温家宝首相、上海万博「成功」を誇示

上海万博の最終日、最後のパレードを終えて涙を流すダンサーら（共同）

　「より良い都市、より良い生活」をテーマに５月１日に開幕した中国・上海万博は３１日、１８４日の開催期間を終え閉幕。温家宝首相は午前に開かれたフォーラムで演説し、入場者は７０００万人を超え史上最高記録を刻んだと強調、国家の威信を懸けた万博の「成功」を内外に誇示した。夜には閉幕式を開催。

　２００８年の北京五輪と同様、テロなど大きな混乱もなく終了。中国指導部は米国との「Ｇ２（２大国）」時代到来をにらんだ国力増強への自信を一段と深め、温首相は都市化の拡大などを通じた経済構造転換を加速させる決意を表明。だが、各地で失業や官僚腐敗をめぐる抗議デモが頻発、住民の権利意識も高まっており、都市化拡大で政策運営がより難しくなる事態も予想される。

　フォーラムには、潘基文国連事務総長をはじめ、各国から首脳級の政治家や学者らが出席。日本からは大阪府の橋下徹知事らが参加したが、政府要人の出席はなかった。潘氏は、万博の成功を「お祝いする」と述べた。

　温首相は演説で、ハイテクを駆使し環境保護に取り組む都市づくりを主題に掲げたことに言及し「万博は科学技術革新が社会の進歩を突き動かしていくことを証明した」とアピール。「調和の取れた都市の発展を共に推進していこう」との立場を表明し、農村人口を都市に振り向ける都市化の拡大を重視する姿勢を明確にした。

　一方で都市化は「人口の過密や交通渋滞、貧困、文化的衝突、金融危機などこれまでにない挑戦も伴う」と述べ、対策強化の考えも表明した。

　温首相は、上海万博に毎日通い続け「万博おばあさん」と呼ばれる愛知県瀬戸市の主婦、山田外美代さん（６１）の活動も紹介した。（共同）

（2010年10月31日20時44分  スポーツ報知）

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