兵器外観
名称 106mm無反動砲M40
[106mm Recoilless Rifle M40]
60式106mm無反動砲
型式 M40
製造国 米国
製造メーカー
配備国 米国、日本、オーストラリア、イスラエル、ブラジル、韓国等
製造初年
口径 105 [mm]
口径比 26
砲身長 3332.7 [mm]
全長 3367(図面より) [mm]
全高 砲身軸高さ:817mm
1085(図面より)
[mm]
全幅 800(閉脚時)、1530(開脚時) [mm]
重量 全備重量:215kg、砲本体:115kg、砲架:88kg、
スポットライフル:12kg
[kg]
腔綫 等斎テン度(20口径につき1回転)、右旋36条
砲身材質 特殊鋼:制式番号XB4001,3項による
降伏点:112〜123kg/mm2、絞り:10.5%以上、
低温シャルピー衝撃試験値:0.95kg・m以上
砲身命数 [発]
閉鎖機 手動開閉の断隔螺式で、噴出口ブッシュ・閉鎖機本体・開閉レバー・受金本体・開閉板・カムプレート・クランク・撃針室・抽筒子・薬キョウ止メ金・駐退調節環などからなる。閉鎖機開閉に当たり、開閉レバーにより本体を回転(約45°)することにより閉鎖および開放を行うことができる。レバー基部にはカム機構を備えており、完全閉鎖・半閉鎖および全開放の各位置において、ハンドルの回転動作を止めることができる。
平衡機
駐退複座機
最大駐退力 [kg]
後座長 [mm]
照準具 L型眼鏡M92改、眼鏡タク座M90
高低射角 脚上:-17〜20、脚開:-17〜27、
ハンドル1回転の移動量は、高速:0.9(54′)、
低速:0.2(12′50″)
[deg]
水平射角 360、ハンドル1回転の移動量:2.58(2°35′) [deg]
最大射程 7700 [m]
装薬
射程距離 有効射程:1100m [m]
公算誤差
砲口初速 500(HEAT弾M344) [m/sec]
発射速度 [発/min]
砲弾 M344A1HEAT(完成弾重量:16.887kg)、
M346A1HESH(完成弾重量:17.237kg)、
XM581フレシェット弾(完成弾重量:18.597kg、フレシェット弾とは、多数の小さな矢を砲口から一定の散布角で発射する砲弾である。国際条約で散弾の対人使用が不可(体内に摘出不可能な破片が残る武器は使用不可)とされたため開発された。)
64式HEAT68式HESH74式空包
操作人員 [人]
布設所要時間 [min]
説明

●概略
 本砲は、1950年代に開発された、105mm無反動M27の改良型である。米国のみならず、日本、オーストラリア等でも採用され、また、多くの国でライセンス生産されている傑作無反動砲である。口径は105mmであるが、105mm無反動M27と識別を容易にするために、あえて106mmと呼称している。重量は215kgと、やや重いため、歩兵によって運ぶことは無理で、もっぱらジープに搭載して輸送される。通常通り、地面に置いて射撃できる他、ジープ上からも射撃可能で、簡易な自走砲として運用することができる。
●開発経緯
 第二次世界大戦間の装甲技術の著しい発達の結果、歩兵部隊および他の軽武装部隊の対装甲攻撃能力は、極端に脆弱化した。このことから、中距離において対装甲攻撃能力が十分に高く、かつ歩兵部隊によって容易に運ぶことが可能な兵器が必要となった。この経緯から、1943年に米国の法務局携帯兵器部門により、無反動砲の開発が開始され、1944年には、75mm無反動砲M20の第一試作モデルのテストが行われた。そして1945年の3月に、75mm無反動砲M20の完成モデルの生産が開始され、ヨーロッパおよび太平洋の戦場に順次配備された。その後、57mm無反動砲M1875mm無反動砲M20は朝鮮戦争にて対戦車戦闘に使用されたものの、有効射程の短さや威力がやや低いことから、より大口径の無反動砲の開発が要求された。この経緯から、105mm無反動砲M27が開発・実用化されたが、バランスや重量に問題があり、改良が施された結果がこの106mm無反動砲M40である。
●構造
 本砲は射撃による反動を、後方へ同じ運動量を放出することで、相殺するメカニズムを持ったいわゆる無反動砲である。本砲の方式は、米国独自の開発によるもので、クロムスキット式と呼ばれている。この方式の特徴は、1)砲弾と薬室の間にスペースを空けていること、2)砲弾の薬莢部分に多数の小さな孔があけられいること、の2点である。この方式のメカニズムは、射撃時に発生する燃焼ガスを、薬莢部分の小孔から砲弾と薬室の間のスペースへと逃し、その後に砲尾の噴気孔より噴出することで、弾丸射出の反動と砲尾噴出ガスの平衡を保つと言うものである。
 別の特徴は、スポッティングライフルを搭載していることである。スポッティングライフルとは、あらかじめ本砲と同様の弾道を持った銃(口径12.7mmの単発)を砲身上に設置し、目標への射撃の際に、先にスポッティングライフルを射撃して、弾道を確認した後、砲を射撃するというものである。これは、無反動が後方に発射ガスを大量に放出するため、敵に位置を知らせてしまうため、初弾必中が必要なための措置である。

参考文献

・「仮制式要綱60式106mm無反動砲XB4002」
 防衛庁 1960年9月12日
・「仮制式要綱60式車載106mm無反動砲XB4001」
 防衛庁 1960年9月12日
・「ミリタリー・イラストレイテッド19 世界の重火器」 光文社文庫

参考WebSite ・「Roberts Armory A Traveling WW2 Historical Museum」
URL:http://www.roberts.ezpublishing.com/rarmory/rarmory.shtml
・「The KOREAN WAR」
URL:http://rt66.com/~korteng/SmallArms/arms.htm
・「Tactics used in Vietnam」
URL:http://www.soft.net.uk/entrinet/tactics.htm
備考 写真は60式自走無反動砲。伊丹駐屯地創立記念祭にて撮影。

 

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2001.8.25更新 榴弾砲format_v0.5