映画「太陽がいっぱい」のアラン・ドロンの吹き替えや、ラジオの深夜放送などで人気を博した、俳優で演出家の野沢那智(のざわ・なち、本名那智=やすとも)さんが30日午後3時36分、肺がんのため都内の病院で死去した。72歳。葬儀・告別式は近親者のみで行い、後日お別れ会を開く予定。喪主は長男聡(そう)氏。タレントの野沢直子はめい。
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アラン・ドロン、ブルース・ウィリスから「スターウォーズ」のC‐3POまで…多くのスターの声を演じた野沢さんが、亡くなった。肺がん治療のために入院していた都内の病院で、30日午後3時36分に息を引き取ったという。
野沢さんは国学院大学を中退後、劇団「七曜会」に入団。その後、いくつかの劇団を経て、77年、劇団「薔薇座」を設立した。プロデュースと演出を担当し、88年には「スイート・チャリティ」で文化庁芸術祭賞を受賞した。
一方で、60年代から洋画のテレビ放送における吹き替えを担当した。特にアラン・ドロンの声を多く務め、「太陽がいっぱい」「ブーメランのように」などでの甘く柔らかい声は評判を呼んだ。また「ゴッドファーザー」シリーズのアル・パチーノ、「ダイ・ハード」シリーズのブルース・ウィリス、ロバート・レッドフォードなど、ハリウッドの主演級の声を次々と演じた。
後進の指導にも力を入れ、「薔薇座」からは山寺宏一、戸田恵子らを輩出。俳優養成学校「パフォーミング・アート・センター」を設立し、代表を務めていた。
また、TBSラジオの深夜放送「パックイン・ミュージック」のパーソナリティーを67年から82年までの15年間務め、白石冬美とのコンビは“ナチチャコ”の愛称で親しまれた。