未解決事件ＦＩＬＥ

　２００４年９月９日午前４時２５分頃、愛知県豊明市沓掛町の住宅が全焼し、焼け跡からこの家に住む加藤利代さん（３８歳）、長男の佑基君（１５歳）、長女の里奈さん（１３歳）、次男の正悟君（９歳）の４人の遺体が見つかった。１階居間の床の上で正悟君が、２階子供の部屋のベッドの上で佑基君と里奈さんが、加藤さんは夫婦で使う寝室のベッドの上で死んでいた。現場検証の結果、灯油をまかれたとも見つかり、放火殺人事件として捜査が開始された。
　加藤さんには背中から肺に達する刺し傷があり、司法解剖の結果、死因は出血性ショックだった。里奈さんも背中を中心に上半身を数か所刺されていた。佑基君と正悟君はバールのようなもので頭を殴らられており、死因はそれぞれ脳挫傷、クモ膜下出血だった。凶器は見つかっていない。加藤さんの夫（４５歳）は事件当時夜勤で不在だった。
　１階は窓も玄関も鍵はすべて施錠されていた。加藤さんの家では鍵を一つ野外にある家族しかわからない隠し場所に置いていたが、事件後にそれが野外の隠し場所から見つかっている。このことから、犯人が鍵の置き場所を知っていて、犯行後に施錠して元の位置に戻したということも考えらえた。夫は仕事にゆく場合は合鍵を持たず、施錠されたあとに家に入る場合にはこの貸し場所の鍵を利用していた。事件当日も午後１１時に妻に「帰りが遅くなるので鍵を（いつもの隠し場所に）置いておいてほしい」とメールや電話で伝えたという。
　室内から貴金属や通帳など盗まれたものはなかった。
　警察では殺害方法から、犯人は加藤さん一家に何らかの恨みを持ち、家の内部に詳しいものの犯行とみている。殺された加藤さんは近所の人に「最近、誰かに見張られているようで怖い」とも話していた。
　夫は２００５年３月１１日に勤務先の会社からパソコン代５２０万円をだまし取ったとして詐欺容疑で逮捕された。だまし取った金は交際中の愛人に使っていたという。こうした事情から夫が殺人事件の犯人ではないか、愛人が犯人ではないかといった憶測報道もあったが、夫は事件当日に会社で残業している姿を同僚が目撃しており、アリバイがあるという。