銀シャリ屋『げこ亭』 ご飯を炊いて50年。御歳80歳、パワフルな親父、村嶋 孟さんに……圧倒!
あーあー! この湯気…。『げこ亭』で炊きたてを頂いた感激を思い出します。 |
大阪府堺市…関西人の私でも堺市に行くのは、ナント! 初めて……
阪堺電気軌道 阪堺線「寺地駅」すぐって、何処?と思われる方も多いはずです。
この路線は、路面電車。“ゆるり”と走る長閑な町の立地にも関わらず、引っ切り無しにお客さんが“のれん”を くぐります。
営業時間は、9:00 ~ 売り切れるまで
(13:00過ぎには売り切れてしまいます)
ビックリ! しますよねーーー。13時過ぎって、まだ世間ではランチタイムですから……!
『げこ亭』ご主人の親父さんにお会いする為に、朝6:30起きで行って参りました。
メディアで拝見した風貌から想像しますと、「ご飯を炊いて半世紀」こだわり抜いた文章を目にして、ちょっと怖い方なのかと…恐る恐る! 遠くから、シャッターをパシャリ。振り向かれた親父さんから「遠いところ、ようお越しになって。どうぞどうぞ、近くで見てください」と…
あれっ!? 何だかイメージとは違って、とても優しい笑顔で迎えてくださいました(^^)
『げこ亭』の入口。恐る恐る遠くからお声をかけて、 |
振り向いてくださいった瞬間。実は、かなりビビっておりました(笑) |
親父さん曰く……米は「洗う」のではなくて「磨ぐ(とぐ)」。押さえてはアカン! 指で磨いでいく。この作業が大変なんや。 |
千利休さんも認めたお水だったのですね! |
「堺の裕福な町衆、魚屋(ととや)に生まれた千利休さんも千家茶道を発展のため、この地の井戸水をつこてた。
その井戸水が出てた頃は、一年中自分で磨いでたんけど今は出なくなってしもて……夏冷たくて、冬温かい井戸水と違って、冬の水道水はしびれるような冷たさでた まらん。そやから、冬だけ代わりに息子が磨いでくれるんや。」
そう言えば…
小学生の低学年の頃、私の住んでいた所にも井戸があって、夏はスイカを冷やして食べていました。いや~。それはそれは美味しかったのを覚えています。
1回に磨ぐお米は、3升。磨いだお米は、1日置いたお水を入れて45分ねかせるそうです。
『げこ亭』では、1日に平日は8回(24升)、土曜・日曜は12~3回(36~39升)のご飯を炊きます。1日400~500人が訪れて、4時間程度で売り切れてしまう「銀シャリ」を炊き上げるには、この量が限界だそうです。
親父さんは、私たちとお話をしながらも一度も手が止まりません。もちろん座ることも無かったです。聞いてみると「朝は4時に起きて仕込みを始め、それから閉店までは、ずーっと動いとるよ! 」と3升の入った お釜を軽々と持ち上げます。すごいパワーです!
しかも、姿勢が「ピーン」としておられるのにもビックリしました。
そして、火力の強いガスコンロで、竈(かまど)には、炭と牡蠣の貝殻を入れて炊きあげていきます。その間、決して吹きこぼれないように、蓋をクルクル回しながら調節しています。それは、私たちとお話をしていても見事に、一度も吹きこぼれることはありませんでした。
むかしむかし…田舎で祖母が炊いてくれたご飯をこの竈を見て思い出しました。 |
なんだか……懐かしさに慕っている中にご飯が炊きあがりました。
ここからの動作の速いこと!
私のデジカメ(腕?)では、親父さんの動きについていけなくなり、プロのお手をかりしました。
地元、大阪在住のカメラマン 大和田博一さん
さすがです(^^;
では、炊きあがりからお櫃に移すまでの一連の作業をご覧ください。
(因みに…トップの親父さん写真と、この後の並んだおかずの写真も、大和田さんの撮影です。私の腕では湯気も撮れなかったので……すみません、ご紹介が遅れました。)
炊きあがったお釜を軽々と持ち上げ、 |
ご飯を優しく“ほぐす”ようにして、 |
お櫃に入れると余分な水分が飛ぶのです。 |
そこで…
お焦げが無いことに気づきました。
「お焦げは出来ないのですか?」と誰も質問出来ずにいると…
親父さんの方から「常に火加減をみているから、炊きあがりは均等や。お焦げは出来へん」と、言ってくださいました。
皆……「なるほど~」と、言葉を合わせたかのようにハモリました(笑)
そして…
気になるお話がありました。
親父さんは自宅では、なんと炊飯ジャーを使っているそうです。しかも、秋に発売される新製品を現在……開発に携わっているそうです。えっー! それって、プロデュースされているってことですよね!?
Q:どちらのメーカーの炊飯ジャーですか?
象印の炊飯ジャー。自宅でも使っているけど、これはうまいで!
Q:どこのメーカーと開発しているのですか?
それは、まだ内緒やけど…メーカーさんと一緒に、どないしたらうまいご飯が炊けるか…研究しとる最中。こないだやっと納得のいくご飯が炊けた。
最後の調整中みたいやけど、秋には、発売されるで。そないなったら『げこ亭』でも使おうかと思って……
ハッハッハッ!!!
↑て……爆笑されていましたが、どこまで本当なのか?
でも、驚きでしょ!
「銀シャリ」で有名な親父さんのお墨つきの炊飯ジャーって、興味津々です!! すると、親父さんから……天満橋に行けば、試作の段階の製品を見られるとの情報をゲット! 連絡を取ってもらって試食に伺いました。
『げこ亭』で言われてた通りの言葉が… |
(残念ながら、新製品の炊飯ジャーの写真はまだ非公開とのことで掲載出来ませんですが)まるで、もち米を混ぜて炊きあげたかのような“モッチモッチ”のご飯でした。
親父さんがPOPにーーー!
そして、『げこ亭』ならぬ『◆◆亭』にて、いざ! 試食。
(まだ内緒です)
まさに…『げこ亭』で食べたご飯のような“味”と“食感”だった……
親父さん曰く…
うまいご飯は、“粘り” “ツヤ” “香り”。この3つですわ。
高級なブランド米は使わへん。それよりも“水”と“炊き方”が大事や。
↑言われている要素が、新製品の炊飯ジャーには全て整っていました。
今回は、試作品での試食でしたが…秋の発売が待ち遠しいですね~。広報の方の丁寧なご案内で、益々…
気になってしまいました。
完成品が出来ましたら、また『げこ亭』に誘ってくださいませ。
そうだ!
『げこ亭』には、中田英寿さん、古田敦也さんもご飯を頂きに訪れると親父さんがお話されていました。
新製品の炊飯ジャーで炊いたご飯も、是非! 食してもらって感想を聞きたいですねっ!!
さて、ここで『げこ亭』のお話に戻ります。
美味しいご飯に合う“おかず”のご紹介。
焼き魚、煮魚、お煮つけ、お浸し、エビフライ、トンカツ、天ぷら、お刺身などなど、ずらーと並びました。
おかずはお皿の種類によって値段がわかります。100~400円(ご飯は200円)無茶苦茶悩みますよ! |
“おかず”を作ってくれるのは、息子さんたちです。こちらも引っ切り無しで、作られていました。
その中でも、ひたすら何やら焼続けている後ろ姿が……「卵焼き」(関西なので出汁巻きです)を焼いてくれている方が親父さんと一緒に『げこ亭』50年。奥様です。
親父さん曰く…
カミさんとは、一度も喧嘩したことが無い
今日は今日。明日は明日。
くよくよしないで、嫌なことがあっても寝たら忘れる。
それが、健康と円満の秘訣!
すごい!!! 色紙に書いて頂ければ良かったです(後悔)。
ほとんどのお客さんが、卵焼きを選びますから焼くのも大変。 |
お米の粒が大きい! ご飯だけでもパクパク。おかずは関西の味。 |
丁寧に丁寧に…焼いてくれた「卵焼き」を取り入れた、私チョイスの定食をご紹介。
まずは、銀シャリ、卵焼き、焼サバ、茄子煮つけ、この日は山形からウドを送ってもらったそうで、ウドのお浸し。
トン汁も加えて、さてさて試食です。
「日本人に生まれて良かった!」瞬間をお届け致したいところですが、残念ながら、あまりに夢中になって食べてしまって…撮影する間もなく、完食してしまいました。(申し訳ないです)
今回は、島田室長代理も同行して頂きました。
「こんなに沢山のご飯を食べたのは久しぶり、いや~本当に美味しかった」と、同じく、終始に渡って感動していました。
大和田さんの掛け声もあって…最高の笑顔でパチリ! |
こんなに食欲をそそる内容を書いておきながら…
私たちがお邪魔をしましたのが、27日。実は、6月1日~8月31日まで毎年休業されているのです。
この時期は、特に…水の質が落ちて美味しいご飯が炊けないから、というのが一番の理由。
そして、この休業中に旅行をしてリフレッシュを図るそうです。(今年は、どちらにいかれるのかしら?)
いつまでも、パワフルな親父さんでいてください。
9月には、親父さんと美味しいご飯に……また会えるのを楽しみにしています。
ごちそうさまでした♪
銀シャリ屋 げこ亭
Tel.072-238-0934
大阪府堺市堺区少林寺西1-1 (阪堺電気軌道 阪堺線「寺地駅」すぐ)
9:00~13:00頃まで(品ぎれ御免)
2010年6月1日~8月31日まで休業
筆者プロフィール 渡邉 俊子(わたなべ・しゅんこ)(株)N・D PRディレクター
自称「美味しいものをこよなく楽しむ会」副会長(?) |
(2010 年 6 月 8 日)
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