射撃命令
3)射撃命令
FOからの射撃要求を受けたアシストは、瞬時にどのような射撃を行うべきか分析
します。これに定型はありませんが、私の経験から言えば、だいたい次のような事項
を考えます。
考えること | アシストの心の中の内容 | |
1 | 射撃部隊 及び 射撃の方法 | 現在空いているのは、よし、1中隊だな。目標の座標は、正確に取れていな いから、修正射≠ナいく必要があるな |
2 | 弾種・信管 | 弾は当然M107榴弾だとして、問題は信管だ。敵はATMで、事態は切迫 している。急ぐ射撃が必要だ。よし、ここは92CVTを使おう ※CVTだと破裂高度を自動的に設定できるので、時限信管と違って破裂高決 定の射撃を省略できるのです。 |
3 | 効力射弾数 | これが特に重要です。これは陸自の某文書に記載されている計算式…リーサ ル・エリア方式…に基づいて算出します。が、実際はこんな計算をやっている余裕は ないので、アシストは事前に早見表を作っておいて…例えば、人員目標に対して効果 10%であれば10発とか…それを参照します |
以上の事項を決心したら、大隊長にこれを意見具申して、大隊長に『射撃の決心』
を求めます。
アシスト |
「大隊長! FOから要求のあった敵ATMを速やかに制圧する必要があり ます。1中隊の修正射、効力射には92VT、10発を撃ち込みたいと考えます!」 |
大隊長 | 「92CVTの予備は大丈夫か?」 |
アシスト | 「まだ余裕があります」 |
大隊長 | 「よし、撃て!」 |
それからアシストはFDCの各員に対して、『射撃命令』を下達します。この『射
撃命令』は、これから行う射撃の具体的な要領を端的に示すものです。その内容と順
序については次の通り。このうち不要な部分は省略可能です。
今回は、次のような射撃命令になりました。
1 | 射撃部隊 | 「射撃命令! 1中」 |
2 | 修正(試)射の方法 | 修正、基準砲 |
3 | 目標及び観測者 | 座標…(FOが要求した座標) |
4 | 射撃諸元算定手段 | 略 |
5 | 弾種・信管 | M557瞬発 |
6 | ロット | 略 |
7 | 装薬号 | 装薬白6 |
8 | 効力射の方法 | 効力射 92CVT 10発(各門) |
9 | 射撃開始時期 | 略 |
10 | 火力集中点番号 | 略 |
続けて言うと、「1中修正基準砲、座標…、M557瞬発、装薬白6、効力射 9
2CVT 10発!」
作成:2002/09/01