入院生活(1回目)
| 手術後もわたしは昏々と眠り続けておりました。主治医の「ぽぽさん、終わりましたよ分かりますか?」 という問いかけで薄ぼんやりと意識が戻り「はい。ありがとうございます。」と答えました。 その後ベッドの上でシーツごと持ち上げられてレントゲンを撮りました。 さすがにその時だけは、ちょっと痛かったような記憶があります。 そして、また眠りました。時間の感覚はゼロでしたが、後に聞くと朝9時頃に手術室に入って、ナースス テーション横のリカバリー室に帰ってきたのは夜7時頃だったようです。 その後夜中に看護師さんが体温を測りに来て目覚めました。意識はまだ朦朧としていましたが、看護師 さんの横にでっかい図体の主人が立っているのは、はっきりと認識できました。「????」なんで?? すると彼が「よっ!大丈夫か?」と聞くので「うん。大丈夫。ありがとう。」と答えました。 後に聞くとそれは草木も眠る丑三つ時・・・午前4時頃だったそうです。家に帰ったは良いが、あまりの心 配に眠れずに病院にやって来て、守衛さんに事情を話しいれて貰い、「体温を測るところだから一緒に行 きましょう。」と言う看護師さんに伴われて様子を見に来たらしいです。ごくろうさんっす。ありがたいことです。 次の日、目覚めるとにこやかな看護師さんに「導尿の為に入っているバルーンにクリップ留めますからね、 尿意があったら言って下さい。尿が出たらバルーン抜きますから。そしたら病室に帰りますよ。」って・・・おい おい・・・昨日の今日でもう??って感じでした。 痛みは、背中から常時入ってくる硬膜外麻酔のおかげでほとんど感じませんでした。ただ、人造人間みたい に身体のあちこちから出ているドレーンはいただけませんでした。だって、身体痛いのに寝返りもうてないん だもの・・・わき腹とかからも出てるし。 朝の検温&バルーンクリップ止めから2〜30分経ったでしょうか?尿意を感じてクリップを外して貰いました。 排尿成功だったらしく元の4人部屋へ帰ることになりました。「自分で起きれるかな?じゃ、身体起こしてみて」 と言われて体を起こすと目眩がぐらぐら・・・昨日の麻酔がまだ残っていたみたいです。「だめ。くらくらして立て ません。」「それじゃ、歩くのは止めにして、ベッドごと運びますから、寝てて下さい。」って。噂には聞いてたけ ど、あんな大手術の次の日にもう歩かせるんかい!!いやぁ〜!ビックリ!!・・・。 でも、人間って凄いね。結局昼過ぎには目眩もおさまって、高カロリー輸液とドレーンから出る体液を貯めてお く箱を乗せた点滴台をガラガラ押して、歩いてトイレ行けたもの。 だけど、おかしな事に手術の傷は痛くないんだけど、左肩が刺すように痛い。2日位我慢したけど、治らないの で、主治医に訴えると「ドレーンのせいかも知れない。ちょっと引っ張ってみるね。」と全然関係ないわき腹から 出ているドレーンをちょっと引っぱり出してくれた。すると、あ〜ら不思議。あんなに痛かった左肩の激痛がとれ ました。なんで??本当に人間の身体って不思議だわぁ〜。 術後4日も経つと、点滴台をお供にドレーンさばきも鮮やかに、病室のあるフロアーの廊下をお散歩。ばったり 会った主治医に「元気そうだね〜!!」と感心され「もうちょっと経ったら、スキップしながら点滴台押して見せ てあげますよぉ〜!」と片足立ちで軽く踊ってみせるわたしであった。我ながら素晴らしい(笑)。 そんなこんなで、1週間ほど経ちレントゲンで食道と腸のつなぎ目を確認して、お水OKのお許しが。 考えてみたら、高カロリー輸液だけで水も飲んでなかったなぁ。最終的には、高カロリー輸液の為に鎖骨あた りに埋めてあった、点滴用の針が原因で感染症になり、3日ほど40度近い高熱が続き、高カロリー輸液は終了 となりました。 けれども本当の地獄は、食事が始まってからだった。 食べるともの凄い腹痛と下痢。でなければ、食べ物が食道あたりにつっかえて、吐き気。できれば、食べたく ない。今まで通り点滴だけで生きていきます。と宣言したい程であった。 その時期には、ドレーンも抜けて身軽だったので、食べなきゃ元気なんだけどなぁ・・・の日々でした。 (でも、ドレーンって身体に穴空けて管通してるのに抜いても縫わないのにはビックリ。消毒してガーゼ当てて るだけで、いずれ自然に穴がふさがっちゃうんだから、驚いた。だけど跡はすごいものがあるけどね。) そして2週間ほどで傷口が広がらないように留めておいた、でかいホッチキスみたいな物体が取れました。 後のリハビリと言えば、食べる事だけ・・・。相変わらず下痢と腹痛はありましたが、これをクリアしなければ 退院できないと思って必死に食べました。(退院できないかもって話は、その時点では知らなかったので、 とにかく子供達のところに帰らなきゃ!と必死でした。) そして術後1ヶ月、廊下で会った主治医に「いやぁ〜!ぽぽさん元気だね。食事もまぁまぁ食べられるように なったし、週明け退院する?」(確か週末だったのよねぇ)。もちろん即答しました。「する、する!!」。 そんなわけで、秋たけなわの10月初頭、退院の運びとなりました。 今思えば、そのまま病院で死ななくて良かった(^◇^;) |