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日本原燃、初のMOX燃料工場着工 六ケ所、試運転課題

2010年10月29日

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午前11時すぎ、MOX燃料工場の敷地内で掘削工事を始めるショベルカー=28日、六ケ所村尾駮

 日本原燃は28日、六ケ所村で、使用済み核燃料を再利用してプルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料を作る国内初の「MOX燃料工場」の建設を始めた。国の核燃料サイクル事業の中核を担う施設だが、隣接する再処理工場では試運転でトラブルが続き、同工場完成を2年延期したばかり。サイクル事業が順調に進むかどうかはまだ不透明だ。

 原燃によると、MOX燃料工場の建設費は約1900億円。2016年3月の完成予定で、原燃社員300人が同工場で働くという。

 この日、安全祈願祭に参加した川井吉彦社長は「高品質低価格のMOX燃料を製造する世界一の工場を造ろう」とあいさつ。祈願祭の後、報道陣には「多額の工事であり、いろんな意味で地元への波及効果がある」と、経済的なメリットも強調した。

 また、報道陣からサイクル事業の見通しを問われると、「再処理工場、MOX燃料工場ともしっかり安全第一で進める。全力を挙げて取り組む」とだけ話した。

 MOX燃料を使うプルサーマル発電は昨年12月以降、玄海原発(佐賀県)や福島第一原発(福島県)で始まっているが、いずれも海外で作られた燃料だ。

 原燃のMOX燃料工場が稼働すれば、最大で国内の原発十数基分の年130トンの燃料を加工できるため、原燃の川井社長は「資源のない日本のエネルギーの安定供給のために、不可欠な施設」と意気込む。

 ただ、着工までの道のりは平坦(へいたん)ではなかった。原燃は05年4月に国に事業許可を申請。当初は07年4月着工、12年4月完成の予定だったが、耐震性の評価などが長引き、着工時期は計4回延期された。

 今後は工場のハード面を整備した後の7カ月間の試運転が一つのハードルになる。再処理工場では、試運転でトラブルが止まらず、川井社長が「(技術面で)不確定な要素があった」と認めたほど。一方、MOX燃料工場の試運転については、原燃側は「研究用として茨城県東海村の核燃料製造施設ですでに実績がある。技術は確立している」と話している。(別宮潤一、鈴木友里子)

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