J-mond music

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山下毅雄

大野雄二

村井邦彦

武満徹&佐藤勝
 

大野克夫

本多俊之

冨田勲

宮川泰

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山下毅雄

「ルパン三世」シリーズは現在でも制作され続け圧倒的な人気を誇っていますが、私が実際に見ていたのはテレビでの第一シリーズ(東京ムービー制作)から「新ルパン」(日本テレビ)、そして映画「カリオストロの城」(監督:宮崎駿)までの作品です。

この時代の作品で音楽を担当していたのが山下毅雄(第一シリーズ)と大野雄二(新ルパン)という日本のサントラ/モンド音楽史上に輝く作曲家でした。

山下毅雄の音楽はパーカッションを多用したラテン系のリズムにスキャット(伊集加代子スリーグレイセス)や口笛(山下氏自身)をのせた、イタリアのモンドサントラ(「黄金の七人」トロヴァヨーリ「天国と地獄」ウミリアーニ)のような雰囲気を作り出している実験的な要素の強いものが多いのですが、「ルパン」ではロックのリズムを主体にしたジャズロック的な作品が多くなっています。

テレビオリジナルBGMコレクション ルパン三世(日本コロンビア/28CC-2291)

テーマ曲、BGMともにテレビ放映時使用されたものとは録音、アレンジともに大幅に異なるものが収録されています(アナログ盤ではテーマ曲のみテレビサイズの実際使用されたものが収録されていた)。しかし、それでも「山下毅雄の音楽」として十分楽しめる内容になっているのはさすがです。

ルパン三世 テーマヒストリー(日本コロンビア/CoCC-14667-8)

第一シリーズのオープニングで使用されたテーマ曲のオリジナルテレビサイズが全て収録されています。特に「その3」「その4」はこれまでBOXセットなどでしか聞けなかったものです。『あしー もとにー』で始まるエンディング曲「その2」のためだけにも買う価値は十分あるのですが、新ルパンのテーマ曲(大野作品)も網羅しており必携の一枚です。

ルパン三世'71 ME TRACKS(VAP/VPCD-81271)

OST のマスターが見つからない現在、「旧ルパン」の音楽を知ることのできる唯一音源であるMEテープ(効果音入り音楽テープ)から再編集したもの。ついに登場した、という感の強い「テレビのあの音」を収録したCD。「Afro Lupin68」や「Niceguy Lupin」と言ったファンにはお馴染みの曲のオリジナルバージョンや、変わり種オープニング/エンディングテーマなども収録。

次に山下氏のその他のCD化されている作品を見てみましょう。

プレイガール&プレイガールQ ミュージックファイル(VAP/VPCD-81071)

プレイガール&プレイガールQ ミュージックファイル vol.2(VAP/VPCD-81209)

東京12chで放映されていたソフトエロモンドドラマのサントラ盤です。

この作品のCD化は、ジャパニーズモンドの決定版といった要素が強く、ドラマを全く知らない人でも、そのいかがわしいサウンドの妖しい魅力を十分に感じることができると思います。前述したようなパーカッションにスキャットと口笛がからみ合う独特のジャズサウンドで、山下氏の音楽の特徴が凝縮されたサントラであると言えます。

Profrssor TAKEO YAMASHITA MISSION1 & 2 (日本クラウン/CRCP-20203、20206)

山下毅雄のベスト・コンピレーション。MISSION 1はアニメ、MISSION 2はドラマ、バラエティーのサントラからのセレクション。収録作品は「スーパージェッター」「ジャイアントロボ」「悪魔くん」「ガンバの冒険」「ルパン三世」「プレイガール」「プレイガールQ」「七人の刑事」「大岡越前」「クイズタイムショック」「時間ですよ」などを収録。

「夜の学校」はプレイガールを彷佛とさせる伊集加代子の怪し気スキャット。氏の名を高めた作品、刑事ドラマの古典「七人の刑事」はメランコリックなスキャットによるメロディー。「大岡越前」ではテーマソングで氏の口笛が聞けますアドリブっぽいギターの音色が良い。BGMでも「ルパン」で五右衛門のテーマに使用された「A Touch Of Japanese Tone」のようなパーカッション+尺八のサスペンス風の曲や、テーマをチターで奏でたバージョンでは思わず「おっかさん!」などと口ばしりそう…。そして白眉は「クイズタイムショック」の音楽。氏本人による「ショック!」の声が一番ショッキング!!(^o^)。エンディングのクインシージョーンズ風ビッグバンドナンバーに田宮二郎の渋い声の思いでを重ねて涙。

懐かしのミュージッククリップ31 ガンバの冒険 (東芝EMI/TOCT-10154)

サンバのリズムが印象に残る名作「ガンバのうた」。ネズミ達のすばしこい動作にあわせた躍動感のあるサンバが緊迫感を煽っていました。他にもディキシーランドジャズやパブロック風のオルガンジャズのスタイルでアレンジされたテーマやBGMなどが聴けます。エンディングテーマの「冒険者たちのバラード」はコード進行の不安定な感じがたまりません。

「早すぎた奇才 山下毅雄の全貌 未発掘編」(NIPPON CROWN CRCP-2052)

クラウンの「ヤマタケ」シリーズMission 5。Mission3、4とリミックスものが続き少々期待外れというか、消化不良気味だったヤマタケマニアが涙を流す、ファン待望の一枚。

現在も放送され続け、ある意味ヤマタケの代表作とも言える「アタック25」がついにCD化。 M#1「『パネルクイズ・アタック25』テーマ」はもちろん、M#2「フライ・トゥ・パリ」を聞いて「パリ挑戦権獲得ッ!」(<この小さい『ツ』が児玉節)と言われるか、「残念〜ッ!」(<同前)と言われるか、ドキドキしるのが正しい日曜の午後の過ごし方。

で、今回もレアな音源の数々が並んでいるわけですが、なんといっても本作の目玉はM#3「霊感ヤマ感第六感」のテーマ曲でしょう。 1974〜84にかけて放送されたクイズ番組で、司会はロイ・ジェームス、野末陳平、フランキー堺が担当。 怪しいグルーブ感に溢れる怪作で、ゴールデンタイムのお茶の間に独特の雰囲気を漂わせました。

この曲を、今から7・8年前、まだ学生の頃に、作曲者もわからないまま記憶だけを頼りにカヴァーしました。 当時から、「ひょっとしてヤマタケか…?」という思いはあったものの、現在の再発ブームは夢のまた夢で、インターネットなどといった便利な情報収集手段もなかったため、結局作曲者がヤマタケであったことが判明したのは、つい先日のことでした。

某巨大掲示板でもこの番組が話題になった際、このサイトのデータへリンクがしてあり、やはりこの楽曲がトラウマになっている人って結構いたのだな、などと安心(?)しました(^^;。

久々に聞いた原曲は記憶の中で鳴り響いていたあの曲そのもので、CDをかけるなり声をあげて笑ってしまったのですが(<嬉しくって(^o^))、イントロの部分だけはすっかり忘れていて『オオッ!』と声をあげてしまったことも告白しておきます。

ともあれ、この「霊感ヤマ感第六感」、Minimoogもいたくお気に入りで、「ウ〜ウ〜ウ〜ウ〜レ・イ・カンッ!」と歌っております。 インパクトのある曲は時代を越えて人々の心に刻み付けられるのでありましょう。 子供は正直と言います。 わたしもこの曲をはじめて聞いた時は、まだ正直な子供であったのであります。 

さてさて、「大岡越前」と「ルパン」と「アタック25」(<放送中なのでクレジットで確認できる)を同じ人が作った、というだけで、それはもう私にとっては『偉大なる作曲家』そのもだったわけですが、「ガンバ」、「タイムショック」、そして「霊感ヤマ感…」までも、となれば、それはもう音楽的な影響云々ではなくて、音楽だけで私の人格形成にまで影響を与えてしまった、と言っても過言ではあるかもしれないし、ないかもしれない。 そんな気がする感動の一枚です。

「Yoshihide OTOMO Plasys the Music of TAKEO Yamashita」(P-VINE RECORDS PCD-5804)

またもヤマタケモノ。 ターンテーブル奏者:大友良英によるトリビュートアルバム。 オリジナル版のシンガー:チャーリー・コーセイや伊集加代子らも参加。

M#1 「プレイガールBGM」はオリジナル・ヴォーカル:伊集加代子+和田夏代子も参加した、菊池成孔のサックスが超カッコいいフリーキーなジャズチューン。 大友良英のシンセSEが絶妙。

M#2「ルパン三世 Ending Theme」、M#13「ルパン三世ワルサーのテーマ」、M#14「ルパン三世 Ending Theme」もオリジナル・ヴォーカル:チャーリー・コーセイが参加。 ブレイクビーツにのせたM#2、フリーキーなM#13、リリカルなM#14と、各々対照的なアレンジ。

M#3「ジャイアントロボ」は伝説のシンガー:エンケン(遠藤賢司)による歌唱に耳を奪われっぱなし。 バックトラックもスゴイんだけど、どうしたってこの歌唱の前にはかすんでしまう。 伝説のシンガーと言えば、M#9「ガンバのうた」でのPhewの歌唱も以下同様。 ガンバからはさらに、歌唱:山本精一によるM#15「冒険者たちのバラード」はロック嫌いの私も思わず唸る見事なロックバラードで以下同様。

M#4「スーパージェッター」のレイモンド・スコット的な演奏も原曲超えか。 M#10「冒険ガボテン島」はプラス、レイ・バレットorモンゴ・サンタマリアばりのパーカッションが華を添える。

 

ほかに紀行もの「日本のまつり」など、氏の作品はなんと7000曲!まさにJ-mondの帝王です。

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大野雄二
 

普通の方が「ルパン」の音楽と聞いて思い出す例の音楽、つまり「新ルパン」の音楽を担当された大野雄二氏の作品から前回と同じくまずはこのCDから。

ルパン三世 テーマヒストリー(日本コロンビア/CoCC-14667-8)

「第一シリーズ」「新ルパン」で使用された全オープニング、エンディングテーマがテレビサイズで収録されています。大野氏の担当した「新ルパン」ではOP、EDそれぞれ4パターンが存在していますが、特にオープニン曲は各バージョンでのアレンジの違いに時代の変遷を感じることが出来ます。

「歌付き」では多少ロックっぽく、「'79」ではシンセがメロディーを奏で、「'80」ではビッグバンドジャズにアレンジされ、はじめの(「'78」)フュージョンそのもののアレンジがダサくなっていっていくことをみごとに回避しています。80年代のビッグバンドジャズのアレンジは、ジャズピアニスト大野氏の本領発揮?

エンディング曲は一貫してAOR。特に「愛のテーマ」はトゥーツシールマンスやクインシージョーンズのCTI作品のような名曲です。挿入歌の「SuperHero」も「あー、この曲!」ってな感動を味わえる名曲。イントロの「ルパン ルパン ルパン ザ サード!」というコーラスには誰もが反応してしまうでしょう。

そして映画「カリオストロの城」のテーマ曲「炎のたからもの」は、後述する「犬神家の一族」に匹敵する日本映画サントラ史上の名曲です。理由は「犬神家」のところで。

山下ルパンから大野ルパンまでを俯瞰できる必携の一枚(2枚組だけど(^^;)です。

大追跡 ミュージックファイル(VAP/VPCD-80478)

日本テレビで放映されていたお洒落系(?)刑事ドラマのサントラ盤です。

この作品では、「新ルパン」のテーマを彷佛とさせるスピード感溢れるビッグバンドサウンドを聞かせてくれます。特に中間部のサックスソロの部分のムーディーさかげんはソックリ?

サウンドトラックコンピレーション「松田優作クロニクル'73〜'89」

松田優作主演作品のテーマ曲集。「太陽にほえろ」から「青春のテーマ(Gパンのテーマ)」(大野克夫)、「俺たちの勲章」からは「テーマ」(吉田拓郎)、優作自身の歌う「まつりのうた」(大野雄二)、元祖刑事アクション巨編「大都会PART2」のテーマ、ジョー中山の歌唱が印象的だった「人間の証明」(大野雄二)などにはじまり、遊戯シリーズからは「最も危険な遊戯」(大野雄二)、「殺人遊戯」(同前)、「処刑遊戯」(同前)、さらに「乱れからくり」(同前)といった大野サウンドを多数収録。

お馴染みの「探偵物語」( SHOGUN)や、「蘇る金狼」(ケーシー・ランキン)「野獣死すべし」(たかしまあきひこ)などの渋いハードボイルドもののテーマ曲がお薦めだが、晩年の「それから」(梅林茂)、「ア・ホーマンス」(ARB)、「華麗なる追跡」(梅林茂)などのロック〜ニューウェーブ調まで収録されていて、もうお腹いっぱい。

「ルパン」と並ぶ氏の代表作「人間の証明」のテーマは「おかあさん、あの麦わら帽子…」という台詞とともの皆さんの記憶にも残っているものと思います。曲のほうはブルースタッチのロックバラード。Aメロの終わり方が童謡風で、この感じに大野氏らしさを感じてしまいます(^^;。

犬神家の一族(Volcano/CPC8-3001)

「犬神家の一族」は角川映画の第一回作品で、監督:市川崑の石坂金田一第一作でもあります。市川監督独特の凝った映像表現とドロドロとした横溝ミステリーの世界を大野氏は非常に情緒的な音楽で彩っています。

後の金田一モノにも踏襲されていく、もの憂気なメロディーとある種爽やかさを感じさせるアレンジはこの時代の日本映画全体にも影響を与えた、といえるのではないでしょうか。

この曲と前出の「炎のたからもの」は非常に似た雰囲気と構成を持っています。こちらはヴォーカルがのっているため、かなりAOR歌謡的な雰囲気もあるのですが、アレンジなどはほとんど「犬神家」のパターンを踏襲していることがわかります。ハープシコードとシンセサイザーのユニゾンで奏でられるメロディーに美しい木管とストリングスがからむアレンジによるジャズワルツこそは大野サウンドの真骨頂であり、と私は考えるのです。

他にもドラムがカッコいいM#3、エレピとギターが印象的なM#4、印象派のようなM#9、M#12、まるでミルトンナシメントのようなM#11など傑作揃いで絶対お薦めに一枚です。

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獄門島
 

角川つながりで「横溝=金田一」から出発します。

角川映画 メモリアル(日本コロンビア/COCA12496)

大野氏の作品として「犬神家の一族/愛のバラード」(1976)「人間の証明(インストバージョン)」のテーマがそれぞれ収録されています。

このCDには、さらに「悪魔が来たりて笛を吹く(黄金のフルート)も収録されています。この映画は東映制作、金田一:西田敏行だったのですが、この曲の作曲は尺八の山本邦山、編曲はミカバンドの今井裕で、アレンジのイメージとしては「犬神家」が下敷きになっているように感じられます。

公開当時まだ幼かった私は、CMなどでかかるこのメロディーを聞いて怖いながらもこの映画に惹かれ、親に頼んで映画館に連れて行ってもらったのでした。(ちょっと後悔した(^^;)いまでも「美しいメロディー」と言われてまっ先に思い付く曲のひとつです。

このCDにも岡野等(tp)、荒川バンドによる「野獣死すべしのテーマ」が収録されています。原田知世の「守ってあげたい」もはいってまーす。

悪魔の調べ -ミステリー映画の世界-(日本コロンビア/COCA-13095)

市川=石坂金田一シリーズ「犬神家の一族」「悪魔の手鞠唄」「獄門島」「女王蜂」「病院坂の首縊りの家」と監督:野村芳太郎、金田一:渥美清、主演:萩原健一の「八つ墓村」、監督:たかばやしよういちのATG作品「本陣殺人事件」のサントラからのコンピレーション。

「獄門島」田辺信一による爽やかな「獄門島のテーマ」はエンニオモリコーネのモンド系コンピに入ってってもおかしくないようなスキャットとストリングスによる傑作。

「悪魔の手鞠唄」村井邦彦(アルファレコードの元社長でYMOの生みの親)による「仙人峠」はバカラック風のロックワルツ!お洒落な渋谷系(死語)ポップスサウンドはユーミンなどを育てた村井氏の面目躍如。

「本陣殺人事件」は、なんと大林宣彦が音楽を担当。レアです。

「八つ墓村」芥川也寸志の「道行きのテーマ」がクラシカルな美しい佳曲。『龍のあぎと』でかかる。しかし肝心の、傑作であるロマン派風のタイトルバックテーマや山崎勉が銃を乱射するシーンでかかるストラビンスキーのような禍々しい曲が収録されていないのは消化不良。オリジナルサントラCDがでているのでそちらで是非チェックしたいところ。

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用心棒

村井邦彦つながりでいってみましょう今回は氏の作品も収録されているJ-Mond Movieコンピレーションから。

Go Cinemania Reel 1 "PUNCH THE GUY"(eastwest japan/AMCM-4228)

元Pizzicato-Vの高浪敬太郎選曲による邦画未発表サントラコンピ。村井氏の作品「野獣死すべし 復讐のメカニック」「野獣狩り」などを収録。特に「野獣狩り」で聞かせるストリングスの響きは圧巻。カッコいいっす。

黛敏郎題名のない音楽会の司会だった、と言えば御存知か)の「野獣死すべし」のクールなビッグバンドサウンドで幕を開けるこのコンピには11PMのシャバダバシャバダバーでお馴染みの三保敬太郎やボサギタリスト沢田駿吾の作品など'60-'70年代中心に収録。

Go Cinemania Reel 6 "エロチカ狂想曲"(eastwest japan/AMCM-4247)

同じく高浪敬太郎選曲による同シリーズ第6段。少し時代が下って'70年代を中心に日活ロマンポルノなどのエロムービーサントラからセレクト。

近田春夫&ハルヲフォン(ちょっと山下ルパンはいってる風の作品)、クリエイション細野晴臣などロック方面の名前も多くみられれるこのコンピですが、注目は坂田晃一のよる「いちどは行きたい女風呂」のまるっきりアシッドジャズな超グルービーな演奏と平岡精二の「謎の女B」(こちらはとにかく聞いて下さい。説明しようのない怪作!スゲェ!!)か。

このCDは時代的にも一致するように、全体にルパニズム漂う名コンピ。おすすめ。

南国の夜(テイチクレコード/TECN-22120)

平岡精二つながりでこのコンピを。選曲は東京パノラママンボボーイズ平岡精二クワルテットによる「バンブル ブギー マンボ」はリムスキーコルサコフくまんばちは飛ぶ」をマンボにしたもの。エスキベルっぽいモンドさかげんが味わえます。

坂本スミ子楢山節考、懐かしいっす。)の「パシート デ チヤチヤチヤ」はまるで「ボッカチオ'70」でソフィアローレンの唄う「Soldi Soldi Soldi」のような御機嫌なチャチャチャ!本作のベストトラックか。

日本映画黄金時代 -名作サントラ音楽集-(KING RECORDS/KICS-2181)

黛敏郎つながりではこのCDを。「仇討ち」ではストラビンスキー調(=バーナードハーマン調)の正統派映画音楽。

このCDはとにかく豪華。林光の「秋津温泉」、芥川也寸志の「五辨の椿」などの印象派風のスコア、武満徹の「砂の女」や冨田勲の「飢餓海峡」などの現代音楽!ってな作品も光っています。

しかし、注目はやはり武満徹のこちら。「からみ合い」はルイマル=マイルスの死刑台のエレベーター」も真っ青なモダーンジャズ!クールです。「もず」ではフェリーニ=ロータの「魂のジュリエッタ」を彷佛とさせる幻想的なサウンドを聞かせます。

これだけでも十分に価値ある一枚としてお薦めできるのですが、このCDの白眉はなんといっても黒沢=佐藤勝の最高傑作「用心棒」をダイジェストながら収録している点。かつて米RCAからもリリースされたこのサントラを収めたこのCDを聴かずに死ねるか?

テーマでの祭り囃し風のリズム&メロディーを奏でるストリングスとビッグバンドブラスのオブリガート。コード進行の不思議さはいまだに新鮮。

チンピラ達のテーマともいえる部分もこの不思議なコード感が支配しています。続いて殺伐としたこの映画で唯一のロマンスシーンでのテーマ。思いっきりエモーショナル。芸者達の踊りのシーンではラテンお囃子。エキセントリック!

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大野克夫

VAPから発売されている「MUSIC FILE」シリーズは様々な音源を世に送りだした画期的なシリーズでした。この第一期にあたる伝説の「アクションドラマ音楽全集」からいくつかの作品と、このシリーズにも多く登場する大野克夫のコンピレーション「フィルムコンポーザーセレクション」を御紹介しましょう。

フィルムコンポーザーセレクション 大野克夫 テレビ編〜太陽にほえろ/ザ・刑事〜 (VAP/VPCD-81139)

大野克夫と言えば「太陽にほえろ」。たしかスチャダラパーも使ってましたよね?「発売当時オリコンベスト10入りした」とライナーにもある通り、誰もが知ってるサックス・ブロウ&ファンキーオルガン!「ただいま放課後」ではその大野氏のテクノ(!)が聴けます。たのきん主演のドラマ。「ミスターBON」はボンカレーゴールドのCMソング。これ気になってたんです。放映時から…(^o^)。

フィルムコンポーザーセレクション 大野克夫 テレビ編〜傷だらけの天使/揺れる想い〜 (VAP/VPCD-81140)

大野克夫と言えば「傷だらけの天使」。ショーケンみたいには牛乳飲めないなあ、なんて思いながらこの曲聴いてましたっけ。「寺内貫太郎一家」ではヤマタケばりのスキャットが聴けます、がヤマタケの「時間ですよ」がモンドなティファナブラス風なのに対し、こっちはあくまでロック。井上尭之によるエンディングのリフが泣かせます。「悪魔のようなあいつ」のテーマはワルツのリズムが美しい。「時の過ぎゆくままに」のインスト版も収録。

沢田研二スーパーベスト (EAST WORLD / CT25-5344・45)

大野克夫と言えばジュリーのヒット曲も多数手掛けている。「時の過ぎゆくままに」「勝手にしやがれ」「憎みきれないろくでなし」「サムライ」「ダーリング」「LOVE(抱きしめたい)」「カサブランカダンディ」「OH! ギャル」など、説明不要のお馴染みの大ヒット曲ばかり。スゲェな。このアルバムには他にも加瀬邦彦の「危険なふたり」「TOKIO」「恋のバッドチューニング」なども収録。まあ聴きゃあわかるよ。ジュリ〜!((C)キキキリン)

萩原健一の世界/ 井上尭之バンド (Apollon/APCA-1026)

「傷だらけの天使」を収録。こちらはテーマだけでなくBGMも入っている。森田公一作曲の「前略おふくろ様」からもテーマ、BGM、セリフ(!)とにも多数収録。アルバムタイトルとはうらはらに、歌手:ショーケンのベストではないのであった。

伝説の「アクションドラマ音楽全集」から

伝説のアクションドラマ音楽全集 探偵物語 MUSIC FILE (VAP/VPCD-80472)

SHOGUNによる「BAD CITY」「LONELY MAN」はお馴染みですね。コーヒーのCMやキムタクのモノマネで今でもよく耳にします。ホンキートンクによる「KUDO'S OFFICE」はちょっとバカラックっぽくもある?

伝説のアクションドラマ音楽全集 俺たちは天使だ! MUSIC FILE (VAP/VPCD-80479)

こちらもSHOGUNによる「男達のメロディー」の「はっしり〜、だしたら〜」ってな歌声、懐かしいっす。M#14のバンジョーによるアイキャッチ、サイコーです。CMだCMだ。トイレいこう。ってなもんです。ダーツ=柴田恭平、ナビ=渡辺"建物"篤史、麻生=沖"涅槃"雅也。みんなカッコよかったです。ブーメラン欲しかったな。

伝説のアクションドラマ音楽全集 あぶない刑事 MUSIC FILE (VAP/VPCD-80473)

このへんはあまり懐かしい、という感じでもしませんし、音楽的にもそれほど、という感じもなきにしもあらずですが、実際聴いてみると案外あなどれません。「MINATO POLICE STATION」はスポンサー紹介のバックでかかっていた曲。こういうのが入っているところがこの「MUSIC FILE」シリーズのすごいところ。

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本多俊之

現代のサントラ職人達にも注目してみましょう。まずは伊丹映画の相棒、本多俊之。

The Woman From MARUSA (East World/CA32-1365)

デジタルシンセによるゴリゴリしたベースサウンドが奏でる五拍子の不思議なリズムにゲートの効いたドラムがかぶさる。このイントロを聴いただけで「マルサの女」の日本映画伝統の暗いトーンの画質の映像が思い起こされる、という傑作。ミニマルっぽくもあり、ポップでもある本多のサックスの奏でるメロディーも印象的。その他の楽曲では「金に群がる男達」の緊張感溢れるストリングスが素晴らしい。さらに「ラブテーマ」や「黄昏れのワルツ」など、ジャズスコアのカクテルミュージックは、洒落ではすまされなかった「バブル・ラウンジ」を思い出させて涙。

GADIS Marusa no Onna 2 / Toshiyuki Honda Radio Club (Moon/AMCM-4081)

サントラ、ではなく、本多俊之ラジオクラブのアルバム、という扱い。劇中、祈祷のシーンで流れたパーカッションやクイーカによるサンバ(Seeso Mattoみたい!トロヴァヨーリも真っ青。)が収録されていないのは残念だが、前作とは打って変わってコミカルなエスニックのリズムによる陶酔感は宗教のそれとピッタリ。さすが職人。

SAX HLIOC / Toshiyuki Honda Radio Club (Moon/AMCM-4081)

これもサントラ、ではなく、本多俊之のソロアルバム。「スーパーの女」のテーマやテレ朝のワイドショーのテーマ曲など、聞き覚えのある曲満載なのだが、このアルバムではダウンタウンの浜ちゃんが主演したドラマ「竜馬におまかせ」の劇中曲、「Ocean Wind」の派手派手フュージョンぶりが時代錯誤ちっくでよい。アレンジはともかくメロディーが良すぎる。日本人の琴線に触れる、というヤツです。

ではそれ以外の職人達の作品から。

火曜サスペンス劇場 Tuesday Suspense theater 1990 (Moon/AMCM-4081)

例の「チャー、チャー、チャー!」って、アレです。「火サス」はMUSIC FILEシリーズからもリリースされていますので、今から買う方にはそちらをお薦めしますが、これはだいぶ前にリリースされた「火サス10周年記念」盤。オープニングテーマは81年版のもので「聖母たちのララバイ」がフィーチャーされた初期のもの。他にもShogunの大谷和夫、三枝成彰、佐藤允彦などの作品を収録。

TBSテレビ系ドラマ 義務と演技 (east west/AMCM-4276)

服部良一〜克久という祖父、父を持つ日本ポップス界のサラブレッドにして平成のサントラ職人、服部隆之の作品。スパニッシュ風のギターによる「背徳のテーマ」はコンセルヴァトアールの和声科で学んだ、というだけあって非常に情感溢れる美しいコードワーク。

TBSドラマ・オリジナル・サウンドトラック (East World/TOCT-8227)

今や大売れっ子プロデューサー、小林武司による「誰に言えない」「ダブル・キッチン」「ずっとあなたが好きだった」のサントラ。ユーミンの「真夏の夜の夢」のエスニック・インストゥルメンタルなど、スティールパンを多用した「誰にも言えない」のサントラは独特の質感があって好きでした。

Circus Boys Song Book/Hidehiko Urayama & Yuko Kumagai (CBS SONY/CSCL 1023)

林海象の第二回監督作品「20世紀少年読本」のサントラ。同監督の処女作「夢見るように眠りたい」の音楽スタッフが再び音楽を担当。サーカスを舞台にした映画らしく「三日月大サーカスの唄」など、それらしい曲が多く収められているのだが、前作同様、佳村萌の歌う「おもちゃ」が印象に残る。特に好きな曲は、やはりスパニッシュギターが印象的な「JINTA」。サーカス団とジプシーの音楽。マーク・ゴールデンバーグによるサントリーウィスキーのCM「ランボー」を彷佛とさせます。

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