東京観光財団のデタラメがまた発覚した。来場者を都に水増し報告していた「観光情報センター」を管理運営する会社に「不正入札疑惑」が浮上したのである。
観光財団をめぐる一連の問題を追及している民主党の伊藤悠都議が28日の都議会で質問した。
それによると、問題の請負企業は「有限会社ムーンクリエイティブ」。ムーン社が観光財団と情報センターの管理運営の契約を結んだのは02年度からで、当時の契約額は6800万円。翌年度以降、8600万〜1億1000万円で契約を続けている。
ところがこの会社は、信用調査機関の調べだと、年間売上高は2億5000万円程度。観光財団からの委託費が実に3〜4割余りも占めるのである。それでいて来場者の水増しとは、あまりにオソマツ過ぎる仕事ぶりだ。一体どういう業者選定をしたのか。
「複数社で競争入札をしたというのだが、大半はムーン社と取引関係があった会社だった。見積書の費用項目も皆、形式が同じ。つまり形だけの入札だったのです」(都関係者)
伊藤議員がこう言う。
「観光情報センターは、観光財団の職員とムーン社が『一体』となって運営する仕組みでした。業務発注者と請負業者が同じ職場だったワケです」
ゼネコンの談合事件で度々出てくる役所と業者の癒着の構図とソックリ。
委託する方も、請け負う方もカネが「血税」という意識がまるっきり欠落しているのである。
(日刊ゲンダイ2010年10月29日掲載)