長射程弾


●長射程弾とは
 長射程弾とは、通常榴弾より射程を増大させる目的で開発された砲弾である。長射程を得る方法には、様々なものがあるが、代表的なものは、ロケットアシスト[Rocket Assisted]またはベースブリード[Base Bleed]と呼ばれる方法で、これら方法を採用した砲弾をRAP弾[RAP:Rocket Assisted Projectiles]またはベースブリード弾[BB:Base Bleed]と呼称する。

●ベースブリード弾[BB:Base Bleed]
 弾丸には、ボートテール抵抗と呼ばれる、弾丸の横を通過した空気が、弾底部で渦流を作り、圧力を低下させ、大きな抵抗となる現象がある。ベースブリード弾は、弾丸の底部にガス発生剤とノズルを設置し、弾丸が砲口から飛び出した後、ガス発生剤が点火され、その燃焼ガスにより、ボートテール抵抗を減少させ、射程の増大を図ったものである。なお、後述のロケットアシストとの違いは、燃焼ガスの圧力が低く、加速されるまでにはいかない点である。欠点としては、1)弾丸にガス発生剤を入れるため、相対的に炸薬の量が少なくなり、通常の榴弾と比較すると威力が低くなる、2)ガス発生剤の燃焼のバラツキの影響を受けるために射撃精度の低下する、の2点が上げられる。

●ロケットアシスト弾[RAP:Rocket Assisted Projectiles]
 ロケットアシスト弾とは、発射薬による加速の他に、弾丸にロケットモーターを取り付け、その加速により、射程の増大を図った砲弾である。なお、ロケットアシスト弾においても、前述のベースブリードによる、ボートテール抵抗の低下を利用しているものが一般的である。欠点としては、1)弾丸に推進剤やロケットモーターを取り付けるため、相対的に炸薬の量が少なくなり、通常の榴弾やベースブリード弾と比較すると威力が低くなる、2)ロケットモーターの燃焼のバラツキの影響を受けるために、通常の榴弾やベースブリード弾と比較すると射撃精度の低下する、の2点が上げられる。

●長射程弾の今後
 長射程弾では、射程は増大するものの、威力や射撃精度が低下する欠点がある。これらの欠点については、砲弾の誘導化や、子弾の散布による威力範囲の増大によって対応することが試行されている。

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作成:2002/08/10 Ichinohe_Takao