兵器外観
名称 ボフォース 37mm対戦車砲
[Bofors 37mm Anti Tank Gun]
型式 フィンランド:37 PstK 36
スウェーデン:37 mm pakanon m/34
ポーランド:Armata przeciwpancerna wz36
イギリス:Ordnance Q.F. 37 mm Mk 1
ドイツ:3.7 cm Pak 36(p)
製造国 フィンランド、ポーランド、スウェーデン
製造メーカー ボフォース社、tampella社、VTT社[Valtion Tykkitehdas]
配備国 フィンランド、ポーランド、スウェーデン、オランダ、イギリス、ドイツ、ルーマニア、トルコ、ユーゴスラビアなど
製造初年 1932年(プロトタイプ)
口径 37mm [mm]
口径比 45
砲身長 1740mm [mm]
全長 3.04m [m]
全高 1.09m [m]
全幅 1.03m [mm]
全備重量 370kg [kg]
腔綫 有り(右回り)
砲身材質
砲身命数 [発]
閉鎖機 垂直鎖線式、半自動
平衡機
駐退複座機
最大駐退力 [kg]
後座長 [mm]
照準具
上下射角 -10〜+25 [deg]
水平射角 25 [deg]
最大射程 7400m [m]
装薬
公算誤差
砲口初速 500〜870m/sec [m/sec]
発射速度 最大:30発/min、標準12:発/min [発/min]
砲弾 ・名称:AP-T M/34、分類:徹甲弾[AP-T]、弾丸重量:0.7kg、完成弾重量:1.45kg、梱包重量:2.0kg、最大射程:6500m、貫徹能力:別表Aを参照のこと
上記徹甲弾の他、榴弾[HE]と発煙弾[WP]がある。
操作人員 5 [人]
布設所要時間 [min]
説明  本砲は、スウェーデンのボフォース社が開発した対戦車砲です。ボフォース社でのプロトタイプの製造は、1932年に完了しました。その数年後にM/34と名づけられました。最初の採用国は、オランダで12門を購入し、配備しました。スウェーデンでは、1937年に採用し、最初の型をM/34と呼称し、生産中にM/38に、さらに改良してM/38Fとバージョンアップしています。本砲は、1930年末ごろには、充分に優秀な砲でしたので、前述の国の他、デンマーク、フィンランド、イギリス、ポーランド、トルコ、ユーゴスラビアなどにも輸出されました。また、ポーランドでは、1936年にライセンス生産権を購入し、「Armata przeciwpancerna wz36」の名前で生産し、配備しています。1939年には、ポーランドにドイツが侵攻し、捕獲した本砲を、「3.7 cm Pak 36(p)」として使用しています。ドイツで使用された本砲の一部は、その後、ルーマニアに石油の支払い代金と称してして売却されました。
 フィンランドでは、ライセンス生産権を購入し、1939年に156門の本砲を取得すること決定しました。しかしながら、同年11月30日にソ連の侵攻によって始まる「冬戦争」には、48門しか製造できていませんでした。フィンランドでは、国内で製造されたものの他、スウェーデンから18門を購入し、さらに30門を借り受けました。1941年には、ドイツからポーランド戦での捕獲品の20門を購入しています。フィンランドでは、1941年までに355門の本砲が製造されました(フィンランドにおける本砲の各年の製造数については、別表B参照)。
 フォンランドでは、冬戦争の前に、本砲の弾薬を32000発購入していました。冬戦争勃発後、この弾薬数では、全く足りないことが判り、1939年12月から、国内のVTT社[Valtion Tykkitehdas]で、弾薬の製造を開始しました(1939年12月の生産数は、1680発だけでした)。冬戦争の休戦(1940年3月13日)までに、VTT社は18000発の弾薬を製造しましたが、これでも弾薬の不足は解消しませんでした。弾薬の不足は、1941年まで続きました。その後の継続戦争では、ソ連の中戦車や重戦車には、本砲はあきらかに威力不足でした。一方、フィンランドの戦力不足は明らかでしたので、歩兵の支援火器として使用が続けられました。戦争終結後も、多数の本砲が残っていいましたで、フィンランド軍は、それらを廃棄せず、歩兵砲として1986年まで運用を続けていました。

 本砲の特徴は、砲口制退器の採用と、特異ない防盾の形状です。防盾の厚さは、4〜5mmで、上部に急な傾斜を、底部はヒンジがあり、内側に倒すことができる構造でした。これは、移動時には邪魔にならないように、射撃時には防御効果を高めるための措置でした。全高は、1.09m程度で低シルエット化により、非発見率を低下させています。砲の精度は、射距離500mで0.5m、900mで1.5mでした。
参考文献
参考WebSite 1)7.62mm Tactical Military Gaming
該当ページURL:http://www.saunalahti.fi/~ejuhola/7.62/index.html
TOPページURL:http://www.saunalahti.fi/~ejuhola/7.62/bofors37mm.html
2)Jaeger Platoon
該当ページURL:http://ankkurinvarsi.com/jaeger/AT_GUNS1.htm
TOPページURL:http://ankkurinvarsi.com/jaeger/
写真 写真は、日高様より頂いたものです(禁転載)。

 

別表A 5cm Pak 38の貫徹能力
名称 弾種 弾丸重量
[kg]
初速
[m/sec]
角度※1
[deg]
貫徹能力[mm] 備考
300m 457m 500m 1000m 1200m
AP-T m/34 AP-T 0.7 60 40 33 30 20 15 出展:参考WebSite1より
870 60 40 33 18 出展:参考WebSite2より
※1:角度は、装甲標的の角度を意味し、直立を90degとする。

 

別表B フィンランドにおける 37 PstK 36 の1939〜41年の生産数
メーカー 1939年 1940年 1941年 合計
tampella 48 7 0 55
VTT
[Valtion Tykkitehdas]
48 152 100 300
合計 96 159 100 355

 

写真をクリックすると大きな写真が見られます
(これらの写真は、日高様より頂いたものです(禁転載))
日高様
実写真コレクションの1枚
1942年後期のクリミアで使用されている
ルーマニア軍の対戦車砲中隊の写真。
1943年に出版されたドイツ語の
「BESSARABIEN,UKRAINE-KRIM」より

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2003.2.25更新 対戦車砲format_v1.0