ロシア戦車の内張り装甲の写真


 ロシア戦車の解体状況や内張り装甲の様子が判る写真を見つけました。
 内張り装甲とは、装甲の内側(裏面)に貼るもので、スポール・ライナーやスプラッシュ・ライナーと呼ばれます。
材質は、現在ではアラミド繊維(ケブラーなど)とプラスチックの複合材を使用するのが一般的となっています。
その効果は、下記の通りです。
1)「被弾時、装甲裏面が剥離した場合に、その剥離破片を受け止める」
2)「被弾貫通時に破片の飛散角度を小さくする」

 写真と説明は、下表をご覧ください。

No. 写真
(クリックすると大きな写真が見られます)
説明
1  溶断されたT-80BVの砲塔です。写真の上側が砲塔前面、下側が砲塔後面になります。既知の寸法(ハッチの孔のサイズとか)と比較することで、砲塔上面や側面の装甲厚を推定することができます。砲塔上面は20〜30mm程度、側面は100mm程度といったところでしょうか?
 砲塔内面に小さな円盤状のものが付いているのが気になりました。
2  上の写真ののアップです。砲塔内面装甲から、すこし浮かして円盤が付いていることが判ります。
3  本題とは直接関係ありませんが砲塔前面側の写真です。その「ぶ厚さ」が、なんとなく判るでしょうか?
4  T-80シリーズまたはT-90シリーズの照準装置周りの写真です。写真の右上や左端を見ると判りますが、いわゆる「内張装甲」(スポール・ライナーまたはスプラッシュ・ライナー)が貼られていることが判ります。前述の「円盤」は、この「内張装甲」を砲塔内面に固定させるためのものだったのです。
5  製造中のT-72S?の砲塔の写真です。砲塔が横倒しにされて、砲塔上面の孔のむこうに赤い服を着た作業者が立っていることが判ります。写真の左側が砲塔前面、右側が砲塔後面になります。
 砲塔内面を見ると、内張装甲が設置されていることが判ります。砲塔上面の孔の端の厚さと比較すると、内張装甲の厚さが、かなり厚いことが判ります。砲塔上面の厚さを30mm程度とすれば、内張装甲は40〜50mm程度はありそうです。材質は見た目からして、一般的な繊維系複合材の一種だと推測されます。

参考文献:
火器弾薬技術ハンドブック P210


作成:2006/2/11