地検は「被害的観念があったとみられる」と説明している。引寺被告はマツダ入社後、1カ月たたないうちに「耐えられなくなった」と退社した。
地検は精神鑑定の結果、完全責任能力があると判断。事件直後「秋葉原(の無差別殺傷事件)を超えた」と犯行を誇示する電話を知人にかけており、結果の重大性の認識もあったとみている。
弁護側は「動機と犯行結果が合理的に結び付かない」と主張。「心神喪失」で刑事責任能力がなかったとして無罪を主張する方針で、裁判員裁判の審理では責任能力の有無が主な争点になる。
起訴状によると、6月22日朝、広島県府中町と広島市南区にまたがるマツダ本社工場と隣接する宇品工場で、時速40〜70キロで出勤中の社員ら男性12人を車で次々はね、社員浜田博志さん=当時(39)=を殺害し、11人に重軽傷を負わせた、などとしている。