3回表1死、中越えに同点本塁打を放つ清田=ナゴヤドーム(撮影・冨永豊)
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◇日本シリーズ<第1戦>
◆ロッテ5−2中日
肝っ玉ルーキーが球史に残る大仕事をやってのけた。竜ものみ込んだマリンガンの激流。口火を切ったのは、不動の2番に定着した清田だった。
3回1死走者なし。吉見が投じた2球目のスライダーを思い切りよくたたいた。清田の真骨頂といえる打球はライナーで中堅方向へ。白球をロッテファンが歓声で後押しする。数秒後。竜党が悲鳴をあげる中、広いナゴヤドームのバックスクリーンへ、同点ソロ弾となって吸い込まれた。
「ちょっと先っぽだったけど、角度よく上がったんで『いくかな』と思った。よく飛んでくれましたね」と清田。そんなルーキーに西村監督は最敬礼。「あの一発でベンチが盛り上がった」とお立ち台で褒めあげた。
それだけの価値のあるアーチだ。日本シリーズでは96年の巨人・仁志以来の新人本塁打。初戦での一発は1958年の長嶋茂雄(巨人)以来、52年ぶりだ。しかも、ポストシーズン新人3発は58年の長嶋茂雄、81年の原辰徳、96年の仁志敏久の2本塁打を抜く新記録となった。
「本塁打を打つ打者じゃないんで。長嶋さん以来? まぐれですよ」と目を白黒させる清田。これは謙遜(けんそん)だろう。快打の予感はあった。前日の練習。力を抜いたスイングでも打球が飛ぶようになっていた。「しんに当たればいけるという意識はあった」。快記録の一打は確信を持っての一撃だった。
ルーキーらしく初戦は緊張した。しかし、第1打席の右前打から快打連発。チームに大きな勢いをつけた。「シリーズ男は今江さんですよ」と苦笑いしきりの清田だが、新たなラッキーボーイのにおいが背番号1に漂っている。 (川越亮太)
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