きょうのコラム「時鐘」 2010年10月31日

 家の近くにススキが群生していたが、白い穂波が今年は一面の黄色に変わった。たくましいセイタカアワダチソウに追い払われた

花粉症の元凶というぬれぎぬを着せられた過去がある。それにしても繁殖力はすさまじい。道の舗装のすき間からも顔を出している。このままではススキが絶滅する。そんな心配を口にしたら、笑われた

おかしな植物である。根や地下茎から周囲の植物の成長を抑える物質を出して繁殖する。が、この物質が土にたまり過ぎると自家中毒を起こして自分も衰え、やがてススキなどに主役の座を譲るという。強い武器が災いにもなる。ウソみたいなホントの話を教わった

欲の皮が突っ張った人間界では珍しくない。にわか成り金は、やがて金の亡者になる。権力の座に安住すると、転落が待つ。「赤いバブル」に浮かれる国も、そろそろ雲行きが怪しい。おごれる者は久しからず、である

黄色の大繁殖は、そんな戒めを教えてくれる。ありがたいのだろうが、あの強烈な色彩の集団は北陸の秋には似合わない。度を越せば、ありがた迷惑。もう一つ大事なことを教えてくれる。