兵器外観
名称 54cm自走臼砲カール
型式 Karl Gerat 041
製造国 ドイツ
製造メーカー ラインメタル・ボルジク社
配備国 ドイツ
製造初年 1942年
搭載砲関連データ
名称 54cm Gerat 041
口径 540 [mm]
口径長 11.5
砲身長 6210(口径長より計算) [mm]
腔綫 有り
砲身材質
砲口制退機 無し
排煙機
閉鎖機
平衡機
駐退複座機 液気圧式
照準具
後座長 [mm]
マウント
上下射角 -0〜+70(電動モーターにより変更、手動も可) [deg]
水平発角 左4、右4 [deg]
最大射程 10500(重徹甲榴弾) [m]
装薬 57kg
射程距離 [m]
公算誤差
砲口初速 [m/sec]
発射速度 6〜8 [発/hour]
砲弾 sbe重徹甲榴弾(重量1600kg)、lebe軽徹甲榴弾
搭載弾数 [発]
車体関連データ
全長 11370 [mm]
全高 4780(トラベルポジション時) [mm]
全幅 3160 [mm]
重量 124000 [kg]
装甲
エンジン ダイムラー・ベンツ製 MB503 V型12気筒エンジン 排気量44.5L (後にMB507エンジン)
出力 MB503:580 [HP]
トルク [ft/lb]
トランスミッション 前進4段、後進1段
ブレーキ
サスペンション トーションバー
転輪 11輪
履帯
燃料タンク [L]
出力/重量比 [hp/t]
電装 [V]
航続距離 [km]
登坂能力 [%]
最大速度 路上:10 [km/h]
接地圧 [kg/cm2]
超濠幅 [m]
超提高 [m]
最小旋回半径 [m]
NBC防御 無し
夜間視察装置
操作人員 109(運用要員) [人]
説明 ●開発
 本砲は1937年に、フランスのマジノ要塞線の攻略用として、ラインメタル・ボルジク社により開発が開始された。試作砲は1940年に完成し、試験により射撃時の安定性に問題が発生したため、転輪数8輪から量産型では車体が延長され転輪が11輪に増加されている。1940年11月から1941年8月までに6門が量産され、1番砲からそれぞれ、「アダム」、「エヴァ」、「トール」、「オーディーン」、「ロキ」、「ツィウ」というニックネームが付けられた。当初は60cm臼砲Gerat 040を搭載していたが、1942年以降は、換装用の射程の長い54cm臼砲(Gerat 041)が製作され、60cm砲と交換して搭載できるようになった(従来の60cm臼砲も引き続き使用され、必要に応じて交換する)。カールという呼称の由来は、当時の兵器局長であったカール・ベッカー将軍の名前に因んだものである。
●構造
 箱型車体の前部にはエンジンと変速装置、中央部には操砲用設備、後部にはバッテリーと燃料タンクが配置されている。砲は車体中央部上にオープントップで搭載されており、防御力は皆無と言って良い。なお、車体前面には砲操作員が車体上面へ上るための梯子が、側面には操作員が転落しないように柵が張巡らされている。
●編成
 納入当初は本砲により第628重砲兵大隊が編成された。セバストポリ戦以後は、第833重砲兵大隊の第1中隊に「アダム」、「イブ」の2門、第2中隊に「トール」、「オーディーン」が配置された。
●戦歴
 初陣は1941年のレンベルグで、1〜4号砲が参加した。ブレスト・リトブスク要塞攻撃では1号砲の「アダム」が16発を射撃している。続いてリボフ、セバストポリ、レニングラードなどの攻略戦に参加。本砲が参加した戦いで最も有名な、セバストポリ要塞の攻略戦では、80cm列車砲「グスタフ」、42cm臼砲「ガンマ」を含めた、火砲1300門およびロケットランチャー576門とともに「トール」、「オーディーン」が投入され、197発を発射した。射程は短いものの、牽引重砲のように陣地構築に時間を要さないために、限定的であるが活躍した。最後の戦いは1944年8月のワルシャワ蜂起鎮圧戦である。1944年にセバストポリでソ連軍に4号砲の「トール」が捕獲され、これが現在でもロシアのクビンカ博物館に展示されている。
●運用
 本砲は短距離の移動であれば、低速であるが自走できたが、長距離を移動する場合は、分解され、列車または重トレーラーにより輸送された。分解組立には30トンおよび7トンクレーンによって行われた。弾薬は、4号F1型戦車改造の専用弾薬運搬車(13両生産)が随伴して輸送し、運搬車のクレーンで弾薬を装填位置にもっていく。運搬車の弾丸の搭載数は4発で、砲1門に付き2両が随伴した。砲は後装式で、弾丸の装填には砲の角度を水平に戻さねばならず、これが射撃速度の遅さの原因の一つである。射撃時は、本砲が射撃位置に付くと、トーションバーの固定装置がはずれて、車体下部が地面に直接接触した状態になり、射撃時の衝撃からサスペンションを保護する構造になっていた。
参考文献 ・「ドイツの傑作兵器駄作兵器」 光人社NF文庫 広田厚司
・「WW2 VOL.7 クルスク機甲戦」 学習研究社
参考WebSite ・「戦車研究室」 URL:http://isweb13.infoseek.co.jp/photo/combat1/
作成
更新 2004/04/30

 

砲弾の写真(写真をクリックすると説明にジャンプします)

[TOPへ戻る] [大砲研究室へ戻る] [大砲データベースに戻る]


2001.10.30更新 自走砲format_v0.5