装甲の破壊状況写真


こちらは、各種砲弾による装甲の破壊状況の写真です。

写真
(クリックで大きな写真が見られます)
説明
[RPGを被弾したM998ハンビー]
イラク戦争(イラクの自由作戦)中に、イラクのAl Kharmaにおいて、RPG(ロケット推進擲弾)を被弾した米海兵隊のM998ハンビー高機動車の写真です。
詳細は、こちらをご覧ください。
[戦艦オレゴンのバーベット装甲鋼板への侵徹試験]
この写真は、米国戦艦オレゴンのバーベットに使用される8インチ装甲鋼板に対して6インチ砲徹甲弾を撃ち込んだ写真です。写真の下にある解説部分を翻訳しますと下記のようになります。

*** 翻訳ここから ***
カーネギー均質ニッケル鋼装甲鈑A-619の弾道試験
米国戦艦「オレゴン」の後装式腔線砲バーベット部の8インチ装甲に適用
寸法118×63×8インチ(湾曲)、重さ17480ポンド

鈑A-619

1894年6月23日、インディアン・ヘッド・プロービング・グラウンドにて試験
36インチ厚のオーク材の裏打ちと13本のアーマーボルトによる締結
射角:通常

第1弾:6インチ後装式腔線砲。弾丸:カーペンター徹甲弾、重量100ポンド。
撃速1659フィート/秒。衝撃エネルギー1908フィート・米トンまたは、
245フィート・米トン/鈑の米トン。侵徹長9インチ。砲弾はリバウンドしたが
壊れなかった。鈑にはクラックが発生しなかった。

第2弾:第1弾と同じ砲と弾。撃速1809フィート/秒。衝撃エネルギー
2269フィート・米トンまたは、291フィート・米トン/鈑の米トン。
侵徹長11インチ。砲弾はリバウンドしたが壊れなかった。
鈑にはクラックが発生しなかった。

第3弾:同じ砲。ホイーラー・スターリング徹甲弾、重量100ポンド。
撃速1969フィート/秒。衝撃エネルギー2687フィート・米トンまたは、
344フィート・米トン/鈑の米トン。侵徹長11.5インチ。
砲弾はリバウンドしたが壊れなかった。鈑にはクラックが発生しなかった。

第3弾のコンディションでJacob De Marreの式の係数Kの値は1.203であった、通常この係数の値は、1.18である。
この鈑は、必要とされた額面の試験を通過し、契約の下で承認された。

*** 翻訳ここまで ***
[榴弾破片生成の高速度X線写真]
この写真は、榴弾[High Explosive]が爆発する際に生成される破片の状況を撮影した高速度X線写真です。左上の写真が起爆前で、弾頭に信管のある榴弾であることが判ります。写真を見ると、破片は、弾体側面方向がもっとも高速で、前方と後方が遅いことが判ります。

写真奥付:
・WebSite「TITAN」
URL:http://www.titan-psd.com/
該当ページ:
URL:http://www.titan-psd.com/html/CommComponentsGallery.htm
[装甲板を貫徹するメタルジェット]
この写真は、装甲板を貫徹する成形炸薬メタルジェットのX線写真です。メタルジェットは、ガスではなく成形炸薬弾のライナーが塑性流動化したものです。メタルジェットが装甲板に衝突し、装甲の内側(写真右側)に破片を飛散させる状況が判ります。写真中の黒い部分ほど面密度が高く、X線の透過性が悪いことになります。写真を見るとメタルジェットが、装甲板と同じく密度が高い物性であることが判ります。

写真奥付:
・WebSite「TITAN」
URL:http://www.titan-psd.com/
該当ページ:
URL:http://www.titan-psd.com/html/CommComponentsGallery.htm
[AP弾による貫通限界存速付近の写真]
この写真は、桜と錨様が画像掲示板に投稿されたものです。米海軍兵学校の1934年版の砲術教科書に載っているものだそうです。上の写真は、プレートの表側から、下の写真は裏側から撮影したものです。写真を見ると、弾痕が3つあり、真ん中の弾痕には、砲弾が突き刺さったままの状態であることが判ります。弾痕の形状が楕円であることから、砲弾は、プレートに対して角度をつけて射撃されたことが判ります。またキャプションから、クラスBプレートに対する貫通限界存速付近の弾痕だということが判ります。 砲や弾に対する説明はありませんが、写真や状況から艦砲のAP弾によるものと思われます。AP弾が装甲に突き刺さった状態で残るのは大変珍しく、貴重な写真と言えるでしょう。
[英国軍のAPFSDSで撃破されたイラク軍のT-55]
左の写真は、「Operation Telic」においてイラク南部で、英国軍によって撃破されたT-55戦車の写真です。車体前面の傾斜部にAPFSDS弾を被弾していることが判ります。ちなみに英国のチャレンジャーMBTシリーズの120mm砲には、L26(CHARM1)やL27(CHARM3)などのAPFSDS弾が装備されています。

写真奥付:
・WebSite「Ministry of DEFENCE」
URL:http://www.operations.mod.uk/
該当ページ:
URL:http://www.operations.mod.uk/telic/photo_gallery_ops_land.htm
[T-62の砲塔上面に穿たれたAPFSDSの侵徹孔]
左の写真は、T-62の砲塔上面に穿たれたAPFSDSの侵徹孔です。砲塔上面に非常に浅い角度で着弾していますが、跳弾せずに侵徹しています(深い侵徹孔のとなりの着弾痕は跳弾しています)。左下の写真は、侵徹孔を砲塔内から撮影したものですが、着弾角度と貫徹孔の角度に大きな差があることが判ります。APFSDSのような高速衝突では、衝突部分の超高圧により侵徹体、装甲ともに流体化しますので、あたかも変形抵抗の無い流体に衝突したような状態になります。結果として、運動量の偏向はほとんど発生せず、跳弾も起こり難くなります。このため、従来の避弾経始はほとんど無意味になります。ただし、水面にごく浅い角度で投げつけられた小石が跳ねて飛んで行くように、APFSDSでも、ごく浅い角度で着弾した場合は、跳弾する場合もあります。

写真奥付:
・WebSite「Scott Cunningham Armor in Action」
URL:http://www.armorinaction.com/より
[AP弾とAPC弾による侵徹孔断面形状の違い]
この写真は、傾斜したRHAに対する、AP弾とAPC弾による侵徹孔の断面写真である。上がAP(被帽無しの徹甲弾)によるもので、下がAPC(被帽付徹甲弾)よるものである。APはすんなりと屈折現象を起し貫通しているが、APCは被帽が潰れて断面積が大きくなった状態で侵徹していることから、侵徹孔の断面形状が大きくいびつになっている。これでは、運動エネルギーの集中が妨げられた状態になり、貫徹能力が低下するであろう。実は、あまり知られていないが、均質圧延装甲に関しては、弾丸の寸法や運動エネルギーが同一でも、APよりAPCの方が貫徹能力が低くなる傾向にある。この原因は、この写真の現象にあると推察される。なお、表面硬化装甲に関しては、APよりAPCの方が効果が高い。
[90mmAP弾による軟質鋼標的への侵徹孔写真(1)]
61式戦車の主砲、61式90mm戦車砲のAPC弾(M318AP-Tだと思われる)で射撃された標的の侵徹孔写真(標的表側)。標的の厚さは、50mmで、軟質鋼とのことである。ちなみに、61式90mm戦車砲のM318AP-Tの直径は89.9mm、初速は910m/minである。表面側の孔周りに花弁がきれいに残っていることから、標的は、軟質鋼であると思われる。これは、軟質でないと花弁は飛散してしまうためである。標的の寸法から算出した表側の侵徹孔直径は93mmである。910m/sec程度の初速では、弾丸直径よりやや大きい侵徹孔(弾丸直径の約1.04倍)が穿たれる程度である。なお、本標的のすべて写真は、お兄軍曹殿より提供のものである。
[90mmAP弾による軟質鋼への穿孔写真(2)]
61式戦車の主砲、61式90mm戦車砲のAPC弾(M318AP-Tだと思われる)で射撃された標的の侵徹孔写真(標的裏側)。この写真では、標的端部の支柱が接合された部分に弾丸が貫通している。侵徹孔の裏側は大きくもり上がり、その破壊力の高さがうかがえる。侵徹孔の内面は平滑で、高初速APFSDSの侵徹孔に見られる、erodeによるギザギザは見られない。
[90mmAP弾による軟質鋼への穿孔写真(3)]
61式戦車の主砲、61式90mm戦車砲のAPC弾(M318AP-Tだと思われる)で射撃された標的の侵徹孔写真(標的側面)。50mmもの厚さを持つ標的が、着弾の衝撃で大きく変形している。
[90mmAP弾による軟質鋼への穿孔写真(4)]
61式戦車の主砲、61式90mm戦車砲のAPC弾(M318AP-Tだと思われる)で射撃された標的の侵徹孔写真(標的表面)。
[40mmAP弾による防弾鋼板への侵徹孔写真(1)]
61式戦車用の試作防弾鋼板への40mmAPC弾の侵徹写真(装甲裏側)。耐弾限界を少し超えたところで、装甲裏面に亀裂が発生している。
[40mmAP弾による防弾鋼板への侵徹孔写真(2)]
61式戦車用の試作防弾鋼板への40mmAP弾の侵徹写真(装甲裏側)。耐弾限界を超え、装甲裏面に、弾頭が見えはじめている。半貫という状態。この段階では、貫通した弾頭周りの防弾鋼板は、装甲裏側(戦車で言ったら車内)に、一部、飛散しており、人員に被害を与える可能性がある。
[40mmAP弾による防弾鋼板への侵徹孔写真(3)]
61式戦車用の試作防弾鋼板への40mmAPC弾の侵徹写真(装甲裏側)。耐弾限界を超え、装甲裏面に、弾頭が出ている。この段階では、貫通した弾頭周りの防弾鋼板は、装甲裏側(戦車で言ったら車内)に飛散し、人員に被害を与える。
[75mmAP弾による防弾鋼板への弾痕写真(1)]
61式戦車用の試作防弾鋼板への75mmAPC弾の跳弾痕写真。弾丸が防弾鋼板に極浅い角度で着弾したため、跳弾している。弾頭の被帽の一部が、防弾鋼板の凹み部分に残っている。
[75mmAP弾による防弾鋼板への弾痕写真(2)]
61式戦車用の試作防弾鋼板への75mmAPC弾の弾痕写真。弾丸が防弾鋼板に対して、ほぼ垂直に着弾した痕。深い凹みであるが、貫通には至っていない。
[75mmAP弾による防弾鋼板への弾痕写真(3)]
61式戦車用の試作防弾鋼板への75mmAPC弾の弾痕写真。弾丸が防弾鋼板に対して、斜めに着弾した痕。垂直着弾時の凹みと比較して、凹みは浅い。弾頭の被帽の一部が、防弾鋼板の凹み部分に残っている。
[75mmAP弾の着弾を受けた軟質ニッケル鋼標的の写真]
本標的は、ドイツのミュンヘン・ドイツ博物館に展示されている。標的の材質は、「Ungeharteter Nickelstahl」(直訳すると、未硬化ニッケル鋼)で、ニッケル鋼に焼入(ひょっとしたら表面焼入)を施していないものと推察される。標的の厚さは70mmである。左上のIの侵徹孔は、5.85kgの7.5cm砲弾が着速392.2m/secで着弾したもの、右上のIIの侵徹孔は、5.80kgの7.5cm砲弾が着速437.0m/secで着弾したもので、両方とも貫通には至っていない。下のIIIの侵徹孔は、5.85kgの7.5cm砲弾が着速469.2m/secで着弾したもので、半貫通ないし貫通状態である。侵徹孔の状態から、弾種はAP弾だと推測される。
この標的の後ろには、「gehartete Nickelstahl」(直訳すると、硬化ニッケル鋼)の標的があり、そちらの写真と比較できると良いのだが・・・。
なお、本写真は、「ぐろすどいっちぇらんど」のアマガエル様よりお借りしたものである(禁転載)。
[105mmAPDS弾による硬質鋼標的への侵徹孔写真(1)]
74式戦車の主砲、105mm戦車砲L7のAPDS弾で射撃された標的の侵徹孔写真(標的表側)。標的が軟質の場合、侵徹孔周りに花弁が残るが、本標的の侵徹孔周りは、花弁が飛散してしまっている。このことから、標的は、硬質鋼と思われる。
[105mmAPDS弾による硬質鋼標的への侵徹孔写真(2)]
74式戦車の主砲、105mm戦車砲L7のAPDS弾で射撃された標的の侵徹孔写真(標的裏側)。標的が硬質のため、裏面の侵徹孔周りが広い範囲で飛散している。
[105mmAPFSDS弾による軟質鋳鋼標的への侵徹孔写真(1)]
74式戦車の主砲、105mm戦車砲L7のAPFSDS弾M735APFSDS)で射撃された標的の侵徹孔写真(標的表側)。標的の厚さは、50mmで、軟質鋼とのことである。ちなみに、105mm戦車砲L7のM735APFSDSの侵徹体直径は32mm、初速は1501m/min、射距離1000mにおける貫徹能力は、RHA換算で359mmである。APC弾の場合と異なり、表面側の孔周りに花弁が残らない。標的の寸法から算出した表側の侵徹孔直径は51mmで、侵徹体直径の約1.72倍の孔が穿たれている。
[105mmAPFSDS弾による軟質鋳鋼標的への侵徹孔写真(2)]
74式戦車の主砲、105mm戦車砲L7のAPFSDS弾M735APFSDS)で射撃された標的の侵徹孔写真(標的裏側)。標的の厚さは、50mmで、軟質鋼とのことである。侵徹孔の内面はギザギザに溶融したような状態に見える。これは、APFSDS弾のような高初速弾特有のerodeによるものである。
[105mmAPFSDS弾による軟質鋳鋼標的への侵徹孔写真(3)]
74式戦車の主砲、105mm戦車砲L7のAPFSDS弾M735APFSDS)で射撃された標的の侵徹孔写真(標的裏側)。この写真では、標的端部の支柱が接合された部分に侵徹体が貫通している。
[APFSDS弾によるT62砲塔への侵徹孔写真]
APFSDS弾によるT62の砲塔への侵徹孔写真。亀甲型の砲塔へ、極浅い角度で、侵徹体が着弾したにもかかわらず、跳弾していない。高初速のAPFSDS弾に対しては、避弾傾始(ひだんけいし)の概念が通用しないという良い例である。
[APCR弾による旧ドイツ軍6号戦車砲塔前面への弾痕写真]
APCR弾による旧ドイツ軍6号戦車[Pzkpfw VI Tiger I]砲塔前面への弾痕写真。上方の中心に小さく深い孔があり、その周りに浅く凹んでいる痕が、APCR弾の弾痕である。中心の孔は弾芯の侵徹孔、周りの凹みは、軽合金の弾体が装甲に衝突してできた痕と思われる。APCR弾の弾痕の他に、各種の弾丸の弾痕が見られる。
[試作装甲兵員輸送車XM734に着弾したHEAT弾痕]
 試作装甲兵員輸送車XM734に着弾したHEATとによるものと思われる弾痕。中央に侵徹孔があり、その周りに弾体破片が衝突した痕が放射状に見られるのが特長である。
 昭和42年5月の米軍統合記念日に相模原補給廠で撮影されたもので、戦車マガジン1980年3月号に掲載された写真を転載。記事では、ベトナムにて実戦に参加し、RPG等のHEAT弾頭の被害を受け、修理のために相模原補給廠に戻されたものだと推定されている。
[HEAT弾による標的への侵徹孔断面写真]
HEAT弾による標的への侵徹孔断面写真。”VTTV-1998 exhibition”で、公開されたものである。侵徹長は約800mmで、奥側ほど孔径が小さくなっていることが判る。なお、本写真は、Vasiliy Fofanov氏より提供頂きました。
[HEAT弾による標的への侵徹孔断面写真]
HEAT弾による標的への侵徹孔断面写真。右側に着弾して、左側に抜けたものと思われる。孔内面は、溶融したような外観である。高速のメタルジェットの衝突により、標的材質が流体化可塑化したために、このような状態になる。
[自己鍛造弾による標的の破壊状況写真(1)]
自己鍛造弾(爆発成形侵徹体)による装甲の破壊状況写真。写真は、侵徹体が着弾した側からのものである。侵徹体の存速は、侵徹理論上の領域においてAPFSDSと同等であるが、形状が異なるため(特にL/D比が小さく、形状がいびつのため)、侵徹孔の形状が不安定である。
[自己鍛造弾による標的の破壊状況写真(2)]
自己鍛造弾(爆発成形侵徹体)による装甲の破壊状況写真。
[HESH弾による標的の破壊状況写真(1)]
74式戦車の主砲、105mm戦車砲L7のHESH弾で射撃された標的の侵徹孔写真(標的表側)。標的は、炸薬の爆発で大きく凹み、中央に孔が穿たれている。凹み周りの疵は、HESH弾の弾体破片が衝突することによって、できたものである。この破片効果や炸薬の爆発による爆風から、HESH弾は、歩兵や自動車などの非装甲目標を攻撃する場合にも使用できる。
[HESH弾による標的の破壊状況写真(2)]
 74式戦車の主砲、105mm戦車砲L7のHESH弾で射撃された標的の侵徹孔写真(標的側面)。標的が、炸薬の爆発で、裏側に向かって大きく変形していることが判る。
[HESH弾による標的の破壊状況写真(3)]
 74式戦車の主砲、105mm戦車砲L7のHESH弾で射撃された標的の侵徹孔写真(標的裏側)。標的裏側が、炸薬の爆発の衝撃波で、飛散しているのが判る。
[HESH弾による鋼板の内面剥離写真(1)]
鋼板表面に爆薬を設置して爆破した鋼板の断面写真。HESH弾が着弾したことを想定したもので、鋼板は凹み、裏面が剥離していることが判る。
[HESH弾による鋼板の内面剥離写真(2)]
鋼板表面に爆薬を設置して爆破した鋼板(特殊粘質装甲材)の断面写真。HESH弾が着弾したことを想定したもので、鋼板は凹み、裏面が剥離していることが判る。
[HE弾破片による薄鋼板の貫通写真]
HE弾破片による薄鋼板の貫通部の写真。装甲が薄い場合は、近距離で炸裂したHE弾の大破片が、装甲を貫通する場合がある。
[HE弾による旧日本陸軍94式軽装甲車の車体前面下部の破壊写真]
旧日本陸軍94式軽装甲車TKの車体前面下部に中口径のHE弾が直撃し、破壊された写真。本車の車体前面下部の装甲厚は15mmしかなく、徹甲弾はおろか中口径HE弾の直撃にも耐えられなかった。
[機関銃弾による旧日本陸軍89式中戦車砲塔部の弾痕写真]
旧日本陸軍89式中戦車の砲塔部に多数の機関銃弾が命中した写真。貫通には至っていない。
[APC弾およびAPFSDS弾の射撃を受けた標的の写真(1)]
寸法:縦1500mm×横1800mm×厚さ50mm
材質:軟質鋼
90mmAPC弾および105mmAPFSDS弾の多数の侵徹孔がみられる。表側。
[APC弾およびAPFSDS弾の射撃を受けた標的の写真(2)]
同上。表側。
[APC弾およびAPFSDS弾の射撃を受けた標的の写真(3)]
同上。表側。
[APC弾およびAPFSDS弾の射撃を受けた標的の写真(4)]
同上。裏側。
[APC弾およびAPFSDS弾の射撃を受けた標的の写真(5)]
同上。裏側。
[砲身に着弾したAP弾痕]
 硫黄島の大阪山砲台跡に残る、旧日本軍のアームストロング(安式)15cm砲に着弾した米軍戦車砲のAP弾痕。弾底の形状からM4シャーマン戦車搭載75mm戦車砲M3のM61APC弾あたりだと思われる(なお、M61APC弾は、APCBC-HEに分類される)。
 弾底中央の突起部が、砲弾の曳光部で、その周囲が弾体である(赤いのは、スプレーで着色されているため)。砲弾の周りが大きく凹んでいるのは、装甲に砲弾が浸入する際に、砲弾の浸入孔近傍は、高い圧縮応力にさらされるが、砲弾の運動が停止したり、砲弾が貫通した場合、その応力が解放され、浸入孔近傍は反対方向の応力(引張応力)にさらされる。このとき、装甲を構成する部材の靭性が低いと(硬度を優先し、延性が低いと)、その応力に耐えられず、侵入孔近傍が40〜45度の角度で離脱(剥がれ飛ぶ)ことがある。この写真の弾痕も、破面の形状などから、この現象によるものと推察される。
 安式15cm砲の砲身は、外筒と内筒で構成されており、着弾部付近は、外筒が離脱して、内筒が見えている。当時の砲身の機械的性質および製造方法は、砲身の製造方法を参照のこと。
本写真は、よしひろ様、kiiro_14様より提供頂いたものである(禁転載)。

なお、この結論にいたるまでに、多く方から情報を頂きました。それらの情報を、「砲身に着弾した弾種は?」にまとめました。興味がある方は、ご覧ください。情報提供者には深く感謝致します。

写真抜粋、参考文献:
・「日本の防弾装甲 覚え書」 大前肇著 戦車マガジン 1979年11月号〜1980年4月号連載記事 戦車マガジン社
・「戦車の装甲と防御力」 荒城義郎著 戦車マガジン 1990年4月号〜1990年8月号連載記事 戦車マガジン社
・「装甲哲学入門」 荒城義郎著 戦車マガジン 1990年9月号〜1991年7月号連載記事 戦車マガジン社
・戦車マガジン1980年3月号 戦車マガジン社

参考WebSite:
・「Nammo社ホームページ」 URL:http://www.nammo.com/
・「Vasiliy Fofanov's Home Page」 URL:http://members.dencity.com/fofanov/index.html
・「WebSite「Scott Cunningham Armor in Action」 URL:http://www.armorinaction.com/

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作成:2002/02/24 Ichinohe_Takao
更新:2006/06/25