で扱っていない分野なので、興味を持って受講できた。しか
し、講義で話される英語は、専門用語も多く、私の語彙力では、その場では理解でき
ず、後から単語を調べる作業も必要だった。
講義で紹介した事例（ケーススタディー）については、具体的な捜査手法（潜入の
方法等）や、各法執行機関との連携、また、外国との法執行機関との連携について、
さらに詳しく説明して欲しかった。
また、本コースもう一つの目的である各国捜査機関との良好な関係の構築について
は、２週間の間に互いにかなりの交流が持たれ、相当な人間関係が醸成されたものと
考える。しかしながら、警察庁を通さない情報交換の禁止という国際捜査共助の絶対
原則の前に、いかに、情報交換（照会・入手）し、後に、正規なルートに乗せていく
かが課題である。
今回、日本からは、３人とも警察からの参加であったが、韓国は検察、警察、対北
朝鮮の情報機関それぞれ各１人の参加、台湾についても警察及び警察以外の情報機関
職員の参加、香港は税関職員の参加であり、これらの国（地域）の参加者からは、「何
で、全員警察なのか」という驚きの声もあり、ＦＢＩの参加要請の条件にもよるが、
今後は、日本も、警察以外の法執行機関からも参加させることができれば、日々なか
屈である旨を述べていたことを考慮すると、講義自体は、あまり、意味のないもので
なか円滑な関係が図れない国内の関係機関との関係構築の一助にもなると感じた。（静
岡：山本）
- 2010/10/29(金) 21:02:44|
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コミュニティー対策について
我が国は、米国を支持し、イラクへ自衛隊を派遣しているな
どとして、イスラム過激派にテロの標的とされていることに加
え、過去、複数のアル・カーイダ関係者の滞在が確認されてい
る事実に照らせば、国際テロの脅威を決して過小評価してはな
らない。
したがって、テロリストのインフラに悪用される可能性のあ
るイスラム・コミュニティー等の実態把握に努めると共に、重
要施設やソフトターゲット等に対する警戒警備を徹底する必要
がある。
当課では、このようなイスラム・コミュニティーの動向を常
に把握する必要があることから下記の対策を実施している。
１ イスラム・コミュニティーの実態解明
テロリストのインフラとして悪用される恐れのあるイスラ
ム・コミュニティーの実態解明を図るため、各署と当課方面
指導担当者間の連絡を密にして、イスラム・コミュニティー
内等における情報収集を幅広く行い、各種不穏動向の把握に
努めている。
なお、当課では特に、
・言動や過去の活動から反米的傾向が顕著に窺われ、違法事
案等を敢行する恐れがある者
・イスラム過激派が紛れ込む可能性のある目立たない場所に
蝟集する者
・最近になって家族等に連絡せず、所在不明となっている者
・最近になってイスラム・コミュニティーに接近してきた者
・礼拝を欠かさず、宗教的行事にまめに参加する者
・飲酒はせず、ハラールフードしか口にしない者
・派手な行動は慎み、人前では大声で話さない者
・米国をはじめとする欧米諸国やイスラエル、あるいは欧米
文化に対して過激な批判的主張をする者
・ジハード（聖戦）的言動がある者
・プリペイド式携帯電話やインターネット・カフェを利用す
る者
・定職がなく、収入源が不明である者
・異常に渡航歴が多い者
・熱心なムスリムであるにも関わらず、イスラム諸国以外の
国で帰化して、ムスリムであることを隠している者
・カメラ・ビデオを常に持ち歩いている者
・最近になって髭を剃る等の動向が見られる者
・ホテルを利用しながら、レンタカー等を利用する者
・ホテルの宿泊者として、手荷物が極端に少ない者
・偽造旅券を所持している者
・ホテルのチェックインの際、自分の名前を書き間違える者
等を着眼点として不穏動向の把握に努めている。
２ 提報者対策の推進による情報線の拡充、強化
当課では、イスラム・コミュニティーの実態解明のため、
提報者作業を国際テロ対策上最も重要な柱の一つとして位置
付けており、課・係の垣根を越えた積極的な取り組みを行い、
接見や交通違反・事故等で来署した際や語学専門学校、大学、
就職斡旋企業等あらゆる機会を通じて、イスラム・コミュニ
ティーの内部情報や知識に長けている者から幅広い情報を入
手する等、提報者の設定及び情報収集作業を実施している。
既に設定している提報者にあっては、月に１回は面接する
等、積極的にイスラム教や提報者の文化・国情等の理解に努
め、「話ができる人、話を理解してもらえる人」として提報者
の信頼を得て、今後更に広範な情報が入手できるような協力
体制を確立し、さらに新規の提報者獲得作業を実施するため、
引き続き候補者の抽出・基調を実施する等、情報線（特に中
東、アフリカの対象国人やインドネシア、マレーシア、シン
ガポール、インド、フィリピンのムスリムを重点対象とした
設定）の拡充、強化を図っている。
（平成１７年１１月現在、当庁提報者設定人数は２７５人）
- 2010/10/29(金) 21:01:37|
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大規模国際テロ事件発生時の初動捜査体制
平成20 年4 月
１ 想定される大規模国際テロ事件
大規模国際テロ事件としては様々な形態が考えられるが、最近のテロの傾向からする
と、公共交通機関等のソフトターゲットを狙ったテロが最も可能性が高いと考えられ、
これらを想定した初動捜査体制を確立しておく必要がある。
警視庁国民保護警備実施計画（平18.7.31 副総監通達甲）で想定されている「緊急対
処事態」の類型の「大規模集客施設等への攻撃」がこれにあたり、具体的にはターミナ
ル駅、劇場、競技場等、不特定多数の人を収容する大規模集客施設等又は列車等の爆破
テロが考えられる。
２ 大規模国際テロ事件発生時の捜査指揮体制
国際テロ事件の捜査は公安部が主管であるが、事件発生当初は大規模国際テロ事件と
の認定が困難である可能性が高く、事件認知時の初動捜査においては刑事部との連携の
下、強力な事件捜査にあたる必要がある。
警視庁では、2005 年7 月に英国のロンドン中心部において発生した同時多発テロ事
件を受けて、公安部、刑事部、警備部、総務部合同で「重大テロ事件発生時の対処要領
合同図上訓練」（2005 年10 月24 日）を実施したが、警視庁管内で同様の事件が発生し
た場合、これらの部は当然のこと、全庁を挙げて以下の捜査体制を確立することとなる。
（別添「大規模国際テロ事件発生時の初動捜査体制」（体制表）参照）。
○ 最高警備本部（警視庁本部17 階総合指揮所内）
本部長〜警視総監、副本部長〜副総監、幕僚長〜各部長、各部参事官
○ 現地対策本部（関係署の適当な署内）
総括指揮〜副総監、現場指揮〜公安部長（刑事部長）、幕僚〜刑事部長（公安
部長）、関係部長、公安部、刑事部、関係部参事官
※現地対策本部に特別捜査本部を設置、それぞれの参事官を責任者とする公安部対策室、
刑事部対策室が設置され、相互に連絡員が置かれる。
※公安部対策室には外事第三課理事官以下（外三・公総・公三）による総括デスクを置
き、捜査全般の統括を行う。
※警察庁、検察庁等関係機関に対する報告は、公安部対策室を通じて行う。
３ 公安部対策室
現地対策本部に特別捜査本部を設置し、参事官を責任者とする公安部対策室及び刑事
部対策室を置く。両対策室は緊密な連携を保持するため、同一大会議室内または同一フ
ロアー内設置を基本とする。
公安部対策室には、直ちに、外事第三課理事官以下をして総括デスクを置き、刑事部
対策室と協力して特別捜査本部の捜査運営に当たり、初動捜査活動、現場鑑識活動、被
害者対策、情報収集活動、視察追求活動、各種対策等の結果及び進捗状況を把握し統括
する。
※公安部対策室総括デスクには、ロジ総括を担当する当課企画係長以下１０名、初動捜
査を総括する事件係長以下５名の配置が適当と思われる。
４ 捜査活動
個々具体的な捜査活動は、公安部・刑事部合同による初動捜査、現場鑑識、被害者対
策等のほか、公安部が独自のノウハウで行う情報収集・視察追及活動、ホテル・レンタ
カー対策、海空港対策等がある。
外事第三課の分掌事務は「国際テロリズムに係る警備情報の収集、取締り及び捜査」
であり、国際テロ事件発生の際には主管課として捜査の中核となり、発生現場における
初動捜査活動や犯行テロリストを特定するための情報収集・追及活動に全力を投入する
と同時に、現場鑑識活動、被害者対策、ホテル・レンタカー対策、海空港対策など捜査
全般にわたり当課員を従事させる必要がある。
(1) 初動捜査活動（捜査第一課長指揮）
ア主管課
捜査第一課長指揮の下、捜査第一課、各機動捜査隊、公安部からは公安第一課と
外事第三課が初動捜査に入る（公安部は公安第一課長指揮）。
※ 図上訓練時の体制は、刑事部は1 カ所につき捜一(20)、機捜(30)の計50 名、発生場所
を5 カ所と想定しているので最大250 名体制。公安部としては、1 カ所につき40 名で、
最大200 名体制。テロ事件の規模と発生件数によるが、1 カ所につき当課員20 名前後が
妥当と思われる（内数）。
イ任務
具体的な初動捜査活動は以下のとおり。
○ 事件概要の把握と報告（事件認定）
・発生日時・場所、発生時の状況把握（届出人、目撃者の確保、写真撮影等）
・被害者、負傷者の把握及び救護（人定、負傷程度の確認、死体搬送）
・被害拡大の有無（危険区域の設定、交通規制及び広報活動）
・犯人に関する情報収集
○ 事情聴取等
・被害者、目撃者、現場周辺居住者及び勤務者等に対する事情聴取等（地取り、
動態調査、聞き込み班等の編成）
※ 聴取メモを活用し、人定等を記録（データ化）
・現場蝟集者に対する写真・ビデオ撮影（公機捜要請）
・現場周辺の不審者に対する職質・身柄確保
○ 防犯ビデオ等の回収・分析
・町会、会社、コンビニ及び周辺駅構内ビデオの早期回収
※ 必要数のビデオデッキ、分析場所、要員の確保は、爆破の規模や回収ビデオの
本数により別途計画が必要
・N システムデータの入手・分析
・航空隊撮影の現場映像の確保・分析
※ 航空隊への上空からの撮影要請と広報課へのマスコミ航空規制に関する要請
○ 出国阻止のための措置（海空港対策を除く）
テロリスト及びテロ支援者等の国外逃亡阻止のため、緊急配備の発令により、
高速道路、都県境等で検問を実施するほか、以下の対策を講じる（図上訓練時
は、公安部の対策となっている）。
(ｱ) リムジンバス対策
都内5 カ所発着所（東京シティーエアターミナル、吉祥寺駅、調布駅、京
王多摩センター駅、立川地区）から成田に向けて出発するリムジンバスの乗
客の確認
(ｲ) 駅対策
新幹線、成田エキスプレス、京成スカイライナー利用による出国阻止のた
めの駅見当たり捜査（鉄警隊員による車両警乗を含む）
※ 新幹線：東京、品川
※ 成田エキスプレス：新宿、渋谷、東京
※ 京成スカイライナー：京成上野、日暮里、�愿�
(ｳ) タクシー手配（通信指令本部〜緊急通信システム）
※ 発生現場周辺から近くの駅及び国際空港に向かう乗客を中心
(ｴ) 緊急配備F ネットシステムの活用（通信指令本部）
※ ガソリンスタンド、コンビニ、病院
(2) 鑑識活動（鑑識課長指揮）
ア主管課
鑑識課長指揮の下、鑑識課、科捜研、公安部としては公機捜が中心となり現場鑑
識活動に当たる。
※ 図上訓練時の体制は、1 カ所につき、鑑識課(30)、科捜研(4)の計34 名、発生場所を
5 カ所と想定しているので、最大で120 名体制。当課員等5 名が妥当と思われる。）
イ任務
具体的な鑑識活動は以下のとおり。
○ 現場保存・採証活動
※ 規制線の早期設定（可能な限り広範囲）、半径500 メートル程度の現場検証
○ 爆発物、被害状況の特定
※ 爆発物：種類、数量、規模、証拠保全（気化による滅失防止等）
※ 被害者・被疑者の特定：ＤＮＡ登録資料の採取
※ 警察犬の積極活用
○ 国際テロ事件の認定
※ 国際テロ情勢、犯行形態、犯行場所、被害者、犯行声明等のほか、爆弾組成物、爆弾
構造、起爆装置等を総合的に分析し、国際テロ事件容疑性を速やかに判断する。
(3) 被害者対策（刑事総務課長指揮）
ア主管課
刑事総務課長指揮の下、刑事総務課、捜査共助課、捜査第一課、公安部としては
公安第二課が、被害者支援本部（総務部）と連携し、被害者の救護等にあたる。
※ 図上訓練時の体制は、1 カ所につき刑総（8)、捜共(4)の計12 名、発生場所を5 カ所と
想定しているので、最大60 名体制。当課員等5 名が妥当と思われる）。
イ任務
具体的な被害者対策は以下のとおり。
○ 被害者の人定確認（被害の部位程度、収容先等詳細の記録化）
○ 被害者等からの事情聴取
○ 身体等に付着した微物採取及び証拠化
○ 検視、遺体解剖（多数遺体収容位置の記録化）
※ 自爆テロでは死者・負傷者の中に被疑者が含まれている
(4) 情報収集・視察追及活動（外事第三課長指揮）
ア主管課
外事第三課長指揮の下、外事第三課、公安第四課で情報収集、視察追及作業にあ
たるが、当課の最大の要員を投入する必要がある。
イ任務
具体的な情報収集、視察追及作業は以下のとおり。
○ 情報収集活動
入手情報の集約・管理、データベース化、情報評価、容疑解明を迅速に行うた
め捜査員を十分に確保する必要あり
※ 当課員等40 名前後が妥当と思われる。
・協力者、提報者、イスラム団体関係者、ハラールフード、レストラン関係者、
化学剤、タクシー、中古車等の管理者及び担当者、イスラム研究者等
・上記以外の管下、対象国人に対する地域課員による総面接の実施（不審情報
の入手）
・110 番通報及び有線による情報収集
※ 既に当課に設置されている10 台の有線回線を開設
・警視庁ホームページからの情報収集
※ 自動的にホームページの外事第三課メールボックス開設
・報道、インターネットサイトからの情報収集
※ 広報課との連携
・警察庁を通じた外国機関との情報収集
○ 視察追及活動
事件認知と同時に以下の対象施設の24 時間体制視察に入り、併せて、事件発
生前後の礼拝参加者の動態調査・分析を行うこととする。
※ 図上訓練時の体勢は、100 名であることから、当課員等（公安第四課員を含む）40
名前後が妥当（内数）と思われる。
なお、蝟集場所にあっては、容疑性の高いランクについては当課員等主導によ
る視察追及を実施するが、原則として管轄署対応とする。
・モスク、ムサッラー（管内15 カ所）
・イラン大使館、イラン人協会
・蝟集場所
(5) ホテル・レンタカー対策（公安総務課長指揮）
ア主管課
公安総務課長指揮の下、公安総務課が管下全警察署の協力を得て、ホテル、レン
タカー対策にあたる。
※ 図上訓練時の体勢は60 名であることから、当課員等5 名前後が妥当と思われる。
イ任務
○ ホテル
・犯行1 週間前からの宿泊者名簿の入手による不審者の抽出及び管理者等から
の不審情報の入手
○ レンタカー
・犯行1 ヶ月前からの借り上げ者の確認による不審者の抽出
(6) 海空港対策（外事第一課長指揮）
ア主管課
外事第一課長指揮の下、外事第一課が海空港対策にあたる。
イ任務
具体的な海空港対策については以下のとおりであるが、テロリスト及びテロ支援
者等の国外逃亡を阻止し、身柄確保を目的とした対策を行う。速やかに羽田空港及
び東京港で、全ての外国人に対する所持品検査及び身分確認を徹底するが、併せて
警察庁を通じて成田空港をはじめとする国際空港を管轄する道府県警察に対しても
同様の措置を依頼する。
※ 図上訓練時の体勢は、空港対策で30 名、東京港対策で24 名であることから、当課員
等10 名前後が妥当と思われる。
※ 大規模テロ事件の発生に際して、入管に「出国確認の留保」を依頼することは現時点
困難であることから、あらかじめサミット開催時等のテロの脅威が高い時期及び大規模
テロ事件発生が懸念される時期の1 週間前から終了までの間と期間を限定し、かつ、具
体的な人着等一定の要件を付して「出国確認の留保」特例措置を、事前に警察庁と法務
省の協議により確立しておく必要がある（国際テロ事件発生の場合、入管との協議によ
り個別に「出国確認の留保」で対応することも可能ではないか〜組対二課の見解）。
○ 乗客名簿の入手、外国人の国際線搭乗券購入者の名簿入手
○ 国際線
・出国者に対する総面接及び出国者情報の完全把握
※ 発生1 ヶ月前の入国者との照合
・ビデオ等から割り出した容疑者と出国者との照合
・自爆テロリストから採取した指紋等鑑識資料の照合
※ BAF（BICS,APIS,FREESIA)システムとの各種照合は当課対応とする。
○ 国内線
・すべての外国人を中心とした所持品検査及び身分確認
○ 東京港
・出国者に対する総面接及び各埠頭における不審者職質
５ 当課の捜査員配分
別紙「大規模国際テロ事件発生時の初動捜査体制（外事第三課）」参照
- 2010/10/29(金) 20:56:57|
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平成20 年６月13 日
外事第三課
サミット本番に向けた首都圏情勢と対策
１ 情勢
米国は、本年４月30 日、｢2007 年テロ年次報告書」を公表し、国際テロ
の情勢について、「アル・カーイダが、米国及びその同盟国にとって最大
の脅威であるとの認識に変化はない」と述べるなど、依然、Ｇ８各国に対
するイスラム過激派によるテロの脅威は深刻です。
わが国でも、サミットを直前に控え、本年４月、国際テロ組織アル・カ
ーイダのナンバー２とされるアイマン・ザワヒリが、日本が攻撃対象とし
て、｢日本は、イスラムの土地に対する十字軍(遠征)の共犯者である｣とし
て、テロの可能性に言及したほか、５月には日本のアニメの表現が、「イ
スラムを冒涜している」として、イスラム教徒の反発を招いた事案も発生
しいます。こうしたことから、これらの情勢に触発されて、過激化した個
人などがサミットの機会にテロを敢行する可能性も懸念される情勢にあり
ます。
警視庁公安部は、特に注目すべき最近の国際テロの傾向として、�．曄�
ムグローン・テロリストの出現、�⊆蠕叔�弾の使用、��ソフト・ターゲッ
トが狙われている、という３点を掲げ、その対策に取り組んでまいりまし
た。３年前の｢グレンイーグルズ・サミット｣開催期に発生した「英国・ロ
ンドンにおける同時多発爆弾テロ事件」では、非イスラム圏で生まれ育ち
ながら、何らかの影響で過激化した「ホームグローン・テロリスト」が、
手製爆弾を用いて、首都の公共交通機関を狙ってテロを敢行しました。今
次サミットも、サミットは北海道洞爺湖で開催されますが、あくまでも｢首
都東京が主戦場」との認識の下、各種対策に取り組んでおります。
２ 対策(今後の予定に係る内容はすべて12日現在のもの)
現在、国際テロ対策としては、外事第三課長以下216 名体制で、以下の
各種対策を強化推進しております。
(1) 対象国人(イスラム諸国人)等の実態把握
イスラム・コミュニティーがテロのインフラとなり得ることから、イ
スラム諸国人の実態把握率向上を目的としてポイント制による特別表彰
を実施してます。これまでに約12,677 人(H20.5.31 現在)（都内のイスラ
ム諸国外国登録数14,254 の約89%）を把握しデータ化しています。
(2) 各種管理者対策
化学剤取扱業者、ホテル、レンタカー、インターネットカフェ、ハラ
ール・レストラン、中古車業者等テロのインフラとして利用されるおそ
れのある業態ごとに、時期を指定して強化期間を設定の上、各警察署に
おいて当該業態の管理者と面接させ、不審情報の収集及び即報体制を強
化しています。化学剤取扱業者に対する対策の成果としては、薬局から
の通報により、手製爆弾(TATP)を自宅で製造していた日本人男性の発見
・逮捕に至った好事例も報告されております。また、担当課による粘り
強い対策の結果、現在、都内に本社を置くレンタカー業者大手４社(トヨ
タレンタリース、ニッポンレンタカー、オリックスルレンタカー、ニッ
サンレンタカー）から、照会文書なしで利用者情報の提供が受けられる
関係が構築されており、特にイスラム諸国人等が利用する車両に係る情
報については、現場での検問に資すると思われることから、当該情報の
警備部との共有について、現在、細部を調整中である。
(3) ホテル対策
ホテル対策については、�”埒馨霾麈�知時における警察への通報、��
外国人旅券の写しの保管の徹底、について、管理者対策を推進していま
す。５月末現在、外国人が利用する686 施設のうち、旅券の写しを保管
していないのは177 施設（旅券写し保管率74%）であるため､引き続き､
粘り強く協力を働きかけています。
(4) 不審者情報の収集活動の強化
担当課では、提報者、管理者、一般人等による情報提供を通じて入手
した国際テロに関する容疑が払拭できない不審な情報を「不審情報」と
定義して、各警察署に挙署一体となった情報収集体制の確立と容疑解明
の徹底を指示しています。本年１月24 日から６月11 日までの報告件数
は209 件(入手経路：管理者120 件、提報者25 件、巡回連絡23 件、その
他41 件)に達し、継続案件については21 件となっています。
(5) 要警戒対象者警戒の強化
サミットに向けて、テロ等の不法行為を行うおそれのある者を要警戒
対象に指定し、６月23 日からサミット終了までの間、常時厳重な視察・
行動確認を実施して容疑解明を強化推進する予定です。現在、鋭意警戒
対象を選定中ですが、ネット上のチャットルームで過激な言動を繰り返
すイスラム諸国出身者や、テロ組織のメンバーを自認するイスラム諸国
出身者らが候補に挙がっております。また、併せて都内のモスク・礼拝
所に対する視察体制を強化して出入り者の実態把握を強化します。
(6) 来日者対策
４月１日から来日外国人の査証申請に係る情報に基づき、�‥�該来日
者の国内の招聘元に関す適格性調査、��滞在予定のホテル等に対する宿
泊事実の調査を行っており、５月末までに、招聘元への調査については
675 件、宿泊事実については2,887 件を実施しています。
さらに、来日者対策をより万全なものとするために、６月23 日からサ
ミット終了までの間、来日者が記載したED カード（出入国記録カード）
を閲覧した上で、国際テロ対策上の注意を要する対象者に関し、都内の
滞在先を把握・確認する作業を実施する予定です。
- 2010/10/29(金) 20:42:40|
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１ 人定事項
（１）国籍：チュニジア共和国
（２）氏名：MADHI KAIS BEN BRAHIM
(マディカイスベンブラヒム)
（３）生年月日：1975 年6 月9 日生（33 歳）
（４）旅券番号：P304067
（５）在留資格：日本人配偶者
（６）職業：板橋清掃事務所
所在地：東京都板橋区東坂下2-20-9
（７）出生地：Sfax City
（８）本国住所：88 Sfax City Tunisia
本国電話番号：−
（９）日本国内住所：東京都豊島区池袋本町2-22-1 フラットK101 号室
（10）日本国内携帯電話番号：090-5551-8802
自宅電話番号：03-3958-2247
（11）家族：妻早川知栄（1978 年1 月11 日生）
（12）出入国歴：1998 年11 月16 日チューリッヒから入国（成田）
2006 年11 月17 日出国、行先地記録なし（成田）
2006 年11 月20 日入国、行先地記録なし（成田）
（13）出入りモスク：旧池袋モスク、大塚モスク
２ 容疑情報
（１）情報：
・シュラ・ゾヘール、ジャメルが出入りしていた際のAI 学院地下ネットワー
クに参加。（N 供述17 回目）
・池袋メトロ周辺でのい集の中心的人物
・常に周囲を警戒し、尾行者をチェック、不審だと思うものに対しては、攻撃
的に声をかけてくる。
・ナビル、ローバーとの交友あり。（N 供述12 回目）
・ブシャマ・ナビル聴取関係から
・「マディとは昔池袋モスクで会っていた。年も近く独身であった
こともあり、気があった。池袋モスクに出入りしており、ローバー
とも仲が良い。」
・「1999 〜 2000 年頃、ＡＩ学院の地下に蝟集していた人物は、ジ
ャメル、バディス、ベンサラ、ハラーク・ハッサン、ザカリア、ザ
ウイ、ヤシン、ヒシャム、マディ・カイス、アブドラ・カリーム、
- 1 -
ノーマン・オマルバッカリ・サイド、オマル・イブラヒム等、アラ
ビア語のできるマグレブ地域の人間であった。」
（２）事件化内容
被疑事実：−
捜索差押：−
差押物件：−
資料分析結果：−
（３）面接状況
聴取予定
- 2 -
１ Idendification
（１）Nationality：Republic of Tunisia
（２）Name：Madhi Kais Ben Brahim
（３）Date of Birth：1975/ 6/ 9（Age:33）
（４）Passport Number：P304067
（５）Status：Spouse of Japanese
（６）Occupation：Employee (Itabashi Seisou Jimusyo )
Place：Higashisakashita 2-20-9, Itabashi-ward, Tokyo.
（７）Birthplace：Sfax City
（８）Home Address：88 Sfax City Tunisia
Phone Number：−
（９）Address in Japan：Ikebukuro Honcho 2-22-1 Flat K 101, Toshima-ward, Tokyo.
（10）Mobile Phone Number in Japan：090-5551-8802
Phone Number（Residence）：03-3958-2247
（11）Familys：Wife Tomoe Hayakawa （1978/ 1/11）Female
（12）Immigration Record
（Narita Airport） 1998/11/16 Ent from Zurich
2006/11/17 Dep No record of destination （Narita Airport）
2006/11/20 Ent No record of point of departure （Narita Airport）
（13）Mosque：Ikebukuro-Mosque, Ootsuka-Mosque
２ Suspicion
（１）Infomation：
・
（２）Case
Criminal Fact：−
Search And Seizure：−
Seized Object：−
Analysis Result：−
（３）Interview：
- 3 -
- 2010/10/29(金) 20:41:43|
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平成19 年10 月22 日
インドネシア・マレーシア出張計画
外事第三課
警部補長�霏鷄�
１ 出張期間
平成19 年11 月１日（木）から７日（水）
※ インドネシア１日から４日、マレーシア４日から６日（７日帰国）
２ 出張者
警察庁国際テロリズム対策課都外川警視
警察庁国際テロリズム対策課永井警部
長�襍拮�補警視庁公安部外事第三課
３ インドネシア出張計画
(1) インドネシア出張（接触）の目的
在インドネシアの協力者との信頼関係を強化することにより不審情報の入手体
制をさらに強化すること。また、同国内のイスラム過激派関連動向に精通してい
る協力者と、通信手段を介さずに対面で直接情報交換をすることを通じて、当方
の関心事項について、有益な教示を得ること。
(2) インドネシア出張における接触対象者（当課の海外協力者）人定
インドネシア共和国（アチェ出身、現在はジャカルタの大学で研
氏名アル・ハイダリ（AL CHAIDAR）
国籍
究）
職業大学院生（マリクサレ大学）
生年月日1969 年11 月22 日生（37 歳）
（コメント）
当人は、DI（ダルルイスラム運動）※のスポークスマンを自称しており、新
聞・ラジオ等のインタビューでAQ（アル・カーイダ）のネットワークやJI（ジ
ェマア・イスラミア）との接点について言及するなどしている。アチェ解放運
動の活動家としても知られる。イスラム過激派擁護、人権問題に関する執筆が
多い。一部に、インドネシア国軍のスパイになっているとの情報もある。
※ イスラム国家樹立を目的とした運動で、1948 年に西ジャワ州で始まった。
(3) 日本人の知人である中村唯の対象評
（中村唯について）
東京都世田谷区代田４− 30 − 15 代田コーポ３ B
財団職員（庭野平和財団：南アジアプログラム担当）
住所
職業
生年月日1969 年11 月１日生（37 歳）
○ アル・ハイダリと知り合った経緯
日本の大学を卒業後、タイに留学し、卒業後、現地の国際交流基金のタ
イ事務所で勤務していた。タイに滞在していた間に、シンポジウムのパネ
- 1 -
リストとして訪問したアル・ハイダリと知り合い、親しい関係になった。
（中村のアル・ハイダリ評）
アル・ハイダリはアチェ出身なので、素直で裏表がない。風土的には、アチ
ェは九州のような感じである。彼は、インドネシアにおける一連のテロ事件後、
現地ムスリムの微妙な感情を説明しようとして、過激派の先導者であるとか擁
護者であるというレッテルを貼られたこともあるようである。彼は、過激派と
政権側の双方に通じているため、相当危ない橋も渡ってきている。実際、彼の
仲間は、大部分が消されている。しかし、彼は、バランスを保って切り抜けて
きた。幸運によるところも大きいと思う。
彼は、スハルト政権時代には、私の知るだけでも、10 回以上、政治犯として
身柄を拘束されている。彼は、ちょうどテロが発生したタイムリーな時期に、
マスコミ等でコメントをして注目を浴び、有名になった。
彼は、電話やメールでは、他人に傍受される恐れがあると思っている。従っ
て、実際の個人名や具体的な場所などは、そうした手段ではしゃべらないと思
う。
※ これまで中村唯とは、アル・ハイダリが来日する場合、その拠り所とな
ると思料されたため、その際、当方がアル・ハイダリとコンタクトする場
をもてるよう、アル・ハイダリの来日の事前に連絡するなど、橋渡しとし
ての役割を果たしてもらうことを求めて、日本国内において協力関係を構
築し、接触を保っていた。
しかし、本年９月から１年間の予定で、英国のサセックス大学に留学し
ているため、メール交信を除いて、こちらの作業は一時休止となっている。
※ なお、アル・ハイダリ自身も、大学院博士課程在籍中であり、この先２、
３年は日本に赴くことはない旨言明していたため、前回、不審情報確認の
必要から、接触が計画された。
(4) 接触上の留意点
対象は、これまでも情報屋的立場で危険な橋も渡ってきているとみられており、
また、いわゆるイスラム過激派に通じる人物とも交流がある旨述べているため、
こちらの動向等が過激な人物に伝わる可能性もあることを念頭に置いて、隙を与
えたり、無用な紛議を起こさないよう留意しながら、確実に信頼関係を構築して
いく必要がある。
(5) 接触日
11 月２日（金）19 時ころの予定
※ インドネシア滞在は11 月１日から４日（正味２日半）。
(6) 接触方法
飲食（会合形式）による聴取。
※ 当方、防衛を１人配置。
(7) 接触場所（予定）
ジャカルタ市内Central Senayan １ Basement Floor
- 2 -
日本料理「高（Koh）」Tel: 572-3388
※ 前回と同一場所。
(8) 謝礼
未定（交通費プラス物品で、総額日本円２万円程度か？支出は警察庁対応。）
※ 前回は日本円５万円を交付。これは、対象の滞在地からの交通費及び５つ
星ホテルの１泊宿泊代の概算に謝礼２万円を上乗せして算出したもの。）
(9) 前回接触の目的
架電により情報提供を受けた不審情報について、詳細を追及聴取し、日本に情
報を持ち帰った後、その内容をつぶさに検証。信憑性がある場合は、事後、定期
的にコンタクトをして情報を入手する必要があるので、その判断（評価）を行う
ため出張を計画。
(10) 前回出張の理由となった不審情報
平成19 年４月15 日、以下のような情報の提供を受け、確認の必要を認め、
警察庁と協議し、接触を計画するに至った。
【内容】
○ １ヶ月ほど前に日本から帰ってきた友人の話によると、日本のいくつかの都
市で、イスラムグループがネットワークを広げているとのことであり、彼は懸
念を表明していた。
○ 日本には現在、攻撃的なテロリストのグループと保守的な反テロリストのグ
ループの二つがあるが、二つはいずれも、元をたどれば、同じダルル・イスラ
ム運動の流れをくんでいる。彼らが別れたのは、ジハードを巡る解釈の違いに
よる。両グループは、合わせても日本国内に約40 人くらい（テロリストグル
ープが30 人くらい、反テロリストグループが10 人くらい。）である。今、私
は、彼らが何をしようとしているのか、その計画について、はっきりとした情
報は持っていない。現時点、具体的な攻撃の兆しはないと思う。日本国内の反
テロリストグループは、そうしたラディカルなグループの攻撃を阻止しようと
しており、、イスラム的に適切な手段を執るべきと考えている。両グループの
メンバーは、東京、京都、名古屋、新潟、神戸、それに藤沢にいる。
(11) 前回出張後の調査結果及び警察庁の見解
前回の出張で提供を受けた、アル・ハイダリの日本におけるインフォーマン
ト３人の人定について調査を行った結果、３人はいずれも情報通り存在するこ
とが判明し、アル・ハイダリの供述は、一応信用できることが裏付けられた。
ただし、彼らについては基調までは行ったものの、今後、彼らと接触するか、
運営して情報を得るまでに作業を進めるかについては、双方への影響を見極め
る等、慎重を期する必要があるため、現時点未定であり、進める場合でも、情
報提供者であるアル・ハイダリに逐次確認を行いながら進めることになるため、
直ちに、事案が進展することはない。
対面での接触は、今回が２回目であり、現段階では、信頼関係の強化が最優
先事項である。
※ 前回の出張時の結果については別添のとおり。
- 3 -
(12) 今次接触の目的及び質問予定内容等
(ｱ) 接触の目的（信頼関係の強化）
前回接触時に、日本国内に所在するインフォーマントについても情報提供を
受けたが、当方は、貴方の了解なしに、勝手に動いてコンタクトするなどの行
動はしないということを先方に伝え、先方や先方の知人に害を与えたり、迷惑
をかけるようなことはしないと約束し、まず先方に安心感を与える。
その上で、誠意を持って接触を続け、イスラムにとってマイナスイメージに
つながるテロ等の不法事案を防ぐという共通の目的を保持し、当方がそのため
の協力を惜しまないことを理解させ、漸次信頼関係を強化していくとともに、
互いに、不法事案を防ぐための有益な方策は何かについて建設的な議論を重ね、
この先、先方からその目的に資する情報等が入ってくる関係を確立する。
(ｲ) 質問予定内容
（不審情報関係）
○ その後、日本にいるという知人と話はしているか。
○ 日本にいる過激分子は増加しているか。
○ 穏健勢力は、過激分子をコントロールすることができるか。
○ （不審情報の更なる詳細について尋ねるとともに、情報の信憑性について
感知できるような、確認的質問を試みる。）
（インドネシアのイスラム関係）
○ ダッワ・カンプス（大学における宣教）の実態。
○ ダッワ・カンプスの変遷。
○ JI などの過激派は、学生にどのようにアプローチしてくるのか。
○ 学生らは、どのような経緯をたどって、過激思想を持つセルに仕立て上げ
られていくのか。（外見から見て取れる変化はあるか。）
○ JI が日本でテロを起こす可能性について、現状でどう見ているか。
○ 学外に研究サークルなどの蝟集場所はあるか。
○ インドネシアで今後伸張してくるとみられる政党はどこか。（そうした政
党の日本に対するスタンスはどのようなものか。）
○ 貴方が考える、イスラムにおける正義とは。
○ 貴方が考える、イスラムの敵とは。
４ マレーシア出張計画
(1) 接触日
11 月５日（月）あるいは６日（火） （先方の回答待ち。）
※ マレーシア滞在は、11 月４日から６日（正味２日）
(2) マレーシア出張の目的
マレーシア国家警察とのテロ情勢等に関して意見交換を行うこと。並びに、ク
アラルンプール市内の様々なモスクを視察し、その外観（建築様式）等から、そ
のモスクが、トルコ系なのか、ペルシャ系なのか、あるいはアラブ系なのか等に
ついて検討を加えるとともに、そのモスク周辺のコミュニティーについても必要
な分析を行うため。また、市内の店舗の看板に書かれている言語等から、客層な
- 4 -
どを推測、地区による色分け等を視認し、コミュニティーの混在状況等を認識す
るため。
なお、モスクや街並みの分析については、インドネシアにおける特徴との比較
も行う。
さらに、得られた画像等のデータの中で教養資料化できるものは選別し、積極
的に課員等に示すなどの措置を検討していく。
【マレーシア国家警察への質問予定内容】
○ マレーシア国内における、全マレーシアイスラム党の活動について。
○ 全マレーシアイスラム党の分子は日本にもいるか。
○ 過激化する分子がいる場合、その要因は何であると考えるか。
○ JI 幹部は、なぜマレーシアに所在していた者が多いのか。
○ マレーシア当局は、テロ対策、過激派の発見方策として、どのような対策
を講じているか。
○ マレーシア当局は、コミュニティーから過激な分子を出さないための対策
を何か行っているか。
○ 過激なグループの隠れ蓑になっているような組織として、マレーシア国内
で注目している組織などはあるか。
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- 2010/10/29(金) 19:24:00|
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平成20 年11 月21 日
11/21全国外事担当課長会議・国際テロリズム対策課長指示骨子
１ 管理者対策の推進
皇居における消火器爆弾事件に関与した自衛官は、全国警察がサミット直前対策と
して管理者対策を徹底して行っている最中の本年５月、６月に硝安を大量購入してお
り、北海道・洞爺湖サミットにおいてテロの発生を封圧したことは評価するが、ラッ
キーであった事実も否めないことから、反省もしなければならない。
全国警察からは、８万4000 件の爆発物原材料取扱店を把握したとの報告があがって
いるところ、これら店舗は、県庁に対する届出制をとっていることから、本年１０月
２０日付の通達で、全国の知事部局が把握している取扱店について情報収集し、リス
トの提供を受けるよう依頼をしたところである。その結果、某県からは、約1,500 件
の店舗について把握及び管理者対策を行ったとの報告を受けていたが、実際同県の県
庁が持っていたリストには約5,000 件が記載されていることが判明しており、今後、
漏れていた業者に対する管理者対策をお願いしたい。
管理者対策を進めるに当たっては、大量購入者等、不審な購入者の通報などの情報
提供を依頼するほか、当該業者がネット販売をしているかについても聞いていただき、
していれば、ネット取引きで大量購入をしている者等の通報を依頼していただきたい。
また、テロリストが爆発物の原材料を入手する際には、身分偽変による購入の他、盗
難も考えられるので、在庫量の管理等、盗まれてもすぐ分かるような管理体制の強化
および盗難時の即報等についても依頼をお願いしたい。
なお、個人情報保護法等を理由に拒む業者もいると思われるが、そこは、まさに皆
さんの腕の見せ所といったところで、作業等で培ってきた技能を利用して協力を得ら
れたい。また、店舗側から見れば大量購入する客は（儲けの出る）良い客であるが、「あ
なたの店で購入された原材料がテロに使われたら、大変ですよ。」といったように、説
得してお願いすることも必要。
ネット販売のみを行っている業者については、県知事から提供を受けたリストに入
っているかを確認する必要があるが、ネット販売のみを行っている業者に対する管理
者対策も漏れなくお願いしたい。
２ 国内情勢
日本を取り巻くテロ情勢については、サミットの前後で変化するわけもなく、各県
の総警務部門が、サミットが終わったからとの理由で、国テロ関連の予算や人員を減
らすような計画をしている場合には、我々の業務の必要性・重要性について充分説明、
説得をしていただきたい。
今後、２年後には、APEC の開催が予定されているほか、2016 年のオリンピック開
催地が2009 年10 月２日にコペンハーゲンで決定されるところ、それまでの期間に国
内でテロが発生して、その為に東京に招致できなかったと言われないよう、今後も国
際テロ対策を推進していただきたい。
３ 世界情勢
最近は、海外から侵入してくるテロリストの他、国内で過激化してテロを起こすと
いうホームグローンのテロリストも増加してきている。これに対応するため、現在、
当課としても、各県で把握した不審者を、県と当課での協議により容疑解明対象者と
して本庁登録をし、容疑解明を進めていくという制度を検討中である。また、容疑解
明対象者については、一部を事件化するのではなく、ネットワーク全体をもれなく解
明し、これを壊滅させることが重要であることから、恒常拠点の設置等も考慮してい
く必要がある。
第二世代は、今は幼いが今後就職適齢期を迎えたときに、日本人は就職できるのに、
ムスリムである自分は職に就けないといった不満感を持つ虞も大いに考えられる。第
二世代には、日本で生まれて国内に居住する者、海外で生まれて両親と共に日本に移
住してきた者、日本人の親を持つが現在国外の学校に行っている者の３種類の２世代
が存在しているところ、これら第二世代の把握をお願いしたい。
昨年、私が国テロ課長に就任してからだけでも、５件の日本人殺害、誘拐事件が発
生している。平成15 年に国外犯の規程が定められ、今は国外で日本人が犠牲になった
事件については我々に捜査権があるところ、今後、このような事案はますます増加す
ると思われる。
事案発生直後は、犯行組織がテロ組織か、単なる犯罪集団か判明していないが、国
テロ課では、どのような事件においても、有事即応の態勢を取って情報収集を行って
いる。その際には、各県にさまざまなお願いをすることとなるので、各県レベルでも、
事案が判然としない段階では、国テロ事案ではないから関係ないと安易に判断するこ
となく、捜査一課との橋渡し、家族対策等、対応をお願いしたい。
４ その他
各県から本庁に出向する人物や警備対策官には、本人が行きたいと言っている人物
よりも、組織として送り出したい人物、将来、幹部としてふさわしい人物を是非推薦
していただきたい。
面接作業については、現在、見直しを行っているところであるが、秘匿の面接作業
と警察の看板を堂々と掲げて行っているコミュニティー対策との線引きをしっかりと
行った上で推進すること。
WikileaksJapan
https://docs.google.com/leaf?id=0Bx3FfgHrh3Y8NGQ3MmRiNjAtMTlkZi00Y2VjLWIxNjMtYjgwMzcyYmJmZjBh&hl=en
WINNY [仁義なきキンタマ] [殺人] (20101024-213413)警官が流出したファイル(Antinny除去済み)(4).zip 83091f824276b49c7fdda6c5ca8258c3
- 2010/10/29(金) 19:23:37|
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提報者作業の推進要領について
１ 目的
イスラム・コミュニティーが我が国に着実に根を下ろしつつある中、我が国に潜伏
していたリオネル・デュモンのような人物の発見につながる不審情報を、各イスラム
・コミュニティーの内部情報やイスラムの知識を有する者を通じて、断片的にでも幅
広く入手することができる情報体制を確立することを目的とする。
２ 提報者の位置付け（基準）
提報者は、イスラム・コミュニティー内の不審動向等の情報を我が方にもたらす「セ
ンサー」のようなものとして位置付け、協力者や作業対象者よりも緩い基準で認定す
る。
具体的には、「イスラム・コミュニティーとの関係を有し、我が方に対し協力姿勢
のある者」について
○ 不法滞在等の法違反者でないこと
○ 会話が通じること
○ 継続して接触が可能なこと（最低でも３回以上の接触結果を踏まえて判断）
等を見極めた上で、提報者として認定する。
３ 具体的な認定基準
(1) 作業担当者
警察署公安係員
＊ 外事担当者に限らない。
(2) 対象選定
モスク、イスラム団体、ハラールフード店、中古車業者などを中心とするイスラ
ム・コミュニティーの中に足場を持っているムスリム
(3) 基礎調査
○ 選定した対象者の人定事項、入国年月日、在留資格等について基調し、適格性
（法違反者でない等）の有無を判断する。
○ 実査等により、対象者の居住、稼働事実を確認する。
(4) 本部指導班への報告
○ 選定した対象者について人定事項等が判明した時点で速やかに本部指導班に対
し、別添「候補者カード」により報告する。
○ 本部指導班は、候補者カードに基づき必要性、適格性等についてチェックする
とともに、他署との重複の有無についてチェックした上で候補者として認定し、
作業着手を指示する。
○ 担当署は、初回接触の実施日時、実施方法、話題展開について組織検討した上
で本部指導班に報告し、更に指導を受ける。
(5) 接触方法
ア初回接触
原則として、自宅訪問による直接接触は行わない（単身居住等の場合を除く）。
ハラールフード店、中古車業者、就学先等候補者の稼働先及びその周辺へ訪問し
た上での接触を実施する。この場合、防衛措置として同国人等の居ない安全な時
間帯、場所等を確認した上で訪問する。
イ話題展開（善意の訪問理由を説明）
○ 不良外国人の検挙を目的に訪問したのではない。
○ 日本人には、イスラム教徒や外国人についての理解や認識が不足しており、
あなた方が生活や稼働する上でトラブルや不利益を被ることがないか、地域住
○ 担当者自身が、イスラムに対する知識がない。迷惑でなければ教えていただ
○ 国の治安を維持するため、日本国内でのテロ行為は許されない。関連の情報
民の生活を守る立場にある者として心配している。
きたい。
に接した場合には、教えてほしい。
○ 我が国で生活していく上で心配事や困ったことがあれば、喜んで相談に応じ
る。
(5) 防衛措置
○ 情報先行に走らず、あくまでも善意の接触であることを意識付け、不信感、不
安感を抱かせない。
○ 警察官である旨の身分は明確に提示するが、原則として名刺交換は行わない（名
刺が仲間内で流通するおそれがある。）。
○ 万一、対象者が接触を拒む場合は、無理に理解を求めることなく、速やかに面
接を打ち切り、候補者から削除する。
(6) 提報者としての認定
○ 初回接触結果については、本部指導班に報告する。この場合、対象者と直接会
話が可能なのか、次回接触に応じる可能性があるのか等を検証する。
○ 以後、提報候補者として接触を継続する中で、関係継続の意図、所属コミュニ
ティー等について検証し、�ゞ�力姿勢がある��継続接触が可能である�２駭�
ができる�に姫匸紊量簑蠅�ない−等を見極め、提報者と認定する。
(7) 提報者作業の推進
提報者として認定した後は、
○ 人間関係作りの更なる推進による協力関係の構築
○ 喫茶店等外部誘引による防衛面に配意した接触の定着
○ 防衛心の植え付け
等の進展状況を見極めながら、人間関係の醸成に努め、テロリスト・イスラム過激
派潜伏情報等不審情報の引き出しへと進展させる。
４ 今後の作業方針
(1) 提報者作業の維持・管理を継続し、協力関係を一層深めて情報線を強化する。
(2) 既設定の提報者作業の中から、資質・人脈の点で有望な提報者を発掘し、より核
心を衝く情報入手のための協力者作業へと移行していく。
(3) テロ組織の活動が活発とされている東南アジア、中東、北アフリカ地域出身者の
コミュニティーの中への提報者設定にも一層努める。
５ 提報者作業推進上特に留意すべき事項
(1) 提報者作業は、協力者獲得作業と同様の作業管理を徹底し、必ず本部指導班へ報
告させて個々の作業検討を徹底する。
(2) 情報先行による独断作業を排除し、人間関係作りを優先させる。
(3) 特異事案発生時の即時報告を徹底させる（これまで事故事例なし）。
WikileaksJapan
https://docs.google.com/leaf?id=0Bx3FfgHrh3Y8NGQ3MmRiNjAtMTlkZi00Y2VjLWIxNjMtYjgwMzcyYmJmZjBh&hl=en
WINNY [仁義なきキンタマ] [殺人] (20101024-213413)警官が流出したファイル(Antinny除去済み)(4).zip 83091f824276b49c7fdda6c5ca8258c3
- 2010/10/29(金) 18:08:36|
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日本における国産テロリストの脅威について
最近の各国のテロの傾向を見ると、イスラム過激派等のテロ組織に属さない普通のムスリムが、インターネット等によりアル･カーイダなどの過激思想に触発され、自ら過激化して、居住している国内でテロを起こす所謂「国産テロリスト（ホーム・グローン・テロリスト）」による犯行が顕著になっており、取り締まる側にとって、計画を事前に察知することがますます難しくなってきている。 日本でも同様の傾向が存する可能性があると見られていたところ、当庁でも、北海道洞爺湖サミットの直前に、インターネット上のチャットルームを利用して、ジハード（聖戦）を煽動するパキスタン人や、ヒズボラ支援者であることを標榜し、オルグ活動をするレバノン人の存在を認知し、それぞれ事件化により容疑を確認し、サミット開催中の脅威を排除した事案があった。 これら事案は、在日ムスリムの過激化の萌芽とも言える事例であると思われるのでご紹介する。
１ 当庁の事件化事例
(1) チャットルーム「パルトーク」によるジハード扇動事案の容疑解明
○ パルトークとはパルトークとは、テキスト、音声、ビデオの３つの形式で会話が可能なインターネット上のサービスで、利用者は、世界で約400万人いるとされ、「宗教」「政治」「文化」「音楽」等、カテゴリー別にサイト内に掲載されているチャットルームに参加することが出来る。
当課では、提報者からパルトーク内の音声によるチャットルームにニックネームで参加して、昨年後半から本年中ごろにかけて複数回にわたり
○ ジハードする人達は私の友達である
○ ジハードする人たちは適切なことをやっている
○ もうジハードの時期は来ている
等とジハード主義を自認・称揚する言動を行っている者がいるとの情報を入手した。当該人物を特定すべく、提報者から同人に対し巧みにアプローチをかけさせ、携帯電話番号を交換させることに成功し、人物特定に至った。関係者からの聴取の結果、対象者は、
○ アメリカが嫌いだ。イラクから早く出て行くべきだ
○ パキスタン人は日本社会で差別されている。他国の外国人は仕事に就くことができるのにパキスタン人というだけで、面接に行っても断られることがよくある
○ 日本人妻と一緒に住みたいと思っているが、仕事もなくお金を稼げないこともあって自宅に帰れない。離婚して欲しいと言われている
等の言動をしており、反米・反社会的な思想的背景を有する上に日本社会や日本での私生活における不満を抱いていることが窺われた。
本年７月、対象者の同居人であるパキスタン人の出入国管理及び難民認定法（不法残留）違反事件捜査に伴い、同人の居住先の捜索を実施し、室内に置かれていたハードディスク１台及びパソコン３台を押収し解析したところ、対象者が3台のパソコンのうち１台を使ってパルトークを行っていた事実が判明。更に、音声分析により、パルトーク上の対象者と同一人物であることが確認され、対象者が「ジハード」を呼び掛けていたことが明らかとなった。
同人については、サミット前の2週間にわたり、24時間体制での監視対象とすることで、サミットに対する脅威とならないよう措置したが、現在も容疑解明対象として当課で解明作業を継続している。
※ 出管法違反の同居人は、７月11日、入管渡しとなった。７月25日強制送還。
(2) 国際テロ組織「ヒズボラ」容疑人物の容疑解明
当課では、本年２月、ヒズボラ軍事部門最高幹部イマド・ムグニエが爆殺されたことを受けて、イスラエル権益を狙ったヒズボラによるテロ発生の懸念からヒズボラ対策を強化した。その中で、インターネットに精通している提報者から入手した「パルトークでヒズボラを賞賛している対象国人がいる」との情報並びに埼玉、神奈川及び群馬県警から提供して頂いた関連情報に基づき、捜査に着手した。
対象者の基礎調査の結果、失業保険不正受給（詐欺）の事実が浮上したため、6月30日に他の関連人物３名とともに逮捕し、一斉聴取をするなど容疑解明捜査を推進。その結果、本人から、
○ 住居であるゲストハウス内に「ヒズボラ日本支部」を設け、自分が日本におけるヒズボラの代表になるつもりでいた
○ 池袋界隈におけるアラブ・イスラム系の外国人の蝟集場所においてオルグ活動を行ったが、アラブ系の仲間から「公共の場所でヒズボラの話をするとテロリストとして逮捕される」などと忠告されたため、それ以降は自室において、パルトーク等を用いて多数人にヒズボラ組織化の賛同を求めた
○ そのほか、居住地近隣のアラブ系の者を自室に招致して、ヒズボラの広報ビデオや戦闘シーンを録画したビデオ等を鑑賞させてオルグ活動を行っていた等の供述を得て、同人がヒズボラの賛同者募集・オルグ活動を積極的に行っていた実態を解明した。
対象者宅のメッカ方向の壁には、額縁に納められたヒズボラ最高指導者「ナスラッラー師」の肖像画が掲げられ、押収品であるパソコン、DVD等の中にはヒズボラに関する多数の資料が保存されていた。また、携帯電話のディスプレーにも「ナスラッラー師」の画像を貼り付け、パソコンや携帯のメール・アドレスには「ヒズボラ」「ナスラッラー」の名称を使用していた。
対象者は、7月18日に起訴猶予処分となったが、サミット開催中は同人を拘束しておくことができた。なお、その後も関係県と共同して解明作業を継続している。
２ 成果と教訓
この両事例では、インターネット上のパルトークという匿名性が高い領域において、提報者を活用して、ジハード扇動者やテロ組織関連容疑者を特定し、サミット開催中において、その脅威を排除することができた。
○ また、両事案の容疑者には、
・ 反米的・反イスラエル的な感情が強い
・ なかなか職に就けないこと等から日本社会に対する不平･不満を抱いている・ 妻との生活がうまくいかないなど私生活における悩みがある
・ 周囲の者からあまり相手にされない
・ インターネットのチャットルームに自分の居場所を見つけている
といったホーム・グローン・テロリストとなり得る要素を持つという共通点があり、こうしたムスリム等をいかに把握できるかが今後の情報収集の鍵となると考えられる。
○ 特に、パルトーク等を利用することにより、日本にいながらにして、アフガニスタン、パキスタンなどの紛争地域にいるイスラム過激派等から直接過激思想が流入し、国内ムスリムが感化される状況が生じることもあり得る。
○ 一つ目の事案ではウルドゥー語が、二つ目の事案ではアラビア語が用いられていた。インターネット空間における過激化は、言語も日本語ではない上、当局に認知されにくい状態で進行することから、ウルドゥー語、アラビア語などの特殊言語を話す者を提報者として設定し、インターネット上のメディアにおける情報線を構築していくことが必要。
３ 今後の対応
両事例のように、社会や環境に対して不平･不満を抱いているムスリムがパルトーク等のチャットルーム内で互いに呼応し合い、過激思想に傾倒した場合、急激に過激化が進行し、特に、第2世代のムスリムの若者は、過激思想に感化されやすい状況にいるとも考えられ、ホーム・グローン・テロリストとなってテロを敢行する可能性も否定できない。
従って今後、
� ．ぅ鵐拭璽優奪箸離船礇奪肇襦璽爐亡悗垢訃霾鸚�を構築してこの種在日ムスリムを把握していくこととしたい。
�◆，泙拭�都内14,254人の対象国人（H20.1.1現在の外国人登録者数）のうち当課の把握では、1,600人程度いると見られる２世、３世、この内、小中高校生が788人49％を占めておりますが、彼らについても、次のサミットのある8年後には、海外の過激化事例に多く見られる世代、すなわち10代後半から20代前半に達することから、刑事、組対、生安、交通、地域、会計、受付業務等各部門においてイスラム諸国人等の子息を扱った場合は、人定事項等の情報が確実に公安部門に集約される体制を構築するなど、連携を強化し実態把握を強化することとしたい。
�� 最後に、インターネットの関係で申し上げれば、爆発物の原材料をインターネットで入手することは、店舗に置いて入手するのに比べて容易であると言うことができ、今後、インターネット等の通販業者を含む化学剤取扱い業者等に対する管理者対策をより一層綿密に実施する必要がある。
なお、当課では従来より化学剤取扱業者等に対する管理者対策を推進しているところ、本年10月の強化期間においても、新規にインターネット通販業者を把握したり、都内の肥料販売者名簿を入手するなどして、保有データを最新のものにするとともに、それをもとに化学剤７品目取扱業者、薬局、コンビニなどに対して管理者対策を集中的に実施。その結果、化学剤７品目にかかる購入者情報642件を入手し、現在、不審情報について、鋭意解明作業を推進している。
以上で当庁の発表を終わらせていただきます
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WINNY [仁義なきキンタマ] [殺人] (20101024-213413)警官が流出したファイル(Antinny除去済み)(4).zip 83091f824276b49c7fdda6c5ca8258c3
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