小銃,機関銃,重機関銃用徹甲弾の貫徹能力


 小銃,機関銃,重機関銃の徹甲弾の近距離(射距離:0m〜500m)における貫徹能力(50%貫通厚)を
表Aに示します。表の見方を説明しますと、表の最左が弾薬の規格です。例えば、自衛隊でも使用している
12.7mm重機関銃は、「12.7×99」という規格です。その右隣が、弾薬の呼称、その隣が弾種になります。
「12.7mm×99」,「M2」,「AP」は、「12.7mmM2徹甲弾」という意味になります。
その右隣が、貫徹能力のデータになります。各射距離でのRHA、HHA、防弾セラミックに対する貫徹能力
(50%の確率で貫徹できる装甲の厚さ)です。例えば、12.7mm×99のM2徹甲弾であれば、射距離0mに
おいて、厚さ29.2mmのRHAを50%の確率で貫徹できることになります。なお、この場合のRHAやHHAは、
米軍規格MIL-A-12560やMIL-A-46100に規定されるRHAやHHAのことです(詳細は、「貫徹能力評価に
使われるRHAについて」
をご覧ください)。同様に、14.5×114のB32焼夷徹甲弾の場合は、射距離100mに
おいて厚さ30.5mmのHHAを50%の確率で貫徹できることになります。また「Ceramic」は、とあるメーカーの
防弾セラミック(B4Cセラミック)です。セラミックによる防御は、厚さの点では鋼より目だった利点がありません。
しかしB4Cセラミックの密度は、鋼の3分の1程度ですので、重さでみれば3分の1で同等の防御能力を達成
できることになります。ただし、この防弾セラミックの被弾における防御冗長性(一定面積に何発までの被弾
に耐えられるか)については不明ですので注意が必要と思います。ようするにセラミックは割れたら防御能力
が失われますので、鋼に比べて防御冗長性が低く注意が必要ということです。
「直径50cmに2〜3発の被弾に耐えられれば良い」というような条件(防弾ベスト用途)ならば、非常に有用な
装甲になりえるわけです。

表A 小銃,機関銃弾,重機関銃用徹甲弾の貫徹能力(各射距離における50%貫通厚)
弾薬規格 呼称 弾種 射距離0m 射距離100m 射距離300m 射距離500m
RHA HHA Ceramic RHA HHA Ceramic RHA HHA Ceramic RHA HHA Ceramic
5.56x45 M995 AP 15.5 9.3 9.9 12.4 8.1 9.1
7.62x39 BZ API 11.8 9.3 10.3 9.3 6.4 9.1 5.6 5.6 7.8 2.8 4.5 7.8
7.62x54R B32 API 16.8 11.8 13.0 13.7 10.9 11.9 10.0 8.7 9.7 7.2 6.5 7.8
7.62x51 M61 AP 11.8 10.0 11.7 10.0 8.6 10.7 6.8 5.9 8.9 5.0 4.0 7.8
7.62x63 M2 AP 16.2 11.2 12.6 13.1 9.0 11.7 10.0 6.7 9.9 7.5 5.3 8.8
7.62x51 M993 AP 14.6 13.4 14.9 11.7
12.7x99 M2 AP 29.2 27.4 31.1 18.7 26.1 29.2 14.9 23.0 26.3 12.4 18.0 23.3
12.7x108 B32 API 21.8 21.8 25.3 15.5 20.5 23.7 11.2 19.0 21.4 9.3 17.4 19.1
14.5x114 B32 API 41.7 31.7 33.1 37.9 30.5 31.1 33.0 28.6 29.2 28.6 26.1 27.2
14.5x114 BS41 API 46.6 39.8 41.4 44.2 37.3 38.9 36.1 31.1 36.6 29.9 28.0 34.0

作成 2005/12/26