2010年11月1日 2時30分
東京都青梅市の不審死事件で、被害者の会社員、寺田隆夫さん(当時53歳)には病院での睡眠導入剤の処方歴がないことが捜査関係者への取材で分かった。寺田さんは睡眠状態で練炭の煙を吸って死亡したとみられている。警視庁青梅署捜査本部は、住所不定、無職、木嶋佳苗容疑者(35)が事件直前に処方された睡眠導入剤を使って、練炭自殺を装って寺田さんを殺害したとみて追及している。
寺田さんの遺体が自宅マンションで発見された09年2月、警視庁青梅署は自殺と判断して司法解剖しなかった。このため遺体に睡眠導入剤が残っていたかは分かっていない。しかし捜査1課が寺田さんが加入していた勤務先の健康保険の記録を基に、過去に病院で処方された薬の記録などを調べたところ、睡眠導入剤の処方歴は見つからなかった。
一方、木嶋容疑者が通っていた東京都板橋区の診療所の医師は毎日新聞の取材に、09年1月6日に初めて数種類の睡眠導入剤2週間分を処方したと証言。木嶋容疑者から「眠れない」と、薬の名前を書いたメモを渡されたという。
捜査本部は31日、木嶋容疑者を殺人容疑で東京地検立川支部に送検した。捜査本部によると、木嶋容疑者は容疑を否認している。【山本太一、内橋寿明、小泉大士】