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2010-10
26
00:40:55

Titanium mobileが盛り上がっているようで何よりだ

実はしばらく前にTwitterのTLで流れてたのを見て触りだしてからはまっていたので、最近の盛り上がりは嬉しく思います。なんたって一時期は日本でTi mobile使ってるのは数人ぐらいしかいないんじゃないかとか思ってたぐらいなので。
へえまだアルファブロガーっているんだぁと思った次第。

実は既にそれなりにまともなiPhoneとAndroidアプリをTi mobileで作ってそれぞれAppStoreとAndroidマーケットで公開していたりします(本名で出してるからここでは紹介しない)。
ということで僕も別にそんな経験あるわけではないけど使っていて感じたこととかつらつらと書いてみますよ。

因みにTi mobileの日本での先駆者と言えばまとめサイトも作られてるdonayamaさんとかyuichi_katahiraさんとかですかね。また Yuichiro MASUIさんはAdMob用など幾つかiPhoneモジュールを公開されていらっしゃいます。

iPhone版は優秀だけどAndroid版は発展途上

僕の経験で言うと一週間でiPhoneアプリは出来てしまったんですがそこからAndroidに対応させるのに二週間かかりました。原因はAndroidでのバグ?らしき挙動とiPhone版さの差異のためです。
iPhone版は非常に優秀でJavaScript好きの人ならさらさらと簡単にアプリを作れてしまうと思います。ただそれと同じつもりでAndroid版に拡張し始めると要領があまりに違っていてかなりはまりました。
例を挙げると、何故かiPhoneでは当たり前に取得できるresponseXMLがAndroidではRSSフィードによっては文字化けしたり(結局最後まで原因はわからず、responseDataを使ってパースした)、windowのxIndexがwindowのlayout指定によって順序が異なったり、WebViewで取得したHTMLは外部からは取得できなかったり、windowのblur/focusイベントは動作しなかったり・・などなど。
「iPhoneとAndroidでは画面サイズとかが異なるからコードを分けないといけなくなる」程度の話が流れていますがそれどころではないです。僕はかろうじて同一レポジトリに閉じ込められましたが、現時点ではコードの規模によっては別々に開発することも考えた方がいいこともあるでしょう。
Titanium Developer製品(Ti mobileはその一環)はOSSで開発が進められているのですが、チケットを見てもAndroidのissueは多いように見えます。
まだまだ開発途上の製品なのでそれにうまく付き合えるかどうかがポイントになります。

iPhoneとAndroidのJavaScriptの解釈が異なる

恐らく先のAppleによる「AppStoreからの開発ツールの締め出し」騒動に関係していると思われますがiPhone版ではコンパイル時にネイティブコードに変換します。対してAndroidではJSエンジン(恐らくGoogleのV8?)でリアルタイムにインタープリターもしくはJITで実行しているようです。つまり解釈されるエンジンが異なるのです。これが前項の原因でもあり、また両者での違いを経験から読み取っていく必要があるでしょう。

メモリ管理しなくてもいいということはメモリ管理できないということ

僕もTi mobileを一番気に入っているのはメモリ管理を気にしなくて良いと言うこと。特にiPhoneでは顕著ですよね。しかし一方ではそれはメモリリークなどの管理をできないということも意味します。
開発元のAppceleratorでは「メモリリークはうまく回避しているよ」と言い切っていますが 実際に試してみると細かなメモリリークは発生し得るようです(特にネットワーク周り)。
あまり問題にはならないレベルとは思うのですが、JavaScriptに書き慣れていないとGCを意識できずオブジェクトを残し続けてしまいがちです。ブラウザでもよく話題にはなるのですがかなり巨大なコードにならないとあまり気にしない部分かと思います。しかしTi mobileではGCを意識した変数設計をしておかないと簡単にメモリを食い潰すアプリができてしまいます。
こういう時は逆にGCに頼るのではなく自由にメモリ管理も出来る仕組みがあるといいですね。

ドキュメントを信じるな、アンドキュメントな仕様が多すぎる

これはAppceleratorが基本的にはOSSで無償で提供しつつビジネスとしてサポートを有償にしていることと関係していると思うのですが、ドキュメントがあまりに杜撰です。
そもそも返値とパラメータが全く異なっていたり(多分コピーミスなど)、ドキュメントだけではちょっと複雑な仕様を実装しようとすると悩むことが多いかも知れません。
他の方もおっしゃっているように、APIドキュメントよりもサンプルアプリであるKitchenSinkを最大限利用しましょう。特にiPhoneとAndroidの実機に実際インストールして動作を確認することをお勧めします。
またドキュメントはあまり参考になりませんが、ディスカッションフォーラムは割と参考になることが多いです。凄く盛り上がっているとは言えないけど みんな同じ事で悩んでいるのです。

拡張モジュールを作るならObjective-CとJavaは知っておいた方がいい

Ti mobileでもiPhoneとAndroidのすべての機能に対応しているわけではありません。また世には様々な便利なライブラリが公開されていますが、当然それらはObjecive-CやJavaで書かれています。Ti mobileにはそれらネイティブコードを取り込むための「モジュール」という仕組みが用意されているのですがそのためにはObjective-CやJavaでもコードを書けなければなりません。更に言えばiPhoneやAndroidでどのようにアプリを開発するかの知識が必要です。
因みに僕は広告を掲載したかったのですが当然Objective-CやJavaのライブラリやサンプルしか提供されていないので、独自にiPhoneとAndroid用にモジュールを作成しました。広告程度なら表示するだけなのでそんなに難しくないです。但しiPhoneやAndroidの経験がないとかなり難しいと感じることでしょう。
なのでTi mobile自体は単に「Objective-CやJavaを知らなくてもJavaScriptを知っていればiPhone/Androidアプリを作れる」ツールなのではなくて、まずはやはりiPhoneやAndroid開発をある程度経験してからの方が相応しいツールなのではないかなぁと思います。

最後はコードを読もう!

先に述べたようにTi mobileはOSSとしてすべてのコードが公開されています。実際現時点でのコードをgithubから取得して自分でコンパイルして使うことも出来ます(Androidの拡張モジュールはそのようにして開発します)。
なのでどうしてもバグなのか仕様なのか回避のしようがなかったら最後はコードを読んでみることをオススメします。
個人的な例では、どうしてもAndroidの実機で位置情報が取得できない問題がクリアできなかったのですが、コードを読んでみるとgetLastKnownLocation()のみで取得していることが分かりました。これは時々ディスカッションでも話題になっていますが初回には位置情報は取れないのです。
ということでプロバイダーをNETWORKにして回避したのですが(これはこれでどうかと思いますが)、こういう部分もOSSとして提供されている利点であり、活用しない手もないでしょう。

といったところでしょうか。
何やら文句と愚痴が多くなった気もしますが(笑)、個人的には大変気に入っています。特にJavaScript好きには堪らないツールとなることでしょう。
一方で「初心者でも簡単にiPhone/Androidアプリが作れる」風のイメージには疑問を感じていて、どちらかと言えば現時点でiPhone/Android開発をバリバリされてらっしゃる方にこそ効率を上げるためにぜひオススメしたいツールです。
まずは使ってもらって、少しでも日本で広まるといいなぁ。


2010-08
07
01:11:09

ニコニコPodder R1.2.2 をリリースしました

少し間が空きましたがR1.2.2です。

■ マイリスト一覧に任意のマイリストのみを表示できるようにしました

編集ダイアログを追加し任意のマイリストのみを一覧に表示できるようにしました。登録マイリストが非常に大量になった場合には便利かと思います。コメントでも以前ご要望頂いていました。
このあたり今後いろいろ拡張できると便利かもと思っています。ご要望なども頂けるとありがたいです。
この機能はフル機能版限定です。

■ 自動運転対象のマイリストをダイアログで編集できるようにしました

これもコメントで要望頂いていましたね。やはりマイリストが大量になるとチェックしにくくなるのでダイアログで編集できるようにしました。なお前項の任意のマイリストに選択したものだけが自動運転対象とできます。自動運転モードでの機能ですので必然的にこちらもフル機能版でのみご利用になれます。

■ 任意のTwitterツイートを個別に投稿できるようにしました
■ Twitterツイートの自動投稿機能は廃止しました

あまりTwitter機能は使われていないようなので(悲)廃止も考えたんですが、一応仕様を変更して任意のツイートを個別にポストできるようにしました。
自動投稿機能はよく考えるとそもそもうざくて必要なかったですね(^^;

■ Operaでブラウザ認証統合に失敗する場合があったのを修正

コメントで報告頂いていた問題です。主にx64版でだと思うのですが初期インストール直後などでは、Operaでの認証統合をうまく判定できない場合がありましたのでこれを修正しました。

■ 変換処理が非常に遅くなることがあった問題を修正

即時停止機能を付けた影響で、環境によっては変換処理が非常に遅くなっていた場合がありました。

■ Windows7向けタスクバーAPIを最新に変更

ご報告頂いた問題でこの箇所のエラーにより落ちていることがあったようです。
当方ではその現象が確認できなかったのですがとりあえず最新版のAPIに変更しました。これで改善されればよいのですが。

■ フリー版にてマイリスト登録の上限を10としました

これまでフリー版でもマイリスト登録数に制限はありませんでしたが、本バージョンより追加できるマイリストの上限数を10としました。なおこれまでに登録されているマイリストについては影響ありません。ただしすでに10を超えて登録されている場合にはそれ以上追加できませんので、新規に追加したい場合には登録削除などをして10未満の登録にして頂く必要があります。
フリー版とフル機能版の差別化のために必要と判断しました。ご面倒ですがご了承ください。

その他いくつかのバグを修正しています。

何かありましたらコメント欄までお寄せください。宜しくお願いします。


2010-07
02
14:28:34

とある件 #librahack に関連しつつ一般論を再度電話して聞いてみた

最初に再度強調しておきますが、これは「とある件 #librahack」に関連しつつも、とある関係先に再度「個人的に」「一般論」として考え方を確認してみた話です。
あくまで、 最近起きた具体的な事案についての具体的な話ではありません。
再度電話して確認したところ「あの書き方では県警が特定の事件について語ったと読まれてしまう」「あの事件について具体的に話を聞いたとの公表の仕方であれば一切お話しできない」「具体的事案についてであれば取材なので私の立場ではお話しできない。別途書面で質問を」と言われ、僕自身は「個人的にお聞きした」「一般論」と強調して書いたたつもりですがどうやら幾つかほかにも電凸があった模様もあり困惑されていた雰囲気もあり、具体的な事案情報のように捉えられるのを大変懸念されていたので、再度ここに強調してお伝えするものです。
ということで先方にお約束もしたので、ぜひあの事件からは離れて一般論的な話として、高所要所よりお読み下さい。
お話しをお聞きしたのは前回と同じ所属部署の同じ方です。という事情があったにも関わらず再び非常に真摯に長時間お話し頂きまして、大変感謝致します。ありがとうございました。

さて再度電話してお聞きしたかったのは皆さんからも少し疑問の声が上がっていた「偽計業務妨害罪には故意が必要とは書かれていない」という部分について。
基本的に議論ではなくお話しをお伺いするという姿勢で臨んでいたのと、その際僕の勘違いだっけ?などとも思ったので当時はそのままスルーしてしまったのですが、いろいろその後の議論も読み自分でも考えるにやはりここだけは聞いておかないと重要なポイントなのではないかと思ったので、本当はもうかけるつもりは無かったのですが、もう一度だけ電話して確認してみました。
ポイントを羅列しますが、あくまで僕自身の捉え方の部分でしか無いところもあるかと思いますので、その点もご注意下さい。

色々話が飛んだり混迷もしたので物足りない部分や不明な部分もあると思いますが、以上でしょうか。

議論に先入観を植え付けたりこの立場からリードもしたくないので極力ここでは意見は差し控えたいと思いつつ、一点だけ。
会話して感じたのは、警察の立場でぶれていないのは「被害が出ており法律上立件が求められているのならば動くのは当然」との感触が端々に感じられたことです。会話でも一部出たのですが、「罪刑法定主義」とのことです。
一般論として(他の悪質な例で考えれば)当然でありますし、裏返せば「ネット特有とされるルールや習慣は新規参入者やネットに詳しくないとされるものに受け入れられていない・共通認識されていないという主張に対しどう抗弁していくのか」「今回の件は偽計業務妨害罪にそぐわないのだとすればどう法整備や法実務に反映していくべきか」「ネットのルールや事実をどう法的根拠付けしていくべきか(それにより、条件によって阻却事由を構成していくか)」という点かと感じます。 つまり条件が揃ってしまえば警察が動き出すのはある意味当然(当然法実務での阻却要因はあり得るとしても)という考え方かなと感じました。
少なくとも「毎秒何回までならいいのか」「業者のシステム構築能力が悪い」「業者が技術的にDoSなどではないと判断すべきだった」 論ではない(それはそれとして別の議論としてはあり得ると思います)のだと思います。上記からもそうしたことは仮に証明・釈明されても「この論法の中では」全く役に立たないことは理解しておくべきかと思います。
一般論として紐解いても、@librahackさんが20日かかっても抗弁し切れなかった要因が見え隠れするようにも感じます。

以上です。
因みに僕自身は自分なりの議論ポイントの方向性は見いだせたので、もう電話はこれ以上しません(多分)。会話内容についての疑問・質問についてはある程度お受けすると思いますが、より深い部分についてはぜひ各々で問い合わせするなどそれぞれでの出来うる範囲での行動をお勧めします。

(追記 19:55) 誤読されうる箇所の表現を何カ所か修正。ペースは変えていません


2010-06
24
17:32:55

岡崎市立中央図書館事件 #librahack について愛知県警に電話して聞いてみた

連日Twitterでは #librahack ハッシュが大盛況だが、個人的には事実関係でよく分からないことも多く明白にしたいことではあったので、直接愛知県警に電話して事情を聞いてみました。岡崎署ではなく愛知県警なのは、そちらが事件捜査の主体的な役割を担っただろうと判断したからです。

対応して頂いたのは生活経済課の方。お名前は出しません。愛知県警ではこの課がサイバー犯罪を担当しているそうです。
担当して頂いた方は割と若めで理路整然と話したいクールなタイプ。多少警戒されて話されていたのが印象によく残っています。
ネットでもこの聞き取り結果を公表したいともお話ししましたが、「あくまであなた個人に対して個人としてご回答しただけでそれ以上でもそれ以下でもない。これはあくまで一般論としてのお話しです(注: 個別事案について漏らしたわけではない、という意味かな?)。話した事実関係をお話し頂くことはあなたの責任範疇の話で別に問題ない。但しそれを元に『じゃあこういう抜け穴もあるのでは』と書いたらそれは教唆ですから」とも忠告してくれました。そのつもりでお読み下さい。
フレンドリーとは言いませんが(住所・氏名も聞かれたし(笑) 単に記録かも知れないけど一種のプレッシャーでもあるのかも知れないですね)、誠実に対応して頂けたと思います。ありがとうございました。

聞き取った事実関係のみ羅列します。

以上でしょうか。
恐らくは別に捜査機関全体の意見を代表しているわけではないことに注意。但し現場ではどのような考え方で発想されているのかの参考にはなるかと思います。
僕は果たして警察はどのような発想・考え方で動いていたかに興味があったのと、事件の捜査過程については「関係者からの問い合わせではないので」と拒否されたので、不満の残る箇所もあろうかと思います。
特に「故意」の部分については突っ込んで聞きたかったのですが、具体的な過程は明白に出来ないのでしょう、はぐらかされた感はあります。

最後に、もし似たようなプログラムを予定していて不安があるのなら、警視庁のサイバー犯罪担当へ問い合わせて確認した方がよいとアドバイスがありました。愛知県警を含め各県警が警視庁の判断や事例に従うから、とのことです。県警として答えられるのはこれまで担当した事案に対して同じ状況であれば逮捕します、としか答えられないとのこと。

ここではまずは聞き取り結果としてのみ公表するにとどめます。
何かの参考になれば幸いです。


2010-06
21
08:10:58

ニコニコPodder 銀行振り込みで有効期限が無期限になるバグを修正しました

ご報告します。

先ほどニコニコPodderの購読者チェック処理において、銀行振り込みの場合有効期限のチェックが正常に行われず、有効期限を過ぎていても購読状態で利用できるバグを修正しました。
そのため銀行振り込みで購読頂いているユーザー様で本日より突然未購読状態になった方もいらっしゃるかと思います。この場合は有効期限をご確認頂き、既に有効期限が過ぎている場合には正常な動作ですので、引き続き購読をご希望の場合は購読の処理(銀行振り込みでもPaypalでもどちらでも構いません)を行って頂けますようお願い致します。

ご迷惑をおかけしましたことお詫び申し上げます。


2010-06
19
01:56:25

【連絡】6/20 午前中にサーバー再起動のためニコニコPodderに影響が出る可能性があります

サーバーメンテナンスについてご連絡します。

日時: 2010年6月20日(日) AM06:00-PM00:00 の間の最大数分間

上記の期間に公式サイトおよびブログおよびニコニコPodder関連サーバーの計画的再起動を行います。
影響範囲は単純な再起動ですので最大10分間程度まででありほとんどの場合影響ないはずですが、運悪くこの再起動中にニコニコPodderを起動したりまたはずっと起動中でもそのタイミングで定期的なチェック処理が行われると、購読ユーザーでも未購読と判断されたり、または「ネットワークエラー」などでニコニコPodderが使えない場合があります。
その場合には10分程度お待ち頂いた後にニコニコPodderを再起動して頂ければ 通常通りご利用可能となります。

ほぼ影響はないとは思いますがもし万が一影響の出るユーザーさんには申し訳ありませんがご理解とご協力をお願いします。
もし不明点あればコメントかメールにてご連絡下さい。

(2010/06/20 AM06:30)
メンテナンスは無事終了しました。
正常稼働していると思いますがサーバーにアクセスできないなどの問題がありましたらお知らせ下さい。


2010-06
05
21:55:36

iモードはダイヤルQ2から始まった

面白い資料を見つけたのでご紹介。
TLで流れてきたんだけど元ネタはotuneさんからだったか。感謝。

『ネット起業! あのバカにやらせてみよう』

雑誌編集者・ライターの岡本呻也氏が2000年に出版した当時のネットベンチャー界隈を綴ったドキュメンタリーだ。近年元原稿をネットで公開されていたようだ。
ある程度当時の空気を感じていた者としてもあるいは全く未知の話だったとしてもかなり面白い内容に仕上がっている。
寡聞にして当時この書籍がどの程度話題になっていたのか分からないのだけど如何に日本のネットベンチャーが立ち上がっていったか、綿密な取材の上で当時の関係者の動向や考えも含めて、大変素晴らしい第一線の資料だ。

全編に渡って興味深い話の連続なのだけど、個人的に一番興味を持って読んだのは「iモード誕生」に関してだ。
iモード誕生秘話については、iモードの一方の生みの親である松永真理氏著書の「iモード事件」 が有名だが、僕も当時(立ち読みで)簡単に読んだけれども、確かに中の人間にしか分からない葛藤が面白くもあり、一方で読み物としては綺麗にまとめられすぎていて多少物足りなかったのも事実だ。それは「何か新しいものを立ち上げるのがこんな綺麗なことだらけではないだろう」との感触でもあった。

この『ネット起業!・・』はこんな綺麗事で済まない、果たしてiモード誕生や周辺サービスプロバイダーたちがどのような挫折や葛藤や混乱の中からiモードという「ブルーオーシャン」へ辿り着いたか、そこには一遍の綺麗事もフィルターもなく描き出されている。

個人的に大変インスパイヤされたのは、実はiモードはダイヤルQ2から始まったと言うことだ。
ダイヤルQ2はご存じの通り、一時期は一世を風靡しながらも規制に遭い結局は衰退に至ったNTTの看板サービスだった。iモードはこれらダイヤルQ2で培われた経験やそして人材も取り込んで始められたのだったというのは初めて知った。
iモードの生みの親として知られる夏野剛氏が元はベンチャー出身というのは知っていたが、無料プロバイダーとして天国から地獄を見たハイパーネット出身とは知らなかった。
現在に至るまでも主要コンテンツプロバイダーとして有名なサイバードの主要メンバーはダイヤルQ2向けサービス会社の関係者でありその他の関係者も多かれ少なかれダイヤルQ2や周辺サービスの出身者・経験者であったという。
もともとのiモードの発想は「固定回線で情報番組を提供していたダイヤルQ2を、インターネットに置き換えて携帯電話に提供する」発想から生まれたものだったのだ。
そうした夏野氏らが拘ったのは「インターネットであることを意識させないこと」「公式ポータルからの簡易な導線アクセスをできるようにして利用者は『情報番組』を選べるようにする」「できるだけ多分野の情報番組を提供する」「コンテンツをドコモで準備するのではなく決済代行を行うことでコンテンツプロバイダーが自由にコンテンツを準備し集金できる環境を保証することでWin-Winの関係を構築する」ことだったという。これはまさしくダイヤルQ2の思想そのものだ。そしてそのために機能したのがダイヤルQ2人材であり経験と知識であったわけだ。
さもありなん、というほか無いだろう。

このストーリーには様々な読み方があると思うが、僕の視点からは「iモードは結局インターネットではなくダイヤルQ2を目指していた」点が非常に興味深い。
「電話回線では失敗した。しかし設備投資がより安くただで通信が保証されるインターネットへ単に置き換えて使えば、その上でダイヤルQ2のような提供ができれば、またあの成功がもぎ取れる」
そんな当時の関係者たちの思いが透けて見えるようだ。

今日問題として指摘されるような「生のインターネットと日本型ケータイWEB」の様々な確執がこの時点ですでに決定づけられていたと考えると感慨深い。こうした確執が起きるのは至極当然で、そもそもその最初からインターネットを目指していたのではなく、単なる通信路としてただ乗りするだけの扱いでしかなかったと考えれば納得のいく点も多い。

「歴史を知ることは未来を知る」ことだという。そしてまた「歴史にIFは無い」ともいう。
とは言え、もしもiモード公式サイト第一号となった住友銀行の当時の担当者がただドコモの提案を信じ込むだけでなくてもう少しネットの知識があって「ネットでの安全な決済は本当にこの方式でいいのだろうか」と疑問を呈していたら。呈することで決済システムがもう少し別のものになっていたら。
ダイヤルQ2がもう少し別の形態でのヒットと世間への受け入れられ方をしていたら。
ドコモやメーカーの技術陣がもう少しダイヤルQ2との類似性に疑問を感じてインターネットとの親和性に理解を示していたら。
現在はもう少し別の未来であったかも知れない。

この週末で読むにはちょうどいい長さでありまた当時を知る人にはまた格別の懐かしさと新鮮みを持って読めることでしょう。お勧めです。

# 蛇足ですが。しかし近年こうした良質の業界向けドキュメンタリーを目にする機会が極端に減ったなあという気がします。昔はもう少し多かったと思うんですが、ドキュメンタリーであろうとも無難な文章が増えました。
業界ライターだのジャーナリストだのを名乗る人は逆に増えたと思うのだけど、やはりこうしたコンテンツが提供できてこそのライターでありジャーナリストではないのですかねぇ。
ぜひ自称ライターやジャーナリストさんはこの文章に触れて自身の実績と能力の無さに衝撃を受けて欲しいものです。


2010-05
31
00:58:41

ニコニコPodder R1.2.1をリリースしました

R1.1系列と同様に、恐らく5月中旬のニコニコ動画側の仕様変更により動作しなくなった点を中心に修正しています。今回はバグFIX版となっており機能追加はありません。
変更点は以下の通りです。

気づくのが遅くなり申し訳ありませんでした。
何かありましたらコメント欄までお願いします。


2010-05
31
00:57:51

ニコニコPodder R1.1.19をリリースしました

コメントで頂きましたように恐らく5月中旬のニコニコ動画側の仕様変更により動作しなくなった点を中心に修正しました。
変更点は以下の通りです。

気づくのが遅くなり申し訳ありませんでした。
何かありましたらコメント欄までお願いします。


2010-05
23
13:08:37

「ガラパゴス・ケータイ」と呼ばせたくない人々

時々このネタがTwitterのTLで流れてくるので。
よくスマートフォンに対して、「ガラパゴス・ケータイ」「ガラケー」と従来の日本のケータイを呼ぶべきではない、と主張する人たちに出くわすことがある。曰くその理由は「従来の日本ケータイへの蔑視だ」「語源のガラパゴスは単なる地名なので言葉として相応しくない、失礼だ」などというものだ。
しかしそうした主張に違和感を僕は感じるしそうした人々は本質論が得てして出来ていない。

「ガラパゴス」という言葉がささやかれ出したのはいつ頃からだったか。
僕もはっきりした記憶は無いが恐らく使われ出したのは三年ほど前からだったのではないか。
これもはっきりしないが、僕自身の感触では当時海外製携帯電話を国内に持ち込んで好き好きに弄っていたユーザー層が自分たちで持ち込んだ携帯を様々な制限で自由に利用させない日本の携帯環境と、かなり自由度の高い海外の環境の差にあきれて、外界と途絶したという意味で「ガラパゴス」と呼び出したのが最初ではなかったか。
元々そこには「日本国内で独自に異常進化した」といういい意味は含んでいなかったような気がするが、それは他の人々が語源の意味や「日本の携帯の進化具合は素晴らしい」と考える人々によって 後から追加されたように思う。

「ガラパゴス・ケータイ」や「ガラケー」はそういう意味では自国環境を憂いた自虐的な「蔑称」であろう。しかし何故それを使ってはいけないのか、自己規制・自粛しなければならないのか、さっぱり分からない。
何故ならそれほどまでに日本の携帯環境は非難され問題化されなければならない点を含んでいるからだ。

垂直統合モデルによる業界ぐるみのカルテルとも言える仕組みは競合他社を結果的に排除し競合の参入を阻んでいる。キャリア各社はこうしたモデルの崩壊を恐れ、結果的に自由度が低く競争が発生せず消費者に不便を強いている。
契約者識別IDに代表されるようなセキュリティやプライバシー問題の存在もある。10年の昔の時代遅れの技術が未だに購買モデルという重大な箇所に使用され続け、問題点や脆弱性を常に指摘されながらキャリア各社は頬被りをして問題解決のそぶりさえ見せない。
強制的なSIMロックやアクセスポイントを意識的に隠蔽しユーザーに自由に端末を使わせず全ての利用を自分たちの管理下に置きユーザーの利用の自由を阻害する。
など。

「ガラパゴス・ケータイ」や「ガラケー」とはこうした問題点を明確に言い表すための素晴らしい「発明」であったと今となっては感じている。まさしく如何に日本は多くの海外事情に比べて「異質で消費者を馬鹿にしているか」を示す名ワードである。
そういう思いがあるから僕は 「ガラパゴス・ケータイ」「ガラケー」を積極的に使う立場だ。

一方で「ガラパゴス・ケータイ」や「ガラケー」を使うべきでない、と訴える人々は上記をどう捉えているのだろう。
僕には知る由もないが、仮に問題点を理解せずに「蔑称は使うべきではない」という耳障りのいい話に流されているのだとしたら、ぜひ上記の問題に触れて自分でどうあるべきかもう一度考えてみて欲しい。
ガラパゴスと呼ばれる垂直統合モデルがどんな問題を引き起こしているか、拙作で恐縮だが以前こんなエントリーを上げたことがある。問題の一部かも知れないが概要は理解できるはずだ。
契約者識別IDは利用者のプライバシーを蔑ろにし今日では全く歓迎できるものではないが未だに日本の携帯業界は採用を続けている。海外ではこのような方式はほぼ採用しておらずまさしくガラパゴスな好例である。問題点については(技術的な部分が多いが)高木浩光氏の有名なエントリーに詳しい。
SIMロックやアクセスポイントの問題については数多くの問題点を指摘したエントリーがネット上にはあるので検索して欲しいが、拙作ではアクセスポイントについてこのようなエントリーを上げたことがある。

問題は上記を知りつつそれを隠し、本質を見せないようにしつつ言葉狩りに走っている人々だ。
それが誰なのか、とは言わない。しかし昨今の議論の中ではこうした問題点には全く触れずただ言葉狩りを訴えているだけに見える人も多くみかける。
それがキャリアやメーカーの人間であればある程度の理解は出来る。自分たちの立場も踏まえた上での発言であれば、ある程度のポジショントークもやむを得ない面はあるだろう(それでも健全に素直な議論をお願いしたいものだが)。
しかし一部のライターと呼ばれたり自称”ジャーナリスト”な人々についてはどうだろう。
上記のような論点を知らないのだとすれば全く持って勉強不足だし、キャリアやメーカーにおもねて「言葉狩り」に走るのだとしたら論外だ。

我々消費者としては言葉狩りに惑わされる必要はない。言葉は生き物だしここまで広まった言葉を否定する必要もない。「それが失礼だ」というのなら、何が何に対して失礼なのだろうか。消費者がキャリアやメーカーに何を気を遣う必然性があるのか。消費者とは独善的なまでに消費のための要求を行うべきなのだ。
それよりもぜひ気を付けて欲しい。本質に気付かれたくない人たちは常にいつの時代でもこうした些細な問題に目を向けさせ本質論を阻もうとすることに。
小さな問題に気を取られてより大きな問題を見誤ってはいけないことに。


Paging

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