Zimmerit[ツィンメリット]
Zimmerit[ツィンメリット]自体は装甲ではないが、装甲に関連するものであるので説明する。第2次世界大戦中のドイツ軍では、戦車に磁力で直接吸着させる対戦車地雷を開発した。この磁石吸着式対戦車地雷とは、通常の対戦車地雷と異なり地中に埋設するのでは無く、歩兵が戦車に肉薄し、地雷を吸着させ、内蔵された成形炸薬[HEAT]で戦車の装甲を貫徹するものであった。一方、ドイツ軍は連合軍に同一の兵器が開発された場合のことを恐れ(実際はドイツ軍から分捕った吸着地雷をソ連軍が使用することが多かったらしい)、装甲表面に磁力による吸着を阻害する消磁性の塗布材を塗ることとした。これが、Zimmerit[ツィンメリット]と呼ばれるものである。ちなみにこの名称は、開発会社であるZimmer社[ツィンマー社]に因むものである。使用時期は、1943年の9月から、戦車、駆逐戦車、突撃砲等に行われたが費用対効果および生産性の向上の観点からか、1944年9月には廃止された。Zimmerit[ツィンメリット]の材質は合成樹脂を主体としたものである。Zimmerit[ツィンメリット]は、下塗りの防錆塗装の上に格子状の起状を付けながら塗布されているが、これは、塗布時の乾燥を速めるとともに、吸着地雷の密着性を低下させ、被弾時の剥離脱落範囲を減らすことを目的としている。また、塗布パターンには、メーカーごとに違いが見られる。
作成:2001/05/27 Ichinohe_Takao