親友だった関口結己(ゆき)さん(17)は、高校3年生になり、今は大学受験の勉強で忙しい。
中学入学後、同じクラスで仲良くなり、事件の3カ月前に里奈さんと交換日記を始めた。ノートの左ページを関口さん、右は里奈さんが担当。片方のページは事件以来、真っ白のままだが、「里奈だったらこう返してくるかな」と思いながら、自分のページだけを埋めている。
終わりに必ず書くのは「四つ葉のクローバー」。「友達運が消えないように」という二人だけの約束事だ。分厚い単行本サイズのノートは2冊目になった。
利代さんの母渕村信子さん(71)は、ボール紙の内側にフェルトを張りつけた水色のメガネケースを宝物にしている。正悟君が小学1年の時、敬老の日にくれた手作りのプレゼント。中に手紙が入っていた。
<おばあちゃんへ いつまでもげんきでいてね かとうしょうごより>
渕村さんはすすり泣きながら、老眼鏡をケースにしまった。「手紙を書いた方が先に死んじゃって……」。殺害された9月9日は、正悟君の誕生日だった。
04年9月9日午前4時半ごろ、愛知県豊明市沓掛町石畑の会社員、加藤博人さん(50)方から出火、鉄骨2階建て住宅延べ約160平方メートルを全焼した。焼け跡から妻子4人の他殺体が見つかった。加藤さんは残業で家におらず無事だった。4人は刺されたり、殴られたりして殺害された。多数のマッチの燃えかすや灯油を染み込ませた新聞紙が見つかっており、犯人はこれらを使った「時限発火装置」で時間をかせぎ、逃走したとみられる。
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