2010年10月29日()

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文具券 年内で利用停止 「寝耳に水」「客にしわ寄せ」加盟店に怒りや困惑

 日本文具振興(東京都)が発行する全国共通文具券が今年いっぱいで店頭で利用できなくなる。同社は28日までに販売停止と店頭利用終了を決め、周知用ポスターや対応マニュアルを全国の加盟店などに郵送した。文具券は昭和53年の発行以来、入学祝いなどで親しまれてきたが近年は発行数が落ち込んでいた。全国で約42億円の未使用券が流通しているとみられる中で利用停止まで2カ月余しかない。県内の文具店は得意先などへの連絡に追われており、困惑や怒りの声が上がっている。
 文具券は鉛筆やノートといった文房具と引き換えができる金券で、500円券の一種類。昭和53年の発行開始からこれまでに330億円、6600万枚を売り上げた。
 全国の文具店や1部のスーパー、コンビニエンスストアなど1万1000店以上で使用でき、県内では現在、226店の加盟店で利用できる。
 全国ではピークの平成5年には18億円、360万枚を販売。しかし、インターネット販売や少子化の影響で、最近は売上高が約3分の1に減少していた。文具券を受け付ける個人経営の文具店が減少したことも追い打ちを掛けたという。
 日本文具振興は、全国の文房具組合などが出資して設立した株式会社。利用が減少していたことから、これ以上の継続は難しいとして、利用停止を決断。関東財務局の指導を受けながら、手続きを行うことを決めた。
 しかし、県内の加盟店からは「寝耳に水」という声が上がっている。福島市早稲町の文具会社松崎の松崎昇社長(67)は「終了まで2カ月余りしかないことに驚いた」という。今月上旬に贈答用として約100枚を販売した得意先にすぐに連絡し、得意先の手元に残っていた約50枚を引き取った。「有効期限が平成25年になっている券もあり、お客さんとの信用問題にもなる」と怒りをあらわにする。
 いわき市平で文具・事務用品を取り扱う坂本紙店の坂本匡蔵社長(49)も「一番のしわ寄せを被るのはお客さまだ。2カ月は短すぎる」と語った。同店では独自にチラシを作成して配布し、得意先回りの際に声掛けするなどしている。日本文具振興の担当者は「加盟店が多く、各店舗に説明する余裕はない。販売を停止した音楽ギフトカードや全国共通スポーツ券と同様の対応はしている」としている。
 日本文具振興では資金決済に関する法律に基づき、店頭での使用期限が過ぎる来年一月以降も5月末までは払い戻しに応じるという。今年11月下旬ごろ、払い戻しの対応を伝える案内を各加盟店に送るとしている。
 同社は現在約42億円分の未使用券が流通しているとみている。担当者は「手元に文具券がある場合は早めに使用してほしい」と呼び掛けている。

【写真】12月末で店頭での利用ができなくなる文具券。県内の加盟店では戸惑いが広がっている

(2010/10/29 10:04)