障害のある人が働く……このことを考えてみた
2010年10月29日11時50分 / 提供:Business Media 誠
「多くの企業は、障害者雇用の法定雇用率を達成しようとはしている。そのことは評価されていいと思う。しかし障害のある人が採用された後、実際に職場で能力発揮のための配慮がなされているとは言い難い」――。
障害者雇用に関わる矢辺卓哉さんは、穏やかながらもはっきりとした口調で切り出した。現在は、障害者の就職や転職を支援する企業に勤務する。
矢辺さんはこれまで5年間にわたり、主に社員数300人以上の中堅・大企業の人事部に出向き、採用ニーズなどを聞き取り、それに見合った障害者を紹介してきた。1000社を超える企業と接触をしてきただけに、その実情を詳細に把握している。
取材の最中、矢辺さんは「健常者の採用と障害者の採用は全く違う論理で動いている」と繰り返した。健常者の採用は新卒であれ中途であれ、通常は営業部など現場の部署でこのような人材が欲しいといったニーズや経営方針により進められる。そのもとで採用が行われるので、人事部も現場も内定者を快く迎え入れる。
しかし障害者の採用には方針などがあまりないという。採用された障害者は現場に配属されても、歓迎されないケースが少なくないようだ。
矢辺さんは、高ぶる感情を押さえこむかのように一層、明確な口調で話した。
「人事部から言われて、現場の管理職は納得しないままに採用が始まる。だから『障害者をなぜウチの部署で受け入れるのか』と考えているケースがある。障害のある人が働きやすいように配慮する意識も乏しい」
ある企業では耳が聞こえない人に対し、同じ部署の人が「なぜ電話に出ないのか」といった態度をとったこともあったという。そのことに対し、採用の窓口となる人事部の反応が鈍い企業は多い。人事部は、障害者を雇い入れて法定雇用率を達成した時点で、“企業の社会的責任”は遂行できたと満足し、その問題を改善しようとはしていない。
すべての企業ではないと前置きしながらも、「はじめに“数ありき”といった姿勢で採用をしていることが問題の原点。特に大企業は数字という大義名分がないと、積極的には雇わない」と語る。
その場合の数とは、前述した法定雇用率を意味する。障害者の雇用の促進を図ることを目的とした「障害者の雇用の促進等に関する法律」があり、常用労働者全体のうち、障害者をこのくらいの比率で雇いなさい、といったことが定められている。
●それぞれの違いを認め合う
法律によると、民間企業の法定雇用率は1.8%。これは常用労働者56人以上で1人の雇用が義務づけられる計算となる。例えば、常用労働者1000人の企業は18人以上の障害者を雇用する必要がある(1000人×1.8%=18人)。これを達成しない企業には、厚生労働省が雇用計画の提出を求めたり、未達成分に相当する納付金を徴収する。
「ハローワークなどの公的な機関は未達成の企業に対し、厳しく指導している。しかし、障害者を採用した後についてはほとんどふれない。だから職場になじむことができず、辞めていく人が絶えない。これもまた、“数ありき”といった姿勢の悪影響」だという。
矢辺さんの目には民間企業や公的機関、社会が障害者を理解しようとする姿勢が足りないと映る。それぞれの違いを認め合う、そこに本来のダイバーシティ(多様性)があると考えている。
●その企業らしさが感じられる雇用
矢辺さんは学生時代からこの仕事に力を注いでいるが、その理由の1つに双子の妹の存在がある。2人とも知的障害なのだという。時折、感情をコントロールすることができないことがあるようだ。
「小さいころ、妹たちは思った通りにならないと、感情をおさえることができないことがあった。外でもかんしゃくを起こし、大きな声を出したりすることもあった。そのたびに、周囲の人は僕たちを奇異な目で見ていた」
障害者雇用に関わる矢辺卓哉さんは、穏やかながらもはっきりとした口調で切り出した。現在は、障害者の就職や転職を支援する企業に勤務する。
矢辺さんはこれまで5年間にわたり、主に社員数300人以上の中堅・大企業の人事部に出向き、採用ニーズなどを聞き取り、それに見合った障害者を紹介してきた。1000社を超える企業と接触をしてきただけに、その実情を詳細に把握している。
取材の最中、矢辺さんは「健常者の採用と障害者の採用は全く違う論理で動いている」と繰り返した。健常者の採用は新卒であれ中途であれ、通常は営業部など現場の部署でこのような人材が欲しいといったニーズや経営方針により進められる。そのもとで採用が行われるので、人事部も現場も内定者を快く迎え入れる。
しかし障害者の採用には方針などがあまりないという。採用された障害者は現場に配属されても、歓迎されないケースが少なくないようだ。
矢辺さんは、高ぶる感情を押さえこむかのように一層、明確な口調で話した。
「人事部から言われて、現場の管理職は納得しないままに採用が始まる。だから『障害者をなぜウチの部署で受け入れるのか』と考えているケースがある。障害のある人が働きやすいように配慮する意識も乏しい」
ある企業では耳が聞こえない人に対し、同じ部署の人が「なぜ電話に出ないのか」といった態度をとったこともあったという。そのことに対し、採用の窓口となる人事部の反応が鈍い企業は多い。人事部は、障害者を雇い入れて法定雇用率を達成した時点で、“企業の社会的責任”は遂行できたと満足し、その問題を改善しようとはしていない。
すべての企業ではないと前置きしながらも、「はじめに“数ありき”といった姿勢で採用をしていることが問題の原点。特に大企業は数字という大義名分がないと、積極的には雇わない」と語る。
その場合の数とは、前述した法定雇用率を意味する。障害者の雇用の促進を図ることを目的とした「障害者の雇用の促進等に関する法律」があり、常用労働者全体のうち、障害者をこのくらいの比率で雇いなさい、といったことが定められている。
●それぞれの違いを認め合う
法律によると、民間企業の法定雇用率は1.8%。これは常用労働者56人以上で1人の雇用が義務づけられる計算となる。例えば、常用労働者1000人の企業は18人以上の障害者を雇用する必要がある(1000人×1.8%=18人)。これを達成しない企業には、厚生労働省が雇用計画の提出を求めたり、未達成分に相当する納付金を徴収する。
「ハローワークなどの公的な機関は未達成の企業に対し、厳しく指導している。しかし、障害者を採用した後についてはほとんどふれない。だから職場になじむことができず、辞めていく人が絶えない。これもまた、“数ありき”といった姿勢の悪影響」だという。
矢辺さんの目には民間企業や公的機関、社会が障害者を理解しようとする姿勢が足りないと映る。それぞれの違いを認め合う、そこに本来のダイバーシティ(多様性)があると考えている。
●その企業らしさが感じられる雇用
矢辺さんは学生時代からこの仕事に力を注いでいるが、その理由の1つに双子の妹の存在がある。2人とも知的障害なのだという。時折、感情をコントロールすることができないことがあるようだ。
「小さいころ、妹たちは思った通りにならないと、感情をおさえることができないことがあった。外でもかんしゃくを起こし、大きな声を出したりすることもあった。そのたびに、周囲の人は僕たちを奇異な目で見ていた」
1 | 2 |
Ads by Google
コメントするにはログインが必要です
関連ニュース:雇用
- いい加減にしろ!菅・仙谷「殺小沢」の汚い手口ゲンダイネット 10月29日10時00分(30)
- 高橋洋一の民主党ウォッチ 貿易再保険「廃止」というごまかし 実は官僚が完勝していたJ-CASTニュース 10月28日16時58分(14)
- 橋下知事「大阪都構想」のメリットは? 行政のムダ解消できるのか
J-CASTニュース 10月29日19時51分(10)
- 障害のある人が働く……このことを考えてみたBusiness Media 誠 10月29日11時50分(7)
- CNBC「日本は景気後退の瀬戸際に」。Espresso Diary@信州松本 10月29日16時36分(4)
1,680円
livedoorBOOKS(ビジネス)
|
3,150円
livedoorBOOKS(ビジネス)
|
580円
自然食と雑貨 SAI MARKET
|
1,575円
livedoorBOOKS(ビジネス)
|
経済アクセスランキング
- 夫の9割超「5000円以上なら妻と交渉」…小遣い外での物品購入サーチナ 29日17時11分(3)
- ソニー:PS3、PCが好調で赤字から1356億円黒字に回復、9月中間営業利益
Sakura Financial News 29日15時49分(3)
- グーグル価格比較サイト誕生で、カカクコム株が急落YUCASEE MEDIA (ゆかしメディア) 28日11時40分
- 国交省、副大臣らのマイカーは? 資産公開
レスポンス 29日19時52分
- 障害のある人が働く……このことを考えてみたBusiness Media 誠 29日11時50分(6)
- 30歳前半の働き人、三人に二人は転職経験ありGarbagenews.com 29日12時05分(1)
- CNBC「日本は景気後退の瀬戸際に」。Espresso Diary@信州松本 29日16時36分(4)
- 高度成長は「一度きりの幸運」だったのか池田信夫blog 29日17時45分
- ドミノ・ピザ「時給250万円」 破格アルバイトで話題作り
J-CASTニュース 29日19時52分(3)
- USEN、宇野社長が会長に、新社長には38歳の中村史朗氏
Sakura Financial News 29日17時01分(2)
注目の情報
プレツイは、懸賞情報やお得な情報をつぶやくTwitterアカウントです。
ただいま、現金1000万円がフォローで当たるキャンペーンを実施中!
今すぐプレツイをフォローしよう♪
現金1000万円当選のチャンスへ⇒