財団法人 角屋保存会(島原角屋 公式サイト)

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角屋もてなしの文化美術館


館長代行

 理事長 中川 清生


 角屋は、島原開設当初から連綿と建物・家督を維持しつづけ、江戸期の饗宴・もてなしの文化の場である揚屋建築の唯一の遺構として、昭和27年(1952)に国の重要文化財に指定されました。
 揚屋とは、江戸時代の書物の中で、客を「饗すを業とする也」と定義されているところによると、現在の料理屋・料亭にあたるものと考えられます。饗宴のための施設ということから、大座敷に面した広庭に必ずお茶席を配するとともに、庫裏と同規模の台所を備えていることを重要な特徴としています。
 所蔵美術品では、昭和58年(1983)に蕪村筆「紅白梅図屏風」が重要文化財に指定されました。また、平成元年(1989)には財団法人角屋保存会が設立され、以来、角屋の重要文化財建造物と美術品等の保存と活用がおこなわれています。さらに平成10年度からは、「角屋もてなしの文化美術館」を開館して、角屋の建物自体と併せて所蔵美術品等の展示・公開を行うことになりました。


開館期間 

3月14日〜7月19日、9月15日〜12月15日

開館時間 

午前10時〜午後4時

休館日

月曜日(祝日の場合翌日)

入館料

一般1000円、中・高生800円、小学生500円(2階の特別公開料金を除く)


※2階の特別公開の座敷(青貝・扇の間他)につきましては、事前にお電話でお申し込み下さい。料金は入場料の他に別途必要です。大人800円、中・高生600円(小学生以下はお断り)


2階特別公開 ご案内時間(約30分)
  午前 10:15
  午後 13:15 14:15 15:15
ただし、定員 各回20名。
電話番号 075-351-0024 にて予約受付(午前10時〜午後5時)


展示目録
 平成22年 秋季企画展


「角屋と風流人展」 9月15日(水)〜12月15日(水)


【開催趣旨】

 「風流」とは、「風雅」とともに、中国から伝わった、「みやび」を表す言葉でありますが、日本では近世に入り、芭蕉が「風雅」を俳諧の本義を示す語として用いました。「風流」は、俳諧に止まらず、詩歌など広く文芸や、しぐさ、しつらい、佇まいなどの趣を表す概念であります。

 江戸中期の島原の案内書『一目千軒』には、揚屋のしつらいとして、「風流を尽くす」と記しております。さらに島原は、江戸後期の京の紳士録にあたる『皇都書画人名録』には、「此地に詩歌連俳書画風雅人また多し」と記され、花街でありながら俳壇や歌壇ができるほど、風流韻事の盛んな土地柄とされました。

 角屋の七代目亭主徳野は、「不夜庵」の師匠炭太祇の薫陶をうけ、島原俳壇の中心的な役割を果たし、与謝蕪村をはじめ諸国の俳人たちとの親交を結びました。俳人のみならず、国学者富士谷成章は「島原八景」を詠んで角屋の襖に揮毫し、兄の儒学者皆川淇園は庭の松に「長松賦」の漢詩を遺しています。絵画では、淇園と交流のあった円山応挙の「馬の間」の襖絵や、蕪村の弟子で、後に四条派開祖となった呉春による「松の間」の地袋絵も伝わっていました。同じく応挙門で、岸派を開いた岸駒も襖絵や屏風絵を遺しております。また岸駒は、有栖川宮織仁親王に召されたことから、角屋へ親王の御成りを仰ぎ、庭の松に御歌や御名を賜る僥倖に浴しております。

 角屋にはまた、金蒔絵を施したあわびの大盃があります。「うき巣」と名づけられ、永年に渡って珍重されてきました。これには、「うき巣帖」と呼ばれる冊子が添えられており、風流人の集ったさまがしのばれます。冒頭の蕪村の文章には、盃が竜宮の乙姫から俵藤太へのみやげものであったこと、今は角屋七代目徳野が所蔵していることが述べられ、さらに「うき巣」と名づけた由来が記されています。「うき巣帖」には、こうした蕪村の由来書きのほか、門人であった月居や歌人の賀茂季鷹らが、同じように「うき巣」を手にして、この盃について思うところを、書き連ねています。

 また、本物の貝盃とは別に、銀製のあわび形の盃も伝わっています。「うつせ」と呼び、これにも「うつせ帖」という折本が添えてあります。揮毫は、歌人富士谷御杖、同賀茂季鷹、俳人月居、歌人香川景樹といった当時一流の風流人が当たっており、それぞれの思いと歌や句を染筆しています。

五言絶句一二首屏風

 このように角屋を訪れた風流人は、兄弟や父子にわたって永い好誼を結びました。富士谷成章は、兄の皆川淇園や子の富士谷御杖、呉春は弟の松村景文、岸駒は、長男の岸岱、娘婿の岸良といった具合に家族ぐるみでのお付き合いがつながり、それぞれ角屋への思いを書画に認めていました。

 本展は角屋を訪れた風流人たちの遺した作品を通して、角屋との交流を概観していただこうと企画しました。


出品目録


展示室

≪絵 画≫

西王母図

円山応挙筆

紙本淡彩

一幅(一期)

太夫図

円山応挙筆

紙本著色板絵貼

一幀(二期)

寿老人図

円山応挙筆

紙本墨画

一幅(三期)

山水図自画賛

皆川淇園筆

絹本淡彩

一幅(一期)

四暢図

松村呉春筆

絹本著色

一幅(二期)

春雨遊行図

松村呉春筆

紙本淡彩

一幅(一期)

高雄図

松村景文筆

紙本淡彩

一幅(二期)

海老寿図

松村景文筆

紙本淡彩

一幅(三期)

太夫図

岸竹堂筆

絹本著色

一幅(一期)

臥龍松図扇面

鈴木松年筆

紙本墨画

一幅(二期)

臥龍松図

村田香谷筆

紙本墨画

一幅(三期)

三拾六歌仙無礼講図        (呉春筆「休息歌仙図」模本)

玉洲筆

紙本淡彩

一巻

朝顔図       玉洲筆

賀茂季鷹賛

紙本淡彩

一葉

亀図         岸駒筆

皆川淇園賛

紙本墨画

双幅(二期)

寿老人図       岸駒筆

皆川淇園賛

紙本墨画

双幅(三期)

≪書 蹟≫

五言絶句一二首屏風

皆川淇園筆

紙本墨書

六曲一双

五言絶句

中島棕隠筆

紙本墨書

一幅(一期)

漢詩扇面

大橋太夫筆

紙本墨書

一幅

「花に咲」和歌懐紙

有栖川織仁親王筆

紙本墨書

一幅(一期)

四季和歌短冊台紙貼

韶仁親王筆

紙本墨書

一幀(二期)

「栽松」和歌懐紙

幟仁親王筆

紙本墨書

 一幅(三期)

「寄松祝」和歌懐紙

転法輪実起筆

紙本墨書

一幅(一期)

和歌懐紙

芝山持豊筆

紙本墨書

一幅(二期)

賦庭

宇治五十槻筆

紙本墨書

一幅(三期)

和歌短冊風炉先屏風

香川景樹筆

紙本墨書

二曲一隻

二条家和歌免状

藤原御陰筆

紙本墨書

一葉

「むしの音も」和歌短冊

六条照伝筆

紙本墨書

一葉

「島原八景の和歌」

半月筆

紙本墨書

八葉

春秋君銘

有栖川織仁親王筆

紙本墨書

一葉

添書

島津正恒筆

紙本墨書

一葉

岸駒宛書簡

島津正恒筆

紙本墨書

一葉

徳門宛太祇書簡

紙本墨書

一幅(一期)

徳野宛蕪村書簡

紙本墨書

一幅(二期)

角亭庭四季句扇面

月居筆

紙本墨書

一幅(三期)

月渓・景文書簡

紙本墨書

一幅(三期)

画萬控

玉洲筆

紙本墨書

一冊

≪工芸品≫

貝盃「うき巣」

一口

「うき巣帖」

一冊

銀盃「うつせ」

一口

「うつせ帖」

折本一冊

濃梨地団扇蒔絵硯箱

一合

三味線箱(蓋裏 牡丹図 円山応挙筆)

一合

 

計42件 49点

 

常時 26件展示


※ただし、展示物保護のため、書画は下記日程において展示替を行います。

一期    9月15日〜10月11日

二期   10月13日〜11月14日

三期   11月16日〜12月15日


平成23年 展示予定

春季企画展「草花の趣(おもむき)展」

秋季企画展「舞太夫の系譜展−新収蔵品を中心に−」


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