管理人が無精なので、タイムラグがあるのをご容赦いただきたいところですが、重要なニュースが入ってきています。
豪首相がダライ・ラマと会見、中国は豪中関係の悪化を警告
http://www.afpbb.com/article/politics/2240191/1694985
――――――――――以下引用――――――――――
オーストラリアのジョン・ハワード(John Howard)首相は15日、10日間の予定で訪豪中のチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世と会談した。この会談に対し中国政府は不快感をあらわにした。
ハワード首相は当初、ダライ・ラマと会見する予定はなかったが、この中国政府への配慮が逆に批判され予定を変更。日程を調整し、15日午後にシドニー(Sydney)の首相官邸で約20分間会談することとなった。
ハワード首相は会談前、宗教に限らず何でも議論すると語っていたが、会見後はその内容を明らかにはしなかった。
両者の会談による豪中関係の悪化を警告していた中国政府は、ただちにこの会談を非難。
中国外務省の秦剛(Qin Gang)報道官は国営新華社(Xinhua)通信に対し、「ダライ・ラマは単なる宗教的指導者ではなく、分離独立運動に長年関与してきた政治亡命者であり、中国の国家としての一体性を破壊しようとしている」と批判し、「良き豪中関係維持のため、豪政府にダライ・ラマとの距離を改めるよう希望する」と述べた。
――――――――――引用以上――――――――――
このニュースは、地政学的に大きな意味を持っています。
ダライ・ラマ氏について、ごく簡単に紹介しておきます。ダライ・ラマ氏は、記事にもあるようにチベット仏教界の最高指導者です。しかし、同地は中華人民共和国によって征服されてしまっているため、ダライ・ラマご自身はインドに亡命中です。
中国は1950年のチベット侵攻やそれに続く併合を「内政問題」としています。そして、55年にも渡る「侵略」の過程で、相当数のチベット国民が虐殺されています(詳しくは●ダライ・ラマ法王日本代表部にて)。これに対してはかなりの国際的非難が起こっていますが、中国政府は全く耳を貸そうとしません。
しかし、厚顔無恥を絵に描いたような中国も、この点にはやましさを感じているようで、ダライ・ラマ法王が世界の要人と会見すると、即座に非難声明を発表します。
今回、注目に値するのは、オーストラリアの、しかも首相がダライ・ラマ法王と面会したということです。
もちろん、チベットにおける虐殺その他、中国を直接的に非難するよう共同声明を発表したわけではありません。しかし、その重要性は計り知れないものがあります。
まず、オーストラリアは「資源輸出国」であり、中国もその顧客であるという点です。●こちらのPDFをご覧いただくとわかるように、オーストラリアは中国に対して「鉄鉱石」「石炭」「銅鉱石」といった重要な物資を輸出しています。これは、中国が資源を依存しているというだけでなく、オーストラリアも中国がいいお客さんだということでもあります。
しかし、それにも関わらず、オーストラリアがなぜ中国政府を挑発するようなダライ・ラマ法王との会見に踏み切ったのかということです。もちろん、人権問題を憂慮しているから、などという皮相な理由ではありません。
以下で紹介する二つの出来事をご覧になってください。このブログをお読みの方なら、それでもう「解答」が出てくるかもしれません。
日豪、北朝鮮問題で連携・初の2プラス2開催
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20070607AT3S0601H06062007.html
――――――――――以下引用――――――――――
日本とオーストラリアの両政府は6日夜、飯倉公館で初の外交・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)を開いた。国連平和維持活動(PKO)を想定した自衛隊と豪軍の共同訓練といった安全保障協力に関する行動計画の策定の加速を決定。8月の日米豪戦略対話開催へ調整を進める方針などを盛り込んだ共同発表文を公表した。
日豪2プラス2は、3月に安倍晋三首相とハワード豪首相が署名した安全保障協力に関する共同宣言に基づいて開いた。次回は来年に豪州が主催する。今後、日米豪3カ国での協力を深める方向性を確認した。
北朝鮮の弾道ミサイルや核開発問題を巡っては「北東アジア情勢を不安定化する行為だ」と深い懸念を表明。北朝鮮の核放棄をうたった6カ国協議の共同声明などの完全履行へ協力を強化する方針を再確認した。拉致問題の迅速な解決の重要性でも一致した。
――――――――――引用以上――――――――――
この会議の表向きの目的、すなわち北「朝鮮問題への対処」自体はあまり重要ではありません。重要なのはここです。
>国連平和維持活動(PKO)を想定した自衛隊と豪軍の共同訓練
つまり、日本とオーストラリアが、アメリカを飛ばして一体化を図るということです。●以前の記事でも取り上げましたが、アメリカはリムランド(ランドパワーとシーパワーの接点である沿岸地域)の国と個別に安保条約を結んで分割統治するという原則を捨て、リムランド同士の同盟を認めざるを得なくなっているのです。
そうなると、日本とオーストラリアには「仮想敵国」がいるはずですが、果たしてそれは北朝鮮なのでしょうか?
さらに、このニュースです。
ダルフール虐殺黙認 「中国に抗議」米下院決議
http://www.sankei.co.jp/kokusai/usa/070607/usa070607001.htm
――――――――――以下引用―――――――
米国議会下院は5日、本会議で、中国政府がスーダン政府の支援を受けた民兵組織によるダルフールでの大量虐殺を黙認していることは、北京オリンピックの精神に反するとして、抗議する決議案を全会一致で可決した。同下院本会議が賛成410票、反対ゼロ票で可決した同決議案は、「ダルフールでの大量虐殺をやめさせるように影響力を行使することを中国政府に求める」としている。
超党派61議員により、5月21日に共同提案された同決議案は、拘束力こそないが、最終的に共同提案者は130人に上り、5日に採決された。
同決議はダルフールでスーダン政府に支援された勢力が2003年以来、競合部族の大量虐殺を続け、その犠牲者はすでに数十万に達したとして、中国が(1)スーダン産石油の70%を購入する(2)スーダンとの軍事協力を強め、2005年には兵器類約7000万ドル以上を売った(3)スーダンに総額100億ドルを投資した−ことなどから、スーダン政府に対し独特の強いきずなを保つ立場であるのに、大量虐殺をやめさせようとしなかった、と抗議している。
同決議はそのうえで中国政府に対し(1)ダルフール大量虐殺を認識したうえで公式に非難する(2)スーダン政府への兵器の販売を全面停止する(3)スーダンとの経済協力や投資を停止する−ことなどを求める一方、とくに中国政府がこの種の大量虐殺を認め、支援することはオリンピックの精神にはそぐわない、として、中国がダルフールでの大量虐殺を阻止するための行動をとらない場合は北京五輪のボイコットも辞さないという姿勢を明らかにした。
――――――――――引用以上――――――――――
スーダンでの大量虐殺を助長しているのは中国政府であり、状況が改善しないようなら、北京オリンピックへの参加を見合わせる可能性もある、ということです。この話題は先のハイリゲンダム・サミットでも取り上げられています。
実際問題として、アメリカが五輪を完全にボイコットするということは考えにくいのですが、それでもなおこのようなメッセージを発することには意味があります。というより、オリンピックというのは名目で、本当の目的は別にあるのです。なにしろ、アメリカが「人権」などという題目を唱えたときは、100%政治的な裏があるのは今までの歴史から自明です。
これでもう、オーストラリアの首相とダライ・ラマ法王が会見した意味がおわかりでしょう。上記三つの出来事を総合すれば、答えは一つしか出てこないのです。それは、
「世界的な対中国包囲網が形成されつつある」
ということです。
中国は明らかに危険な国家です。経済「発展」しているとはいうものの、国内での貧富の格差はもう是正が不可能なほど拡大しており、メディアが発達したために国民がその状況を客観的に認識して不満を持つようになってしまっています。その上、野放図な開発が、地球規模での環境破壊にまで発展しています。
しかも、この国は貿易で上げた利益を、軍拡に注ぎ込んでいます。世界最大の兵力を誇る陸軍のみならず、近頃はロシア製の艦船を導入したり、自前の潜水艦を開発したりと、海軍の増強まで始める始末です。
国内問題でにっちもさっちも行かなくなった中国が、北京オリンピックを境に暴発する・・・これが世界中の国が恐れている事態です。マスメディアが「記者交換協定」を通じて中国に支配されている日本の国民は、残念ながらこの事態に対して警戒レベルが著しく低いというのが現状です。
その緩んだ現状を反映したのか、それとも個人的に資質が欠如しているのか、我が国の自称「戦う政治家」(笑)である現在の首相は、●中国様の逆鱗に触れないように早速予防線を張っています。政治家として上のステージに到達して、変節する政治家は結構いると思うのですが、この人は落差がひどすぎです。入閣する前は理想論片手に喧嘩腰、入閣したら自分の意見を言わずにダンマリ、首相になったら長期政権めざして現実路線「だけ」・・・いまだに「首相の全てを否定するつもりはない」などとおっしゃる方もいますが、ここまでキッパリスッキリ裏切られて、まだよく弁護する気になるもんだと、感心してしまいます。
そのようなリーダーには即刻退陣していただくとして、日本として取りうる選択はどのようなものがあるでしょうか。
簡単です。中国国内にある「権益」を段階的に手放すということです。
対外的にシーパワー(海洋国家)である日本は、大陸内部に権益を自力で保持することは事実上不可能です。現在中国に現存する日本企業の設備投資は、全て中国側の「厚意」によって利用できているに過ぎません。中国国内で急速に治安や政治状況の悪化があったとしても、日本は自力で権益への攻撃(たとえば●日貨排斥運動のような動き)を排除することは不可能です。そして、日中戦争は日本が権益に固執したことから生まれたことを忘れてはいけません。
そうだとすれば、導かれる解答はひとつしかありません。日本は大陸に権益を持ってはならないということです。それが、あの「十五年戦争」が我々に教えることです。日中友好など、真に受けては絶対にいけません。
そうは言っても、急速にことを進めると国内企業からの反発も大きいでしょうし、なにより有力な資金や技術の提供元である日本を、中国側が手放すわけがありません。だからこそ、たかだか神社に誰が参拝するかという程度のことを大げさな政治問題にしてまで、我々に粘着しようとするのです。
そこで、手始めに、「国際電話回線の縮小」を試みるというのはどうでしょうか。
まず、●以下のリンクにもあるように中国と日本の間にはいくつかのルートで海底ケーブルが存在しています。このうちのいくつかが何らかの「事故」によって切断してしまったら、大騒ぎになるでしょう。ビジネスにもかなりの影響が出るはずです。現に、台湾地震があったとき、海底ケーブルの破損でかなりの影響がでています(詳しくは●こちらのリンクを参照)。
我が国と中国の間のビジネスが盛んだからこそこういった通信ネットワークが整備されているとも言えますが、逆もまた真なり、通信環境が良好だからこそ中国との間でビジネスが盛んになっているとも言えます。
馬鹿を言うな、そんなのNTTみたいな業者がすぐに修復するじゃないか、とお考えの方もいるでしょうね。しかし、ケーブルの破損個所付近で「正体不明の不審船が沈没」したり、「海底火山の隆起があって危険」だったらどうでしょうか?海上保安庁が原因究明を名目に現場付近を封鎖し、ケーブル業者が近づけなくなってしまうはずです。
あるいは、陸揚げ局でテロとおぼしき爆発事故があったらどうでしょう?特に、宮崎で陸揚げされている中国専用のケーブルであるC-J FOSC(China-Japan Fiber Optical System Cable)が狙い目です。まずここを適当な名目をつけて断線させ、中国側の反応を見るべきです。
いざとなれば、沖縄で陸揚げされているアジア向けの最大の回線(40Gbps)も断線させればいいのです。もちろん、同盟国であるオーストラリアとは、グアム経由できっちり通信ラインを確保しておくことを忘れてはいけません。
そうしておいて、次に「中国直通の国際線の便数を減らす」のです。
名目は・・・そうですね。中国向けの直通便をターゲットにした爆破予告が相次ぐとか、不審な機体の故障が続出というのはどうでしょうか?あるいは、中国本土で発生した疫病を予防するために、出入国時のウイルス検査などを厳密化するという手もあります。もちろん、中国からの観光ビザも強化する方向で動くべきです。
こうすると、実に笑える現象が起こるでしょう。それは、あの中国が、日本に対して「安全対策をしっかりやって飛行機を飛ばしてくれ」と懇願してくるというものです。向こうには、日本が落とす金、日本が提供する技術がなくなれば死活問題なのです。
そうなると、こういった政策を司っている「国土交通省」が、中国べったりの公明党の大臣によって牛耳られていることの意味が見えてくるというものです。北側前大臣や冬柴大臣は、中国が合法的に工作員を送り込むための窓口なのです。逆に言えば、ここに対中強硬派、たとえば、●こういう政治家が就任したら、上に上げたような政策を採る可能性がでてきます。
もちろん、経団連あたりからものすごい突き上げがあると思いますが、「反対するようなら、企業防衛のためのポイズンピルを違法にするぞ」と脅せばいいのです。それでも反対する売国企業は、身ぐるみを剥いだ上で、北京や上海に叩き出してやればいいのです。●この会社なんて危ないかも知れませんね(笑)。
麻生外務大臣が首相になったら、こういう政策を期待したいところですが、この人も著作を見るとアジアアジアと連呼しているので、正直あまり期待できません。今の日本に必要なのは、大陸と手を切る勇気を持っている政治家なのですが・・・。
とにかく、中国の暴走を予期して、オーストラリアさえ中国を挑発する策を打っています。我が国も、だんだんと中国と手を切る方向に向かわなければなりません。そうでなければ、中国権益を守るために多大な犠牲を払わされることになります。昔はそれが日本の若者の血だったのですが、今回は何になるのか・・・「尖閣諸島は中国固有の領土」と認めさせられることかも、中国との沖縄共同統治かもしれません。
日本にとって、今後中国と関わることによるマイナスはどんどん増えてくるはずです。この流れを読まずして、我が国の未来を語る意味はありません。
豪首相がダライ・ラマと会見、中国は豪中関係の悪化を警告
http://www.afpbb.com/article/politics/2240191/1694985
――――――――――以下引用――――――――――
オーストラリアのジョン・ハワード(John Howard)首相は15日、10日間の予定で訪豪中のチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世と会談した。この会談に対し中国政府は不快感をあらわにした。
ハワード首相は当初、ダライ・ラマと会見する予定はなかったが、この中国政府への配慮が逆に批判され予定を変更。日程を調整し、15日午後にシドニー(Sydney)の首相官邸で約20分間会談することとなった。
ハワード首相は会談前、宗教に限らず何でも議論すると語っていたが、会見後はその内容を明らかにはしなかった。
両者の会談による豪中関係の悪化を警告していた中国政府は、ただちにこの会談を非難。
中国外務省の秦剛(Qin Gang)報道官は国営新華社(Xinhua)通信に対し、「ダライ・ラマは単なる宗教的指導者ではなく、分離独立運動に長年関与してきた政治亡命者であり、中国の国家としての一体性を破壊しようとしている」と批判し、「良き豪中関係維持のため、豪政府にダライ・ラマとの距離を改めるよう希望する」と述べた。
――――――――――引用以上――――――――――
このニュースは、地政学的に大きな意味を持っています。
ダライ・ラマ氏について、ごく簡単に紹介しておきます。ダライ・ラマ氏は、記事にもあるようにチベット仏教界の最高指導者です。しかし、同地は中華人民共和国によって征服されてしまっているため、ダライ・ラマご自身はインドに亡命中です。
中国は1950年のチベット侵攻やそれに続く併合を「内政問題」としています。そして、55年にも渡る「侵略」の過程で、相当数のチベット国民が虐殺されています(詳しくは●ダライ・ラマ法王日本代表部にて)。これに対してはかなりの国際的非難が起こっていますが、中国政府は全く耳を貸そうとしません。
しかし、厚顔無恥を絵に描いたような中国も、この点にはやましさを感じているようで、ダライ・ラマ法王が世界の要人と会見すると、即座に非難声明を発表します。
今回、注目に値するのは、オーストラリアの、しかも首相がダライ・ラマ法王と面会したということです。
もちろん、チベットにおける虐殺その他、中国を直接的に非難するよう共同声明を発表したわけではありません。しかし、その重要性は計り知れないものがあります。
まず、オーストラリアは「資源輸出国」であり、中国もその顧客であるという点です。●こちらのPDFをご覧いただくとわかるように、オーストラリアは中国に対して「鉄鉱石」「石炭」「銅鉱石」といった重要な物資を輸出しています。これは、中国が資源を依存しているというだけでなく、オーストラリアも中国がいいお客さんだということでもあります。
しかし、それにも関わらず、オーストラリアがなぜ中国政府を挑発するようなダライ・ラマ法王との会見に踏み切ったのかということです。もちろん、人権問題を憂慮しているから、などという皮相な理由ではありません。
以下で紹介する二つの出来事をご覧になってください。このブログをお読みの方なら、それでもう「解答」が出てくるかもしれません。
日豪、北朝鮮問題で連携・初の2プラス2開催
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20070607AT3S0601H06062007.html
――――――――――以下引用――――――――――
日本とオーストラリアの両政府は6日夜、飯倉公館で初の外交・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)を開いた。国連平和維持活動(PKO)を想定した自衛隊と豪軍の共同訓練といった安全保障協力に関する行動計画の策定の加速を決定。8月の日米豪戦略対話開催へ調整を進める方針などを盛り込んだ共同発表文を公表した。
日豪2プラス2は、3月に安倍晋三首相とハワード豪首相が署名した安全保障協力に関する共同宣言に基づいて開いた。次回は来年に豪州が主催する。今後、日米豪3カ国での協力を深める方向性を確認した。
北朝鮮の弾道ミサイルや核開発問題を巡っては「北東アジア情勢を不安定化する行為だ」と深い懸念を表明。北朝鮮の核放棄をうたった6カ国協議の共同声明などの完全履行へ協力を強化する方針を再確認した。拉致問題の迅速な解決の重要性でも一致した。
――――――――――引用以上――――――――――
この会議の表向きの目的、すなわち北「朝鮮問題への対処」自体はあまり重要ではありません。重要なのはここです。
>国連平和維持活動(PKO)を想定した自衛隊と豪軍の共同訓練
つまり、日本とオーストラリアが、アメリカを飛ばして一体化を図るということです。●以前の記事でも取り上げましたが、アメリカはリムランド(ランドパワーとシーパワーの接点である沿岸地域)の国と個別に安保条約を結んで分割統治するという原則を捨て、リムランド同士の同盟を認めざるを得なくなっているのです。
そうなると、日本とオーストラリアには「仮想敵国」がいるはずですが、果たしてそれは北朝鮮なのでしょうか?
さらに、このニュースです。
ダルフール虐殺黙認 「中国に抗議」米下院決議
http://www.sankei.co.jp/kokusai/usa/070607/usa070607001.htm
――――――――――以下引用―――――――
米国議会下院は5日、本会議で、中国政府がスーダン政府の支援を受けた民兵組織によるダルフールでの大量虐殺を黙認していることは、北京オリンピックの精神に反するとして、抗議する決議案を全会一致で可決した。同下院本会議が賛成410票、反対ゼロ票で可決した同決議案は、「ダルフールでの大量虐殺をやめさせるように影響力を行使することを中国政府に求める」としている。
超党派61議員により、5月21日に共同提案された同決議案は、拘束力こそないが、最終的に共同提案者は130人に上り、5日に採決された。
同決議はダルフールでスーダン政府に支援された勢力が2003年以来、競合部族の大量虐殺を続け、その犠牲者はすでに数十万に達したとして、中国が(1)スーダン産石油の70%を購入する(2)スーダンとの軍事協力を強め、2005年には兵器類約7000万ドル以上を売った(3)スーダンに総額100億ドルを投資した−ことなどから、スーダン政府に対し独特の強いきずなを保つ立場であるのに、大量虐殺をやめさせようとしなかった、と抗議している。
同決議はそのうえで中国政府に対し(1)ダルフール大量虐殺を認識したうえで公式に非難する(2)スーダン政府への兵器の販売を全面停止する(3)スーダンとの経済協力や投資を停止する−ことなどを求める一方、とくに中国政府がこの種の大量虐殺を認め、支援することはオリンピックの精神にはそぐわない、として、中国がダルフールでの大量虐殺を阻止するための行動をとらない場合は北京五輪のボイコットも辞さないという姿勢を明らかにした。
――――――――――引用以上――――――――――
スーダンでの大量虐殺を助長しているのは中国政府であり、状況が改善しないようなら、北京オリンピックへの参加を見合わせる可能性もある、ということです。この話題は先のハイリゲンダム・サミットでも取り上げられています。
実際問題として、アメリカが五輪を完全にボイコットするということは考えにくいのですが、それでもなおこのようなメッセージを発することには意味があります。というより、オリンピックというのは名目で、本当の目的は別にあるのです。なにしろ、アメリカが「人権」などという題目を唱えたときは、100%政治的な裏があるのは今までの歴史から自明です。
これでもう、オーストラリアの首相とダライ・ラマ法王が会見した意味がおわかりでしょう。上記三つの出来事を総合すれば、答えは一つしか出てこないのです。それは、
「世界的な対中国包囲網が形成されつつある」
ということです。
中国は明らかに危険な国家です。経済「発展」しているとはいうものの、国内での貧富の格差はもう是正が不可能なほど拡大しており、メディアが発達したために国民がその状況を客観的に認識して不満を持つようになってしまっています。その上、野放図な開発が、地球規模での環境破壊にまで発展しています。
しかも、この国は貿易で上げた利益を、軍拡に注ぎ込んでいます。世界最大の兵力を誇る陸軍のみならず、近頃はロシア製の艦船を導入したり、自前の潜水艦を開発したりと、海軍の増強まで始める始末です。
国内問題でにっちもさっちも行かなくなった中国が、北京オリンピックを境に暴発する・・・これが世界中の国が恐れている事態です。マスメディアが「記者交換協定」を通じて中国に支配されている日本の国民は、残念ながらこの事態に対して警戒レベルが著しく低いというのが現状です。
その緩んだ現状を反映したのか、それとも個人的に資質が欠如しているのか、我が国の自称「戦う政治家」(笑)である現在の首相は、●中国様の逆鱗に触れないように早速予防線を張っています。政治家として上のステージに到達して、変節する政治家は結構いると思うのですが、この人は落差がひどすぎです。入閣する前は理想論片手に喧嘩腰、入閣したら自分の意見を言わずにダンマリ、首相になったら長期政権めざして現実路線「だけ」・・・いまだに「首相の全てを否定するつもりはない」などとおっしゃる方もいますが、ここまでキッパリスッキリ裏切られて、まだよく弁護する気になるもんだと、感心してしまいます。
そのようなリーダーには即刻退陣していただくとして、日本として取りうる選択はどのようなものがあるでしょうか。
簡単です。中国国内にある「権益」を段階的に手放すということです。
対外的にシーパワー(海洋国家)である日本は、大陸内部に権益を自力で保持することは事実上不可能です。現在中国に現存する日本企業の設備投資は、全て中国側の「厚意」によって利用できているに過ぎません。中国国内で急速に治安や政治状況の悪化があったとしても、日本は自力で権益への攻撃(たとえば●日貨排斥運動のような動き)を排除することは不可能です。そして、日中戦争は日本が権益に固執したことから生まれたことを忘れてはいけません。
そうだとすれば、導かれる解答はひとつしかありません。日本は大陸に権益を持ってはならないということです。それが、あの「十五年戦争」が我々に教えることです。日中友好など、真に受けては絶対にいけません。
そうは言っても、急速にことを進めると国内企業からの反発も大きいでしょうし、なにより有力な資金や技術の提供元である日本を、中国側が手放すわけがありません。だからこそ、たかだか神社に誰が参拝するかという程度のことを大げさな政治問題にしてまで、我々に粘着しようとするのです。
そこで、手始めに、「国際電話回線の縮小」を試みるというのはどうでしょうか。
まず、●以下のリンクにもあるように中国と日本の間にはいくつかのルートで海底ケーブルが存在しています。このうちのいくつかが何らかの「事故」によって切断してしまったら、大騒ぎになるでしょう。ビジネスにもかなりの影響が出るはずです。現に、台湾地震があったとき、海底ケーブルの破損でかなりの影響がでています(詳しくは●こちらのリンクを参照)。
我が国と中国の間のビジネスが盛んだからこそこういった通信ネットワークが整備されているとも言えますが、逆もまた真なり、通信環境が良好だからこそ中国との間でビジネスが盛んになっているとも言えます。
馬鹿を言うな、そんなのNTTみたいな業者がすぐに修復するじゃないか、とお考えの方もいるでしょうね。しかし、ケーブルの破損個所付近で「正体不明の不審船が沈没」したり、「海底火山の隆起があって危険」だったらどうでしょうか?海上保安庁が原因究明を名目に現場付近を封鎖し、ケーブル業者が近づけなくなってしまうはずです。
あるいは、陸揚げ局でテロとおぼしき爆発事故があったらどうでしょう?特に、宮崎で陸揚げされている中国専用のケーブルであるC-J FOSC(China-Japan Fiber Optical System Cable)が狙い目です。まずここを適当な名目をつけて断線させ、中国側の反応を見るべきです。
いざとなれば、沖縄で陸揚げされているアジア向けの最大の回線(40Gbps)も断線させればいいのです。もちろん、同盟国であるオーストラリアとは、グアム経由できっちり通信ラインを確保しておくことを忘れてはいけません。
そうしておいて、次に「中国直通の国際線の便数を減らす」のです。
名目は・・・そうですね。中国向けの直通便をターゲットにした爆破予告が相次ぐとか、不審な機体の故障が続出というのはどうでしょうか?あるいは、中国本土で発生した疫病を予防するために、出入国時のウイルス検査などを厳密化するという手もあります。もちろん、中国からの観光ビザも強化する方向で動くべきです。
こうすると、実に笑える現象が起こるでしょう。それは、あの中国が、日本に対して「安全対策をしっかりやって飛行機を飛ばしてくれ」と懇願してくるというものです。向こうには、日本が落とす金、日本が提供する技術がなくなれば死活問題なのです。
そうなると、こういった政策を司っている「国土交通省」が、中国べったりの公明党の大臣によって牛耳られていることの意味が見えてくるというものです。北側前大臣や冬柴大臣は、中国が合法的に工作員を送り込むための窓口なのです。逆に言えば、ここに対中強硬派、たとえば、●こういう政治家が就任したら、上に上げたような政策を採る可能性がでてきます。
もちろん、経団連あたりからものすごい突き上げがあると思いますが、「反対するようなら、企業防衛のためのポイズンピルを違法にするぞ」と脅せばいいのです。それでも反対する売国企業は、身ぐるみを剥いだ上で、北京や上海に叩き出してやればいいのです。●この会社なんて危ないかも知れませんね(笑)。
麻生外務大臣が首相になったら、こういう政策を期待したいところですが、この人も著作を見るとアジアアジアと連呼しているので、正直あまり期待できません。今の日本に必要なのは、大陸と手を切る勇気を持っている政治家なのですが・・・。
とにかく、中国の暴走を予期して、オーストラリアさえ中国を挑発する策を打っています。我が国も、だんだんと中国と手を切る方向に向かわなければなりません。そうでなければ、中国権益を守るために多大な犠牲を払わされることになります。昔はそれが日本の若者の血だったのですが、今回は何になるのか・・・「尖閣諸島は中国固有の領土」と認めさせられることかも、中国との沖縄共同統治かもしれません。
日本にとって、今後中国と関わることによるマイナスはどんどん増えてくるはずです。この流れを読まずして、我が国の未来を語る意味はありません。
石原慎太郎は「北京オリンピックはベルリンオリンピックだ」と看破してましたが、六カ国協議でのアメリカのヘタレぶりはまるでミュンヘン会議のチェンバレン。もう1939年9月1日まではカウントダウンに入ったのではないかとヤーな感じ。
チェンバレンといえば、蚤のシンゾーさんもこのカテゴリーでしょう。私は参院選で政局になったら「チャーチル」が選出されるような投票行動をしたいと思ってますが、リムランド理論をやまとことばに言い換えた人を「意見広告」の議員団が「けしかける」構図以外にちょっと想定できません。
安倍さんは和製チェンバレンというより、第二の近衛文麿です。アジアゲートウェイ構想は、東亜新秩序そのものです。
>リムランド理論をやまとことばに言い換えた人
「自由と繁栄の弧」ですか…彼に第二の日支事変が防げるでしょうか。「中国の台頭を歓迎する」という発言が単なる社交辞令ならいいのですが。
>「中国包囲網」は完成ですか?
地政学的に見れば、それで間違いないでしょうね。
しかし、この「既定方針」が日本にもたらす影響を考えると、日本はおいそれとこの流れに手を貸すべきではありません。なぜなら、朝鮮復興支援(というより武装費用)ということで、ものすごい金額の拠出を強いられ、挙げ句の果てに復興なった朝鮮の利権は、全て国際金融資本に持って行かれることになるからです。
結局、日本に出来ることは、単独で中国からの企業の引き上げ、それに続く「鎖国」政策の実施くらいしかないだろうというのが私の考えです。
こちらもご参照下さい。
世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL159
http://klingon.blog87.fc2.com/blog-entry-263.html
三輪さんの方にも目を通したのですがさらに納得です。
しかし、どうやったらこれを広められるのか・・・
身の回りの人に聞いてもらおうとしても二分も経たずに変人扱いです。
グローバル経済洗脳ってスゴイですね。
>ものすごい説得力ですね。
そう言っていただけると嬉しいです。どれだけ伝わっているか、なにぶん不安なもので・・・。
>しかし、どうやったらこれを広められるのか・・・
>身の回りの人に聞いてもらおうとしても
>二分も経たずに変人扱いです。
いっしょにニュースを見たり、中国の話題が出たときに、さりげなく披露するとよろしいかもしれません。昨今は、食料品のニュースなどもあるので、そういう話題が出たらチャンスかと(笑)。
いきなりランドパワーとか言い始めたら確かに相手の目が点になるでしょうから、外国人労働者やら何やら、わかりやすいレベルの話をした方がいいでしょうね。
>グローバル経済洗脳ってスゴイですね。
このブログをご覧になってそう思っていただけるのは、私としても望外の喜びです。
この洗脳は戦後まもなくしかけられたものだと見るべきでしょう。「国際協調主義」を謳った日本国憲法のことです。敵(笑)にはそういう動かしがたい論拠がありますからね。こちらも相当苦労するのは覚悟の上です。
日本の支援が必要な時期になったら、北朝鮮は「拉致カード」を切ってくるのではないでしょうか。
日本は「拉致問題が進展しない限り支援はしない」と言っていますが、逆に言うと、拉致問題が進展したら支援をすると約束してしまったのでは。
北朝鮮は支援のためなら拉致問題を解決させようとすると思います。
>「拉致カード」を切ってくるのではないでしょうか。
素晴らしい読みですね。私も必ずそうなると思います。
>日本は「拉致問題が進展しない限り支援は
>しない」と言っていますが、逆に言うと、
>拉致問題が進展したら支援をすると約束
>してしまったのでは。
はい、全くその通りです。それすらも分からないで「政治ブロガー」を自称する人間が多すぎます。
安倍内閣は、「核開発」や「ミサイル」などのカードを全て捨てて、最後のカードである「拉致問題」をいきなり切ってしまいました。はっきり言ってアホです。もっとも、それもアメリカから命令されたと考えれば納得が行きます。
初めは拉致問題の「解決」と言っていたのに、いまや「進展」ですよ。横田めぐみさん一人が帰国すれば、「進展」になってしまいそうで怖いです。
今我々にできる抵抗は、北朝鮮という国は害悪そのものであるというメッセージを可能な限り発し続けていくことでしょう。拉致問題も「解決」でなければ許さない、それこそ謝罪と賠償を求める、そのくらいでいいと思います。
もっとも、予言してもいいですが、安倍内閣が拉致問題の「進展」を宣言した途端、全く北朝鮮について触れなくなる、もしくは北朝鮮について好意的な記事を書き始めるブロガーが必ず出てきます。ランキング上位のブロガーに特に注目です。
ちなみに、人気ブロガーでも、三輪耀山氏が全く意見を変えないことは確実です(笑)。