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【書評倶楽部】女優・東ちづる 『おサケについてのまじめな話』 (1/2ページ)
□『西原理恵子×月乃光司のおサケについてのまじめな話 アルコール依存症という病気』西原理恵子著
■病気という認識こそが大切
この本が13年前にあったなら、私の父と家族の人生は違うものになっていただろう。
これまで、専門書など手にしてきたが、これほどアルコール依存症を分かりやすく書いた本は他に知らない。
父は、62歳で他界した。
47歳の時に静脈瘤(りゅう)破裂。その時初めて、アルコール依存症による肝硬変だと知った。
暴れるでも人を傷つけるでもなく、穏やかに飲酒していた父。なので、よく働く父が好きなおサケなのだから…と私たちは見守っていた(つもりだった)。
吐血してからの15年間は壮絶だった。特に、妻である母の苦悩、哀(かな)しみ、ストレスはどう想像しても追いつかない。
「この病気は、つまりは家族が割に合わない病気なんです」。そう! このことを言いたかった。後ろめたさを感じず、このひと言を母に言わせてあげたかった。
「やめたいけれど、やめられないけど、やめたい」。それは言い訳ではなくて、悲痛な叫びだったんだね、と父に伝えたかった。