前進観測班(FO)と射撃要求
1)前進観測班(FO)と射撃要求
射撃は、通常、第一線部隊に同行する[前進観測班(FO)]、もしくは視射界良好な地点に配置された[観測所(OP)]からの目標情報の伝達…射撃要求というものによって始まります。
FO(前進観測班長)は、特科幹部にとって登竜門的な配置であり、富士学校の幹部初級課程を卒業後、ほとんどの新人幹部はこの任務に就きます。
FO班は、FOと連絡陸曹2名、ジープのドライバーの計4名が定数ですが、充足率が低い部隊ではFOと連絡陸曹1名の計2名で行動することが多いです。
FO班の主要装備は…
眼鏡(通常の8倍眼鏡、レチクル付)
個人用携帯無線機F10
車両無線機F5
74式小型トラック(つまりジープ)×1
そして、護身用の64式小銃
74式小型トラック | 64式小銃 |
掲載写真は、陸上自衛隊のホームページよりの転載です。 |
FOは、特科大隊本部より第一線戦闘部隊の中隊へ派遣されます。
FOの任務は、第一線部隊の中隊長の火力幕僚役となって、中隊長が持っている火力運用の構想を[火力要求]として具体化し、特科大隊との間でこれを調整することと、実際に射撃の観測にあたることです。
第一線で目標が現出すると、FOは特科大隊のFDC(射撃指揮班)へ、[射撃要求]を送ります。この要求は定型が決まっていて、次のような順序で送ることになっています。
1 観測者(所)呼出符号及び予告
2 目標位置
3 目標の種類・状態
4 射撃の方法
5 弾種・信管
6 統制法
これではイメージしにくいでしょうから、一例を挙げるとこんな感じです。
「13 こちら 26 修正射 おくれ」
「26 こちら 13 おくれ」
「座標 1520−2350 標高 200 観目方位角 4700 おくれ」
「続いておくれ」
「射撃中のATM含む陣地 正面100 縦深不明 効力射には92CVT おくれ」
「こちら 13 了解 待て」
ちなみに
13 = FDC
26 = FO の符号だと思ってください。
作成:2002/06/02