ソーラー事業:じだんだ踏む韓国

「あのときやっていれば…」

「見通し暗い」と判断、20年間投資を先延ばし

 韓国が中国にソーラーエネルギー(太陽光)事業市場の主導権を奪われた理由は何だろうか。専門家はひとえに、「チャンスを逃した」と指摘する。

 韓国企業がソーラー事業への進出を初めて検討したのは約20年前のことだが、「市場の展望は暗い」と判断し、商業化に向けた投資を先送りしている間に、中国が大規模な投資を行ったというわけだ。

 LGが太陽電池に関する研究を始めたのは1984年。しかし、製品の量産を始めたのは、それから24年後のことだ。その間、LGはソーラー研究のための人材を半導体や液晶表示装置(LCD)の分野に回した。LGは2008年に慶尚北道亀尾市にあるプラズマ・ディスプレー(PDP)の生産ラインを改造し、120メガワットの太陽電池生産ラインを稼動し始めた。LG電子の関係者は、「ソーラー時代がこれほど早くやって来るとは思わなかった」と話している。

 サムスンも同様だ。1993年に太陽電池の研究に乗り出したが、研究開発(R&D)用生産ラインの稼動を始めたのは昨年のことだ。そして、遅ればせながら、「来年上半期までに100メガワットの太陽電池生産ラインを増設する」と大規模な投資計画を発表した。

 しかし、専門家は「ソーラー事業での韓国と中国の形勢逆転は容易ではない」と話す。半導体・LCDでは、短期間に大規模投資を集中させることにより日本に追い付いたが、ソーラー分野では投資額で中国を圧倒するのは難しいからだ。さらに、該当企業の事業構造も韓国にとっては弱点だ。中国のサンテック・パワー(尚徳太陽能電力)、インリ・ソーラー(英利)、トゥリナ・ソーラーなどは、ソーラー事業に死活を賭けている専門企業だ。だが、韓国でソーラー事業を展開している現代重工業、サムスン電子、LG電子は主力事業が別にある。

 建国大学電気工学科の安亨根(アン・ヒョングン)教授は、「韓国がソーラー事業で中国を超えるには、価格競争力を高めるプロセス技術の開発や部品素材を共に育成するための、国レベルでの戦略が必要」と話している。

李性勲(イ・ソンフン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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