大館市バス駆除1 大館市バス駆除2 山釣り紀行TOP
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| 二日目、寒さが厳しい中、昨日と同じ朝8時30分から作業が再開された。地引網は、回を重ねるごとに捕獲数が増えた。午前中に行われた1回目は、ブラックバスが25匹、午後から行われた2回目は117匹と飛躍的に捕獲数が増えた。最大は48センチ、重さは何と2キロを越える大物だった。それでも捕獲できた数は、全体の半分にも満たないという。まだまだかなりの数のブラックバスが潜んでいることは明らか・・・作業を終えた地元の人たちは、悔やみきれず、12月上旬に再度ブラックバスの駆除を実施することが決まった。(上の写真は、2回目に引き上げられた網の中だが、大量のフナ類の下に大きなブラックバスがたくさん混じっていた)
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| 作業は、まず堤防と並行に刺し網を入れ、逃げるのを防止する作業が行われた。 | 地引網の大敵、池底に点在する流木を船に乗って除去してから、地引網を引く作業へ。 |
| 池の幅は大きく160mを超える。地引網の長さは、これに到底及ばない。網を引く作業はスムーズになったとはいえ、その大きな隙間から大量の魚たちが逃げるのがわかるほどだった。魚と人間の知恵比べが続いた。 | |
| 池底にあったタイヤを引き上げたら、その中にナマズが入っていた。 | 地元の人たちが見守る中、懸命な捕獲作戦が続いた。 |
| 地引網を両側から順次巻き込み、いよいよ網が岸に近づくと参加した人たちの心も次第に興奮してくる。しかし、岸に点在する石と網の下の間から追い詰められた魚たちも懸命に逃げた。漁師は言った。「刺し網なら全て捕獲できるが、それではフナに傷がつき死んでしまう。それができないのが残念だ」と・・・。 | |
| 土壇場にきて今度は網の下からドラム缶が見つかった。またまた大量の魚たちに逃げられたと悔やむ。池に潜む障害物は予想以上に多く、作業は難渋した。 | |
| 捕獲された45センチ前後のブラックバス。魚体の大きさもさることながら、小魚たちを呑み込む口の大きさに、参加した人たちは一様に驚いていた。 | 「まるでハタハタ漁みてぇだな」と声が飛ぶほど物凄い数の魚たちが網の中に入った。二次的自然とは言え、ため池のもつ力、美しき水の力に改めて驚かされた。 |
| 地元の人たちが見守る中、ブラックバスの解体調査が行われた。水産振興センターの杉山部長が一つ一つ作業の結果を優しく説明した。その度にブラックバスの恐ろしさに大きなため息が漏れた。 | |
| 左はオスの精子。右は胃袋から出てきた生々しいフナの尻尾。これには、地元の人たちも一様に驚きの声を発した。 | |
| 胃袋から出てきたへら鮒。地元のへら鮒研究会の人たちは、20年も放流を続け、大切に守り育ててきた魚たちが次々と食べられている実態を見せつけられると、一様に怒りを隠さなかった。 | 午前中に解体されたブラックバス。胃袋の中から出てきた魚たちはいずれも大きなフナ類だった。ということは、これより小さな小魚たちは全て食べ尽くされたということだろうか。 |
| 午後から2回目の作業が始まった。これまで魚を一網打尽にしようと、できるだけ大きく巻き込む作戦をとったが、逆に大きな隙間から魚たちを大量に逃がした。今度は、ため池の堤防に直角に網を入れ、左のワンドを小さく巻き込む作戦に変えた。 | 網を仕掛けた位置と岸との隙間から魚たちが大量に逃げ込むのが見えた。石川さんは、竹棒で水面を叩き、魚を網の中へ懸命に追い込む。さすがのベテラン漁師も「疲れた。疲れた。」と何度も言った。 |
| 2回目は大漁、大成功だった。この凄まじい数のフナやコイの中に100匹を超えるブラックバスが入っていた。最後の最後にブラックバスの捕獲作戦は大きな成果をあげた。参加した人たちは、二日間苦労しただけに喜びが爆発したようだった。 | |
| 40センチを遥かに上回るブラックバスが次々と捕獲された。へら鮒釣りの好きな年配者は「こんなにでけぇバスをルアーで釣り上げたら、面白くてやめられねぇだろうな」と大きな声を張り上げた。バス釣りの人気の高さは、捕獲された魚の中でも一際でかい魚体を見れば、容易に理解できる。しかし、手代沼の豊かな池を守ろうと、捕獲に悪戦苦闘する地元の人たちの心を考えると、地元に何の相談もなく、人目を逃れて密かにバスを放流した罪の深さを深刻に受け止めざるを得ない。 | |
| 参加した人たちは、ブラックバスの胃袋の中を何度も見せつけられただけに、捕獲に一層力が入ってきた。ブラックバスの名前を知らないおばあさんもいたが、群れるフナと見たこともない珍魚に「オモシイロイ、オモシロイ」といっては泥の中に入って捕獲していた。 | |
| ブラックバスの食性調査によると、固体の小さいもの、つまり捕食しやすいものから食べるという結果が出ている。捕獲したバスの胃袋を見ると、エビやハゼ、モツゴなど捕食しやすい小魚は皆無、かなり大きなフナ類や同類のバスまで捕食していた。この沼では、バスの異常繁殖と食害がかなり進行していることが伺われた。 | |
| 捕獲された魚は、数千匹に及んだが、バスが最も捕食しやすい小魚は全く確認できなかった。 | |
| 捕獲されたブラックバスは、大きなビニール袋に入れられ、解体調査へ。 | |
| 救出されたフナ類は、軽トラックに積まれ、下流の沼に何度も運搬移動が繰り返された。 | |
| 捕獲されたコイは全て尺以上の大物ばかり。毎年産卵しては、成長する暇もなくバスに食われているだろうと推測する人が圧倒的だった。コイの稚魚はバスの大好物。コイの産卵は20〜60万粒と物凄い数を産卵するが、これらの稚魚をことごとくバスが食べているとすれば、かなりの数のバスが生息していると推定できる。 右は2日間でわずか3匹しか捕獲されなかったナマズ。いずれも痩せていた。食べる餌がないことは明らかだろう。ナマズは、底性生物や小魚、カエルまで貪欲に食べる魚で、ブラックバスと似た食性をもっている。だが、外国生まれの魚には、勝てず消え行く運命にあるのだろうか。ふと地元の人たちが「このごろだば、カエルの姿も見えねぇぐなった」と、深刻に話している会話が、やけに気になった。 |
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| 白銀に輝くフナたち。最大は40センチを超える大きなゲンゴロウブナも捕獲された。この魚は、繊細で、引きが強く、四季折々に釣りが楽しめるため、1年中この魚だけを追い続ける熱狂的なファンも多い。今回参加した大館へら鮒研究会の皆さんも、そうした熱狂的なファンの集まりだ。 | |
| 餌が豊富な沼で育ったブラックバスの見事な魚体。魚を丸ごと呑み込むバケツのような口、下唇が前に大きく突き出し、魚を捕食しやすい形をしている。口と喉にはキザキザの歯が内側に向かって並び、一度呑み込んだ獲物は決して逃げられない構造になっている。大きく膨れ上がった腹部、頭から背中にかけて急激に盛り上がったようにせりあがる背中、腹部には帯のように並ぶ黒い文様、方向転換に役立つ胸ビレ、驚異的な機動力を生む力強い尾ビレ・・・バス釣りの本には「小魚を追い、食いまくるフィッシュイーターとして面目躍如」と書かれている。 | |
| 捕獲されたバスは、次々と解体され、大きなバケツの中へ。 | |
| 上や横から見るより、下から見れば、ブラックバスの口の大きさがよく分かる。「まるで、タラみたいだな」との声も聞こえた。 | 今回はメスが多く捕獲された。杉山部長は、「来年の春になれば、1匹当たり1万粒以上の卵を産む。それを何匹も駆除できた意義は大きい」と語った。 |
| 飛び出した目の部分にワーム針が引っ掛っている。釣り人がハリスを切ってリリース(再放流)したのだろう。 | 次々に2キロ近いブラックバスが、重さを量る器械の上に乗せられた。 |
| 水産漁港課と水産振興センターの職員の手によって解体調査された45センチ前後のブラックバス。測定中にバス釣りにやってきたファミリーがこの大きなバスを見て・・・「こんなでけぇバスがいたんだ。どうして俺には掛からねぇんだ」と首をかしげるように覗いた。 二日間で捕獲したブラックバスは152匹。参加した地元の人たちによれば、捕獲した数は全体の1/4にも満たないだろうと言った。ブラックバスの胃袋から出てきたフナ類やバスの共食いの実態を見て、すぐさま全面駆除の方針が決まった。12月上旬に再度駆除作戦を実施し、来年の秋には、見つけることができなかった一番底の栓を探し出して抜き取り、完全に沼の水を抜いてから駆除するとのことだった。地域の農業を支え、豊かな生態系が保たれてきた手代沼。地域に愛された魚たちを守るために、もともといなかったブラックバスの完全駆除に向けた今後の取り組みに期待したい。 |
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